医療ナビ なぜ、デメリットゾーンにいるときにステロイド剤を塗布するのが良くないのか?(前編)


ステロイド剤はやがて「効かなくなる」

1994年に発表された論文(※3)では、ヒトの上皮細胞株(Hela S3 細胞)を用いて調べたところ、長期のステロイド剤投与により、上皮細胞株のステロイド受容体が、蛋白レベルとmRNA レベルでほとんど完全に消失したことが確認されました。

※3「Regulation of the human giucocorticoid receptor by long – term and chronic treatment with glucocorticoid. Silva CM et al.Steroid,1994;59;436-442.」より

ステロイド剤が効かなくなるわけ

よく、ステロイド剤を長期使用していると「ステロイド剤が効かなくなってきた」という言葉を聞くことがあります。処方する医師は、こうした場合に、「アトピー性皮膚炎が悪化したので、今のステロイド剤では効かなくなってきたから、強いステロイド剤に変えましょう」ということが多いようです。

もちろん、実際、アトピー性皮膚炎の症状が悪化したことで使用しているレベルのステロイド剤では「抑えきれない」というケースもあるでしょう。しかし、長期連用しているケースにおいては、論文にあるように、皮膚におけるステロイドの受容体が消失することで効果を得られなくなったケースも考えられます。実際、ステロイド剤を変える場合、今まで使用してきたよりも「弱い」ランクのステロイド剤に変更したら痒みが抑えられた、という実例もありました。

気をつけなければならないのは、論文では、不可逆的に消失したステロイドの受容体はすぐには回復せず、次から次へと効かなくなって強いレベルのステロイド剤に替えていった場合、塗るたびに受容体が消失していけば、やがてはほとんどのステロイド剤が「使えなくなる」恐れがあるということです。

実際の例としても、ロコイドなど弱いステロイド剤から使用を始め、その後10年ほど、病院を転々としながらステロイド治療を続け、最後はデルモベートなどの強力なステロイドでも効かない状況になった方がいました。その方の肌は、固く肥厚し、赤黒く色素沈着も広がり、乾燥状態がひどく、ひび割れも多くあるという、皮膚の細胞そのものに大きなダメージを受けていることは一目瞭然でした。

このように使えなくなったときには、取り返しのつかない状況の方が多いという事実は理解しておくべき重要な点と言えます。
ステロイド剤が「効かない」と感じた方は、デメリットゾーンの中にいる可能性が高くなりますので注意をしましょう。

ステロイド剤を長期使用していると「効かなくなってきた」感じることも。皮膚におけるステロイドの受容体が消失することで、効果を得られなくなったケースも考えられます。

不可逆的に消失したステロイドの受容体はすぐには回復しません。塗るたびに受容体が消失していけば、やがてはほとんどのステロイド剤が使えなくなる恐れがあります。

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