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乳幼児とアトピー第8回 なぜアレルギーになるの?

なぜ、アレルギーになるのでしょうか?
アレルギーが起こる原因と症状が出る仕組みを探ってみると、予防や対策の仕方がみえてきます。

アレルギーと免疫

そもそも、アレルギーはなぜ起きるのでしょう?

これはなかなか本質的な問題で、少し難しそうです。しかし、アレルギーが発症する仕組みがわかると、何に気をつけたらよいのか、どんな生活を送ったらいいのかが、腑に落ちるようにわかってきます。

アレルギーが体の免疫機能と関係していることは、ご存知の方も多いでしょう。免疫機能とは、自分の体の外部にある有害なものを排除しようとする働きです。外部にある有害なものといえば、まず細菌やウイルスが思い浮かびます。これらが体内に侵入すると、健康がそこなわれてしまいます。ダニやカビ、環境ホルモン、化学物質などなど、アレルギー抗原などと呼ばれる物質もあります。また、他人の細胞を手術で移植しようとすれば、免疫力を抑制しないと体は拒否反応を示します。異物を排除するということは、自己と非自己とをみわけることでもあります。

母体が胎児を拒絶する

免疫の仕組みは、生物の進化とともに変化してきました。下等な動物ほど、免疫の機能は簡単なものです。例えば、卵を外に産んで育てる動物は、体内に侵入してきた異物を免疫細胞が食べて退治したり、排除しようとします(細胞性免疫)。

しかし、哺乳動物の場合は、単純に敵をやっつけるだけの方法ではうまく行きません。なぜなら、哺乳類は母親の胎内で胎児を育てるからです。母胎内の胎児は、そのままでは母親の体にとって異物であると認識されます。遺伝子の半分は父親のものであるからです。もし、哺乳類が卵を産む動物と同じ免疫機能しか持たなかったら、胎児を排除してすぐに流産させようとするでしょう。

哺乳類が身に着けた新しい免疫機能

そこで哺乳類は、新たな免疫機能を持つようになりました。新しい免疫機能は、いったん自分が敵だと認識した異物を記憶しておきます。そしてこの異物が再度体内に侵入しようとしたときに、体内に入ることを阻止して体を守ろうとします(液性免疫)。

母親は、自己の免疫から胎児を守るために、まず古くから持っている免疫機能(卵を産む動物たちも持っている細胞性免疫)を低下させます。さらに、胎児と母親の接触面である胎盤では、新しい免疫機能(抗体を作る液性免疫)を活発にすることで、古い免疫機能を抑えているのです。

このような複雑な仕組みに守られて、子どもはこの世に生まれてきます。生まれてきた子どもの免疫機能は、胎盤の接触面と同じで、古い免疫(細胞性免疫)よりも新しい免疫(液性免疫)の方が優位な状態です。その後子どもたちは、外部環境の様々なアレルゲンにさらされることで、古い免疫と新しい免疫のバランスを保ちながら免疫機能を発達させていきます。

免疫反応はアレルギー反応?

さて、母胎の中で重要な役割をしていた新しい免疫の仕組みは、いったん自分の敵を認識してから、再度侵入してきたときに排除する反応だと説明しました。これは、花粉症や食物アレルギーといったアレルギー反応と同じだと気づいた方は多いでしょう。

スギ花粉が体内に入れば、くしゃみやはなみずで追い出そうとします。気管支喘息では、吸い込んだダニなどを排出しようとして咳が出ます。アトピー性皮膚炎では、アレルゲンを皮膚から排出しようとして皮膚炎が起こります。

免疫機能は本来ならば、細菌やウイルスなど人間を病気にするような外敵に反応するものです。しかし、生活環境やライフスタイルなどの変化によって、もともと体にとってそれほど害にならない異物にも過剰反応するようになりました。それがアレルギー反応です。様々なアレルギー疾患では、免疫反応を調整してうまく機能させることができず、症状を悪化させてしまいます。

アレルギーは体を守る反応

アレルギー疾患を考える場合は、次の2つの側面について考えることが重要です。まず大事なのは、体を敵から守るための防衛反応として、アレルギー反応が起こっているということです。

例えば、卵アレルギーのお子さんがいたとします。そのお子さんの体は「卵は自分に適した食品ではない」と判断しています。だから、卵が体に入ってくると、敵とみなして体外へ排除しようとして、アレルギー症状が起こります。

そのお子さんにとって、アレルギーの原因となっている卵は、体に合わない有害な食品です。そして、同じような反応を示す人は多数存在します。
多くの人がアレルギー反応を示す食品について調べてみると、それらの食品がこれまでの日本人の食習慣や体質にそぐわない(体が処理することができない)ものであったり、正常な免疫、神経、内分泌の発展を阻害する有害な化学物質で汚染された食品であることがわかります。

つまり、アレルギー症状を起こす子どもたちは、私たち日本人の体質に馴染みにくかったり、人体にとって有害な食品を見分けてくれていると考えることができます。

化学反応が免疫反応を混乱させる

もう一つ大事なことは、子どもたちが本来持つべき正常な免疫反応を混 乱させ、激しいアレルギー症状を起こ す原因の一つとなっている有害な化学物質に注意することです。

食品や生活環境中に存在する化学物質の中には、免疫機能に悪影響を与える物質が多く存在します。有機リンや有機塩素を使った殺虫剤、PCB (ポリ塩化ビフェニル)、ダイオキシン、有機スズ化合物、有機水銀、黄体ホルモンや卵胞ホルモンといった女性ホルモンなど、数え上げたらキリがありません。子どもたちは、これらの化学物質によって低下した免疫力を補うために、アレルギー反応を強く出して体を守っているように思えます。

以上の観点から考えると、アレルギーの原因となっている物質を、食生活や生活環境からできるだけ取り除くために大事なポイントがみえてきます。

POINT1 日本人の体質に合った食生活を行う

POINT2 アレルギー症状の悪化要因となっている化学物質を避ける

人間の体には、自分自身を守るための免疫機能が備わっています。それは生物の進化とともに発達してきた、本来は非常に頼もしい存在ですが、体を守るための免疫機能が過剰に反応することでアレルギー疾患が起こります。その原因は、不自然な環境や体に馴染まない生活習慣などにかくれています。

これまでの連載記事(あとぴナビ2014年1~7月号)の中で、母乳や離乳食、生活環境などについて具体的なお話をしてきました。今回お話した2つのポイントを踏まえたうえで再読すると、理解はより深まっていくでしょう。

監修者プロフィール

角田 和彦 先生 かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長

1953年生まれ。
1979年、東北大学医学部卒業。専門は臨床環境医学・アレルギー疾患。自分自身を含め、 5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。 著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『角田こども&アレルギークリニックのやさしいレシピ』、『食物アレルギー とアナフィラキシー』(芽ばえ社)などがある。

あとぴナビ 2014年 7月 掲載

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