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夏のアトピー対策とは?

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6~8月は、梅雨から夏に向かう季節です。アトピー性皮膚炎のお肌の対策も、基本の「乾燥」対策に、「感染症」の対策を加えることが必要になってきます。
特に、汗や、感染症の対策は、夏のアトピー症状悪化の大きな要因となりますから、適切な対策を行っていくことが求められます。
今年は、猛暑となる長期予報も出ていますので、これから暑い季節を迎えるにあたってのアトピー対策について考えていきましょう。

基本は免疫力低下に伴う対策を

これからの季節、アトピー性皮膚炎を悪化させやすい要因は、お肌の要因と体の要因の二つに分かれてきます。
まず、お肌の要因とは、紫外線や汗によって皮膚の防御力が低下、感染症から状態を悪化させるケースです。
紫外線は、皮膚の免疫力に大きく関わるランゲルハンス細胞に影響を与え、お肌の防御力を低下させます。また、皮膚の常在菌であるマラセチア菌が汗と反応してタンパク質を分泌、このタンパク質が炎症反応を引き起こすことが最近、広島大学の研究結果として発表されています。
また、掻き壊しなどによって、皮膚の防御力が低下すると、感染症に罹りやすくなります。
以前、慶応大学が黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎の関係について研究結果を発表していましたが、感染症にかかることで、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させるだけでなく、アトピー性皮膚炎の「病気の原因」も増強、それらが悪循環を形成することで、皮膚の状態を一気に悪化させやすくなります。
特に、これから気温と湿度が上昇すると、感染症の原因菌やウィルスは増殖しやすい環境になりますから、皮膚の防御力の低下は、感染症を悪化させる悪循環を形成しやすくさせることになります。
そこで、これからの季節、まず大切になるのは、お肌の免疫力を「落とさない」ケアを考えていくことです。

適切な洗浄とスキンケアを行いましょう

まず、必要になるケアは「洗浄」です。
皮膚を洗浄することは、相応のデメリットも伴いますが(皮膚の常在菌のバランスを乱す、皮膚を乾燥させやすくする、など)、これから気温や湿度が上昇する季節は、それらのデメリットよりも、洗浄することで有害な菌を洗い流す、あるいは有害な菌が繁殖しやすくなった環境をリセットする、というメリットの方が大きいと言えます。

基本は、水洗い、汚れが強い場合には、ぬるま湯の洗浄、つまり「洗い流す」という行為です。
ただ、汚れの多くは水溶性よりも脂溶性のものが多く、水やお湯で洗い流すだけで汚れが十分に落ちない場合には、石けんやソープなど、洗浄剤を使うことも必要になります。
汚れを落とすために使われる洗浄剤の多くは、界面活性剤のため、洗い流す際に汚れと同時に乳化させた皮脂も一緒に落としてしまい、どうしても皮膚のバリア機能を低下させてしまいます。
そこで、洗浄後は手早く、スキンケアも重ねて行うことを忘れないようにしましょう。
このとき、必要なスキンケアは、皮脂の代わり、ということを意識して「保湿」を重視したケアにしましょう。ただし、油分
が多いケアアイテムは、皮膚がベタベタして気持ち悪く感じることも多いと思います。
その様な場合、オイル系の保湿アイテムよりも、保水アイテムの中で、保湿を並行して行えるものを選択するようにしましょう。

紫外線対策も忘れずに

適度な紫外線は人体に有効性をもたらすこともありますが、アトピー性皮膚炎の方の場合、皮膚の免疫を司るランゲルハンス細胞が紫外線の影響を受けやすいことから、紫外線のダメージを蓄積すると、感染症に罹りやすくなることがあります。
特に、ステロイド剤やプロトピック軟膏など免疫を抑制する薬剤を使用中の方は、これから梅雨を迎え、細菌の活動が活発になりやすい時期は注意が必要でしょう。
基本的な対策は、衣類などによる物理的なケア、そしてUVアイテムを用いたスキンケアとなります。

UV アイテムの選び方

UVアイテムにはいろいろなものがありますが、注意したいのは、SPF値が高すぎないものを選ぶことです。
SPF値に対する一般の方のイメージは、高ければ高いほど優秀なアイテム、と捉えていることが多いようですが、それは誤りです。
SPF値は一般的に1あたり20分間、日焼けの原因である紫外線B波からお肌を守る力があることを示します(お肌の状況などにより、防御時間は個人差があります)。
最近はSPF値50のものが宣伝されていますが、SPF値50とは約1,000分間、時間に換算すると約16時間もの防御時間を示すことになります。一年で最も日が長いとされる夏至の日は、東京で昼間時間(太陽が出ている時間)は14時間30分ほどです。午前4時半の日の出から、午後7時の日の入りまで一日中、太陽を浴び続けることは現実的ではなく、SPF値50のスペックは、オーバースペックだと言えます。
SPF値を高め、サンスクリーン効果を上昇させるためには、どうしても成分的にお肌に刺激が強いものを使用することになりますから、そうした影響をできるだけ少なくするためには、適切な値のものを使用することが大切でしょう。
紫外線は室内にいても一定の量を浴びますので、現実的な生活時間から求められるSPF値のスペックは30前後のものを選ぶようにしましょう。
また「PA値」は、シワやたるみの原因となる紫外線A波からお肌を守る力を「+」で表しますが「+++」のものを選びましょう。

暑さから生じる体調の悪化を防ぎましょう

これから暑くなる季節、皮膚の悪化要因とは別に、体内の要因も大きく関わってきます。
熱帯夜が続くと、寝汗などで睡眠が十分に取れないこともあるでしょう。あるいは、暑くなってきて食欲が低下、夏バテぎみになることもあるかもしれません。
こうした要因は、体調を低下させることで、同時に体全体の免疫力も低下させます。
せっかく適切なお肌のケアを行って、皮膚を良い環境に保っていても、体の中の「免疫力」が低下した状態では、結局皮膚の感染症に罹りやすくなってしまいます。
睡眠が取れやすい環境を整え、そして食生活はこれからの季節に不足しがちな栄養素をしっかりと摂取できるように心がけましょう。

あとぴナビでお勧めする ケアアイテム

洗浄ケア

洗浄ケアでお勧めなのは、APゼロウォッシュです。APゼロウォッシュは、界面活性剤を一切含まない洗浄剤ですので、皮脂を洗い落とさずに洗浄が行え、お肌に優しい洗浄剤です。
ただ、APゼロウォッシュは界面活性剤が全く含まれていませんから、泡立ちも全くありません。そのため、少々使いづらい、という方には、泡で出るタイプの「プルルBベビーソープ」か、「箱根温泉うるおいソープ」がお勧めです。両方のアイテムともに、洗浄後に適度な油分を残してくれますので、お肌の乾燥状態を緩和してくれます。

APゼロウォッシュ
プルルBベビーソープ

スキンケア

汗をかく季節の肌状態は、菌叢が乱れた状態になっています。
そこで、感染症を防ぐためのスキンケア対策のお勧めは

バリア&バリアウォーター
  • バリア&バリアウォーターで育菌ケアを行う。
  • APローション+SK20
  • APローション+SK20プルルジェル+Dなど、自分の肌質にあったローションやジェルで保水ケアをしっかり行う。
  • お肌が乾燥状態にある方は、乾燥の度合いに合わせて、APクリーム+SD安然宣言スキンオイルΩ安然宣言スキンクリームなどで適切な保湿を行う。
  • APクリーム+SD
    安然宣言スキンオイルΩ
    ピュアサージオイル
  • 炎症が強く見られる方は、ピュアサージオイルでプレケアを行い、掻き傷に水分系アイテムを浸みづらくしておく。

などとなります。
水分をしっかり与え、菌叢を良い状態に保ち、さらにバリア機能を高める保湿ケアを行う、これを基本に考えてみるようにすると良いでしょう。

UVケア

プルルUVローションは、ローションタイプのUVケアアイテムで、伸びやすく白浮きしにくいので、お子さまの学校などでもお使いいただけます。

プルルUVローション

プルルUVローションの使い方

  • メイクしないかた
    通常のスキンケア(保水・保湿)
    UVローション
  • メイクするかた
    保水ケア ➡ UVローション
    ➡ 保湿ケア(クリーム・下地等)
    ➡ ファンデ・メイク

サプリケア

夏の炎症には、サプリケアも有効です。
TGFガードで炎症対策を行い、痒みが強い、あるいは乾燥が見られる場合には、Fグリンアップを併用してみると良いでしょう。

TGFガード
Fグリンアップ

チュビファースト

すでに感染症に罹患している場合には、お肌の保護を強く行うため、チュビファースト(包帯状)がお勧めです。二重に装着、一重目に水分を与えることで、保水ケアも同時に行えます。また装着したチュビファーストが疑似皮膚となって、掻き傷から保護してくれます。

源泉ケア

寝汗の対策として、就寝前のお肌のクールダウンを行ってみると良いでしょう。
具体的には、箱根の源泉で常温のお絞りを作っておいて(熱帯夜のときには冷蔵庫で冷やしてもOK)、就寝前に、汗が溜まりやすい部位(首、肘、膝裏など)に当てておきます。時間は10分前後で良いでしょう。
温泉の成分が柔らかくお肌のケアと保水を行ってくれて、同時に、お肌の熱を取ることで、寝汗を出にくくしてくれます。
また、枕元にお絞りを置いておいて、夜、寝汗で痒みが出た際には、軽くぬぐうようにしても良いでしょう。

暑い季節に気をつけたい 食生活 とは?

暑い時期、体調を低下させる食生活の要因は大きく分けると二つあります。
まず一つが「ミネラル」「ビタミン」など無機質栄養素の不足です。
野菜類は、葉物を中心にこれからの季節、旬のモノが多くなってきますが、食生活が不規則なアトピー性皮膚炎の方の場合、意外とこうした無機質栄養素の補給が足りていない、というケースは多く見受けます。
また、野菜を摂取する際、夏場はどうしても冷えた生野菜にドレッシングをかけてさっぱりと、という調理法が多くなりますが、生野菜は、量は多く見えても実際のかさは少なく、また体への無機質栄養素の吸収を考えると、無駄なく摂取するためには、やはり一度、加熱した方が良いと言えるでしょう。
もちろん、栄養素の中には加熱することで失われるものもありますが、完全に全て失われるわけではありませんから、例えば茹でることでカサが小さくなり、多めの量を摂取できるため、また一度加熱されることで体に吸収されやすくなるため、逆に必要な栄養素の量を補給しやすくなる場合の方が多いと言えるでしょう。
調理方法を工夫しながら、野菜類をしっかりと摂取することを考えましょう。

次に気をつけたいのは、「脂質」と「たんぱく質」の不足です。
アトピー性皮膚炎の方にとって、過剰な脂質やタンパク質は、痒みの原因となることもありますが、健康を維持していくためには必須な栄養素でもありますから、必要量の摂取は行わなければなりません。
しかし、暑い時期、こうした脂質やタンパク質を多く含む食材は敬遠されやすく、これらが不足することで、皮膚の再生機能が低下したり、免疫力が低下することでアトピー性皮膚炎の状態が悪くなっている、というケースがあります。
体の細胞は、外部からの補給により成り立っています。
糖質、タンパク質、脂質、そして無機質は、いずれも「必要な量」というのがあります。
この「必要な量」とは、生命維持に必要な量、健康維持に必要な量に分かれており、前者は比較的少量でも何とかなりますが、後者は一定の量を必要とします。
自分の体にとって、「必要な栄養素」をバランスよく摂取できるように意識しましょう。

それでもお肌の状態が悪化した場合のケア

日頃、こうしたケアをしっかり行っていても、ちょっとしたことをきっかけに、状態が落ちることがあるかもしれません。特に、ステロイド剤やプロトピック軟膏、最近つかわれるようになったコレクチム軟膏など、免疫を抑制することで痒みを抑える薬剤を使用している方は、一定のケアを行っていても、免疫が抑えられていることで、常に「感染症」に対する一定のリスクを抱えた状態です。
あるいは、休みの日に、ちょっと夜更かしをしたことをきっかけに、体調を崩して、そこから皮膚の状態も悪化した、ということがあるかもしれません。
いずれにしても、最大限の注意を払っていても、状態が落ちることはありますので、そういった状態が悪化した場合には、状況に合わせたケアを考えていくことが大切になります。

お肌がジュクジュクした状態のケア

ジュクジュクした炎症を抱えている場合、多くは感染症が併発してその影響が見られているケースが多いものです。
感染症自体は、病院での治療が必要になることもありますが、少しでも状態を持ち上げていくためには、「バリア機能」を高めるケアを考えましょう。
冬の場合、乾燥した状態にあるお肌のバリア機能を高めるためには、固形のオイル系アイテムを利用すると良かったのですが、ジュクジュクした炎症の場合、感染症の影響がそこに含まれているとオイル系のアイテムを使ったケアだけでは十分でないことが多いものです。
こうした場合、お肌の上から包帯などで覆うことで擬似皮膚の代わりとなって、強力なケアが行え、感染症の対策につながることがあります。
注意点としては、暑い時期、汗をかきやすいため包帯の下で汗がたまったまま長時間放置しておくと、今度は汗にかぶれることがありますので、短時間でこまめに付け替えるように注意しましょう。

あとぴナビでお勧めするケアアイテム

お肌がジュクジュクした状態のケアとしてお勧めなのが、「ピュアサージオイル」と「チュビファースト」です。

ピュアサージオイル

掻き壊しが多い状態の肌は、どうしてもローション系やジェル系の水分を多く含むアイテムは、こうした傷状態の肌に浸みやすく使いづらいことが多いものです。
そこで、皮膚の再生にも役立つピュアサージオイルがお勧めです。
ただ、ピュアサージオイルは100%天然のサージオイルだけなのですが、保湿力が弱いため、乾燥が同時に見られる方は、別の保湿系アイテムを併用するようにしましょう。

次にチュビファーストですが、ジュクジュク状態が強い方には特にお勧めのケアです。
チュビファーストはイギリス製で、人工シルクを中心に作られた筒状の包帯です。
二重に装着して一重目を適度に湿らすことで、適切な保水も行えますので、ダメージを受けた肌のケアには適しています。特に感染症に罹患している場合、外気との遮断を行うことが必要になることも多く、そうした場合にも役立ちます。

感染症は病院の受診も迷わずに

アトピー性皮膚炎の方で、長期にステロイド剤などの薬物を使用した経験がある方の場合、どうしても病院での受診を敬遠しがちになる方が多いようです。
ただ、感染症に罹っている場合、睡眠がとれない状況にあったり、掻き壊しの状態が著しくひどい場合など、自分の自然治癒力よりも悪化させるスピードの方が勝っていると、感染症の状態から逸脱するのが容易でないことも多いものです。
そうしたケースでは、適切な投薬が必要になることも多く、状況を見ながら病院の受診は迷わずに行うようにしましょう。
なお、投薬によるマイナス点は当然あるわけですが、投薬によるメリット(ベネフィット・効果)がそのマイナス点よりも大きい場合には、薬剤の使用も「適切」と言えるでしょう。

赤みを帯びた炎症状態のケア

暑い季節、ジュクジュクした炎症の他に多く見らるのが赤みを帯びた炎症状態の肌です。
こうした炎症状態は、主に皮膚下における免疫反応の結果、生じていることが多いのですが、ジュクジュク炎症とは異なり、お肌へのちょっとした刺激が、炎症を増強させる(あるいは痒みを強くする)ことがありますので、基本は「お肌の刺激を緩和させるケア」を考えるようにしましょう。
また、乳幼児の場合、炎症の原因が食物アレルギーなど、アレルギーを起因として生じていることがありますが、そうした場合にはアレルゲンの曝露を防ぐ工夫も行うようにしましょう。
成人の場合、紫外線や黄砂など、皮膚への直接の影響から炎症が生じることが多いのですが、それらはストレスにより増強することがあります。仕事や学業でのストレスは、できるだけ軽減される工夫(運動や睡眠など)を同時に行うようにしましょう。

あとぴナビでお勧めするケアアイテム

赤みを帯びた肌状態のケアとしてお勧めなのが、源泉にピュアサージオイルを混ぜたケアです。

ピュアサージオイル
箱根の源泉 2ℓペットボトルタイプ

まず、源泉でお肌を軽く洗浄します(源泉を浸みこませたハンドタオルで拭う形でもOKです)。
その後、源泉50 ~ 80ml にピュアサージオイルを3 ~ 5 滴混ぜたものでスキンケアを行ってみましょう。自宅にいるときなどは、さらにその上から、コットンで抑えるとよい効果的でしょう。
混ぜる量や割合は、お肌の状態によって異なりますので、詳しくは相談ダイヤルの方にお尋ねください。

あとぴナビ 2022年 夏号掲載

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