心療内科で見る心・体・アトピーの関係

監修:中井吉英 先生

気づきから治療へ

この特集では、心療内科の概要とエッセンスを伝えてきました。心療内科の考え方は、アトピー治療に非常に効果的です。そこから私たちが学べることはどんなことでしょうか?

心の奥に潜む問題に気づくことが治療への道

心療内科からのメッセージとして最重要のキーワードは「関係性」。「心—体」、「患者—家族」、「社会—病気」、などさまざまな関係性を、分離できない全体として診ていくことが、心療内科の基本姿勢です。特に心と体の関係に気づくことが重要です。からだに現れた症状は、心の叫びを病気という形で表現しているのです。
考えてみれば、これは大変ありがたいことです。病気は私たちの日常生活に警鐘を鳴らし、心の奥に潜む問題への気づきを与えてくれるのです。

アトピーには、全人的な治療が必要

心療内科による医療は、心と体を別々に診るという心身二元論的な近代西洋医療とは異なり、心身一如の全人的な医療を目指しています。「全人的医療」とは、病気のみを診るのではなく、病気である患者自体に焦点を当てた医療で、精神・身体・社会・環境・行動といったあらゆる関係性を分離できないものとして捉えています。
アトピー性皮膚炎に関しても、全人的医療という視点は欠かせません。心の問題、症状の現れ方、家族や会社での人間関係、遺伝的要因、生活環境、食事、ライフスタイル、掻破行動のコントロールなど、どの問題も切り離して考えることはできないからです。

心療内科の治療とは

心療内科を訪れるアトピー性皮膚炎患者は、難治性の方がほとんどです。治療は皮膚科医と連携して行っていきますが、治療の一例を紹介します。
関西医科大学心療内科では、最初に絶食療法を行います。入院して面会をストップし、10日間の完全絶食を行い、次の10日間は回復食をとります。もちろん薬も絶ち、身体を白紙の状態に戻すのです。こうして心身ともに揺さぶられると、多くの場合一時的にコルチゾールの分泌が高まり、ステロイドを塗らなくても症状が改善します。身体をこのような状態にしたうえで、自分の成育史を振り返り、自己洞察に導く内観療法やかゆみをコントロールする認知行動療法、カウンセリングを行い、心の奥底にある根本の問題を探っていきます。必要に応じて皮膚科治療も併行・継続していきます。
冒頭でお話したように、心療内科を標榜しているほぼ90パーセントは精神科医といわれるのが実情です。残念ながら、多くの患者がアトピー性皮膚炎をしっかり診てくれる心療内科医にめぐり合うことは、現状では難しいと言わざるを得ません。「心療内科」で治療する場合は、必ず内科医として身体症状を診ることができ、心身医学に基づく治療を行う病院を受診することをおすすめします。理想としては、心療内科的心得のある心身医学に基づいた皮膚科医を探すことではないでしょうか。
 

アトピー治療は、皮膚表面の問題だけではなく、心の問題も大きく関係してくることがあります。

全人的医療という視点から考えると、家族や会社での人間関係、生活環境、掻破行動のコントロールなどの問題も、心と体の症状と関わってきます。

アトピー治療において、心療内科的心得のある心身医学に基づいた皮膚科を受診することも選択肢として考えると良いでしょう。

 

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心療内科で見る心・体・アトピーの関係」への2件のフィードバック

  1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部 投稿作成者

    Missさん、こんにちは。
    仮に感情表現が苦手で、それがストレスになったとしても、そのストレスを他の方法で解消することは可能です。ストレスを受けないように気をつけることも大切ですが、受けたストレスをどのように解消していくのかも大切になるでしょう。

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  2. Miss.

    かゆくてかゆくて、とにかくかゆいです(>_<)
    皮膚のかゆさしか眼中になかったけど、そういえば感情表現が苦手かも…。つい他人(ひと)に遠慮しちゃうんですよね。やっぱり関係あるのかなぁ?

    返信

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