アトピー性皮膚炎と生活

あとぴナビ/スペシャルインタビュー 坂本博之

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あとぴナビ/スペシャルインタビュー 坂本博之

あとぴナビ2008年3月号より

坂本博之さん
PROFILE
坂本博之(さかもとひろゆき)
1970年、福岡県生まれ。
小学2年生の時に児童養護施設「和白青松園」で過ごす。施設でボクシング中継を観戦し、ボクシングへの憧れを抱く。
8歳で母親と上京。小松原高等学校卒業後、東京都角海老ボクシングジムに入門。
1991年にプロデビュー、93年に全日本新人王&日本ライト級王座を獲得。96年東洋太平洋同級王者。過去4度世界同級タイトルマッチに挑戦。2007年の現役引退後、同ジムトレーナー業の他、講演など、活動の幅を広げている。
戦績47戦39勝(29KO)7敗1分。
「こころの青空基金」(全国の児童擁護施設への支援活動)
公式サイト:http://aozora-srs.com/index.html

「倒すか、倒されるか」。一撃必倒の豪打を誇り、常に前に出るボクシング・スタイルで“平成のKOキング”の異名を誇ったハードパンチャー・坂本博之さん。
2000年の畑山隆則選手とのWBA世界ライト級タイトルマッチの死闘に感動を覚えた読者の方も多いのではないでしょうか。
苦難にさらされた幼少時代、そして怪我。数々の壁を乗り越えた坂本さんが信じた力とは?
今月は坂本さんに、苦境に立ち向かう心構えの術を伺いました。

元プロボクサー:坂本博之さん

決してあきらめず、熱を持って打ち込み続ければ、必ず運命は切り拓かれる!

飢え、虐待……。1日1食で過ごした幼少期

坂本博之さん
多くのボクシングファンから愛され、「記憶に残る名選手」として語り継がれている坂本博之さん。
しかし、坂本さんが人々に感動を与えたのは、闘志溢れるボクシング・スタイルだけではありません。その壮絶な生い立ちとそれを乗り越えたパワーもまた、多くの人々に感銘を与えました。
坂本さんは、生まれてすぐに両親が離婚し、乳児院で成長。その後、わずかな期間、母親と共に暮らしますが、6歳の頃には弟と共に遠い親戚に預けられることになります。
「その家ではろくに食べ物も与えられませんでした。暴力も酷く、公園でとがった石を並べた上に2時間も正座させられたこともありました。栄養源は、学校の給食のみ。川で捕まえたザリガニを火で炙り、飢えをしのぐこともありましたね。空腹状態が続いたおかげで、僕は拒食症に、弟は栄養失調になりました。さすがに学校でも『おかしい』ということになり、僕たちは児童養護施設に保護されることになったんです」。
児童養護施設で、幼い兄弟が感動したこと。それは朝昼晩に食事がちゃんと出るということでした。坂本さんは、自分たちを救ってくれた養護施設へのお返しとして、2000年に全国の養護施設にいる子ども達を支援する基金「こころの青空基金」を設立。坂本さんの試合には、施設の子ども達が集結し、声を枯らして応援しました。
「打たれても打たれても、前へ出るのが僕のボクシング。僕は子ども達に、ボクシングを通して『運命は切り開く事ができる』と伝えたかった。
そして、僕自身も子ども達の応援に勇気づけられていました」。

1度だけ出会った父は、正義感と力に溢れる男だった

坂本さんは、ボクシングを通じて出会ったファンの応援に支えられ、通算4度も世界タイトルマッチに挑戦。この不撓不屈の精神を支えたのは、やはり子ども達の存在でした。
「どんなに過酷な状況にいても、愛情を背に受けて支えられていれば、人は変われるし、前に進めるんです」。
周囲からの愛情が前に進む勇気を与えてくれた……。しかし現在、自身のご両親に対しては、どのような感情を持っているのでしょうか。
「父親とは、中学1年生のときに、1度だけ会ったことがあります。当時、僕は柔道の顧問教師にも腕相撲で勝っていたほど力自慢でしたが、父親との腕相撲では、あっという間に負けました。地元の人に話を聞くと、父は正義感溢れる強い男として有名だったそうです。
最後に父の声を聞いたのは、98年。世界タイトル戦の前哨戦の1週間前に突然、電話が来たのです。どうしても会いたいから九州に来てくれと。 僕は試合を終えたら行くと伝えましたが、父はその3日後に亡くなりました。父との思い出はそれだけ。
でも、男気のある人だったという話を聞くと、嬉しい気持ちになります。母は、養護施設に迎えにきてくれた時点で全てを許しています。両親に恨みの気持ちなんてありません」。

坂本さんの心を奮い立たせた少年との出会い

坂本さんはリングの外で、もうひとつの闘いを経験しています。それは怪我との闘いです。
05年、日常生活もままならないほど悩まされていた重度の椎間板ヘルニアを治療するべく、手術を決意します。全ては現役続行のための決断。しかし、腰の手術をしてカムバックしたボクサーはこれまで前例がありませんでした。
「わずかな望みを託した手術は無事、成功しました。でも、その後は長く辛いリハビリ。入院中は正直、弱気になったこともありました……。そこで出会ったのが、当時14歳の少年タッちゃんです。彼は剣道の有望選手だったのですが、事故で寝たきりになっていた。でも、彼は人の何十倍も努力して、リハビリを続けていました。貧血になっても、医者に止められてもリハビリを止めない姿を見て、僕は人間の根本的な強さを学びました」。
タッちゃんは、血のにじむような努力を続け、車いすで移動できるまでに回復。全日制の普通高校にも合格し、現在は大学受験に挑戦中だそうです。
「僕はタッちゃんから熱意をもらい、僕もタッちゃんに熱意を放ちました。他の患者さんも含め、熱意の輪が広がったことで、自分の中に諦めない心が生まれ、不可能を可能にしたんです」。
坂本さんは懸命なリハビリを成し遂げ、遂にリングへ復帰。06年に奇跡のKO勝利を飾ります。そしてその2試合後、引退を決意しました。
「引退試合のリングを降りるとき、みんなの声援がわーっと聞こえました。そのとき、僕は世界チャンピオンの称号は得られなかったが、素晴らしい財産を得たんだと思いましたね。熱を持って打ち込めば、熱は必ず返って来ると。ボクシングは僕の生き様です。そこから多くの人が何かを感じてくれたと最後に思うことができました」。
現在、坂本さんの熱は、全国の児童養護施設への支援に注がれています。施設の環境の改善、そして子ども達への心の触れ合いを重ねるべく、坂本さんは全国を飛び回っています。
「現在、全国の児童養護施設は定員オーバーの状態。日本の子どもの人口は減っているのに、施設の数は約560か所にも増加し、それでも足りない。そして、虐待を受けて入所する子どもが増え続けています。この状況は日本の未来の危機です。僕はこの現状を多くの人々に伝えなければいけない。そして多くの子ども達の心に、熱を伝えていきたいと思っています。病気も悪い環境も、どんな状況にあっても熱を持っていれば、人は変われる。運命は変えることができるんだ!と」。
坂本さんが放つ熱の輪は、少しずつ着実に広がり続けていきます。

『僕は運命を信じない』
『僕は運命を信じない』
(西日本新聞社刊)1,575円(税込)
田中 耕・著
「どんな環境や境遇に生まれようとも、人は変われる。どんな困難が起きても、必ず立ち上がってみせる。」絶望の中でも夢を追い続けた坂本さんの生い立ちから現在までの壮絶な生き様の記録。

夏休みを満喫するための アレルギー対策

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夏休みを満喫するための アレルギー対策

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

旅行、キャンプ、プールに海水浴など、夏は外泊や屋外でのレジャーが増える季節。
そんな季節を楽しく快適に過ごすためのアレルギー対策を紹介します。

これからの季節は、帰省や旅行で外泊したり、海やプールで泳いだり、キャンプに出かけて野外で過ごしたりと、夏ならではのイベントも多くなります。ダニやカビなど、自宅でのアレルギー対策は万全でも、外泊先の寝具など、環境が変わって症状が悪化したという話は多いもの。症状の悪化が心配で、旅行やレジャーには消極的になってしまいがちな人も多いでしょう。
でも、宿泊先などで悪化につながる原因を知り、その対策をしっかり準備していけば大丈夫。ちょっとした工夫で、夏休みを快適に楽しめるポイントを紹介していきましょう。

外泊を快適に

帰省先など、他の家に泊まる場合

食事 ここに注意

食物アレルギーがある場合、宿泊先での食事にも注意が必要。実家など宿泊先の方に、食物アレルギーについて理解してもらうことが一番のポイントです。

対策

●宿泊先の方に説明し、食材・調味料を持参して自分で料理する。
●症状が強い場合は、鍋やフライパンなど調理器具も持参する。
●症状が強い場合、食物に接触して悪化する場合があるので、宿泊先でその食品を避けてもらう。

アレルギーを理解してもらおう

父方の実家へ行く場合はお父さんが、母方の実家へ行く場合はお母さんが、実家の方たちに食物アレルギーについてしっかり説明してください。理解が得られれば、対策はより簡単になるものです。

寝具 ここに注意

実家や知人の家など他の家に泊めてもらうときは、特に寝具に注意します。お客さん用の布団は、長い間押入れにしまわれています。そこから出したばかりの寝具には、ダニの糞や死骸のかけら、カビなどが多く付着しているため、湿疹や鼻炎、喘息発作の引き金になることも。特に梅雨をこえたばかりの時期や秋口は、高温多湿でダニ・カビが増えやすいので要注意です。

対策1 実家などで可能であれば、事前に以下のお願いをしましょう

●寝具を何回か外に干して、掃除機をかけておいてもらう。
●毛布や枕カバーなど、洗えるものは洗濯しておいてもらう。

対策2 対策1ができない場合、自分でできることもたくさんあります。
対策
●宿泊先の寝具に掃除機を自分でかける。
●防ダニ用のシーツや布団カバー(高密度に編まれた製品)を持参し、宿泊先の布団をおおってしまう。
●封筒型の寝袋(シェラフ)を持参する。

ソバがら枕に注意!

ソバアレルギーがある場合、ソバがら枕は避けましょう。ソバがら枕はポリ袋などに入れてしまってもらうようにお願いし、ソバがらの粉が落ちていそうなところには掃除機をかけておきます。

旅館やホテルに泊まる場合

寝具 ここに注意

旅館やホテルでは、空調がコントロールされ寝具のシーツやカバー類もクリーニングされています。かといってトラブルが少ないとは言い切れず、自分でコントロールしにくい分、特に寝具対策を準備していったほうが安心です。

対策

●旅館の寝具の上で飛び跳ねたりホコリを立てるようなことをしない。シーツは清潔でも、布団やベッドには、ダニやカビが多い場合があります。
●封筒型の寝袋(シェラフ)を持参し、布団の上に広げて使う。

寝袋を活用しよう

最近は、質のいい寝袋が安価で手 対策に入るようになりました。寝袋を1週間以上かけて何度か干し、掃除機をかけてダニやカビが少ない状態に保ち、旅行に持ち歩けば安心です。
寝袋を選ぶ際は、封筒型のものが使いやすく便利です。表面の素材は木綿のものを選びます(中面は化学繊維でもしかたないでしょう)。

合宿や修学旅行での食事 ここに注意

家族や知人との旅行の場合、食事に関しては食べられるものを持参するなど自由度が高いので、融通が利きやすいもの。でも、学校の合宿や修学旅行などでは、制約も多くなります。事前に引率の先生と相談することが大切です。

対策

●先生と相談し、事前に献立メニューを教えてもらう。食べられないものが多い場合は、食べられるものを持参する。
●無理にみんなと同じものを食べて具合が悪くなれば旅行が台無しになってしまうと、本人が自分で気をつけるように促す。

旅行はお子さんが自己管理を学ぶよい機会

合宿や修学旅行は、お子さんが親元を離れて、自己判断でアレルギー対策して自分に合った食を選択できるようになるための良い機会と捉えましょう。楽しい旅行にするにはどうしたらよいか、しっかり事前準備をして学べるようにフォローしてあげてください。

楽しい夏休みを過ごすためにも万全のアレルギー対策をしておきたいものです。特に外泊時の食事や寝具対策は必要です。

親戚の場合、事前にアレルギー食や寝具について伝えておき、あらかじめ対策をお願いするか自分でできることは自分で対処しましょう。そばアレルギーの場合そば殻枕は要注意です。

旅館やホテルはクリーニングされていて安心かというとそうでもありません。寝袋を持参するのも一つの方法です。

食事も食べられるものを持参する、修学旅行の場合などは事前に先生に相談するといった対策が必要です。

アトピー改善に役立つ睡眠の話

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アトピー改善に役立つ睡眠の話


睡眠は健康の要。しっかり睡眠を確保できれば、アトピー性皮膚炎の改善にもつながります。それはわかっていても、私たちは意外と睡眠について知らないもの。しっかり眠りたくても不眠に悩まされる方も多いはず。アトピーを改善するために知っておきたい睡眠の基礎知識を、睡眠学の内山真先生にうかがってきました。

取材・文/末村成生 イラスト/佐藤加奈子

監修:内山 真

監修:内山 真
日本大学医学部精神医学系主任教授。専門は精神神経学、睡眠学、時間生物学。1954年、神奈川県生まれ。東北大学医学部卒業。東京医科歯科大学で精神科研修医、現・国立精神・神経医療研究センター室長、へファタ神経学病院睡眠障害研究施設(ドイツ)センター長などを経て、現職に到る。主著に『睡眠のはなし』中公新書、『睡眠の病気(別冊NHK今日の健康)』NHK出版などがある。

アトピーを治すためには、たくさん寝たほうがいいの?

標準的な睡眠時間で大丈夫

アトピー性皮膚炎だからといって睡眠時間を特に多く確保する必要はなく、健康な人の標準的な睡眠時間で十分です。標準的な睡眠時間は、年齢差や個人差はあるものの、6時間台から7時間台あたりと考えてください。
睡眠時間についてはあとぴナビレター8月号の「理想的な睡眠時間は?」で詳しく説明しましたが、短すぎても長すぎても高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかるリスクが高くなります。

感染症にかかると眠気が強くなる

ところで、風邪をひいたときに、いつもより長時間ぐっすり眠れたという経験のある人は多いのではないでしょうか? 風邪など全身性の感染症にかかると、体がだるく眠気が強くなります。そして、いつもよりよく眠った後に治ってきます。昔から、肺炎になってもよく眠る人は経過がよいといわれています。

免疫機能が体を休ませている

これは、睡眠で体が休まることもありますが、体に備わっている免疫機能が関係しています。体を病原菌から防御する免疫の働きは血液中の白血球が担っていますが、白血球が主に作り出すサイトカイン(細胞に情報を伝達する役割を持つタンパク質)には、睡眠物質(プロスタグランディンD2など脳内で眠気を引き起こす作用のある物質)の働きを高めるものがあることがわかってきました。 
風邪などの感染症にかかると、白血球は睡眠物質の働きを高めるサイトカインを作り出して体を休めるように促がしながら、病原菌と戦っているわけです。 
アトピー性皮膚炎の患者さんは、ヘルペス(帯状疱疹)などの感染症を併発することも多いので、その場合はいつもより眠くなりやすくなるかもしれません。

眠るときにかゆくなったり、寝汗が出るのはなぜですか?

体温を下げることで脳と体は休息する

睡眠の役割は、脳を含めて体全体を休息させること。脳と体を休ませるための仕組みは実にシンプルで、身体内部の温度を下げることで休息していきます。身体内部の温度が下がると、生体内を支える生化学的反応が抑制されて、エネルギー消費量が減ります。エネルギー消費量が減ることで、脳や身体は休息できるというわけです。 
体内の温度は、外部に熱を逃がすことによって下がっていきます。眠くなってぐずりだした赤ちゃんの手をさわると、温かくなっていますよね。内部の熱を逃がすために、特に手足の甲などの血管が開くため、体の表面は逆に温かくなります。アトピー患者さんが寝入りばなにかゆみを感じやすいのは、血管を開いて熱を逃がそうとする体の働きのためなのです。

寝汗は体の温度調整によるもの

睡眠中に汗をかくのも、体の温度調整を行うためです。健康な大人は眠っている間にコップ一杯分程度の寝汗をかきます。睡眠中に最も汗をかきやすいのは、眠り始めの1~2時間。この頃は最も眠りが深くなります。寝汗をかくときは睡眠が深いので、通常は目を覚ますことはありません。しかし、暑くて寝苦しかったり、体にかゆみや痛みなどの不快症状がある場合は、目を覚ましてしまうことがあります。アトピー性皮膚炎の患者さんの場合は、かゆみで目を覚ましたらすごい寝汗をかいていて非常に不快な思いをするケースが多いものです。

気持ちよく眠れる睡眠環境を作る

ここで認識してもらいたいことは、「寝汗は悪いものではなく、出たほうがよいもの」であるということ。たっぷり汗をかいて目が覚めると不快なものだから、とかく寝汗は悪者にされがちです。しかし、汗をかくこと自体は体によいことなので、汗をかいても不快を感じにくい睡眠環境づくりを心がけましょう。最近は昔よりも、吸湿性や通気性がよい寝具が手に入りやすく種類も豊富です。汗をうまく逃がしてくれる寝具や衣類を選び、暑い季節はエアコンをうまく活用して、気持ちよく眠れる環境を作ることが快眠への第一歩です。

アトピー性皮膚炎の場合、睡眠時間は多い方がいいのかというとそうでもありません。通常の6~7時間で十分です。

感染症などにかかった場合は眠気が強くなり、肺炎の場合などよく寝た人の方が回復が早くなります。

免疫機能の働きで白血球が作り出すサイトカインが睡眠物質(プロスタグランジンD2など)の働きを高めて眠らせて回復を早めます。

寝汗も通常の睡眠でかくものです。寝汗自体は悪ではないので、出てもエコアのように通気性の高い寝具やエアコンなどをうまく利用して快適な睡眠環境をつくることが大事です。

生活環境を見直せばアトピーは改善できる!

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生活環境を見直せばアトピーは改善できる!

5月にNHKの番組『あさイチ』で「謎のシックハウス症候群を追え」が放送されました。シックハウス症候群や化学物質過敏症への視聴者の皆さんの関心は高く、放送中に数多くのご意見・問い合わせが来たそうです。
その番組に出演していた東海大学医学部教授の坂部貢先生に、生活環境における化学物質汚染の状況とその対策についてお話をお聞きしました。

ここまでわかった!シックハウス症候群・化学物質過敏症の正体

シックハウス症候群と化学物質過敏症の違い

シックハウス症候群とは、住居内の化学物質のみならずダニやカビやほこりなど原因が住居内にある場合をいいます。化学物質過敏症は住居内に限らず街路樹にまかれた殺虫剤や隣の人から発する香水などの化学物質も原因になります。
新築やリフォームなどで使われた建材から揮発する化学物質でシックハウス症候群になり、その後、屋外の化学物質にも反応して化学物質過敏症になるケースが多いです。
症状は、頭痛・めまい・筋肉痛・関節痛・疲労感・下痢・便秘・視力障害・皮膚のかゆみ・炎症・睡眠障害など様々。特定の化学物質が特定の症状を示すのではなく、様々な症状を示し、しかも人によって違うことが多いのです。さらに、同じ人で同じ化学物質という条件でも、日によって症状が違ってくることがあるので、診断が難しくなることがあります。
発病は男性よりも女性が多く、主婦の場合室内にいる時間が多いので症状が出やすいといわれています。
また、化学物質による症状が出ても出なくても、大人より細胞分裂が活発で成長期にある子どもの方が衣食住の化学物質による影響を受けやすいといえます。空気中の化学物質は空気より重い物質が多く、床面に近い空気を吸っている低年齢の子どもほど影響は大きくなります。化学物質過敏症の患者さんの場合、床や畳に布団を敷いて寝るよりもベッドで寝た方が症状が出にくいことがあります。ベッドの高さも高くした方がよいでしょう。

どうして化学物質過敏症になるの?

空気中のごく微量の化学物質に反応して症状が出る人が多くいます。中には食べ物や飲み物の農薬や食品添加物などに反応する人、化学繊維、合成洗剤で洗った衣類、プラスチック、金属などに接触して反応する人もいます。このように、様々な形で化学物質過敏症は発症します。
空気中の化学物質に反応する化学物質過敏症の患者さんで、血圧が高く、毎日高血圧の薬を飲んでいても何も反応せず、症状が出ない人がいました。化学物質過敏症は、体内に入ってくる化学物質が一定量を超えると、発病するという仮説があります。化学物質を水に、カップを体に例えて、カップに入れた水がカップからあふれ出ると発病するという考え方です。
しかし、空気中の化学物質よりはるかに量の多い薬剤の化学物質を飲んでも発症しないケースでは、この仮説が当てはまりません。
そこで、化学物質過敏症には空気化学物質過敏症、食物化学物質過敏症、接触化学物質過敏症の三つが存在し、お互いに影響し合っているとの仮説を立てました。化学物質が注がれるカップには、空気センサーと食物センサーと接触センサーと三つのカップがあり、それぞれのカップが大きくなったり小さくなったりし、そして三つのカップが互いにパイプで繋がっていると考えられます。
この患者さんの場合、当初、空気用のカップが小さく、食物用が大きかったため、高血圧の薬を飲んでいても反応しなかったのでしょう。ところが、薬を飲み続けた結果、空気化学物質過敏症の症状が悪化し、徐々に薬にも反応するようになり、薬が飲めなくなりました。

カップの水が溢れ出すと化学物質過敏性に

それぞれのカップは大きさが変化し、パイプでつながっている

カップの水が溢れ出すと化学物質過敏性に

シックハウス症候群で気をつけたい13の物質

2003年の改正建築基準法の施行により、新建材、接着剤、塗料、防虫剤などに使われていたホルムアルデヒドなど13種類のVOC(揮発性有機化合物)の指針値が決められました。VOCとは、揮発性があり、大気中で気体状になる有機体の総称。厚生労働省が定めたVOC指針値は、空気中に含まれるこれらの有害物質に対するガイドラインです。
しかし、これらのVOCが指針値以下にもかかわらず、シックハウスの様々な症状が出現することがあります。
建築関係のメーカーはこれらの13物質以外のVOCを使うようになったのですが、それらも化学物質ですから当然シックハウスの原因となります。つまり、13種類のVOCが指針値以下の住宅でも、シックハウス症候群になる可能性がゼロとは言い切れないわけです。また、この指針値は安全値ではなく目標値のような数値です。本当の安全値は、有害物質がゼロの状態でしょう。

国が指針値を出している13 種類のVOC

※ 25℃のときの換算値。ppb1/1000ppm。

生活用品にも要注意

なるべく有害な化学物質を使っていない自然建材で住宅を建てたとしても、家の中には様々な化学物質が存在します。例えば、畳の防虫紙に含まれている殺虫剤(農薬に近い毒性を持つものもあります)によって健康被害を受けた人も少なくありません。
畳の防虫紙は、畳を敷いてしまうと表面からは、使っているかいないか判りません。使っていた場合、防虫紙だけを取り除こうとしても糸で縫ってあるため取れません。畳そのものを換えなければいけなくなります。
夏は蚊取り線香や電気蚊取り器を使っている人が多いようですが、こちらもほとんど農薬と同じ成分の殺虫剤が使われています。蚊に刺されてかゆくなるのも大変ですが、微量の殺虫剤を吸い込むことでも、化学物質過敏症による強いかゆみや炎症が起きるので注意が必要です。
また、抗菌剤は様々な生活用品に使われています。抗菌剤で気をつけたいのは、皮膚には表皮ブドウ球菌という常在菌がいて、肌のうるおいやバリア機能に役立っていますが、抗菌グッズで皮膚の常在菌がダメージを受けると、皮膚のバリアー機能が低下し、免疫力が低下してしまうことがあります。
もちろん、常在菌を保護するために体を洗わず不潔にしていてもよいということではありません。薬剤に頼らず清潔を保つことが大切です。さらに、抗菌剤による薬剤耐性菌の出現が心配されます。

化学物質過敏症はアトピー性皮膚炎の元凶だしやっかいな病気です。シックハウス症候群など今でも苦しんでいる患者さんは多くいらっしゃいます。

化学物質過敏症には空気化学物質、食物化学物質、接触化学物質過敏症の3つが存在します。それぞれが影響しあったりします。

VOC(揮発性有機化合物)のガイドラインを守っていてもシックハウス症候群になったりするので毎日使う生活用品には気を配る必要があります。

腸内環境を整えてアトピーを遠ざける日常生活のポイント

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腸内環境を整えてアトピーを遠ざける日常生活のポイント

腸内環境を整えることが、健康の基本となる理由

大腸は病気の発生源

大腸がん、大腸ポリープ、炎症性腸疾患など、大腸は一番病気の種類が多い臓器です。さらには、アトピー性皮膚炎なども含めた様々な病気の発生源ともいわれています。
なぜ、大腸では病気が起こりやすく、体全体に影響を与えるのでしょうか? 大腸に住み着いている膨大な数の腸内細菌が、その原因です。
人間の大腸には、500~1000種類以上、600~1000兆個の細菌が住んでいるといわれています。それらの細菌が、大腸にどのように働きかけているかを調べてみると、善玉菌(体に有用な菌)・悪玉菌(体に有害な菌)・日和見菌(善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方する菌)の挙動がみえてきます。
健康な状態では、善玉菌20%・悪玉菌10%・日和見菌70%のバランスが保たれています。善玉菌が優勢であれば、日和見菌は善玉菌の味方となり、小腸から送り込まれた食べ物のカスが発酵して良好な状態を保ちます。このバランスが崩れて悪玉菌が優勢になると、日和見菌は悪玉菌の味方となって腸内では腐敗が起きやすくなり、体全体に様々な悪影響をもたらすのです。

乳酸菌がアトピー発病を抑えた

ここで、アトピー性皮膚炎患者の腸内細菌に関する研究を紹介しましょう。
エストニアとスウェーデンで行われた2歳児を対象にした調査では、アレルギー症状がある場合、クロストリジウムなどの悪玉菌が優位であったと報告されています。
フィンランドでは、アレルギー症状を呈している妊娠中の母親(出産6週間前)に、善玉菌である乳酸菌(L・ラムノーザスGG株)を与え、産まれた新生児とともに、同一の乳酸菌を6カ月間投与し、アトピー性皮膚炎の予防効果を調べています。
この調査は、乳酸菌入りカプセルを投与するグループ(64人)と乳酸菌が入っていないカプセルを投与するグループ(68人)に分けて進められました。調査に参加した132人の乳児のうち46人(35%)が2歳の時点でアトピー性皮膚炎と診断されましたが、このうち乳酸菌を与えられなかったグループでは68人中31人(46%)、乳酸菌を与えたグループでは64人中15人(23%)がアトピー性皮膚炎でした。この結果から、乳酸菌がアトピー発症を抑えたと考えられています。

グラフ

健康の秘訣は腸内細菌のコントロール

アトピー性皮膚炎に限らず、大腸がん、肝がん、乳がん、インフルエンザ、花粉症など様々な病気においても、腸内環境を整える(善玉菌を増やす)ことが予防や症状改善につながるという研究報告が多数あります。
腸内には免疫細胞の70%が集まっています。腸内環境が整うことで免疫機能が正常に働き、様々な疾病の発症を抑えたり、悪化した症状を改善します。腸内細菌のバランスが崩れると、正常な免疫力が低下してしまうので、様々な病気の発生源となってしまうのです。
だとすれば、腸内細菌をうまくコントロールすることが健康の秘訣ということになります。大腸は病気の発生源となる臓器ですが、同時に健康な状態へとコントロールしやすい臓器でもあるのです。そのカギは善玉菌を増やすこと。では、善玉菌を増やすにはどうしたらいいのでしょうか。

腸内環境、つまり大腸の健康状態がアトピー性皮膚炎と関係があるとは驚きです。

大腸に乳酸菌カプセルを投与した調査の結果から乳酸菌がアトピー性皮膚炎の発生を抑制したと考えられています。

大腸には多くの細菌がいることは明らかになってますが、何に気をつけると健康な体を保てるんでしょうか。

やはりまずは食べ物です。特に乳酸菌やビフィズス菌などの発酵食品が入った食品をとることです。

体内時計の調整で痒みを軽減する

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体内時計の調整で痒みを軽減する
アトピー性皮膚炎による痒み、気管支ぜんそくによる咳、花粉症によるくしゃみなど、アレルギー疾患の症状は、患部の炎症によって生じます。皮膚の炎症がかゆみになり、気管支の炎症により咳が出るといった具合ですが、炎症が起こる仕

アレルギー症状が起こる仕組み

組みには共通点があります。今回の研究を理解するために、まずは炎症のメカニズムから説明していくことにします。
「痒くなるのはヒスタミンが出るからだ」と聞いたことがないでしょうか。ヒスタミンは主に肥満細胞の中に貯蔵されていて、何らかの刺激を受けると細胞から放出されます。つまり、肥満細胞からヒスタミンがばら撒かれると炎症を起こし痒みが生じます。
では、どんな刺激を受けるとヒスタミンがばら撒かれるのでしょう?
刺激を与えるのは、アレルゲンと呼ばれる体外部の異物です。花粉症だったらスギやヒノキの花粉、食物アレルギーだったら様々な食品、ダニやほこりも代表的なアレルゲンです。
これらのアレルゲンが体内に侵入すると、Ig Eという抗体が作られます。抗体とは侵入してきた異物を追い出そうとする物質で、IgE 抗体にはアレルギーを起こす物質を追い出す役割があります。

肥満細胞をコントロールして炎症を軽減する

アレルゲンが体内に侵入すると、Ig E 抗体はアレルゲンを追い出すために肥満細胞にくっつきます。肥満細胞がIg E 抗体を介してアレルゲンを認識すると、細胞膜が破れてヒスタミンなどの炎症物質がばら撒かれ、患部が炎症を起こすのです。
話を非常に簡略化しましたが、アレルギー疾患による炎症(痒み、咳、くしゃみなどの病態)は、すべて同じメカニズムにより起こります。このメカニズムの主役は、IgE 抗体を介してヒスタミンを放出する肥満細胞です。アレルゲンの情報をIgE 抗体からキャッチして、炎症物質であるヒスタミンを放出する肥満細胞。この細胞をコントロールすることで炎症を軽減することはできないものか?
この発想が本研究のベースとなるものです。
肥満細胞をコントロールするということは、かゆみの原因となる肥満細胞の活動を抑えることです。活発な肥満細胞に「もう少しおとなしくしてもらえないものか」というわけです。そして研究チームは、肥満細胞が比較的おとなしい(不活発な)時間帯が存在することに着眼しました。
アトピーが夜に悪化しやすかったり、朝方になると花粉症が激しくなったり、アレルギー疾患には悪化しやすい時間帯があります。大きな傾向として、活動的な時間(昼間)は症状が軽めで、休息の時間(夜間〜明け方)に悪化しがちです。

時刻によって肥満細胞は変化する

体内時計のしくみ

体内時計のしくみ

脳、臓器、血管、筋肉など、体中のあらゆる細胞に備わった時計遺伝子は、それぞれが固有のスケジュールを持ち、時を刻んでいます。しかし、約30兆個に及ぶ細胞がそれぞれの部位に見合ったタイミングで正確な時を刻むのは至難の業。それぞれの時計のタイミングを合わせる(同調)ためには、中枢となる体内時計が必要です。
その役割を担っているのが、脳の視床下部にある視交叉上核。視交叉上核は中枢時計として、約24 時間周期という地球のリズムに合わせるために日の出の光を利用しています。
朝日の光で寝室が明るくなると、網膜から入った光を中枢時計である視交叉上核が感知します。すると夜間の睡眠を促していたメラトニンの分泌が止まり、目が覚めて新たな1 日が始まります。このように、中枢時計が光によって毎朝体内時計をリセットし、末梢時計が同調してタイミングを合わせているのです。

かゆみが起きる時間が大体決まってるような気がしますが。
 

そうですね。実は体内時計といって体が覚えている時計によってアレルギー反応が強かったり弱かったりします。

IgEやヒスタミン、抗原だけの問題ではなかったのですね。
 

基本的には抗原が侵入すると肥満細胞がヒスタミンを出して炎症が起こるののですが、その肥満細胞の活動を抑えられないかというのが今回の研究テーマです。

喫煙により高まるアトピー発症のリスク

未評価です。

喫煙により高まるアトピー発症のリスク

いまだにはっきりしない喫煙とアトピーの関係

J T(日本たばこ産業株式会社) が行った「2016年全国たばこ喫 煙者率調査」によれば、日本の成人 男性の平均喫煙率は 29.7%、成人 女性では9.7%でした。世界的な 禁煙傾向の中で日本人の喫煙率も減 少し続けていますが、受動喫煙を含 めて日常的な喫煙曝露(タバコ煙の 吸入)の機会が多い人にとっては、 喫煙のアトピー性皮膚炎への影響が 気になるところです。
喫煙曝露とアトピー性皮膚炎の関 連については、これまで多くの調査・ 研究が行われてきましたが、いまだ にはっきりとした結論は出ていない 状況と言えるでしょう。タバコがア トピー性皮膚炎のリスクを高めると いう報告もあれば、ほとんど関連が ないとする報告もあり、いま一つ釈 然としない感があります。
そんな状況の中で、今回ご紹介す る愛媛大学の研究成果「出生前後の 喫煙曝露と子のアトピー性皮膚炎と の関連」は、妊娠中の喫煙が幼児の アトピー性皮膚炎発症のリスクを高 める可能性を示したものです。この 研究の概要を、統計データを交えて 説明していきましょう。

出生前後の喫煙曝露をより詳しく調査する

出生前後の喫煙曝露

愛媛大学が主導する共同研究チー ムによる「九州・沖縄母子保健研 究」は、九州・沖縄地区の妊婦さん 1757名が参加した大規模な疫学研究です。
妊娠中・出生時・4カ月時、1歳 時、2歳時と長期間にわたる調査を 行い、2歳時には「過去1年の間に アトピー性皮膚炎の症状が出たこと があるか?」「2歳までに医師によ るアトピー性皮膚炎の診断を受け たことがあるか?」を追跡調査して 1354組の母子が解析対象者とな りました。
一般的に、妊娠中に喫煙する母親 は出産後も喫煙を続けるケースが多 いものです。そのため、出生前後の 喫煙曝露が子のアトピー性皮膚炎に 与える影響を、出生前・出生後に分 けて解析することは困難でした。  しかし今回の研究では、妊娠中か ら母親と生まれた子を追跡調査した ことで、出生前後の喫煙曝露の状況 を細かくグループ分けして調べるこ とに成功。研究対象は4つのグルー プに分類されました。

グループ1
母親をはじめ同 居家族に喫煙者がいないため、出 生前後の喫煙曝露が全くないグルー プ。

グループ2
妊娠中のみ母 親が喫煙していて出生後の受動喫 煙がないグループ。妊娠、出産を 機に母親が禁煙したということで す。

グループ3
妊娠中の母親 の喫煙はなく、出生後に家族の喫煙 による受動喫煙があったグループ。

グループ4
出生前後の両方に おいて喫煙曝露があったグループと なります。

アトピー性皮膚炎に喫煙は良い訳はないですよね。
 

実は関連性があるという研究結果は出ていません。今回の愛媛大学の論文は妊娠中の母親の喫煙とアトピー性皮膚炎の関連を研究したものです。

受動喫煙などもありますから気になりますね。
 

本人と家族含め周りの喫煙環境を4つのグループに分けて調べた興味深いものです。

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