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私の考えるアトピーの治し方

「体を温め、血流をよくして、自律神経のバランスを整えよう」
免疫と自律神経のメカニズムに関して画期的な発見をされた、新潟大学大学院医歯学総合研究科教授の安保徹先生。
今回はアトピー性皮膚炎の治し方について、お話を伺いました。

目次

アトピーの急激な増加の要因は
日本人のライフスタイルの変化にある

ここ十数年、アトピー性皮膚炎(以下アトピーと略)の患者数は急激に増えています。一番の要因として考えられることは?

遺伝的なことも関係していますが、一番の要因は、日本人のライフスタイルが大きく変化したことにあります。戦後の混乱期を経て、日本人の生活は非常に豊かになりました。まだ日本が貧しかった時代、子供は家の仕事を手伝い、外で日が暮れるまで遊んで体をよく動かし、食事は今より粗末なものでした。

しかし現代の子どもたちは、少子化で過保護なほど大事に育てられるようになりました。一年中温度調節された快適な部屋で暮らし、外遊びよりも室内で遊ぶ時間が増えました。食事も栄養価が高くなり満たされていますが、間食が多くなり、栄養の偏りや摂りすぎの傾向があります。今の子どもたちは昔より苦労の少ないリラックスした生活を送っていますが、実はこの生活環境にアレルギーの大きな原因が潜んでいます。

リラックスした生活が問題なのですか?

のんびりとリラックスすること自体は、悪いことではありません。しかし人間は、適度な緊張と弛緩のバランスをとりながら生活することで健康を保っています。休んでばかりいると体がなまってしまうように、リラックスしすぎの生活が、心身に偏りを生みます。

偏った生活は、自律神経にも影響します。自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスで体をコントロールしていますが、このバランスが崩れると様々な影響が出ます。自律神経がリラックスした状態に偏れば副交感神経が優位になりますが、この状態が過度になるとアレルギー体質につながりやすいのです。

生活環境全体が、過度の副交感神経優位な状態をつくっているのですね

炭酸ガスも副交感神経を優位にします。ジュースやビールなど炭酸飲料を飲みたくなるのは、リラックスしたいという体の反応ともいえます。
車の排気ガスからも炭酸ガスが出ているので、まさに現代の生活環境はアレルギー体質に結びつく要因にあふれています。副交感神経優位になりすぎるのは大人も同じことで、運動不足や食べすぎなどの生活習慣も要注意です。

自律神経の乱れがアレルギーを引き起こす原因

副交感神経が優位になるとアレルギーを起こしやすいのはなぜですか?

副交感神経が優位になると、白血球のリンパ球が増えます。リンパ球は、体に入ってきた異物(抗原)を免疫の働きで追い出してくれます。
しかし過度の副交感神経優位でリンパ球が増えすぎると、わずかな刺激に過敏に反応して、アレルギー体質になりやすくなるのです。体が刺激や異物に反応しやすい状態になると、食事やダニなどの抗原やストレスが引き金となりアレルギーを起こしやすくなります。

自律神経が乱れて、リンパ球が増えすぎた状態になっているわけですね

そうです。清潔で快適な部屋での暮らし、排気ガスや化学物質に囲まれた生活環境、食べすぎや運動不足になりがちな生活習慣、さらに夜更かしなど不規則な生活で自律神経が乱れ、副交感神経が優位になりすぎる…これがアレルギーを引き起こす原因です。
また、過度に副交感神経が優位になりリンパ球が増えすぎると、体温が下がってしまいます。これは血管が緩みすぎて血流が悪くなっている状態ですから、体の老廃物や抗原を代謝する力も落ち、アレルギー疾患などの様々な病気にかかりやすくなります。

緊張した時にも体温が下がりますよね

確かにそうです。ストレスの多い生活をして無理をすると、交感神経が緊張して血管が収縮し低体温になります。このときは、リンパ球は逆に少なくなって、交感神経優位で活発になる顆粒球が多い状態です。つまり、リンパ球は少なすぎても多すぎても低体温になるのです。自律神経のバランスが交感神経と副交感神経のどちら側に崩れても、血流が悪くなり体温は下がります。

リンパ球と顆粒球の関係について教えてください

白血球の仲間には、顆粒球、リンパ球、マクロファージがあります。「顆粒球=交感神経」「リンパ球=副交感神経」という図式で覚えるといいでしょう(図1)。

顆粒球は交感神経優位で増え、細菌の侵入を防いでくれますが、増えすぎると粘膜を攻撃して炎症を起こします。リンパ球は副交感神経優位で増え、ウイルスや花粉やダニなどの顆粒球では対応できない抗原を処理します。
顆粒球とリンパ球の割合は、通常約60対35といわれていますが、実は年齢と共に変化しています。

図2を見ると分かりますが、出生時には顆粒球が極端に増えます。これは、胎内でへその緒を通して母親と酸素交換していた赤ちゃんが、生まれた瞬間に肺呼吸を始めて酸素濃度が一気に上がるためです。赤ちゃんが酸素を吸い始めて、その酸素ストレスで顆粒球が一気に増え、出生後数日でおさまります。

その後15〜20歳頃までリンパ球優位の状態が続きますが、これには理由があります。子どもの時代は成長のエネルギーを吸収したいために副交感神経を優位にしているのです。だから子どもはアレルギーになりやすいといえるでしょう。そして大人になると自然に顆粒球優位の状態になります。

こうなれば子供の頃のアトピー性皮膚炎も自然に治るはずです。しかし大人になってもアトピーが治らない場合があります。治らない理由は2つ考えられます。リンパ球優位の状態が大人になっても続く場合と、ステロイド剤などを使用していたために、治癒反応が妨げられた場合です。

最近のアトピー患者の増加原因の一つは豊かな生活が生み出す副交感神経優位があげられます。ある程度の緊張と弛緩のバランスが健康的な生活を作り出します。

リラックスすることは大切なのですが、リラックスし過ぎや過食、炭酸飲料の飲みすぎなどもアレルギー患者が増えてきたことと無縁ではありません。

副交感神経優位になるとリンパ球が増加し刺激や異物に反応しやすくなります。そうなると食事やダニなどの抗原やストレスが引き金でアレルギーを起こしやすくなります。

通常成長につれて、交感神経、副交感神経のバランスがとれますが、成人してもリンパ球優位が続いたり、ステロイド剤を使っているとアトピー性皮膚炎やアレルギーが治らないことがあります。

ステロイド剤を使ってはいけない
アレルギーは、異物を追い出すための防御反応

ステロイド剤は治癒反応を妨げるんですか?

ステロイドは一見炎症を治しているように見えますが、症状を抑えているだけで、使うのをやめればまた症状が出てきます。症状を先送りしているだけです。だからアトピー治療に薬を使ってはいけないのです。放っておけば自然に治るのに薬を使って長引かせるから、治る見込みが立たなくなります。アトピーで炎症が起こるのは、体から異物を追い出すためです。異物とは、食物やダニ、ハウスダストなど、人によってさまざま。

健康な人であれば異物として認識しない物質でも、リンパ球が多いために過剰反応してしまった結果です。炎症が起きてかゆみが出ることにも理由があります。異物を追い出すために血流を増やすからで、そのために働いてくれるのがヒスタミンなどの物質。かゆみは異物が侵入したという警告信号だから、ヒスタミンも体に必要な物質なのです。それなのに抗ヒスタミン剤でかゆみを抑えてしまっては、せっかく体が治ろうとしている流れを止めてしまうことになります。

かゆみが強ければ、異物を追い出そうとする力も強いということ。だからアトピーの症状が出た時は薬を使わずに、まず原因(アレルゲン)を突き止め、アレルゲンを避けるために環境をかえるなどの対策を考えます。

抗ヒスタミン剤も使ってはいけないのですね

抗ヒスタミン剤には血管収縮作用があるから、使えば体が冷えて低体温になります。冷えは万病の元で、不定愁訴で体に不調が出てきます。抗ヒスタミン剤で一時的にかゆみを抑えても、その分もっと強い反応が来ます。これはステロイド剤にしても同じことです。

薬を使うことは、治るためのステップを止めること

炎症がひどい場合、一旦「火事」を沈下させるために最初だけステロイド剤を使うという話も聞きます。

「火事」という考え方は間違っています。
アトピーの炎症は「火事」ではなく、「治るためのステップ」です。これを止めてはいけません。「最初のうちだけ少し使ってみよう」という人が多いですが、ステロイド剤を使うことで治癒反応を遅らせてしまい、そのまま使い続ければ治癒反応そのものを抑えてしまうことになります。

ステロイド剤は作用が強力なだけに、一度使うとついつい依存してしまいがちです。しかし一度依存してしまうと、離脱症状を乗り越えなければ治すことができません。2週間程度ならあまり問題はありませんが、それ以上の期間使い続けると辛い離脱症状が出やすくなります。やはり最初から使用は避けるべきですね。

ステロイド剤を長く使うと、なぜ離脱症状が出るのでしょうか

ステロイドは、もともと人間の体内で作られている副腎皮質ホルモンです。この物質を体がつくる量はごくわずかで、自分の体で作ったホルモンが体内にある分には問題ありません。しかし、人工的に作ったものを外側から塗ったり、内服したりすることでステロイド依存の状態になります。

ステロイド剤は、脂質の一つであるコレステロールを合成して作られたもの。ステロイド剤を長期間塗っていると、皮膚組織にコレステロールが沈着して酸化変性してしまいます。

通常のコレステロールは尿として排出されますが、酸化変性したコレステロールは排泄されにくい。この酸化コレステロールはそのものが起炎物質(炎症の原因物質)なので、今度はこれが原因で次々と体中に炎症が広がっていきます。こうなるともはやアトピー性皮膚炎ではなく、新たな酸化コレステロール皮膚炎になります。

アトピーはリンパ球優位でしたが、今度は逆の顆粒球優位では?

そうです。酸化物には顆粒球を増やす働きがあり、顆粒球優位の状態に変化します。顆粒球は増えすぎると炎症を起こしやすい体質になることは、先ほど説明しました。酸化コレステロール皮膚炎はアトピーとは原因が違う炎症ですが、これを抑えるためにはさらに大量のステロイド剤が必要となってしまいます。

これが悪循環であることは説明するまでもありませせん。離脱症状は、ステロイド剤を排泄するための治癒反応—途中でステロイド剤が怖くなり、やめてしまう人も多いと思います。

長期にわたってステロイド剤を使えば、中止した時に離脱症状(リバウンド)が出ます。皮膚が激しく腫れたり臭い膿が出てくるので、アトピーが再発したと勘違いする人も多いでしょう。しかしこれはステロイド剤が切れたことによるリバウンドであり、体内に蓄積された酸化コレステロール(ステロイド剤が変性したもの)を排泄しようとしているのです。

つまりこれも治癒反応なのです。ステロイド剤を中止して離脱症状が早く激しく出るほど、治る力が強いと考えてください。ステロイド剤の使いすぎで免疫力が抑制されるほど、離脱症状はなかなか起きず、弱い離脱症状で終わってしまいます。

そうなると改善もなかなか困難です。離脱症状が起きたときは、「この症状を克服しない限り治癒の道はない」と考え、ステロイド剤の再使用は避けるべきです。そうしないと、ステロイド剤の悪循環を断ち切ることはできません。

離脱症状を克服するためにはどうしたらいいですか?

離脱症状の本質を理解すれば、あとは膿と共にステロイド剤を出し切ればよいことが分かるでしょう。ステロイド剤を使っている人は、交感神経が興奮したままの状態で血流も悪いので、体が冷え切っています。

体を温めると腫れの発作が起きるので、なるべく体を冷やしていた方が楽です。しかし、血行が悪い状態では膿を排泄できません。体を温めて血流を促すのはつらいことですが、ここは我慢するしかありません。可能な限り体を温め、血流を促し新陳代謝を活性化させましょう。

ステロイド依存から真の回復に至る過程

ステロイドを慢性的に使用するということは、ステロイドによるダメージを体や肌に蓄積していくことを示している。ステロイド使用を中止すると、体は治ろうとリバウンド症状を呈する。

これは体の治癒反応であって悪化ではない。ステロイドには使用の限界がある以上、いつ爆発するかわからない爆弾を抱え込んでいくような生き方は、根本から見直す必要があるといえる。

ステロイド中止3日後
薬を断って3日後。離脱症状のピークはまだだが、全身を強い炎症が覆い、顔から首は粉を噴いたように皮膚が浮き上がっている。
ステロイド中止後195日
炎症はほぼ治まり、かゆみもだいぶ楽になってきた。腰の一部に軽い炎症があり、肌色は不健康そうに黄色味を帯びている。
ステロイド中止後398日
職場復帰から2カ月。
すっかりきれいになり、本来のきめ細かな肌が戻っている。

体は間違いを起こさない。でも生き方は間違える

アトピーを克服するために必要な心構えをお願いします

まず何よりも、自然治癒力を信頼することです。例えば、下痢は消化管に侵入してきた異物を早く出そうとする反応です。くしゃみは粘膜についた異物を外に排泄し、体を温めようとする反応です。アレルギー反応も同じで、体に必要な反応です。それが過剰なことが問題なのです。

人間の体は、自らを治そうとする反応しか起こさないのですね

私達の体は間違いを起こさない。でも生き方は間違えてしまいますね。生活が豊かになると、人工的で快適な環境で身を守られていて、ストレスがなさすぎる生活になりがちです。すると生きるために必要な環境への適応能力を失ってしまうのです。それが自律神経の失調症状ともいえるでしょう。

対症療法でかゆみや炎症を抑えるのではなく、自律神経のバランスをよくし、アレルギー反応の起こりやすいリンパ球過多の状態を改めなければなりません。特にお子さんを持つ親御さんには、体と健康についての正しい知識を身につけてほしいのです。

生活や食事に偏りがないかを常にチェックし、体の治癒反応を妨げることなく、自律神経のバランスよく生きていけば、薬を使わなくても病気を治せることを学んでください。病気を治すことは、今までの生き方を変えることなのです。

体を温め、血流をよくして、自律神経のバランスを整えよう

アトピーを治すための生活改善ポイントを教えてください

まず体を冷やさないことがとても大切です。体を温めることによって血流をよくしましょう。体を温めるには、やはり入浴が手軽で効果的です。それから適度な運動ですね。姿勢を正すことも心がけてください。仙骨を前に出して首の骨を後ろに引き、よい姿勢で過ごせば、気持ちの持ち方も変わってきます。

リンパ球過多で副交感神経優位の人は、交感神経を刺激するといいです。そのためには屋外に出て運動し、日に当たるのが一番。紫外線は適度に浴びれば、それほど害のあるものではありません。お子さんの場合は外で遊ばせることが大切です。もっと積極的にリンパ球を減らすには、乾布摩擦も効果的です。

ただしアレルギーの誘発因子とならないように、最初は暖かい部屋でやってみるなど少しずつ加減しながら行うのがポイントです。無理をしたり離脱症状などで交感神経優位になっている人は、逆にゆったりとリラックスすることが大切。睡眠をたっぷりとって、ゆっくりと入浴したり、静かにリラックスできる環境に身を置くように心がけてください。

いずれにしても、自律神経のバランスが保てる方向でいろいろ工夫してみてください。晴れて気持ちの良い日は外出して散歩してみたり、天気の悪い日は家でのんびり過ごすなど、体が自然に欲求している感覚に敏感になれるとしめたものですね。

ステロイド剤は治療をするものではなく症状を抑えるものです。ですから使わなくなればまた症状がぶり返します。抗ヒスタミン剤も同様で痒みを抑えるので体が治ろうとする流れを止めることになります。

体内で作られるステロイドは問題ありませんが、コレステロールから人工的に作られたステロイドは体内で酸化し、それが炎症の原因となり、新たに酸化コレステロール皮膚炎になることもあります。

ステロイド剤の使用を中止すると離脱症状が出ますが、これは体の治癒反応のひとつなのでステロイド剤の再使用は避けるべきです。

アトピー性皮膚炎を克服するためには自然治癒力を信頼することです。そして運動、入浴、食事、休息など生活習慣を見直すことです。自律神経のバランスが保てる方向で生活の工夫をするよう心掛けましょう。

監修者プロフィール

安保 徹 先生 新潟大学大学院医歯学総合研究所教授

1947年青森県生まれ。
東北大学医学部卒。米国アラバマ大学留学中の1980年、「ヒトNK細胞抗原CD57に対するモノクローナル抗体」を作製。その後胸腺外分化T細胞を発見、白血球の自律神経支配のメカニズムを解明。2000年にはこれまで定説だった「胃潰瘍=胃酸説」を覆す顆粒球説を発表し、世界に大きな衝撃を与えた。200を超える英文論文を発表し続ける世界的免疫学者。『免疫革命』(講談社インターナショナル)『未来免疫学』(インターメディカル)など著書多数。

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