アトピー性皮膚炎の知識

毛細血管がアトピーを改善する理由

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毛細血管がアトピーを改善する理由

肌の健康は 毛細血管から

「美肌の秘訣は血管力にあり」。化粧品・美容業界で、最近こんな声が大きくなっていることをご存知ですか?
ここ数年、大手化粧品メーカーが商品開発のために、競って血管の研究に取り組んでいるそうです。正確に言えば毛細血管の研究ですが、なぜ皮膚ではなく血管なのでしょうか?
体に張り巡らされた血管は、血液中の酸素や栄養素を体中の細胞に送り届け、老廃物を受取って循環しています。そんな血管の総延長は10万キロ。なんと地球2周半分もの長さになりますが、37兆個にもおよぶ人体の全細胞に酸素と栄養を送り届けるためには、これだけの長さが必要なのです。
もちろん皮膚細胞の栄養も、血管を通して送り届けられます。例えば皮膚の中にはコラーゲンを作る線維芽細胞がありますが、線維芽細胞に栄養が届かなければコラーゲンを作る能力が衰えていきます。コラーゲンが足りなくなれば、皮膚は弾力を失い劣化してしまいます。つまり皮膚の健康を左右しているのは、皮膚細胞に栄養を届ける血管ということになるわけです。

血管の安定化が美肌を保つカギ

すべての血管のうち、その9 9%を占めるの は毛細血管です。血管というと、私たちは人 体解剖図でおなじみの動脈や静脈を思い浮 かべがちですが、実は毛細血管が圧倒的に 多いのです。
皮膚に通じる体の末端や様々な臓器のま わりなどには、無数の毛細血管が張り巡ら されています。毛細血管の太さは5μ〜2 0μ。1μ(ミクロン)は1000分の1ミリ なので、最も細い毛細血管は200分の1 ミリにすぎません。動脈は体を巡る幹線道 路(表通り)のようなもので、そこに大量の 血液が流れます。動脈から枝分かれした毛 細血管は、いわば路地のような細い道。動脈 によって運ばれた血液中の酸素や栄養素は、 毛細血管を通ることではじめて細胞にたど り着きます。
毛細血管の構造を少し詳しくみてみま しょう。毛細血管の外側は壁細胞と呼ばれ る壁で覆われており、内側は内皮細胞に覆 われています。毛細血管は物質の透過性に 優れているのですが、酸素や栄養がむやみに 漏れてしまうと末端の皮膚にたどり着かな くなります。そこで、皮膚外側の壁細胞と内 側の内皮細胞がしっかり接着することで、毛 細血管の構造が安定化します。つまり、中身 が漏れにくくなり体の隅々まで酸素や栄養 が行き渡るようになります。このような健 康な毛細血管がバランスよく張り巡らされ ていることが、美肌を保つ条件となります。

肌の老化を招く 血管のゴースト化

ところが、老化や疾患などが原因で壁細胞ははがれやすくなります。壁細胞がはがれてしまうと内皮細胞もダメージを受けて、血管がつぶれて正常に機能しなくなります。高倉先生は、この状態を「血管のゴースト化」と呼んでいます。血管のゴースト化は加齢と共に進みます。皮膚の場合は、30代からゴースト化が進み始めて毛細血管がだんだん減ってきて、80歳と40歳を比べると30〜40%も減ってしまうという研究データがあります。毛細血管が減ってしまえば、皮膚に栄養が行き渡らなくなって最終的にはシワやシミになります。いくらスキンケアをしても、内部から栄養が届かないのでは効果が半減してしまいます。
皮膚以外でも、血管のゴースト化は進みます。例えば肝臓内の毛細血管がゴースト化すれば肝機能障害が起りやすくなります。脳の場合は、血管が減るというよりも栄養素などが漏れやすくなり、漏れた物質が脳内に溜まることで神経細胞が障害を受けてアルツハイマーなどの原因となります。

皮膚の健康と血管には深い関係があるんですね。
 

血管の研究が進むことで血管の健康状態が悪化すると皮膚の状態も悪化するとが分かってきました。

血管に健康状態があるとは思ってもみませんでした。悪化というのはどういう状態なのですか?

老化や疾患で血管の壁細胞が壊れて血液成分が漏れてしまい、栄養素が皮膚や臓器に行き渡らなくなる状態です。脳だと栄養素が漏れてアルツハイマーなどの病気の原因となります。

アトピーの痒みはなぜ慢性化するの?

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アトピーの痒みはなぜ慢性化するの?

痒みの研究が進化している

痒みを直接抑えることができる薬は今のところ存在しません。現在、アトピー性皮膚炎の治療に使われている薬は、皮膚の炎症を抑えるためのものだからです。薬で炎症を抑えた結果、痒みも治まってくるわけです。
痒みに直接アプローチする薬が存在しないのは、今までのアトピー研究において、皮膚を対象としたものが主流だったためと考えられます。痒みそのものに関する研究は少なく、痒みを感じる仕組みもほとんどわからなかったのです。
ところが近年では、痒みを伝える神経に着眼した研究が増えてきて、様々なことがわかってきました。「痒み」はこれまで「弱い痛み」と考えられていたのですが、ここ6〜7年で、痒みだけを起こす物質や、痒みだけを伝達する神経回路などが次々と発見されました。

痒みを感じる メカニズム

痒みを感じる メカニズム
痒みを伝える物質でよく知られているのは、GRP(ガストリン放出ペプチド)と呼ばれるタンパク質。脊髄の中にGRPがたくさん出ると痒くなることがわかってきました。
その仕組みを簡単に説明しましょう。皮膚からの痒みシグナルが神経に伝わるとGRPが出て、他の神経に発現しているGRPR(GRPの受容体)にくっつきます。それが次の神経細胞(ニューロン)に情報を伝え、さらに複雑な回路を経て脳に達することで痒みを感じます。
GRPとGRPRの発見によって痒みの研究は一気に進み、痒みを感じる仕組みの一端が見えてきました。ただし これは急性の痒み(様々な要因で日常的に感じる一過性の痒み)のメカニズムで、アトピー性皮膚炎などで痒みが慢性化した場合はどうなるのでしょう?
痒みは本来、皮膚に侵入しようとする異物を知らせ、掻くことで除去するという自己防衛反応と考えられます。このような正常な痒みは短期的に治まってしまいます。
しかし、アトピー性皮膚炎などの 慢性的な痒みにおいては、過度に 掻くことで皮膚炎が悪化し、さら に強い痒みを感じてしまうという 悪循環に陥ります。慢性化した病 的な痒みには、急性の痒みとは違っ た仕組みがあるのでしょうか?  これから紹介する研究は、どのよ うなメカニズムで痒みが慢性化す るのかを明らかにしようとするも のです。

慢性の痒みには 別のメカニズムがある

グラフA、グラフB
九州大学・津田教授らの研究チームは、アトピー性皮膚炎のモデルマウス(以下、アトピーマウス)を使って実験を行いました。
グラフAをみてください。アトピーマウスの痒み行動(引っ掻く回数)は週齢を重ねるごとに増えていき、15週間も経つとほぼピークに達します。生後15週のアトピーマウスの毛をそって皮膚を観察すると、引っ掻き傷だらけで人のアトピー性皮膚炎とそっくりな状態です。
通常の痒みでは、脊髄の中にGRP(ガストリン放出ペプチド)が出て神経活動が高まります。アトピーマウスでも同じことが起こっていて、脊髄後角の神経細胞(ニューロン)が活性化します。
次に、人為的にGRPを投与するとどのような変化が起こるかを調べました。すると、アトピーマウスも正常なマウスも痒みが増し、激しく掻くようになりました。このときのマウスの状態を30分間観察したものがグラフBです。正常なマウスは100回弱ぐらい掻いていましたが、アトピーマウスはその2倍以上掻いていることがわかります。これは、アトピーマウスでGRPの感受性が高まっていることを示します。
ここで予測できるのは、アトピーマウスのGRPもしくはGRPR量が増えているのではないかということ。そこでGRPとGRPRの発現量を調べましたが、変化はみられませんでした。つまり、何か他のメカニズムが働いてアトピーマウスの痒みが増しているのではないかと考えられるのです。

アトピー性皮膚炎と言えば痒み。痒みさえ抑えられれば皮膚の炎症も改善するんですが。

実は痒みそのものの研究はされてなく仕組みも分かってなかったみだいですね。
 

ここにきて痒みのメカニズムが明らかになりつつあり、アトピー性皮膚炎治療の切り札ができるといいですね。

痒みにはGRP(ガストリン放出ペプチド)と呼ばれるタンパク質が関係していると点までは分かっているようです。

皮膚と細菌叢の関係からアトピーの新たな治療法を探る

未評価です。

皮膚と細菌叢の関係からアトピーの新たな治療法を探る

論文「アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌叢が引き起こす」を読み解く

細菌の多様性が皮膚の健康を保つ

皮膚や腸をはじめとする人間の体には、数多くの細菌が共生しています。その種類は数千、数は数千兆におよぶといわれ、様々な働きを持つ多様な細菌のバランスが人間の健康に影響を及ぼしています。
腸内細菌の話はご存知の方も多いでしょう。人体の70%もの免疫細胞が集まる腸という器官には、様々な働きを持つ細菌の多様性とバランスにより腸内環境が形成されます。腸内環境は体の様々な器官に影響力を持ち、腸内の細菌叢に偏りが生まれて悪玉菌がはびこれば、免疫力が低下したり健康を損ねてしまいます。
皮膚の細菌叢でも同じことがいえます。皮膚表面の菌の多様性は腸内をしのぐことがわかってきましたが、皮膚表面の細菌叢の多様性が失われ、バランスが崩れることによって様々な弊害が生じます。

黄色ブドウ球菌が増えるとアトピーが悪化する!?

本研究「アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌叢が引き起こす」は、アトピー性皮膚炎が悪化した際には、皮膚表面の細菌の種類が著しく減り、その過半数が黄色ブドウ球菌によって占められるという現象の因果関係を明らかにするものです。
アトピー性皮膚炎患者の皮膚から細菌を取り出して培養すると黄色ブドウ球菌が多数発育することは、40年以上も前から知られていました。しかしながら、なぜこのような現象が起こるのかははっきりしないままでした。
アトピー性皮膚炎の悪化により黄色ブドウ球菌が増えるメカニズムがわかれば、まだわからないことが多いアトピー性皮膚炎の正確な理解につながり、新たな治療法の開発にもつながります。本研究は、このような成果を目指して行われたものです。

アトピーのモデルマウスを作る

アトピー性皮膚炎と黄色ブドウ球菌の関係の解明がなかなか進まなかったのは、これまでに適切な動物モデルが存在しなかったためです。つまり、人間のアトピー性皮膚炎と同じ症状の動物を用意することが難しかったのです。
本研究グループは、実験用マウスの皮膚からアダム(ADAM) 17という酵素を取り除くことでアトピー性皮膚炎のマウスを作り出すことに成功しました。アダム17は、細胞膜表面の表皮発育因子(EGF)を調整して細胞の分化・増殖や免疫応答などを調整する酵素。稀な疾患ですが、アダム17の遺伝子変異を持つ患者でアトピー性皮膚炎様の症状を示すことが報告されています。このアダム17を人為的に欠損させることで、アトピー性皮膚炎の湿疹モデルを作ったのです。

アトピーマウスでも皮膚炎悪化で黄色ブドウ球菌が増えた

グラフA、グラフB
アトピー性皮膚炎のモデルマウス(以下、アトピーマウス)の皮膚は、3週間ほどでカサカサし始めて8週目頃になると明らかな皮膚炎が認められています。この頃のマウスが、人間のように湿疹部分を掻いている動画も論文では示されています。
実際のデータも検証してみましょう。グラフA は皮膚からの水分蒸散量(TEWL)を計測したものです。水分蒸散量が多いほど皮膚は乾燥するのですが、3週め以降から健康なマウス(黄)に比べてアトピーマウス(赤)は皮膚から数倍の蒸散量があることがわかります。
グラフBはIg E(多くのアトピー患者で高い抗体)の値ですが、アトピー性皮膚炎のマウスの方が圧倒的に高い数値を示しています。マウスのリンパ節を採取して免疫応答の状態を解析しても、インターロイキン4(IL4)や17(IL 17)などアトピー性皮膚炎に関係したサイトカインが多く検出され、人間のアトピー性皮膚炎とそっくりな状態です。
さらに皮膚の細菌の状態をマイクロバイオームという解析方法で調べると、予想通りの結果が出ました。グラフCは、健康なマウスとアトピーマウスの皮膚に存在する細菌の種類を色分けし、生後14週までの変化を示したものです。健康なマウスもアトピーマウスも、2週間目あたりまでの細菌叢(各グラフ左)はほぼ同じです。
健康なマウスの細菌叢をみると、大半を青色の細菌が占めています。これはFirumicutes(フィルミクテス門)と呼ばれる、非常に多様性を持った細菌の系統です。 アトピーマウスの細菌叢をみると、4 週目あたりからC.mastitidis(コリネバクテリウム マスティタイデス:黄緑色)が多くなり、8週目あたりからほとんどC.bovis(コリネバクテリウム ボービス:緑色)と黄色ブドウ球菌(紫色)の2種類だけの異常細菌叢に変貌していることがわかります。

抗生物質による皮膚炎の予防効果

アトピーマウスに抗生物質を与える実験も行われました。離乳直後のアトピーマウスに異常細菌叢に効く抗生物質で持続的な抗菌治療を行うと、皮膚の細菌叢は正常なままで皮膚炎も発症しませんでした。これはつまり、抗生物質による抗菌治療には皮膚炎の予防効果が認められたということです。ただし、この治療は身体への他の影響も強く、、人間に対して行うことはできないレベルのものです。
グラフC

アトピー性皮膚炎になると黄色ブドウ球菌が増えることは昔から知られていました。そのメカニズムの解明が待たれていました。

アダム17という酵素を取り除いたマウスを作り出せたことで解明が進んできました。

アトピーマウスは皮膚の水分蒸散量が多く、IgEの値が高くなり実際に掻いている様子が確認されています。

健康マウスの皮膚には細菌の多様性が認められるのにアトピーマウスだと黄色ブドウ球菌ほか2種類の異常細菌叢に変異しています。

ステロイド剤でアトピーは治せない

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今でも、アトピー性皮膚炎(以下、「アトピー」と略します)の治療にステロイド剤を使用している、または過去に使用していた、そういう方は多いでしょう。そして、「アトピーにステロイド剤を使ってはいけない」という「噂」や「話」を聞いて、なぜ使ってはダメなのかの根拠はつかめないままに止められた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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主治医も知らない?!「IgE」とアトピーの関係

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2009年3月発行のアメリカ病理学誌「The American Journal of Patbology,Vol.174, 922-931」に、注目すべき論文「マウスにおけるアトピー性皮膚炎のアレルギー性炎症反応には、ガレクチン‐3が非常に重要である」(原文は英語)が発表されました。そこには、「アトピー性皮膚炎はどうしてなかなか治らないのか?」という疑問に対する一つの答えが書かれていたのです。
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最新・保存版 アトピーの治し方マニュアル 1

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アトピー性皮膚炎は、生活環境やライフスタイル、生活習慣などの様々な原因が複雑にからみあって発症・悪化します。まず、自分のアトピーの原因は何かを知りましょう。原因を知ることで、はじめて正しい治療の方向性が見えてきます。
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最新・保存版 アトピーの治し方マニュアル 2

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アトピー性皮膚炎の原因は千差万別。だから、治療法も多様な原因に沿ったものでなければなりません。しかしアトピー治療の現状は、薬で症状を抑えることが主流。薬を使った治療方法の問題点と、理想の治療について考えます。
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最新・保存版 アトピーの治し方マニュアル 3

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毎日の生活習慣として、皮膚に最も影響を与えているのが入浴。適切な入浴によるアトピー治療は、肌への効果的なスキンケアとともに自然治癒力を高めて体全体を治す根治療法。体を温めて血流、新陳代謝を促進し、内分泌や自律神経に働きかけることで正常な免疫バランスを取り戻します。
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