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乳幼児とアトピー第9回 衣替えの季節に気をつけたいこと

まだまだ残暑が続きますが、そろそろ秋の衣替えを準備する季節です。 季節の変わり目に、アレルギーを悪化させないための対策を紹介します。

乳幼児期のアレルギー症状の変化

アレルギー症状の出方は、赤ちゃんの成長につれて変化する側面があります。生後から1年間ぐらいは、腸管の免 疫が発達していく時期。赤ちゃんの食 生活は「授乳」から始まりますが、授乳中は「乳に含まれた栄養を消化せずに 吸収」しています。そのせいで、この時期は食物アレルギーを起こしやすくなります。
生後2~3カ月は、アトピー性皮膚炎 を起こしやすい時期でもあります。最 初は赤いポツポツした湿疹が、顔から 胸、手足や背中などに広がります。症状が進むと、皮膚が赤くはれたり、黄色い滲出液が出て皮膚がジクジクとただれたり、あるいは皮膚が乾燥してカサカサとした粉を吹いたような状態になる子もいます。1歳を過ぎる頃になると、断乳することで徐々に未消化のものを吸収しないようになり、腸管の免疫が発達してくるので、体が栄養をうまく処理できるようになります。
2~3歳の頃になると、ひどかったアトピーや食物アレルギーは徐々におさまり始める傾向があります。ところがこの時期になると、アトピーに替わって気管支ぜん息や中耳炎、アレルギー性結膜炎、じんましんなどが起こりやすくなります。

2~3歳の秋は喘息が起こりやすい!?

特に生後2~3歳の秋の頃は、初めての気管支喘息が起こりやすい時期です。 気管支ぜん息はアトピーと違い、病状が軽い時期にはなかなか気づかないものです。初めてゼーゼーいって異変に気づく頃は、かなりひどくなった状態です。
それにしても、なぜ秋にぜん息発作が始まりやすいのでしょうか?
まず気候の変化があります。9月の中旬頃からは、朝方急に冷え込む日が増えてきます。とくに台風が通り過ぎた後には、北からの冷たい乾燥した空気が入り込んできます。乾燥した空気は、暑い時期には湿っていた寝具や衣類、さらには生活環境全体を乾燥させていきます。すると、生活空間にたまっていたホコリ(ダニやカビ、環境汚染化学物質など)が体内に入りやすくなります。

生活空間にアレルゲンが増えやすい季節

夏の間、タオルケットや薄手の綿毛布などをかけて寝ていて、ある夜から突然気温が下がって肌寒さを感じ、あわてて押入れから冬用の毛布や肌がけ布団を出した。朝起きたら急に冷え込んでいて、とっさに洋服ダンスにしまってあった冬物の服を取り出した。そんな経験のある人は多いでしょう。しかし、これはやってはいけないこと なのです。

春から夏の間、押入れやタンスにしまってあった寝具や衣類には、高温多湿な時期に増えたダニの糞や死骸、カ ビの胞子や花粉がたくさん吸着しています。クリーニングに出したものでも、タンスに長期間入っていれば要注意です。もし、押入れやタンスに防虫剤を入れていれば、衣類は防虫剤に含まれる化学物質に汚染された状態です。合板のタンスや押入れ、合成樹脂を使った 収納家具などに寝具や衣類がしまってあった場合も、ホルムアルデヒド(家具や建築資材に使われる接着剤や塗料な どに含まれる化学物質。シックハウス 症候群の原因のひとつとされている)などの化学物質による汚染が考えられます。

秋という季節は、生活空間にこれらのアレルゲンが増えやすい時期なのです。さらに、急に肌寒くなることで、私 たちの鼻や気管の粘膜は敏感になっています。だから、秋に初めてぜん息発作を起こすお子さんが多いのです。

今のうちから衣替えの準備を

アレルギー体質の赤ちゃんや家族がいる家庭では、寝具の取り替えや衣替えを慎重に行うことが大切です。まず大切なのは、寒くなり始めてあわてて押入れやタンスからアレルギーの原因物質をばら撒くことがないように、早い時期から徐々に準備を始めることです。9月初旬はまだ残暑があり、衣替えの必要性も感じにくい次期ですが、今のうちから始めるのがいいでしょう。

秋のアレルギー対策1 「衣類」

POINT1 着る前に、必ず洗濯

しまってあった衣類は、そのまま着るのではなく、洗えるものは必ず洗濯してください。これだけでも、季節の変わり目のアレルギー症状の悪化を予防することができます。もちろん、洗濯前に赤ちゃんがダニやカビを吸ってしまわないように十分注意しましょう。 赤ちゃんが寝る場所や普段生活するスペースは、なるべく押入れや収納家具から離すように心がけてください。

POINT2 洗濯後は、すばやく乾燥

洗濯した衣類は、なるべく早く乾燥させましょう。洗ってもカビや雑菌が少しは残っているので、湿った状態が 長くなると再び繁殖しやすくなるからです。天気が悪い日が続いたりして、どうしても乾きにくいときは、乾燥機を使ったり、生乾きの衣類ならばアイロンがけをして乾燥させましょう。室内に洗濯物を干すときは、扇風機で風を送ると乾きが早まります。

POINT3 洗えない衣類は、掃除機をかける

洗えない衣類は、布団専用のノズル(アレルギー対策として、様々な製品が販売されています)で掃除機をかけます。衣類を取り出したときに一度掃除機をかけ、着る頃にもう一度かけるとさらに安心です。衣類に付着した化学物質は、洗わないとなかなか落ちませんが、アイロンをかけると化学物質が揮発し汚染が少なくなります。

秋のアレルギー対策2 「寝具」

寝具類も、洗えるものは洗濯します。 あった場合も、ホルムアルデヒド(家具 や建築資材に使われる接着剤や塗料などに含まれる化学物質。シックハウス 症候群の原因のひとつとされている)などの化学物質による汚染が考えられます。

秋という季節は、生活空間にこれらのアレルゲンが増えやすい時期なのです。さらに、急に肌寒くなることで、私たちの鼻や気管の粘膜は敏感になっています。だから、秋に初めてぜん息発作を起こすお子さんが多いのです。 洗濯時の注意点は衣類と同じです。

洗えないものは、掃除機を数回かけてから使います。秋の屋外にはキク科やイネ科の花粉が飛び、きれいな空気の場所が少なくなっています。寝具は外で干さずに、洗うか、よく掃除機をかけてから使うことをすすめています。 もし、室外に干すときは次のことに注意しましょう。

布団を干すときの注意点

注意点1 干す前の布団は慎重に扱う

布団をそのまま持ち歩くと、ダニやカビを部屋にばら撒いてしまいます。できる限りお子さんの部屋には持ちこまないようにします。持ち運ぶ前には、一度掃除機をかけるとよいでしょう。

注意点2 布団は叩かず、掃除機をかける

乾燥した布団を叩くと、ダニやカビ、ホコリが飛び散りやすくなります。外に干すと、花粉や動物の毛などが、付着する可能性もあります。これらが布団を叩いた人の服についたり、窓から部屋に入ることも考えられます。叩かずにそっと部屋に持ち込み、掃除機をかけてていねいに取り除きましょう。

アレルギー対策は家族全員で

しまってあった衣類や寝具の取り扱 いに注意すれば、秋にアレルギー症状を悪化させて体調を崩すことは少なくなります。洗濯の際の洗剤や、収納家具の素材なども、できる限り体に害の少ないものを選びましょう。

アレルギー対策は家族全員で行ってください。お母さんだけが対策を心が けても、家族全員の理解がなければ、効果が半減します。育児だけでもお母さんは大変なのですから、家族のみんなに協力してもらいましょう。

監修者プロフィール

角田 和彦 先生 かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長

1953年生まれ。
1979年、東北大学医学部卒業。専門は臨床環境医学・アレルギー疾患。自分自身を含め、 5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。 著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『角田こども&アレルギークリニックのやさしいレシピ』、『食物アレルギー とアナフィラキシー』(芽ばえ社)などがある。

アトピーに関することはお気軽にご相談ください

※相談無料。強引な商品の販売や治療法への勧誘などは一切行っておりません。

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