アトピー性皮膚炎と生活

生活環境を見直せばアトピーは改善できる!

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生活環境を見直せばアトピーは改善できる!

5月にNHKの番組『あさイチ』で「謎のシックハウス症候群を追え」が放送されました。シックハウス症候群や化学物質過敏症への視聴者の皆さんの関心は高く、放送中に数多くのご意見・問い合わせが来たそうです。
その番組に出演していた東海大学医学部教授の坂部貢先生に、生活環境における化学物質汚染の状況とその対策についてお話をお聞きしました。

ここまでわかった!シックハウス症候群・化学物質過敏症の正体

シックハウス症候群と化学物質過敏症の違い

シックハウス症候群とは、住居内の化学物質のみならずダニやカビやほこりなど原因が住居内にある場合をいいます。化学物質過敏症は住居内に限らず街路樹にまかれた殺虫剤や隣の人から発する香水などの化学物質も原因になります。
新築やリフォームなどで使われた建材から揮発する化学物質でシックハウス症候群になり、その後、屋外の化学物質にも反応して化学物質過敏症になるケースが多いです。
症状は、頭痛・めまい・筋肉痛・関節痛・疲労感・下痢・便秘・視力障害・皮膚のかゆみ・炎症・睡眠障害など様々。特定の化学物質が特定の症状を示すのではなく、様々な症状を示し、しかも人によって違うことが多いのです。さらに、同じ人で同じ化学物質という条件でも、日によって症状が違ってくることがあるので、診断が難しくなることがあります。
発病は男性よりも女性が多く、主婦の場合室内にいる時間が多いので症状が出やすいといわれています。
また、化学物質による症状が出ても出なくても、大人より細胞分裂が活発で成長期にある子どもの方が衣食住の化学物質による影響を受けやすいといえます。空気中の化学物質は空気より重い物質が多く、床面に近い空気を吸っている低年齢の子どもほど影響は大きくなります。化学物質過敏症の患者さんの場合、床や畳に布団を敷いて寝るよりもベッドで寝た方が症状が出にくいことがあります。ベッドの高さも高くした方がよいでしょう。

どうして化学物質過敏症になるの?

空気中のごく微量の化学物質に反応して症状が出る人が多くいます。中には食べ物や飲み物の農薬や食品添加物などに反応する人、化学繊維、合成洗剤で洗った衣類、プラスチック、金属などに接触して反応する人もいます。このように、様々な形で化学物質過敏症は発症します。
空気中の化学物質に反応する化学物質過敏症の患者さんで、血圧が高く、毎日高血圧の薬を飲んでいても何も反応せず、症状が出ない人がいました。化学物質過敏症は、体内に入ってくる化学物質が一定量を超えると、発病するという仮説があります。化学物質を水に、カップを体に例えて、カップに入れた水がカップからあふれ出ると発病するという考え方です。
しかし、空気中の化学物質よりはるかに量の多い薬剤の化学物質を飲んでも発症しないケースでは、この仮説が当てはまりません。
そこで、化学物質過敏症には空気化学物質過敏症、食物化学物質過敏症、接触化学物質過敏症の三つが存在し、お互いに影響し合っているとの仮説を立てました。化学物質が注がれるカップには、空気センサーと食物センサーと接触センサーと三つのカップがあり、それぞれのカップが大きくなったり小さくなったりし、そして三つのカップが互いにパイプで繋がっていると考えられます。
この患者さんの場合、当初、空気用のカップが小さく、食物用が大きかったため、高血圧の薬を飲んでいても反応しなかったのでしょう。ところが、薬を飲み続けた結果、空気化学物質過敏症の症状が悪化し、徐々に薬にも反応するようになり、薬が飲めなくなりました。

カップの水が溢れ出すと化学物質過敏性に

それぞれのカップは大きさが変化し、パイプでつながっている

カップの水が溢れ出すと化学物質過敏性に

シックハウス症候群で気をつけたい13の物質

2003年の改正建築基準法の施行により、新建材、接着剤、塗料、防虫剤などに使われていたホルムアルデヒドなど13種類のVOC(揮発性有機化合物)の指針値が決められました。VOCとは、揮発性があり、大気中で気体状になる有機体の総称。厚生労働省が定めたVOC指針値は、空気中に含まれるこれらの有害物質に対するガイドラインです。
しかし、これらのVOCが指針値以下にもかかわらず、シックハウスの様々な症状が出現することがあります。
建築関係のメーカーはこれらの13物質以外のVOCを使うようになったのですが、それらも化学物質ですから当然シックハウスの原因となります。つまり、13種類のVOCが指針値以下の住宅でも、シックハウス症候群になる可能性がゼロとは言い切れないわけです。また、この指針値は安全値ではなく目標値のような数値です。本当の安全値は、有害物質がゼロの状態でしょう。

国が指針値を出している13 種類のVOC

※ 25℃のときの換算値。ppb1/1000ppm。

生活用品にも要注意

なるべく有害な化学物質を使っていない自然建材で住宅を建てたとしても、家の中には様々な化学物質が存在します。例えば、畳の防虫紙に含まれている殺虫剤(農薬に近い毒性を持つものもあります)によって健康被害を受けた人も少なくありません。
畳の防虫紙は、畳を敷いてしまうと表面からは、使っているかいないか判りません。使っていた場合、防虫紙だけを取り除こうとしても糸で縫ってあるため取れません。畳そのものを換えなければいけなくなります。
夏は蚊取り線香や電気蚊取り器を使っている人が多いようですが、こちらもほとんど農薬と同じ成分の殺虫剤が使われています。蚊に刺されてかゆくなるのも大変ですが、微量の殺虫剤を吸い込むことでも、化学物質過敏症による強いかゆみや炎症が起きるので注意が必要です。
また、抗菌剤は様々な生活用品に使われています。抗菌剤で気をつけたいのは、皮膚には表皮ブドウ球菌という常在菌がいて、肌のうるおいやバリア機能に役立っていますが、抗菌グッズで皮膚の常在菌がダメージを受けると、皮膚のバリアー機能が低下し、免疫力が低下してしまうことがあります。
もちろん、常在菌を保護するために体を洗わず不潔にしていてもよいということではありません。薬剤に頼らず清潔を保つことが大切です。さらに、抗菌剤による薬剤耐性菌の出現が心配されます。

化学物質過敏症はアトピー性皮膚炎の元凶だしやっかいな病気です。シックハウス症候群など今でも苦しんでいる患者さんは多くいらっしゃいます。

化学物質過敏症には空気化学物質、食物化学物質、接触化学物質過敏症の3つが存在します。それぞれが影響しあったりします。

VOC(揮発性有機化合物)のガイドラインを守っていてもシックハウス症候群になったりするので毎日使う生活用品には気を配る必要があります。

腸内環境を整えてアトピーを遠ざける日常生活のポイント

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腸内環境を整えてアトピーを遠ざける日常生活のポイント

腸内環境を整えることが、健康の基本となる理由

大腸は病気の発生源

大腸がん、大腸ポリープ、炎症性腸疾患など、大腸は一番病気の種類が多い臓器です。さらには、アトピー性皮膚炎なども含めた様々な病気の発生源ともいわれています。
なぜ、大腸では病気が起こりやすく、体全体に影響を与えるのでしょうか? 大腸に住み着いている膨大な数の腸内細菌が、その原因です。
人間の大腸には、500~1000種類以上、600~1000兆個の細菌が住んでいるといわれています。それらの細菌が、大腸にどのように働きかけているかを調べてみると、善玉菌(体に有用な菌)・悪玉菌(体に有害な菌)・日和見菌(善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方する菌)の挙動がみえてきます。
健康な状態では、善玉菌20%・悪玉菌10%・日和見菌70%のバランスが保たれています。善玉菌が優勢であれば、日和見菌は善玉菌の味方となり、小腸から送り込まれた食べ物のカスが発酵して良好な状態を保ちます。このバランスが崩れて悪玉菌が優勢になると、日和見菌は悪玉菌の味方となって腸内では腐敗が起きやすくなり、体全体に様々な悪影響をもたらすのです。

乳酸菌がアトピー発病を抑えた

ここで、アトピー性皮膚炎患者の腸内細菌に関する研究を紹介しましょう。
エストニアとスウェーデンで行われた2歳児を対象にした調査では、アレルギー症状がある場合、クロストリジウムなどの悪玉菌が優位であったと報告されています。
フィンランドでは、アレルギー症状を呈している妊娠中の母親(出産6週間前)に、善玉菌である乳酸菌(L・ラムノーザスGG株)を与え、産まれた新生児とともに、同一の乳酸菌を6カ月間投与し、アトピー性皮膚炎の予防効果を調べています。
この調査は、乳酸菌入りカプセルを投与するグループ(64人)と乳酸菌が入っていないカプセルを投与するグループ(68人)に分けて進められました。調査に参加した132人の乳児のうち46人(35%)が2歳の時点でアトピー性皮膚炎と診断されましたが、このうち乳酸菌を与えられなかったグループでは68人中31人(46%)、乳酸菌を与えたグループでは64人中15人(23%)がアトピー性皮膚炎でした。この結果から、乳酸菌がアトピー発症を抑えたと考えられています。

グラフ

健康の秘訣は腸内細菌のコントロール

アトピー性皮膚炎に限らず、大腸がん、肝がん、乳がん、インフルエンザ、花粉症など様々な病気においても、腸内環境を整える(善玉菌を増やす)ことが予防や症状改善につながるという研究報告が多数あります。
腸内には免疫細胞の70%が集まっています。腸内環境が整うことで免疫機能が正常に働き、様々な疾病の発症を抑えたり、悪化した症状を改善します。腸内細菌のバランスが崩れると、正常な免疫力が低下してしまうので、様々な病気の発生源となってしまうのです。
だとすれば、腸内細菌をうまくコントロールすることが健康の秘訣ということになります。大腸は病気の発生源となる臓器ですが、同時に健康な状態へとコントロールしやすい臓器でもあるのです。そのカギは善玉菌を増やすこと。では、善玉菌を増やすにはどうしたらいいのでしょうか。

腸内環境、つまり大腸の健康状態がアトピー性皮膚炎と関係があるとは驚きです。

大腸に乳酸菌カプセルを投与した調査の結果から乳酸菌がアトピー性皮膚炎の発生を抑制したと考えられています。

大腸には多くの細菌がいることは明らかになってますが、何に気をつけると健康な体を保てるんでしょうか。

やはりまずは食べ物です。特に乳酸菌やビフィズス菌などの発酵食品が入った食品をとることです。

体内時計の調整で痒みを軽減する

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体内時計の調整で痒みを軽減する
アトピー性皮膚炎による痒み、気管支ぜんそくによる咳、花粉症によるくしゃみなど、アレルギー疾患の症状は、患部の炎症によって生じます。皮膚の炎症がかゆみになり、気管支の炎症により咳が出るといった具合ですが、炎症が起こる仕

アレルギー症状が起こる仕組み

組みには共通点があります。今回の研究を理解するために、まずは炎症のメカニズムから説明していくことにします。
「痒くなるのはヒスタミンが出るからだ」と聞いたことがないでしょうか。ヒスタミンは主に肥満細胞の中に貯蔵されていて、何らかの刺激を受けると細胞から放出されます。つまり、肥満細胞からヒスタミンがばら撒かれると炎症を起こし痒みが生じます。
では、どんな刺激を受けるとヒスタミンがばら撒かれるのでしょう?
刺激を与えるのは、アレルゲンと呼ばれる体外部の異物です。花粉症だったらスギやヒノキの花粉、食物アレルギーだったら様々な食品、ダニやほこりも代表的なアレルゲンです。
これらのアレルゲンが体内に侵入すると、Ig Eという抗体が作られます。抗体とは侵入してきた異物を追い出そうとする物質で、IgE 抗体にはアレルギーを起こす物質を追い出す役割があります。

肥満細胞をコントロールして炎症を軽減する

アレルゲンが体内に侵入すると、Ig E 抗体はアレルゲンを追い出すために肥満細胞にくっつきます。肥満細胞がIg E 抗体を介してアレルゲンを認識すると、細胞膜が破れてヒスタミンなどの炎症物質がばら撒かれ、患部が炎症を起こすのです。
話を非常に簡略化しましたが、アレルギー疾患による炎症(痒み、咳、くしゃみなどの病態)は、すべて同じメカニズムにより起こります。このメカニズムの主役は、IgE 抗体を介してヒスタミンを放出する肥満細胞です。アレルゲンの情報をIgE 抗体からキャッチして、炎症物質であるヒスタミンを放出する肥満細胞。この細胞をコントロールすることで炎症を軽減することはできないものか?
この発想が本研究のベースとなるものです。
肥満細胞をコントロールするということは、かゆみの原因となる肥満細胞の活動を抑えることです。活発な肥満細胞に「もう少しおとなしくしてもらえないものか」というわけです。そして研究チームは、肥満細胞が比較的おとなしい(不活発な)時間帯が存在することに着眼しました。
アトピーが夜に悪化しやすかったり、朝方になると花粉症が激しくなったり、アレルギー疾患には悪化しやすい時間帯があります。大きな傾向として、活動的な時間(昼間)は症状が軽めで、休息の時間(夜間〜明け方)に悪化しがちです。

時刻によって肥満細胞は変化する

体内時計のしくみ

体内時計のしくみ

脳、臓器、血管、筋肉など、体中のあらゆる細胞に備わった時計遺伝子は、それぞれが固有のスケジュールを持ち、時を刻んでいます。しかし、約30兆個に及ぶ細胞がそれぞれの部位に見合ったタイミングで正確な時を刻むのは至難の業。それぞれの時計のタイミングを合わせる(同調)ためには、中枢となる体内時計が必要です。
その役割を担っているのが、脳の視床下部にある視交叉上核。視交叉上核は中枢時計として、約24 時間周期という地球のリズムに合わせるために日の出の光を利用しています。
朝日の光で寝室が明るくなると、網膜から入った光を中枢時計である視交叉上核が感知します。すると夜間の睡眠を促していたメラトニンの分泌が止まり、目が覚めて新たな1 日が始まります。このように、中枢時計が光によって毎朝体内時計をリセットし、末梢時計が同調してタイミングを合わせているのです。

かゆみが起きる時間が大体決まってるような気がしますが。
 

そうですね。実は体内時計といって体が覚えている時計によってアレルギー反応が強かったり弱かったりします。

IgEやヒスタミン、抗原だけの問題ではなかったのですね。
 

基本的には抗原が侵入すると肥満細胞がヒスタミンを出して炎症が起こるののですが、その肥満細胞の活動を抑えられないかというのが今回の研究テーマです。

喫煙により高まるアトピー発症のリスク

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喫煙により高まるアトピー発症のリスク

いまだにはっきりしない喫煙とアトピーの関係

J T(日本たばこ産業株式会社) が行った「2016年全国たばこ喫 煙者率調査」によれば、日本の成人 男性の平均喫煙率は 29.7%、成人 女性では9.7%でした。世界的な 禁煙傾向の中で日本人の喫煙率も減 少し続けていますが、受動喫煙を含 めて日常的な喫煙曝露(タバコ煙の 吸入)の機会が多い人にとっては、 喫煙のアトピー性皮膚炎への影響が 気になるところです。
喫煙曝露とアトピー性皮膚炎の関 連については、これまで多くの調査・ 研究が行われてきましたが、いまだ にはっきりとした結論は出ていない 状況と言えるでしょう。タバコがア トピー性皮膚炎のリスクを高めると いう報告もあれば、ほとんど関連が ないとする報告もあり、いま一つ釈 然としない感があります。
そんな状況の中で、今回ご紹介す る愛媛大学の研究成果「出生前後の 喫煙曝露と子のアトピー性皮膚炎と の関連」は、妊娠中の喫煙が幼児の アトピー性皮膚炎発症のリスクを高 める可能性を示したものです。この 研究の概要を、統計データを交えて 説明していきましょう。

出生前後の喫煙曝露をより詳しく調査する

出生前後の喫煙曝露

愛媛大学が主導する共同研究チー ムによる「九州・沖縄母子保健研 究」は、九州・沖縄地区の妊婦さん 1757名が参加した大規模な疫学研究です。
妊娠中・出生時・4カ月時、1歳 時、2歳時と長期間にわたる調査を 行い、2歳時には「過去1年の間に アトピー性皮膚炎の症状が出たこと があるか?」「2歳までに医師によ るアトピー性皮膚炎の診断を受け たことがあるか?」を追跡調査して 1354組の母子が解析対象者とな りました。
一般的に、妊娠中に喫煙する母親 は出産後も喫煙を続けるケースが多 いものです。そのため、出生前後の 喫煙曝露が子のアトピー性皮膚炎に 与える影響を、出生前・出生後に分 けて解析することは困難でした。  しかし今回の研究では、妊娠中か ら母親と生まれた子を追跡調査した ことで、出生前後の喫煙曝露の状況 を細かくグループ分けして調べるこ とに成功。研究対象は4つのグルー プに分類されました。

グループ1
母親をはじめ同 居家族に喫煙者がいないため、出 生前後の喫煙曝露が全くないグルー プ。

グループ2
妊娠中のみ母 親が喫煙していて出生後の受動喫 煙がないグループ。妊娠、出産を 機に母親が禁煙したということで す。

グループ3
妊娠中の母親 の喫煙はなく、出生後に家族の喫煙 による受動喫煙があったグループ。

グループ4
出生前後の両方に おいて喫煙曝露があったグループと なります。

アトピー性皮膚炎に喫煙は良い訳はないですよね。
 

実は関連性があるという研究結果は出ていません。今回の愛媛大学の論文は妊娠中の母親の喫煙とアトピー性皮膚炎の関連を研究したものです。

受動喫煙などもありますから気になりますね。
 

本人と家族含め周りの喫煙環境を4つのグループに分けて調べた興味深いものです。

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