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アトピー肌と乾燥肌のスキンケア【後編】

後編では、乾燥しやすい冬に少しでも楽になれるような、入浴時、メイク方法、衣服の調整などにおける素朴な肌対策の疑問にお答えします。

アトピー症状があるときのスキンケア

アトピー肌・乾燥肌の方は、もともと皮膚のバリアー機能が脆弱な傾向にあります。空気が乾燥する冬は特にスキンケアに気を配り、乾燥による肌荒れや、症状の悪化を防ぎましょう。

生活習慣で肌を守る!7つのポイント

(1)肌を清潔に保つ

肌をいつも清潔にするのがスキンケアの基本。なるべく肌に負担をかけない入浴や洗浄をこころがけましょう。

(2)適温・適湿を保つ

室内の温度・湿度を適度に保つことも大切です。乾燥防止のためにも、過剰なエアコンを避け、できれば加湿器などで、室内の湿度を調整するのが理想的です。

(3)肌に合った衣服の着用

衣服は第2の皮膚ともいえます。身につけて肌にかゆみや刺激を感じるもの、汗の吸収しにくいものを避け、清潔な衣服を身に着けましょう。

(4)爪は短く切る

爪が伸びたまま、睡眠中に無意識にかいてしまったら、肌がえぐれていた…ということも。こまめに爪を切り、肌を傷つけないようにしましょう。

(5)感染症に注意

乾燥した肌には、細菌なども入りやすくなります。寒さで抵抗力が落ちていると、感染症にもかかりやすいので、体力をつけておきましょう。

(6)スキンケアで皮膚のバリアを補う

皮脂の分泌や皮膚の水分が少なくなっているので、適切なスキンケアを行って、皮膚のバリア機能を補いましょう。

(7)規則正しい生活を

体の免疫力の低下と、肌トラブルによる感染症を避けるために、規則正しい睡眠や食事を心がけましょう。

肌を守るための7つのポイント。これらの中で意外と見落としがちなことは、7番目の「規則正しい生活」ではないでしょうか。

そしてさらに最初にも言いましたが、「皮膚が本来の役割を果たす意味での仕事をさせる」ことも重要と言えます。例えば適度な野外活動は、自然の刺激を受けた皮膚が、体温調節や分泌などの働きを行う機会となりますので重要です。

入浴・洗い方のQ&A

Q:入浴時は何に気をつけたらいいですか?

A:お湯の温度や洗い方です

お湯はぬるめのほうがいいといわれていますが、熱いお湯でかゆみを止めているという人もいます。かゆみが起きないようならば、本人が気持ちよいと感じる温度が一番でしょう。かゆくなるからと洗わないでいると、角質が堆積して、正常な新陳代謝ができなくなるので、1日1回は、肌に合った洗浄剤やせっけんなどで汚れを落としましょう。洗浄剤やせっけんは肌を守る油分を奪いやすいので、汚れを落とした後は、よくすすぐことを忘れずに。

Q:タオルやブラシはどんなものを使ったらよいのでしょうか?

A:刺激を避けるためには、手のひらで洗い、手が届かない場所は綿タオルなどを補助的に使いましょう

入浴時にいちばん注意しなくてはならないのは、こすり過ぎないこと。お風呂で掻くことと洗うことが一緒になり、ごしごし洗いすぎてしまったり、肌のザラザラが気になり、ツルツルになるまでこすり洗いしてしまう方はけっこうたくさんいます。こすりすぎが習慣になると、そうしないと気がすまなくなってしまうものですが、角質層を余分に落としてしまい、正常な新陳代謝が行われなくなって、よくありません。

Q:垢すりは、肌の新陳代謝を促進するそうですが、アトピーにも効果はありますか?

A:刺激が強すぎるので、やめたほうがよいでしょう

健康な肌の人は、垢すりで余分な角質が剥がれてきれいになることもありますが、アトピー肌の方が垢すりをすると、肌が赤くなったり、炎症を起こしたりすることがあります。肌が炎症を起こすと、その部分のターンオーバーのサイクルは早まり、新陳代謝は高まりますが、その分不完全な細胞がどんどん作られてしまい、健全なバリア機能を持った肌が作られないことがあります。炎症を起こさないようにすることが、かゆくならない最良の方法です。

肌のお手入れQ&A

Q:スキンケアのとき、保湿剤などはどのくらい塗ればよいのでしょうか?

A:たっぷりつけるくらいの気持ちで塗りましょう

ほとんどの方が、スキンケアは思ったより不足しています。
人間の皮膚の表面積は1.6平方メートルで、畳1畳分とほぼ同じです。30gのクリームは全身のスキンケアの1回分に必要なおよその量。もちろん値段の問題もありますが、ほとんどの方はそんなにはつけていないでしょう。ですから、意識的に多めにつけるようにするだけで、お肌の状態が改善されることもあります。
ただし、顔はもともと皮脂の分泌が多いので、つけすぎには気をつけてください。

Q:乳幼児のお肌のケアで
気をつけたほうがいいことはありますか?

A:肌を清潔にしてあげることです

生まれたばかりの新生児は、皮脂の分泌が非常に活発なため、脂漏性湿疹などもなりやすいのです。一方、免疫が未発達のため、雑菌に弱いという面も。ですから、その時期のベビー用石鹸は、本来油を取る力が強い石鹸であるべきなのですが、実際には洗浄力が穏やかなものが多いですね。まめに洗い、清潔にしてあげることが大切です。

Q:湿が足りないと言われ、クリームをたくさん使うようにしているのですが、クリームの酸化が心配です。どうしたらいいでしょうか?

A:日に何度か塗りなおしましょう

クリームに含まれる油分は、長時間空気に触れたり、紫外線を受けると酸化することがあります。オイルやクリームが酸化して過酸化脂質となると、肌にダメージを与えやすくなり、塗ったところがかゆくなったり赤くなることも。1日に2回以上は洗顔してクリームを塗り直しましょう。クリームは水で流れますから、あまりこすらないようにしてください。顔は皮脂が出やすい部位で、しかも紫外線にあたりやすいので、つけすぎには注意して。

Q:炎症のある部分と、炎症のない部分のスキンケアは同じでもよいのでしょうか?

A:炎症の具合によってスキンケアも区別しましょう

肌の角質層がカサカサする程度の軽微な症状でしたら、保湿クリームで十分でしょう。しかし、皮膚がただれているような重度の炎症があるようなときは、炎症と炎症のない部分は区別してスキンケアする必要があります。 重症の炎症があると、バリア機能が働きませんので、まずは薬剤で炎症を抑えましょう。 炎症のない部分にオイルをベタベタ塗ると、オイルと肌の隙間に汗が溜まり、かゆみの原因になってしまうこともありますから、その場合、水分を含んだクリームがよいでしょう。薬剤を塗るときは、患部のみにしましょう。

Q:炎症はなくなってきたのですが、色素沈着や皮膚の肥厚が気になります。治るのでしょうか?

A:時間はかかりますが治ります。なるべく刺激を与えないことが大切です

メラニン色素は、皮膚の新陳代謝に伴い、少しずつ表面に押し上げられ、垢として脱落していきます。

皮膚を掻くことで炎症が長引くと、「苔癬化」といって表皮が厚く、硬くなってきます。一度苔癬化すると、元に戻るにはかなり時間を要しますが、掻くという刺激を与えなければ、治癒することは可能です。
また、皮膚は摩擦が起こると、刺激から細胞を守るため、メラノサイト(色素細胞)からメラニン色素が大量に分泌され黒ずみます。これを色素沈着といいます。長期間摩擦が続くと、大量のメラニン色素が新陳代謝されにくい皮膚の奥底に残留して堆積していきます。 皮膚の浅い部分のメラニン色素は、新陳代謝にともなって消えますが、皮膚の奥底のメラニン色素は、新陳代謝ではなく、メラノファージ(担色細胞)という細胞が食べることによって消えていきますが、これにはさらに時間がかかります。
どちらも、刺激を加えなければ、いずれは治るといえるでしょう。

その他Q&A

お手入れ以外にも、肌に影響する生活習慣を見直して、冬の乾燥を乗り切りましょう。

Q:【衣服】服がムレたり、チクチクしてかゆいことがあります。衣服で気をつけたほうがいいことはありますか?

A:体を締め付けず、肌に刺激の少ない素材を選びましょう

冬は夏に比べて空気が乾燥しているため静電気が起きやすく、衣服が体にまとわりついたり、かゆみが増すことも多くなります。 吸水性に優れ、比較的静電気の起こりにくく刺激の少ない綿は、直接肌に身につけるのに適しています。しかし、ワセリンやクリームをつけた肌の上から綿のTシャツなどを着続けていると、生地の目に油がしみこんできます。これを繰り返すと、洗濯しても容易には落ちなくなり、通気性・吸水性も悪化。綿を着るなら着古す前に交換した方がよいでしょう。
一方、綿よりも絹のほうがいいという方も多くいます。肌触りと通気性の良さが気持ちいいからです。自分が気持ちよく着られるものが一番ですが、体を締め付けるものや、チクチクの原因となる静電気が起きやすい素材、組み合わせは避けましょう。

静電気が起きやすい素材の組み合わせ
冬の重ね着も静電気の原因となります。布地素材 を帯電しやすい順番に並べたものが帯電列(図参照)。図中、離れている素材同士ではより高い電圧の静電気が生じ、近い2つでは生じる静電 気が少なく、例えば羊毛(ウール)のセーターを 着るときにはポリエステルより綿や絹のブラウスの方が静電気が起きにくく、ウールとアクリルの 組み合わせは最も静電気が起こりやすい組み合わせということになります。静電気を帯びた人体は埃を付着しやすくなります。合成繊維の衣服や下着の場合、脱衣時に皮膚に向かって静電気放電が起こり、衣服に付着した化学物質(洗剤、汗の成分、ホルムアルデヒドなど)が放電した皮膚に作用して皮膚炎につながる場合もあります。

Q:【栄養】とくに食物アレルギーはありませんが、肌によくないもの、また肌によい食べ物はありますか?

A:いちばんよいのは、バランスのよい食事

たとえば、家庭で作る和食はさまざまな栄養素が取り入れられているバランスのよい食事といえるでしょう。ジャンクフードなどの外食はなるべく避けた方がよいでしょう。きちんとしたバランスのとれた食事を日々とっていれば、本当はサプリメントの必要もないのです。
また、刺激物はよくないと言われますが、カレーを食べたあと汗をかいたままにしないで、シャワーで洗い落とすようにしてみてください。それで肌の調子が悪くならないようでしたら、食べたいのに無理に食べずに我慢する必要はありません。

Q:タバコ、アルコールは肌によくないって本当ですか?

A:タバコは100%よくありません

タバコを吸うと、血管が収縮、皮膚が酸化しやすくなり、肌が老化を起こします。さらに皮膚の水分量も減少し、炎症も起きやすくなり肺ガンの心配も。これは近くにいる人のタバコの煙(副流煙)を吸っても同じことです。アルコールは、飲みすぎはよくありませんが、適度に楽しむ分には問題はないでしょう。

Q:【メイク】アトピーですが、メイクはしてもいいのでしょうか?
メイクはお肌に悪い影響を与えますか?

A:気持ちが前向きになれるのなら、やってみましょう

眉毛、目元や口紅などのポイントメイクは、それで気分がよくなるのならやってみてもよいと思います。顔が赤く炎症を起こしていると、口紅も控えめになってしまうものですが、思い切って赤い口紅を塗ってみると逆に顔の赤みが目立たなくなることも。ベースメイクを控えめにしたとしても、ポイントメイクで顔にメリハリをつけると、はつらつとして見えますし、気分もよくなるのでおすすめです。自分の肌に合う化粧品を選んで使う分には問題ないと思います。

監修者プロフィール

上出 良一 先生 東京慈恵会医科大学皮膚科助教授

東京慈恵会医科大学医学部卒業。同皮膚科、形成外科で研修を経て、1980年、同校皮膚科講師に。
翌81年から2年間ニューヨーク大学皮膚科研究員、カリフォルニア大学サンディエゴ校皮膚科研究員として光線過敏症の研究に従事。
1987年より現職。光皮膚科学、皮膚アレルギー、皮膚悪性腫瘍が専門。

アトピーに関することはお気軽にご相談ください

※相談無料。強引な商品の販売や治療法への勧誘などは一切行っておりません。

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