無料・あとぴナビセットのお申し込み
HOME  > アトピー性皮膚炎と乳幼児  > 乳幼児とアトピー第10回 未来に向けて子どもの心を育てる

乳幼児とアトピー第10回 未来に向けて子どもの心を育てる

アレルギー体質の子どもには、ADHD(注意欠陥・多動性障害)に似た症状がみられることがあります。その原因と対処について、考えてみましょう。

いないいないばあが育むもの

赤ちゃんの前で、「いないいな~い」といいながら両手で顔を隠し、一呼吸おいて「ばあっ」と顔を出す。「いないいないばあ」という遊びをしてあげると、赤ちゃんは「きゃっきゃ」と笑ってとても喜びますね。この遊びは、赤ちゃんの情操や思考、行動力を育ててくれます。最初は単純に、隠れた顔が出てくることに驚きます。それを繰り返すと、顔が出てくることがわかってくるので、「いないいない」の後に顔が出てくるのを待ち構えるようになります。しばらく我慢して待っていると、「ばあ」と顔が出てくるので、予想通りの展開が起こったことに喜びを感じて笑います。
次に起こることを予想して、じっと我慢して待つこと。そして待った後には喜びがあることを、赤ちゃんはこの遊びから体験します。「我慢して待つ→いいことがある」という遊びを通した経験が、目標を考え、計画を立てて目標実現に向けて行動するという成長の基礎となるのです。

アレルギー体質とADHD傾向

冒頭でなぜ「いないいないばあ」の話をしたかといえば、今回のテーマ「ADHD(Attention DeficitHyperactivity Disorder):注意欠陥・多動性障害」と大きな関係があるからです。ADHDとは、不注意や多動性、衝動性を特徴とする発達障害があり、生活に様々な困難をきたす状態をいいます。そして、アレルギー体質のお子さんには、このようなADHD的傾向を持つ子どもが多いのです。
アレルギー体質のお子さんは、個別の能力はキラリと光る素晴らしいものを持っています。しかし、精神活動や感情を統合してバランスよく発揮することが苦手で、秘められたすばらしい能力を発揮できないでいる子が多く見受けられます。このようなお子さんは、食事療法や生活環境の整備を行い、アレルギーの状態から抜け出て、注意力を養い落ち着いて行動できるようになると、本来持っている能力や才能を発揮できるようになります。
今回のお話は、ADHDという疾患を対象とするのではなく、そのような傾向がある場合にどうしたらよいかをお伝えします。

未来を予測して行動する能力

ADHDの背景には、「未来に向けて自分の行動を調整する能力」がうまく発達していないことがあげられます。人は、成長とともに記憶を保持したり、待つことや我慢する能力を身につけながら、未来を予測して、目標や展望を持つことができるようになります。しかし、ADHDの傾向があると、目的を達成するにはどんなことをしたらいいか、何が必要で何が不要か、必要なことはいつどこで行うべきか、そのための時間・空間的配分を行うことが苦手になります。
だから、赤ちゃんの頃から「いないいないばあ」などの遊びを通して、発達をうながしてあげることが大切です。成長にしたがって、少しずつ家の手伝いをしてもらいましょう。アレルゲンを取り除くための寝具の掃除機がけでも何でもかまいません。掃除機をかけたり、食後の食器を片づけたりといったお手伝いを通して、仕事の一連の流れや、どうしたら早く上手にできるかといった段取りも学ぶことができます。手伝いができたら最後に褒めてあげることも大切です。

親御さん自身が、目標を設定して計画通りに進めることが苦手な場合もあるでしょう。そんな場合は、お子さんといっしょに学ぶつもりで、家事を一つひとつていねいにこなしていくよう心がけましょう。例えば、料理することは、いくつも同時進行する仕事の流れや時間配分を勉強する絶好の訓練といえます。小さなお子さんにもできるだけ手伝ってもらって、楽しく料理して美味しい食事ができれば、学びながら最高の時間を過ごすことができるでしょう。

環境汚染化学物質はADHDの原因のひとつ

ADHDの原因は不明な部分も多いですが、少しずつわかってきたこともあります。その一つは、胎児の段階で甲状腺ホルモンが低下すると、脳の発達や分化に影響して多動症を引き起こすということです。
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、細胞の代謝にかかわるホルモンです。その一つであるトリヨードチロキシン(T4)は胎児の脳の発達・分化に関わりますが、ダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフィニル)などの環境汚染化学物質が、トリヨードチロキシン(T4)の作用を低下させることがわかってきました。 つまり、環境汚染化学物質がADHDの原因のひとつと考えられるのです。
ADHDの症状は、脳神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなど)の機能がうまく働かないことが関係していると考えられています。これらの物質は、ダイオキシンやPCBの化学構造に似ているものが多いため、生後にも環境汚染化学物質の影響で、ADHDのような状態が引き起こされる可能性があります。

環境汚染化学物質を避けるために

環境汚染化学物質については、第4回「住環境を整えて、汚染化学物質を避ける」(あとぴナビ2014年4月号)で詳しく説明したので、そちらをごらんください。ここでは、胎児・乳児期に気をつけるポイントを伝えます。

化学物質を避けるポイント1 お母さんの食事に注意

まずお母さんの食事に注意します。胎児の時期には胎盤を通して、乳児の時期には母乳を通して赤ちゃんが化学物質を取り入れてしまう可能性があるからです。 具体的には、脂の多い魚や魚卵、肉の脂、レバー、乳製品、卵、植物性油脂などは、汚染の少ない安全なものを選び、あまり摂りすぎないように心がけましょう。 もちろん、赤ちゃんの離乳食でこれらの食品を避けることは言うまでもありません。

化学物質を避けるポイント2 住環境の化学物質に注意

人が1日に摂取する物質の80%は、周囲の空気から取り入れられるといわれています。家庭内の空気の汚染を減らすことは、アレルギー発症の原因を 取り除き、症状の緩和にもつながります。
建材や家具、壁紙などの接着剤、合成樹脂、消毒剤、防腐剤、脱臭剤、タンスや押入れで使う防虫剤など、赤ちゃんが生活するスペースではこれらの化学物質が揮発しないように十分に注意しましょう。

人を思いやる気持ちを育てる

ADHDの傾向があるお子さんに対しては、未来に向けて自分の行動を調整する能力を育てることと、環境汚染化学物質を避けることが大切です。そして、未来に向けて自分の行動を調整する能力は、命を大切にし、他人を思いやる気持ちにつながります。
ADHDの問題だけではなく、現代の子どもたちが不得意としがちな、思いやりの心を育てる生活環境と教育が求められているといえるでしょう。まずは、赤ちゃんといっしょに「いないいないばあ」を楽しむことから始めましょう。

監修者プロフィール

角田 和彦 先生 かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長

1953年生まれ。
1979年、東北大学医学部卒業。専門は臨床環境医学・アレルギー疾患。自分自身を含め、 5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。 著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『角田こども&アレルギークリニックのやさしいレシピ』、『食物アレルギー とアナフィラキシー』(芽ばえ社)などがある。

アトピーに関することはお気軽にご相談ください

※相談無料。強引な商品の販売や治療法への勧誘などは一切行っておりません。

コメントを残す

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。