アトピー肌と乾燥肌のスキンケア

監修:上出良一 先生

アトピー肌のスキンケア

炎症のある部分とない部分、どうケアすればいいの? 保湿剤はどちらに塗っても大丈夫?
アトピー肌の場合、炎症がなくて乾燥している肌と、炎症を起こしてジクジクしている肌と部分的に違いがあります。
冬は炎症が乾燥した風に当たってヒリヒリすることも。そんなアトピー肌を適切なケアで守りましょう。

オイルとクリームの違い

肌のバリア機能は、炎症がある部分では弱まっています。バリア機能が弱いと、表皮から体内に浸透する刺激も多くなります。炎症のある部分とない部分では、スキンケアは区別して行うように心がけましょう。

たとえば保湿剤には主に、油系のものとクリーム系のものがあります。ワセリンやオイル類などの油分のみの場合は皮膚の表面に膜を作り、その膜をバリアの代わりにして刺激から守り、角質の水分を保つことが目的。クリームはそれ自身が水分を含んでいますから、塗れば水分を補給でき、同時に油も含んでいるのでバリアの代わりにもなります。最近だとアトピーの人に不足しがちなセラミド含有のクリームもあります。
保湿剤として使われるワセリンやオイル類とクリームは性質が違うので使い方もそれに応じて変える必要があります。ワセリンやオイル類を塗ることで皮膚はふさがれますから汗が外に出なくなります。その汗が皮膚の下に溜まるとよけいにかゆくなることがあります。また正常な脂質が毛穴からでていくことも妨げますから、自分で皮脂を分泌する力が弱まり、皮膚がかえって乾燥しやすくなることも。

炎症の程度に合わせてスキンケアも変えましょう

ですから、炎症が重症のとき、つまり角質層よりも下の層まで炎症を起こしているようなときにオイル類を使い、比較的軽症でカサカサしている状態の時はクリームにするなどの使い分けを。症状によって保湿の方法を変えながら、ケアしていきましょう。たとえ全身に症状が現れていてもカサカサしているだけなら軽症です。たとえ顔だけでもそこが高度な炎症だったらこれは重症です。

炎症を抑える薬剤を使用するときは、患部だけにしましょう。保湿剤にステロイドを混ぜたものを患部以外の場所にも塗ることがかつてはありましたが、最近はそうした方法はとられないようになってきました。

薬剤と保湿剤を混ぜて使う場合、組み合わせによっては、薬の成分が化学変化を起こす可能性もあるため、注意が必要です。最近は、患部とそうでない部分、また重症部分と軽症部分は分けてケアする方法が勧められています。炎症の程度は下の表を参考にしてください。

皮疹の重傷度

重症 高度の腫脹/浮腫/浸潤ないし苔癬化を伴う紅斑、丘疹の多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の掻破痕、痒疹結節などを主体とする
中等症 中等症までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、掻破痕などを主体とする
軽症 乾燥および軽度の紅斑、鱗屑などを主体とする
軽微 炎症症状に乏しい乾燥症状主体

(日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドラインより)

保湿剤・クリームの成分解説

オイル(油分)

保湿剤の中では比較的刺激が少ないもの。皮膚の表面を油の膜で覆い、水分の蒸発を防ぎ、外部の刺激から守ります。汗が出にくくなり、かえってかゆくなることもあるので、塗りすぎに注意。角質層よりも下の層まで炎症を起こしているような重症部分には、効果があります。

クリーム

ウォーターインオイル(W/O)といわれ、油の中に水が非常に小さな乳化粒子となって点在しています。水分と油分を同時に皮膚に塗布することができ、単独で与える場合よりも、より効果的に水分や油分を皮膚に補給することができます。症状が軽微で乾燥した肌に効果的。自分の肌に合ったクリームを使いましょう。

尿素

尿素には水分を吸収する性質があります。そのため皮膚に残っている乏しい水分をも尿素が奪ってしまうこともあるので使い方には注意しましょう。自分に合った尿素含有率のクリームを使いましょう。

自分の自然治癒力を高めるために、まったく保湿クリームを使わない「脱保湿」を勧められました。
脱保湿を続けると、自力で保湿成分を分泌できるようになるのでしょうか?

自分で保湿成分を作らなくなります

これは子供にいくらお小遣いをあげるといい子に育つかということと同じだと考えてください。保湿剤はお小遣いです。あげすぎれば甘やかす結果になり、お金を自分で稼ぐ努力をしなくなります。つまり自分で保湿成分を作らなくなります。そんなときいきなり保湿剤を塗るのをやめたら一気にバリバリに乾燥してしまいます。逆にまったくお小遣いをあげなければ、悪いことをしてでも稼ぐようになるかもしれない。本当に必要な時に必要なケアをしてあげることが大切です。

次のページでは、乾燥しやすい冬に少しでも楽になれるような、入浴時、メイク方法、衣服の調整などにおける素朴な肌対策の疑問にお答えします。

オイル系アイテム、クリーム系アイテムの特徴を良く理解して、ご自分の肌の状態にあったアイテムの選択と使い方が重要ということになります。

また、セラミドを含むアイテムを塗ることで、バリア強化を促すというスキンケア方法も。さらには、ご自分の身体でセラミドを作るのに有効なサプリメントを摂るという方法もあります。

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アトピー肌と乾燥肌のスキンケア」への6件のフィードバック

  1. ひろ

    ひどいアトピーは治りましたが、季節に関係なく、身体中、乾燥してしまい、痒さが収まりません。
    特に関節のあたりが乾燥しやすいですね。セラミドも飲んではいますが、完璧には治りません。そんなにひどいわけではないのですが、痒いので、困っています。

    返信
    1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部

      ひろさん、こんにちは。
      乾燥は、基本的に「角質層の水分が不足している」状態を指しており、「角質層の水分が不足している原因」は、
       
      1.角質層の水分の供給が不足している
      2.角質層の水分を保持する力が弱まっている
      3.角質層からの水分蒸散量が高い
       
      の3つが主に考えられます。
      セラミドについては上記のうち「2」を補助するのに役立ちますが、「1」は保水のスキンケア、「3」は保湿のスキンケアが別途に必要になります。
      ひろさんの状況が分かりませんが、上記に挙げた項目で、もし不足している項目があれば行ってみてはいかがでしょうか?
      これから乾燥時期に入りますので、「保水」「保湿」、肌のダメージが強い場合には「保護」のスキンケアをバランスよく行うようにしてみましょう。

      返信
  2. セブン君

    ほんのちょっとの肌の乾燥、特に口角周りはアトピーからの
    メッセージみたいな感じに思っています。ほんのチョピットでも
    寝てて掻きむしるのでバカには出来ないです(>_<)
    乾燥は睡眠、栄養、運動等、サボったなっていう時に
    やっぱり現れますね。まだまだ克服頑張ります。

    返信
    1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部

      セブン君さん、こんにちは。
      「乾燥」を感じるのは、風邪を引いた時に「熱っぽさ」を感じて、怪しいと思うように、アトピー性皮膚炎のサインの一つと考えても良いでしょう。
      生活面の改善は、毎日のことだからこそ大変な部分はありますが、反復継続して行うことによる「成果」は、行うことでしか得られない分、大きなものがあります。
      頑張ってください!

      返信
  3. YS11

    乾燥、バリア機能の低下の原因は人によって違うのでしょうか。皮脂はたりているけどセラミドがたりない人、セラミドはたりているけど皮脂はたりない人、あるいは両方がたりない人などがいるということなのでしょうか。もしそうならタイプによって対策も違ってくるのでしょうか。

    返信
    1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部

      YS11さん、こんにちは。
      乾燥やバリア機能の低下の原因は、個人差はあると思います。もちろん、アトピー性皮膚炎の方全体で統計をとると、大きな母集団はいくつかできると思いますが、全員が共通の原因を抱えているわけではありません。
      最近、京大が発表したフィラグリンの欠損に関する研究も同様のことが言えるでしょう。
      対策については、異なる部分もありますが、共通する部分も多くあります(睡眠や運動、食事など)。
      また、回復の過程の中で、対策そのものを季節的な要因も考えながら、変化させることも大切です。
      こうした複雑さが、アトピー性皮膚炎を治しにくくしている部分はあるのかもしれませんが、治すために必要なことは、個々人で考えれ、さほど多くはありませんので、自分に必要なことをしっかり一つずつ、積み重ねていくようにしましょう。
      相談ダイヤル(0120-866-933)で、個人個人に合わせた電話相談も行っていますので、ご利用ください。

      返信

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