心療内科で見る心・体・アトピーの関係

監修:中井吉英 先生

アトピーと心の関係

アトピーのかゆみの原因は、アレルゲンだけではありません。患者自身の心のありかたや患者をとりまく社会的な環境が、かゆみの原因となることがあります

アトピーの発症や経過に心のありかたが関わっていれば心身症

心療内科では「心身症と呼ばれる病態を持った患者さん」を診ています。日本心身医学会による定義では、「心身症とは身体疾患のなかで、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」となっています。
つまり、患者さんの心のありかたや、患者さんをとりまく社会的な環境が体の病気の発症や症状の経過に関わっている場合が「心身症」です。うつ病などの心の病気や、心の病気に伴う体の症状は心身症ではありません。
心の病気は、精神科で治療する必要があります。心身症には、定まった症状があるわけではなく、人によって違った形で現れます。患者さんにたまたまアレルギーという素因があれば、アトピー性皮膚炎や喘息という形で症状が出るし、潰瘍ができやすい素因を持った人であれば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの症状が出ます。人それぞれの体の弱い部分に症状が現れるのです。

掻破行動とアレルギー反応は心の動きと関わっている

病気に心の状態が深く関わっている場合、治療のポイントとなるのは、患者さん自身が心と体の相関関係に気づくことです。心療内科ではそのことに気づいてもらうため、患者さんに催眠を施すことがあります。
ある慢性じん麻疹の患者さんの例をあげてみましょう。厨房の仕事に就職した男性患者さんは、大量の魚を調理するときに、必ずじん麻疹が現れました。
皮膚科で魚エキスのアレルゲン検査をしたところいずれも陰性でした。そこでその患者さんを、深い催眠状態に導入し、厨房で調理しているところを暗示しました。すると調理している仕草を始め、数分で体にじん麻疹が現れ、皮膚を掻き始めたのです。その患者さんは、催眠から覚醒後に驚いて、転職した理由や心の葛藤などについて話し始めました。
近年の基礎医学の研究により、この患者さんのじん麻疹のように、かゆみの素となるヒスタミンや炎症性物質は、抗原がなくても、体内にできることがわかってきました。
脳の働きが自律神経を介して、体の神経末端からさまざまな伝達物質を放出するからです。つまりアレルゲンがなくても、心の動きがアレルギー反応を引き起こすのです。アトピーでは、掻破行動(かゆくてかく行為)が症状を悪化させます。治療に際しては、掻破行動をいかにコントロールするかがポイントで、この患者さんのように、かゆみを引き起こす心の動きに気づくことが治療の第一歩です。掻破行動がさらに習慣化すると、「掻くことの刺激」が嗜癖(しへき)※化することもあります。かゆいわけではないのに、なんとなく掻き始め、それが刺激となって止まらなくなる——、掻く刺激に耽溺することで、心が何かから逃避している場合もあるのです。心と体に相関関係があることに気づき、患者さん固有の「掻破行動の意味」を探ることが必要です。
※嗜癖…あるもの・行動を特に好き好む癖。
 

アトピー性皮膚炎の場合、その症状に対して、心のありかたが関わっている場合があります。

心の病気は、人によって「違った形」で、体に症状として現れてきます。

たまたまアレルギーという素因があれば、アトピー性皮膚炎や喘息という形で症状が出ることになるでしょう。

あるいは、潰瘍ができやすい素因を持った人であれば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの症状が出ます。

人それぞれの体の弱い部分に症状が現れやすいといえ、それが「心」と大きく関係してるのです。

 

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心療内科で見る心・体・アトピーの関係」への2件のフィードバック

  1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部 投稿作成者

    Missさん、こんにちは。
    仮に感情表現が苦手で、それがストレスになったとしても、そのストレスを他の方法で解消することは可能です。ストレスを受けないように気をつけることも大切ですが、受けたストレスをどのように解消していくのかも大切になるでしょう。

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  2. Miss.

    かゆくてかゆくて、とにかくかゆいです(>_<)
    皮膚のかゆさしか眼中になかったけど、そういえば感情表現が苦手かも…。つい他人(ひと)に遠慮しちゃうんですよね。やっぱり関係あるのかなぁ?

    返信

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