アトピーと汗

監修:塩原哲夫 先生

「発汗」はアトピー克服に必要

汗をかかないことがアトピー症状を悪化させていることを知ったら、次は、汗をかくことの大切さを理解しましょう。

体を守る発汗は、アトピーを改善するためにも大切

「汗をかくとかゆくなったり、症状が悪化したりするから」と、入浴や運動を避けているアトピーの方がたくさんいます。たしかに、汗の中には炎症を起こし、かゆみを生じる物質も含まれていますが、続けて汗をかいているうちにそれに慣れてきて、むしろ汗の良い面が出てくるようになります。逆に、汗をかきにくいことによって、体内に熱がこもりやすくなっていることが、かゆみを悪化させる原因にもなります。
人間は体内温度が上がると汗をかき、汗を蒸発させることで熱を放出します。ところが、汗をかきにくいアトピーの場合、毛細血管は皮膚温を低下させようと精一杯開いているのに、汗をかけないので、体温は上がり、肌が赤くみえます。
かゆみの感覚は、37℃の体温でもっとも敏感になるとされています。体温が上がりかゆみが増し、症状が悪化してしまうのです。
また、汗をかかないと、角質層の水分量が不足し、肌はカサカサになり、バリア機能は低下してしまいます。
カバは赤い汗をかきますが、それには強い抗菌作用があることがわかっています。人間の汗にも抗菌ペプチドや免疫グロブリンなどの成分が含まれています。これらの作用によって、皮膚にすみついている善玉菌である常在菌を守り、有害な病原菌の侵入を防ぐという働きがあります。
汗をかくのは体を守るためです。アトピー克服のために汗をかく体に戻しましょう。

汗のはたらき

皮膚の水分量を保持する

角質層に十分な水分を供給し、肌のバリア機能を高めます。また、肌にうるおいを与えるのも汗の働きです。

抗菌成分を皮膚に供給する

汗には免疫グロブリンや抗菌ペプチドが含まれていて、細菌などから肌を守ります。

皮膚温度を調整する

汗をかくことで気化熱を放出し、体内温度や皮膚温度を下げる働きがあります。皮膚温が高いと炎症は悪化しやすくなります。

アトピーの方の発汗低下は自律神経の異常によるもの

汗をかかない理由にはふたつのことが考えられます。ひとつは、汗を分泌する汗腺に異常がある場合で、もうひとつは発汗を支配している自律神経に異常がある場合です。
以前はアトピーの方が汗をかきにくい原因として、汗腺の異常が考えられていました。炎症のある部分のバリア機能が破壊されていて、汗管が詰まったりするため、汗が排出できなくなるということです。ところが、研究の結果により、アトピーの方は、炎症が起こっていない皮膚からより患部からの方が汗をかいていることが明らかになりました。つまり、汗をかけないのは炎症があるからではなかったのです。
これによって、アトピーの方が汗をかきにくいのは、発汗をコントロールする自律神経系の異常である可能性が非常に高いということが明らかになりました。
(出典:早川順、塩原哲夫:「アトピー性皮膚炎患者における発汗障害の解析」
日本皮膚科学会雑誌2000;110:1115−1119)

発汗も自律神経によってコントロールされていて、自律神経の失調が発汗に対しても影響を及ぼしていることがわかりました。

特にアトピーの方が汗をかきにくい原因の一つは、発汗をコントロールする自律神経の異常のことが多く、汗をかきにくいアトピーの方は注意が必要でしょう。

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アトピーと汗」への2件のフィードバック

  1. スポンジのぶ

    夏は乾燥がやわらいでうれしい反面、冬のかゆみとは違うチクチクとしたイヤなかゆみが顔や背中に起こります(やっぱり汗の刺激?)。それでも汗はかかないよりかいた方がいいんだろうと思っています。

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    1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部

      スポンジのぶさん、こんにちは。
      アトピー性皮膚炎に対して、汗は、かぶれなどによるかゆみの原因となることがありますが、同時に、皮脂膜に関わるスキンケアとしての働きもあるため、「汗をかかない」よりも「汗をかいて、しっかり拭き取る」ということの方が大切なこともあります。
      「汗」に対して注意は必要ですが、恐れないことも大切でしょう。

      返信

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