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入浴がアトピー治療の切り札となる理由教えます 理論編

あとぴナビは、20年以上にわたり、アトピー性皮膚炎の改善に入浴をおススメしてきました。
入浴は肌への直接の刺激となるため、どうも苦手だという人も多いでしょう。しかし、環境の整ったよい条件で行う入浴こそ、肌にとって最高のスキンケアであり、アトピー治療の切り札となるのです。
なぜ入浴はアトピーにいいのか? そんな疑問にお答えします。

入浴のお話をする前に、簡単にアトピー性皮膚炎(以下、アトピーと略)の原因を考えてみましょう。アトピーを歴史や統計の側面からみると、次のようなことがいえます。

  • アトピーという疾患は昔からあったが、一般に知られるようになってからの歴史は浅い。
  • アトピー患者が目に見えて増えてきたのは、最近20〜30年の話である。
  • アトピー患者は先進諸国に多く、開発途上国には少ない傾向がある。

「アトピーは昔からあるのに、増えてきたのは最近のこと」ということは、昔の時代にはなく今の時代にはある「何か」が、アトピーが増えた原因に関わっていると考えられます。
それは昔と今の社会環境の違いという観点から考えるとよさそうです。つまり、昔と今では大きく変化した人間の生活とその環境の中にその「何か」はあるはずです。アトピーが開発途上国に少なく先進諸国では 多いのも、その「何か」と関係していそうです。
あとぴナビは、アトピーの原因として次の二つを考えています。

あとぴナビが考える“アトピーの原因”

昔と比べてアトピーが増えてきた原因として、夜型生活による睡眠の不足や、運動不足による代謝の不足が考えられます。

車や工場から排出される化学物質、室内にあるホルムアルデヒドなども、体に悪い影響を与えていると考えられます。

アトピーの少ない昔の生活を想像すると…

これらの原因を取り除くための一番単純な方法は、昔の生活に戻ることです。 まず、運動不足を防ぐために車を使わずに歩くことにします。車を使わなければ、大気中の化学物質も減っていきます。車などの交通手段なしで日常生活を送れば、運動量は格段に増え、必然的に代謝もよくなります。
さらに電気を使わない生活を考えたらどうでしょう? 日が暮れたら寝るしかなくなるので、睡眠時間は確保され睡眠リズムも自然なものになるはずです。電気を使わないことで、電化製品も不要となり、室内の化学物質も減っていくことでしょう。
あまりに極端な話をしてしまいましたが、このような生活を当たり前にしていた時代もあったということです(現代の開発途上国にも、これに近い環境があります)。そして、この時代(環境)にはアトピー性皮膚炎の患者はほとんどいなかったわけです。アトピーの原因が生活の中にあるということが、実感できたのではないでしょうか?

入浴はアトピーの原因を取り除く

では、過去に戻るわけにはいかない私たちは、どうしたらいいでしょう? 今の生活を前提として、アトピーの原因を取り除くために有効な方法が必要です。そして、その有力な方法の一つが、入浴なのです。
入浴は、特に「化学物質の増加(害)」と「代謝の不足(浄化)」に対して効力を発揮します。入浴が体にどのような影響を与えるかを知るために、まず化学物質と代謝の関係について説明しましょう。
化学物質の摂取が増えることと代謝が不足することには、密接な関係があります。
人が化学物質を摂取する経路は、ほとんどが呼吸(肺胞)と食事(消化器官)からになります(一部は皮 膚や様々な粘膜からも吸収される)。比率的には呼吸が80%、食事が20%ほど。化学物質の摂取は、圧倒的に呼吸経由が多いのです。
しかし困ったことに、大気中の化学物質を減らすことは、個人レベルではできないこと。化学物質をできるだけ避けたり、室内で空気清浄機を使うぐらいしかありません。

代謝機能がアトピー改善のカギ

では、私たちは大気汚染にはお手上げなのでしょうか? そんなことはありません。人体に備わった代謝機能が、化学物質を排泄してくれるからです。代謝機能が正常に働けば、化学物質を尿や汗などと一緒に出すことができます。
またアトピー治療でステロイド剤を長期間使用した場合、体内でステロイドが酸化コレステロールに変成して蓄積されてしまいます。酸化コレステロールは排泄されにくく、アトピーの悪化要因にもなるので、アトピーを改善するためにも代謝機能は大切です。
ところがこれまで話したとおり、現代人の生活は代謝が不足しがちです。化学物質を排泄するための頼みの綱がうまく機能しないとなれば、八方塞がりとなってしまいます。

入浴で代謝不足を改善

そこで大切なことは、日常生活において意識的に代謝を上げていくことです。そのためにできる最も身近な方法は、運動と入浴です。あとぴナビがアトピー改善のために入浴をおすすめし続けるのは、アトピーの根本的な原因として「代謝の不足」という問題があるからなのです。さらに入浴は、かゆみや炎症などのアトピー症状改善にも有効であることがわかっています。

車や電化製品を使わない生活に戻ることは現実的ではありません。大気中の化学物質を減らすことも個人レベルでは不可能です。そのかわり、運動と入浴で体の代謝を上げてアトピーの原因を取り除くことができます。

運動や入浴により代謝機能が正常に働くと、尿や汗と一緒に化学物質を排泄することができます。つまり、アトピー症状の改善に有効といえるのです。

入浴がアトピー性皮膚炎によい理由

①代謝を上げる

入浴を行うと、温熱作用などによって代謝が促進されます。さらに、手軽に毎日の習慣にできるという利点があります。代謝能力は、日々の生活習慣の繰り返しによって少しずつ上がっていくもの。入浴ならば、日常生活の中で無理なく着実に代謝能力を改善させることができます。

②免疫機能を正常化する

アトピーのもう1つの原因として、体内の免疫機能が正常に働いていないことがあげられます。この免疫機能の異常状態が、いわゆるアレルギー反応です。
免疫系は、自律神経系と内分泌系の影響を常に受けており、それらの異常が免疫機能を狂わせます。
睡眠不足が続けば、自律神経を構成する交感神経と副交感神経 のバランスが崩れ、内分泌機能も低下します。また化学物質は、「内分泌撹乱物質」と言われるように、内分泌系に影響を与えます。これらの要因が、アトピーなどのアレルギー症状を悪化させることはご存知でしょう。
逆に考えれば、自律神経系と内分泌系を正常化することで、その影響下にある免疫機能も正常になり、アトピーの症状をもたらす原因を解消できるわけです。これが、入浴、特に温泉入浴がアトピーによいとされる最大の理由です。

③入浴は有効なスキンケア

人は自らスキンケアを行う力を持っています。それは汗腺から出る汗と、皮脂腺から出る皮脂が混じり合い、乳化してできる皮脂膜によるものです。 皮脂膜は皮膚のバリア機能の一番外側にあり、弱酸性に保たれることで、細菌などの外敵から皮膚を守る働きをしています(感染症予防)。
しかし、アトピーの人の多くは、なかなか汗をかけない傾向がみられます。汗をかけないと「汗をかかない→皮脂膜の材料がない→自分の体で行うスキンケアの力が弱い」ということになります。

入浴のメリットに、代謝を上げる、免疫機能を正常化する、有効なスキンケアになる、などがあげられます。どれもアトピーには良いとされています。

皮膚がきれいになるだけではなく、体全体の代謝や免疫機能を正しく働かせることになるので、根本的な健康にもつながりますね。

温泉の入浴で免疫機能が整う理由は?

入浴の体への主な作用は、4つに分けることができます。

❶温熱作用と❷物理作用は、普通の水道水のお風呂でも得ることができる作用です。さらに、入浴環境を温泉(濃縮温泉)などを入れて工夫することで、❸含有化学成分の作用を得ることができます。これは、温泉などに含まれるイオン化した化学成分(化学物質のことではありません)の影響を受けることで得られる作用です。
❹非特異的変調作用は、❶❷❸の3つの作用が複合することによって生じます。

非特異的変調作用とは?

温泉が体に与える影響に「自律神経や内分泌機能の正常化」があります。これは、❶温熱作用❷物理作用❸含有化学成分作用を体が受けると、 様々な体の機能が刺激を受け、それらの刺激から体を元に戻そうと恒常性機能が働くことによって生じます。
恒常性機能とは、体の状態を常に一定に保とうとする機能のこと。外部 から刺激があれば、そこから受けた体の変調を元に戻そうとする働きの ことです。
このような体の働きは、主に自律神経と内分泌機能が受け持っています。 これらの機能を活性化する働きが、❹非特異的変調作用によってもたらされることがわかっています。 非特異的変調作用による活性化は、体の様々な働きを正常化します。過剰な働きは抑えこみ、不足している機能は活発にさせ、一定のバランスを保とうとする働きです。

ヒートショックプロテインについて

ヒートショックプロテイン(HSP)とは、体が熱を受けた際に、その熱から身を守ろうとして作られる特殊なたんぱく質のこと。
ヒートショックプロテインには、傷ついた細胞を修復したり、がん細胞や病原菌を攻撃するナチュラルキラー細胞の活動を活発にして、免疫力を高める働きがあることがわかっています。アトピーに関しても、ダメージを受けた傷の修復を行ったり、免疫バランスを正常化するなどのよい働きがあると考えられます。
ヒートショックプロテインの働きは、42℃以上のお湯に入浴することで最大に高まるとされています。しかしアトピー症状がある場合、42℃以上で入浴することは、代謝・スキンケア・自律神経の調整などの面で、デメリットとなります。39℃くらいでもじっくり入浴することで、体内温度は十分に高まりヒートショックプロテインは作られます。高温での入浴とならないように気をつけましょう。

より質の高い入浴のために最適なのは温泉です。温泉がもつ非特異的作用という「自律神経や内分泌機能の正常化」させる作用により、体の様々な働きを正常化させます。

アトピーの方におススメなのは39℃くらいのお湯。じっくり入浴することで体内温度は十分温まり、冷えの解消ができます。

監修者プロフィール

岩居 武 先生 医学博士

1964年大阪府出身。徳島大学医学部を卒業後、大学関連施設を経て、病院院長などを務める。自身がアトピー性皮膚炎で、自宅温泉湯治の経験者でもある。

アトピーに関することはお気軽にご相談ください

※相談無料。強引な商品の販売や治療法への勧誘などは一切行っておりません。

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