笑いと音楽、そしてKiss(キス)がアトピーを救う

監修:木俣肇 先生

笑うことは健常者からみたら日常のことかもしれませんが、つらいアトピー症状を抱えた方にとっては、大変なことです。しかし、それでも笑いは大事。
笑いや音楽など心をリラックスさせることが、アトピー克服にとっていかに大切かを、EBM※をもとにご紹介します。

アトピーの人は笑わない?!

あなたは、こんなことを言われたことがありませんか?

「どうしたの? 元気ないよね」「最近、性格が暗くなったんじゃない?」「つらそうな顔してるよ。大丈夫?」

でも、かゆくてつらいときや、眠れなくて疲れているときには、明るい顔なんてできませんよね。決して、性格自体が暗いわけではないのに……。 そんなあなたでも笑うときがあるでしょう。
そう!つらいアトピーが快方に向かっているとき。たぶん、そんなときはうれくてつい笑っているはずです。実は、その笑いがアトピーの治療にはとてもよい効果があることを知っていますか?

実は、笑いには大きな治療効果があることが、多くの医師たちから報告されているのです。「日本笑い学会」という団体には、木俣先生をはじめ多くの医師が参加しています。この学会でもリウマチ患者が落語を聞いて症状が改善された例、糖尿病の患者が漫才を見て症状が改善された例などの報告がされています。
生活に笑いを取り入れ、毎日を楽しく過ごすことができたら、アトピーも改善するのではないか?…そんなことから木俣先生はさまざまな実験を試みたのです。

「笑い」のアトピー治療効果

「笑うこと」は、心だけでなく、体にもよい影響を与えるという、EBMがあります。アトピー性皮膚炎にたいしては、どのような効果があるのでしょうか?

笑いはヘルパーT細胞のバランスを変化させてアレルギーを抑制

笑うことは、どうしてアトピーに効果があるのでしょうか?

それは笑うことによって、アレルギー反応を抑制できるからなのです。アレルギー反応はIgE(アレルゲンに対する抗体)の値で調べることができますが、IgEが高いとアレルギー反応を起こしやすく、少なければアレルギーは起きにくくなります。IgEは、アレルギー反応の原因物質で、血液検査をするとその値がわかります。IgEの値に大きく影響するのが、免疫反応をコントロールするヘルパーT細胞です。ヘルパーT細胞には、1型(Th1細胞)と2型(Th2細胞)の2種類があり、普段はこの2つがお互いを抑制してバランスを取っています。

このバランスが崩れてTh2優位になると、アトピーになりやすい体質になってしまうのです。このヘルパーT細胞のバランスは、笑いと大きな関係があるのです。ストレスのある生活をしていると、基本的にTh2優位の状態になります。逆に、リラックスすると減少します。気持ちに余裕ができるとTh2が減少し、アレルギー反応も減少するのです。つまり、笑うことができるようになれば、アトピー改善に一歩近づくことができるのです。

笑えるようになるとアトピーも改善していく

笑うことでアレルギー反応が減少し、それがアトピー改善につながることは、診療の現場でも結果として現れています。

下の表(1)と(2)は、アトピー性皮膚炎の患者さん237人を12週間チェックして、外来診療時などに患者さんが自発的に笑った場面などについて調査したものです。
実際に、長い間アトピーに悩んでいた60代の女性が、ステロイドを用いた治療を続けていましたが、結局アトピーは治らず、重い症状で悩んでいたと言います。木俣先生の診療方針を知り、症状のために電車やバスには乗れないから、着の身着のままタクシーを利用して、当然お化粧もせずやってきたのです。
それほど彼女の心は押しつぶされそうに辛いものでした。もちろん、診察中は笑顔など見せてくれません。そんな彼女が治療を始め、ステロイドのリバウンドを超えると少しずつ症状が軽くなり、症状の改善とともに、表情が変わってきました。ときどき笑顔を見せるようになり、おしゃれにも気を遣うようになりました。そして症状が消えてくると、ついにニコニコと笑い出し、ルージュをひいてやってくるようになったそうです。
アトピーが改善されてくると患者さんの顔に笑顔が浮かぶようになり、笑顔が浮かぶようになると症状もどんどんよくなっていくのです。

表(1)は、診療中に笑いがあった場合となかった場合で、アトピー改善に大きな差があることを示しています。アトピー患者237人のうち197人が12週間で改善していますが、そのうち笑いがあった例は177人で全体の約90%。また、改善しなかった40人のうち、笑いがみられたのはわずか4人で、全体の10%しかありませんでした。
表(2)は、同じ調査でアトピーが改善された方が、何回目の診療で笑いを見せたかを調べたものです。初診時ではほとんど誰も笑いませんでしたが、早い例では1週間後、多くは3〜4週間で笑いが見られるようになりました。
表(1)と表(2)は、『ストレスと臨床』第10号(2001/11)研究論文「アトピー性皮膚炎における笑いの効果」より転載

つらいアトピーの状態を抱えたままでは、「笑うこともままならない」ということはあるでしょう。

しかし、笑いの中にアトピーの改善のヒントが隠されていました。普段はバランスのとれている免疫反応で、ヘルパーT細胞1型と2型がそれにあたります。

2型が優位になるとアトピーの症状が出やすくなりますが、笑うことで気持ちが落ち着きリラックスすると、2型の免疫が減少することが分かっています。

「笑い」をぜひ改善の方法として、生活の中に積極的に取り入れてみるのもいいのではないでしょうか。

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笑いと音楽、そしてKiss(キス)がアトピーを救う」への1件のフィードバック

  1. サンドリヨン

    人生を楽しむということが、病気を軽減させるということですね。
    日本人は欧米の人に比べるとスキンシップが少ないと思うけど、そういうのって影響するの?!

    返信

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