アトピー性皮膚炎の知識

夏休みを満喫するための アレルギー対策

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夏休みを満喫するための アレルギー対策

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

旅行、キャンプ、プールに海水浴など、夏は外泊や屋外でのレジャーが増える季節。
そんな季節を楽しく快適に過ごすためのアレルギー対策を紹介します。

これからの季節は、帰省や旅行で外泊したり、海やプールで泳いだり、キャンプに出かけて野外で過ごしたりと、夏ならではのイベントも多くなります。ダニやカビなど、自宅でのアレルギー対策は万全でも、外泊先の寝具など、環境が変わって症状が悪化したという話は多いもの。症状の悪化が心配で、旅行やレジャーには消極的になってしまいがちな人も多いでしょう。
でも、宿泊先などで悪化につながる原因を知り、その対策をしっかり準備していけば大丈夫。ちょっとした工夫で、夏休みを快適に楽しめるポイントを紹介していきましょう。

外泊を快適に

帰省先など、他の家に泊まる場合

食事 ここに注意

食物アレルギーがある場合、宿泊先での食事にも注意が必要。実家など宿泊先の方に、食物アレルギーについて理解してもらうことが一番のポイントです。

対策

●宿泊先の方に説明し、食材・調味料を持参して自分で料理する。
●症状が強い場合は、鍋やフライパンなど調理器具も持参する。
●症状が強い場合、食物に接触して悪化する場合があるので、宿泊先でその食品を避けてもらう。

アレルギーを理解してもらおう

父方の実家へ行く場合はお父さんが、母方の実家へ行く場合はお母さんが、実家の方たちに食物アレルギーについてしっかり説明してください。理解が得られれば、対策はより簡単になるものです。

寝具 ここに注意

実家や知人の家など他の家に泊めてもらうときは、特に寝具に注意します。お客さん用の布団は、長い間押入れにしまわれています。そこから出したばかりの寝具には、ダニの糞や死骸のかけら、カビなどが多く付着しているため、湿疹や鼻炎、喘息発作の引き金になることも。特に梅雨をこえたばかりの時期や秋口は、高温多湿でダニ・カビが増えやすいので要注意です。

対策1 実家などで可能であれば、事前に以下のお願いをしましょう

●寝具を何回か外に干して、掃除機をかけておいてもらう。
●毛布や枕カバーなど、洗えるものは洗濯しておいてもらう。

対策2 対策1ができない場合、自分でできることもたくさんあります。
対策
●宿泊先の寝具に掃除機を自分でかける。
●防ダニ用のシーツや布団カバー(高密度に編まれた製品)を持参し、宿泊先の布団をおおってしまう。
●封筒型の寝袋(シェラフ)を持参する。

ソバがら枕に注意!

ソバアレルギーがある場合、ソバがら枕は避けましょう。ソバがら枕はポリ袋などに入れてしまってもらうようにお願いし、ソバがらの粉が落ちていそうなところには掃除機をかけておきます。

旅館やホテルに泊まる場合

寝具 ここに注意

旅館やホテルでは、空調がコントロールされ寝具のシーツやカバー類もクリーニングされています。かといってトラブルが少ないとは言い切れず、自分でコントロールしにくい分、特に寝具対策を準備していったほうが安心です。

対策

●旅館の寝具の上で飛び跳ねたりホコリを立てるようなことをしない。シーツは清潔でも、布団やベッドには、ダニやカビが多い場合があります。
●封筒型の寝袋(シェラフ)を持参し、布団の上に広げて使う。

寝袋を活用しよう

最近は、質のいい寝袋が安価で手 対策に入るようになりました。寝袋を1週間以上かけて何度か干し、掃除機をかけてダニやカビが少ない状態に保ち、旅行に持ち歩けば安心です。
寝袋を選ぶ際は、封筒型のものが使いやすく便利です。表面の素材は木綿のものを選びます(中面は化学繊維でもしかたないでしょう)。

合宿や修学旅行での食事 ここに注意

家族や知人との旅行の場合、食事に関しては食べられるものを持参するなど自由度が高いので、融通が利きやすいもの。でも、学校の合宿や修学旅行などでは、制約も多くなります。事前に引率の先生と相談することが大切です。

対策

●先生と相談し、事前に献立メニューを教えてもらう。食べられないものが多い場合は、食べられるものを持参する。
●無理にみんなと同じものを食べて具合が悪くなれば旅行が台無しになってしまうと、本人が自分で気をつけるように促す。

旅行はお子さんが自己管理を学ぶよい機会

合宿や修学旅行は、お子さんが親元を離れて、自己判断でアレルギー対策して自分に合った食を選択できるようになるための良い機会と捉えましょう。楽しい旅行にするにはどうしたらよいか、しっかり事前準備をして学べるようにフォローしてあげてください。

楽しい夏休みを過ごすためにも万全のアレルギー対策をしておきたいものです。特に外泊時の食事や寝具対策は必要です。

親戚の場合、事前にアレルギー食や寝具について伝えておき、あらかじめ対策をお願いするか自分でできることは自分で対処しましょう。そばアレルギーの場合そば殻枕は要注意です。

旅館やホテルはクリーニングされていて安心かというとそうでもありません。寝袋を持参するのも一つの方法です。

食事も食べられるものを持参する、修学旅行の場合などは事前に先生に相談するといった対策が必要です。

カビを減らして アトピー症状を改善しよう

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カビを減らして アトピー症状を改善しよう

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

ダニや化学物質同様、カビはアトピーなどのアレルギー症状を悪化させる大きな要因です。
カビが繁殖しやすいこの季節、生活環境、腸内環境でのカビ対策をお伝えします。

アトピー性皮膚炎とカビ

アトピー性皮膚炎の炎症が起きれば、炎症部分の抵抗力は落ち、様々なカビ、細菌、ウイルスなどが感染しやすくなります。感染を繰り返せば、こんどはカビや細菌が作る毒素にアレルギーを起しやすくなります。
私のクリニックで、半年間にわたりアトピー患者さんのカビの状態を調べたところ、約3割の人から病原性のカビ(白癬菌、カンジダ、黒色真菌など)が検出されました。特に黒色真菌がみつかった患者さんは治りが悪く、同じ場所が繰り返し悪化する傾向がありました。
カビの菌が皮膚に付着し感染症を引き起こしたり、あるいはたまたま付着しただけでもアレルギー症状を悪化させる大きな要因となります。また、腸内のカビも症状に影響をもたらします。生活環境から、これらのカビを取り除く努力をすることで、症状を改善することができます。

 
皮膚のカビ対策 <カビ対策のキホン>

キホン1 空気の流れを作る

カビが増える条件は、適度な栄養(人・動物の毛、フケ、排泄物など)・湿度・温度が揃うこと。さらにカビは、空気の流れが悪い場所を好みます。
例えば、押入れにものを収納する場合は、床面にスノコをひいたり、壁面と収納物の間には空間をつくる。
たんすなどの家具類は、壁から10cm ほど隙間をあけて置く。こんな工夫をして、常に空気の流れを作るように心がければ、カビは生えにくくなります。

キホン2 乾燥した状態を保つ

カビは増えやすい条件が揃えば、菌糸を伸ばして増えていきます。この状態のカビは、触れるとアレルギーを起こしやすいので要注意です。
また、増え続けて栄養がなくなったり、乾燥して弱ったカビは、子孫を作るために胞子を遠くに飛ばします。この胞子を吸うと、鼻や気管支の病気を起こすことがあります。
乾燥と高湿度の状態を繰り返せば、カビは菌糸も胞子も多量に作ってしまいます。乾燥状態を保ってカビを増やさないこと、さらに胞子を飛ばす前の段階でカビを減らすことが大切です。

 
浴室でのカビ対策

浴槽は毎日洗い、湯は毎回換える

浴槽内側の湯面付近は、アカや皮膚から落ちたカビ、細菌などがこびりつき、放置すると増えていきます。
風呂の湯の交換や、浴室・浴槽の掃除が少ないほど、皮膚にカビや細菌の感染を起こす確率が高くなります。お湯は毎回換え、特に浴槽内はそのつど掃除しましょう。

入浴最後は、冷たい水を散布

浴室の壁や天井、石けん置き場やシャンプーの容器などは、こまめに洗ってカビの繁殖を防ぎたいもの。
でも天井や壁を毎日掃除するのは大変なので、最後にお風呂に入った人は、冷たい水を壁や天井にかけておきましょう。壁や天井に付着したアカなどを洗い流し、浴室を冷やすことで、カビの増加を多少減らすことができます。
普段から、浴室の換気もしっかり行いましょう。

湯上りには洗いたてのタオルを

湯上り時は、上がり湯やシャワーで体から汚れを洗い流します。お風呂から出たら、洗濯したてのタオル(バスタオル)で体をふきます。一度使ったタオルは、十分な栄養(アカなど)・湿度・温度が保たれて、カビや細菌の温床となります。そのタオルを翌日も使えば、カビや細菌を直接体につけることになるので注意しましょう。

湯上りタオルは個別に用意

湯上りに家族全員で同じタオルを使うと、家族同士でカビ・細菌を交換し合うことになりかねません。タオルは一人ずつ個別に、洗いたてのものを用意します。

寝具・衣類でのカビ対策

寝具は「乾燥」+「掃除機」で

寝具にもカビはつきやすいもの。できれば日光に干して、干した後は必ず掃除機をかけてカビの胞子を吸い取ります。菌によっては、掃除機だけでは取り除けないので、洗濯できるものは水で洗い流すことが大切です。

食べこぼしには要注意

食べこぼしで衣類に付着した食物は、カビの温床となるばかりか食物アレルギーの引き金にもなりかねません。特に小さいお子さんのパジャマなど、食べこぼしがついていないかチェックしてあげてください。

洗濯物はすぐに干す

洗濯物を干さずに放置すると、衣類などに残ったカビが増え、その状態で干してもカビが残ってしまいます。洗濯物はすぐに干し、カビの増殖をできるだけ抑えましょう。
室内で洗濯物を干す場合は、扇風機をかけると早く乾きます。洗濯物がどうしても乾かない場合は、アイロンをかけると効果的。

洗濯槽もしっかり掃除

洗濯機の中は、洗濯物の汚れでカビが生えます。洗濯槽もときどき点検し、カビを取り除いてください。自分で掃除できる部分は、消毒用のアルコール(エタノール)と使い古しの歯ブラシなどを使って洗います。

アトピー性皮膚炎の患者30%から病原性のカビが見つかったそうです。
 

カビは感染症を引きこしたりアレルギー症状を悪化させるので本当に要注意です。

常に室内のカビ対策に気を配りたいものです。乾燥を保つ、空気の流れを作るなど基本的なことは励行したいものです。

湿気のこもりやすいお風呂、タオル、寝室、洗濯機、衣類などカビの温床になります。日々の基本的な対策が必要です。

アレルギーの原因物質を見つけよう

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アレルギーの原因物質を見つけよう

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

アレルギー疾患を治療するための第一歩は、アレルギーの原因物質を見つけること。 生活環境のあらゆるところに、アレルギーの原因物質はあふれています。 注意深く身の回りをみわたして、自分自身の原因物質を見つけましょう。

アレルギーの原因物質を知る

枕にタオルをまいて寝ていたら、頬に湿疹が出るようになった。オムレツを食べたお父さんが赤ちゃんにキスをしたら、卵アレルギーの症状が出た。寝室と寝具の掃除をしっかりするようになったら、肌のかゆみが軽くなりぐっすり眠れるようになった…。クリニックに来る患者さんから、こんな話をよく聞きます。
私たちをとりまく生活環境には、アレルギーの原因となる物質や悪化要因がたくさんあります。今回は、症状を起こす原因物質にはどんなものがあるか、そして自分にとっての原因物質をみつけるにはどうしたらよいかお話します。まずは、アレルギーを誘発しやすい物質について知ることです。次の表をみて、自分の周りに原因物質が多くないか確認してみましょう。

アレルギーを誘発しやすい物質

アレルギーを誘発しやすい物質

※1
ラテックス:木の樹液から作られるゴム成分のこと。バナナやキウイなど様々な植物にも含まれているため、ゴムアレルギーを起こすとこれらの食品でもアレルギーを起こしやすくなる。
※2
アニサキス:アジ、ニシン、イワシ、サバなどの魚の内臓に寄生していることが多い。これらの魚を食べて、寄生虫のアレルギーを起こす場合がある。

参考:『アレルギーっ子の生活百科 第三版』角田和彦著 近代出版

原因物質をつきとめるには

アレルギーの原因物質は、きりがないほどたくさんあります。この中から原因を見つけ出すのは、医者でもなかなか難しいもの。しかし、自分の症状の経過をよく振り返ることで、原因が判明することがほとんどです。できれば発症や悪化の2〜3日前までさかのぼり、食べたものや、どんな行動をしていたかをできるだけ詳しく日記につけてみましょう。症状を繰り返している場合は、毎回起こる症状に共通するものを探します。日記をつけるときのポイントを紹介します。

①食べたものは何か
(アレルギーを起こしやすいもの、農薬・食品添加物など)
②触ったものは何か
(そばにいた人が食べたものでも症状が出ることがあります)
③吸い込んだものはないか
(ダニ、花粉、動物の毛、カビ、小麦など粉状食品など)
④何かに刺されなかったか
(ハチ、蚊、アブ、ブヨ、クモ、ヘビなど)
⑤どこで発症・悪化したか
⑥何をしているとき発症・悪化したか
⑦他のアレルギーを起こしていないか
⑧他の病気を起こしていないか
(特に、腸の病気や肝臓の病気)
⑨疲労・寝不足がたまっていないか
⑩合成洗剤を多用していないか
⑪一緒に飲んだ薬はないか
(特に解熱鎮痛剤)
⑫アレルギー対策の程度
(各アレルギーの原因対策がうまく行われているかどうか)

参考:『アレルギーっ子の生活百科 第三版』角田和彦著 近代出版

アレルギーを防ぐ手段はまずは身の回りのアレルギー物質を見つけることです。
 

その為にはどんなアレルギー物質があるのか、どのように接触しているのかをしることが重要です

食べ物、空気中の持緒、手に触れるものなど様々な物質が様々な形で存在しています。

自分のアレルゲンは何かを見つけるにはそれを日記をつけることです。ここにいくつかのポイント紹介します。アレルゲン探しに役立てて下さい。

アトピーにおけるステロイド外用依存と離脱を考える

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アトピーにおけるステロイド外用依存と離脱を考える

DrugHealthcPatientSaf.2014Oct18;6:131-138.にTopicalsteroidaddictioninatopicdermatitis(アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用剤依存)という表題で、8名の医師の共著論文が掲載されました。
現在の皮膚科医の多くは、ステロイド外用剤によるベネフィットを強調しますが、以前から言われているように、相応のリスクは存在します。今回の論文では、そのリスクについて、どのような問題点を抱えているのかが、分かりやすく書かれており、ポイントとなる部分を抜粋して一部を紹介したいと思います。

要 旨

共著者の先生方

アメリカ皮膚科学会(AAD)は2014年5月にアトピー性皮膚炎の外用療法に関する新しいガイドラインを発表しました。2006年にAAD会誌に掲載された総説において、ステロイド外用剤依存(TSA)やレッドバーニングスキン症候群(RBSS)は、ステロイド外用剤によって生じうる副作用として指摘されたにもかかわらず、新しいガイドラインではこの病態に関する言及がありません。このことは、この病態に関してまだ議論の余地があるということを示唆しています。そこで私たちはこの病態を実際に多く治療してきた経験に基づいて、TSAまたはRBSSの臨床像を記述しようと考えました。この病態に関する医学文献は乏しいので、本稿における記述はTSAまたはRBSSに関する理解を深め議論を進める上で役立つでしょう。

はじめに

アトピー性皮膚炎患者におけるステロイド忌避の問題は皮膚科領域でときどき議論となりますが、ほとんどの皮膚科医はこれを患者の無知による単純な恐怖心の結果ととらえており、TSAやRBSSと関連付けることは少ないです。
しかしながら、TSAやRBSSを治療した経験のある医者の中には、患者たちの少なくとも一部は、過去にTSAやRBSSを経験したかもしれず、そのためにステロイド忌避の態度を示すという考える者もいます。アメリカ皮膚科学会は2014年5月にアトピー性皮膚炎の外用療法に関する新しいガイドラインを発表しました。2006年にAAD誌に掲載された総説において、ステロイド外用剤依存(TSA)やレッドバーニングスキン症候群(RBSS)は、ステロイド外用剤によって生じうる副作用として指摘されたにもかかわらず、新しいガイドラインではこの病態に関する言及がありません。
患者たちの要望の高まりに応じて、全国湿疹協会(NEA)はこの病態の実情を明らかにすべく調査を開始しました。NEAの調査の課題はホームページ上にいくつかの疑問文の形で明示されているので、本稿の著者もまたこれらの疑問への回答という形でこの病態の記述を試みました。
TSAやRBSSを問題視し防止しようとする観点からは、AADの新ガイドラインには3つの問題があります。本稿の後半ではこの問題を取り上げます。(中略)。

アメリカ皮膚科学会(AAD)が2014年5月にアトピー性皮膚炎の治療におけるステロイド外用剤の使用にかんするガイドラインが出されました。

これに対して日本の皮膚科の先生方が共同で意見を出したものが今回の記事です。

ステロイド忌避は患者の知識不足や恐怖心だと捉えていますが、かならずしもそうではありません。

新しいガイドラインではステロイド外用剤依存症(TSA)やレッドバーニングスキン症候群(RBSS)に関すする言及がなされていません。

ステロイド剤、プロトピック軟膏が身体にもたらす深刻な問題

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ステロイド剤、プロトピック軟膏が身体にもたらす深刻な問題

監修・資料提供:木俣 肇
協和会病院リハビリテーション科/内科(アレルギー部門)
京都大学医学部卒業後、米国のUCLAに3年間留学しアレルギーの研究に従事。帰国後、ステロイドが、アレルギーを媒介する蛋白であるIgE産生を増加させることを海外の研究者と違う実験系で見出し、海外の免疫学雑誌に発表。IgE産生調節機構に関与している多数の海外の専門の研究者からの一連の発表で、ステロイドによるIgE産生増加は免疫学者の常識となった。


医学は様々な領域でめまぐるしい進歩をとげていますが、アトピーやアレルギーに関する研究も例外ではありません。あとぴナビでは常にアトピーに関する最新情報を集めており、今回はその中でも特に重要と思われる4つの医学論文を紹介します。アトピー性皮膚炎に関する最新の知見を得ることが、今後の治療の参考となることを願っています。

ランゲルハンス細胞とアトピー

「あとぴナビ」6&7月号の特集『夏に向けてアトピーを悪化させないために知っておきたい心得』で「ランゲルハンス細胞」の話に少し触れました。読んでくださった方も多いと思いますが、「ランゲルハンス細胞」という名前は聞き慣れないものであったことでしょう。
すい臓にある「ランゲルハンス島」とよく似た名前をしていますが、それとは全く別の細胞です。どちらもドイツの医学者・パウル・ランゲルハンスに発見されたため、似たような名称になっています。
さて、この細胞、アトピー性皮膚炎と深く関わっていることがここ最近の研究でわかってきました。「ランゲルハンス細胞」と「アトピー」との関わり、また、「ランゲルハンス細胞」と「ステロイド剤」との関わり、そして「プロトピック」との関わりなど、今わかってきつつあることのいろいろを、今回みなさんに医学論文を交えながらご紹介していきます。
まずは、「ランゲルハンス細胞」とはどういう細胞か、ここからお話ししていきましょう。

異物から体を守るランゲルハンス細胞

イラスト

「ランゲルハンス細胞」は、私たちの体の表皮に存在しています。表皮に存在する全細胞数の2~5%の割合になります。
ランゲルハンス細胞は、「樹状細胞」と呼ばれる、樹枝のように突起を伸ばした形状をしていて、この「突起」で、外部から肌に侵入してくる異物(ウイルス・細菌・化学物質など)を見張り、認識します。
体にとって有害な異物が体内に入り込もうとする情報をこうしてキャッチし、それを脳へ伝達。皮膚を正常に保つべく免疫システムを働かせます。
このように、異物の混入から私たちの体を守る細胞ですが、アトピー性皮膚炎を発症している場合、その治療の過程でランゲルハンス細胞を減らしてきてしまった人が多いかもしれません。なぜならランゲルハンス細胞の減少は、ステロイド剤使用と大きく関係しているからです。

ステロイド剤を使うとランゲルハンス細胞が減る

ステロイド剤を使用することで、残念ながらランゲルハンス細胞は減少してしまうということが分かってきています。実験ではベトネベート(ストロングランクのステロイド)を健康な成人男性に1日2回塗布。これをわずか5日間続けただけで、ランゲルハンス細胞の半分が死滅してしまったという結果が得られました。
同じ実験をアトピー性皮膚炎患者でも行うと、はじめの1週間では細胞数にあまり変化が見られず、2週間で顕著に減少し、3週間目ではなんと73%が死滅してしまいました。
ステロイド剤を使用するとランゲルハンス細胞が減るだけでなく、実はT細胞(免疫細胞)も減らしてしまうため、皮膚の免疫力はますます下がります。抗炎症効果も落ち、刺激を受けやすくなり、感染症も起こしやすくなってしまうのです。
ちなみに、このランゲルハンス細胞の減少の仕方は、「アポトーシス」といって、個体を良い状態に保とうとして、悪くなった細胞が自ら死滅していく「細胞の自殺」であったとも判明しています。

一度減ったランゲルハンス細胞はなかなか再生しない

イラスト

健常な肌のランゲルハンス細胞までたったの5日間で半減させるステロイド剤。アトピー性皮膚炎患者の場合は、このことからだけでも使用が不適切であるとわかります。
もし使うのであれば、よほど慎重に期間も塗布範囲も考える必要があるでしょう。慎重になれと言われても、どう使えばいいか、とても難しい判断になることでしょう。
さて、わずか5日で半減してしまったランゲルハンス細胞ですが、この再生にはどれくらいの日数がかかるのかも気になるところです。こちらはヒトではなくマウスでの実験になりますが、再生には50日を要したというデータがあります。回復には実に10倍もの期間がかかっているのですね。減らすのは簡単、でも戻すのは容易ではないということです。

肌にはランゲルハンス細胞という樹状細胞があります。有害物質が体内に入らないよう見張り皮膚を正常に保つための免疫システムを働かせる細胞です。

それがステロイド剤によって減少することが明らかになっています。無くなるのはあっという間ですが、マウスの実験ですが回復するのには50日以上の日数がかかってしまいます。

制御性T細胞がかゆみを消す

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制御性T細胞がかゆみを消す

監修:戸村 道夫

今年の2月、アトピー性皮膚炎の今後の治療に大きな影響を与えそうな研究のプレスリリースが、理化学研究所より発表されました。タイトルは、「皮膚アレルギーの火消しは、炎症患部から大量移動する制御性T細胞」。
制御性T細胞とは耳慣れない言葉ですがよ「免疫」という人間の体を病気から守る機能を担う、免疫細胞の一つです。免疫の仕組みゃ制御性T細胞については、後で詳しく説明することにして、最初に今回の研究でわかったことと、研究成果から考えられることを簡単に紹介しましよう。

図

リンパ節(図中の緑色の点)はリンパ管(図中の緑色の線)でつながっている。血管→皮膚などの組織→リンパ管→リンパ節→リンパ管→血管、あるいは、血管→リンパ節→リンパ管→血管というように、免疫細胞は全身を巡って体を守っている。

アトピーのメカニズムを全身レベルで解明する

アトピー性皮膚炎の発症や慢性化のメカニズムは、未だ不明な部分が多く、その全体像は明らかになっていません。例えば、アトピーの人にはIgEと呼ばれるアレルギー反応を起こす抗体が多い、IgE抗体がマスト細胞(肥満細胞)と結合してかゆみの原因となるヒスタミンやロイコトリエンを分泌する等々、個々の免疫細胞の機能については様々なことがわかっています。
しかし、皮膚炎の悪化時にそれぞれの免疫細胞はどこに集まっているのか? 皮膚に多いのか?リンパ節に多いのか?ということは分かっているのですが、これらの細胞がどこから来てどこに行って、何をしているのか? また炎症が治まるときに免疫細胞はどのように動いているか? といった全身レベルでの研究はほとんど進んでいませんでした。

アトピーの治療法が飛躍的に前進する!?

今回の研究でわかったことは、「皮膚の炎症が治まるときに、制御性T細胞(免疫を抑制する働きを持つT細胞)が大量に皮膚からリンパ系に移動している」こと。皮膚の炎症が治まるときに、体の中で免疫細胞がどのように活動しているのかが、具体的にわかったのです。
この発見の画期的なところは、今後のアトピー治療を大きく前進させる可能性を持つことです。これまで皮膚科での主な治療は、ステロイドなどの免疫抑制剤で体の免疫反応を抑制して炎症を抑えることでした。これはいわば、個々の患者さんの体内の状態(免疫細胞の種類、数、働き方など)の把握がしっかりできていない状態でも、とりあえず免疫力を下げて炎症を抑えていたということ。
しかし、今回の成果を皮切りに研究が進めば、薬を使うタイミングや止めるタイミング、炎症を抑えるのに効果的な薬の分量など、症状の慢性化や薬のリバウンドを防ぐ治療法が期待できるでしょう。アトピー性皮膚炎を治すために、ステロイド剤などの薬を、うまくコントロールして使うことができるようになるかもしれません。

最近の研究で制御性T細胞という耳慣れない細胞が皮膚の炎症と関係していることが分かってきました。

研究が進めばステロイド剤により免疫機能を低下させ、炎症を抑えるという治療から一歩進んだ治療が可能になるかもしれません。

アトピーと感染症の最新研究

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アトピーと感染症の最新研究

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2013年11月、イギリスの有名な学術雑誌「ネイチャー」に、感染症に関する新たな発見といえる研究論文が掲載されました。本誌でおなじみのアレルギー専門医・木俣肇先生は、この論文を「画期的」と評価しています。
感染症は、アトピーの大きな悪化要因。特にステロイド剤の離脱症状を乗り越える際には、感染症対策が大切です。最先端の研究成果を踏まえながら、感染症の対策と予防について考えましょう。

 

nature ネイチャー誌に掲載された記事 (2013/11/21)

Staphylococcus δ-toxin promotes mouse allergic skin disease by inducing mast cell degranulation

「ブドウ球菌が産生するデルタトキシン(毒素)は、肥満細胞を活性化しアレルギー皮膚炎を誘発する」

本論文では、黄色ブドウ球菌から出るデルタトキシンという毒素が、肥満細胞の脱だつ顆か粒りゅうの誘因因子であることが同定された。
肥満細胞には、かゆみの原因となるヒスタミンなどの炎症性メディエーター(橋渡し役)が貯蔵されており、これらが血中に放出されることを脱顆粒という。これまで、肥満細胞の脱顆粒は、IgE抗体を介したアレルギー反応によるものと考えられてきた。しかし、本論文において、黄色ブドウ球菌が放出する毒素によって直接肥満細胞の脱顆粒が起こることがわかった。
さらに、本論文では、次のような事実を示すデータも紹介されている。


   ● IgE抗体が関与することで脱顆粒は数倍増える。
   ● アレルゲン(抗原)がなくてもIgE抗体が存在するだけで脱顆粒が増える。
   ● 黄色ブドウ球菌がIL4(インターロイキン4=IgE抗体を増やす働きがある情報伝達物質)を増やす。



グラフ
β-ヘキソサミニダーゼは肥満細胞が脱顆粒を起こすときに放出される酵素。
この酵素が増えることにより、脱顆粒が増えていることがわかる。

アトピー肌に多い黄色ブドウ球菌

人間の皮膚には、表皮ブドウ球菌や真菌類などの様々な菌が存在しています。これらの菌のほとんどは通常は無害ですが、やっかいな問題を起こす菌もいます。
その代表といえるのが黄色ブドウ球菌。皮膚における感染症の原因となる菌ですが、すべての人の皮膚に存在するわけではありません。
しかし、アトピー性皮膚炎の場合は、90%以上の人に黄色ブドウ球菌が認められます。特に炎症部分に定着していることが多く、症状がひどくなるほど量が増える傾向があります。

黄色ブドウ球菌の毒素が炎症反応の原因だった

2013年11月、イギリスの学術雑誌「ネイチャー」に、黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎に関する非常に興味深い論文(下記コラム参照)が掲載されました。
論文では、黄色ブドウ球菌から出る毒素(デルタトキシン)が、直接的に肥満細胞を刺激することで炎症が起こるという事実が、様々なデータにより示されています。この論文の画期的なところは、IgE抗体(アレルギー反応を起こす免疫細胞)を介する免疫反応がなくても、黄色ブドウ球菌から出る毒素が直接肥満細胞を刺激し、皮膚の炎症が起こることが分かったことです。つまり、アレルギー反応を起こさなくてもアレルギー的症状(炎症など)が起こってしまうのです。
もちろん、アレルギー反応によっても炎症は起こります。これは以前からわかっていたことですが、黄色ブドウ球菌がIgE抗体を刺激すると肥満細胞が反応し、かゆみの原因となるヒスタミンなどが出るからです。

アトピーの炎症は二つのルートから生じていた

ネイチャー誌の論文から読み取れることは、皮膚に黄色ブドウ球菌が多いと、二つのルートにより皮膚に炎症が起こる可能性があることです。

二つのルート

このことから「アトピー性皮膚炎は、ルート1とルート2の炎症が重なった状態である」といえます。したがって、アトピー性皮膚炎の治療(特に感染症の併発とその予防)でまず大事なことは、黄色ブドウ球菌が皮膚に定着することを防ぐことです。
感染症というと、ヘルペスやカポジのように皮膚がジュクジュクした状態を思い浮かべます。しかし、感染症にはみえない状態でも、黄色ブドウ球菌が定着していることが多いので注意が必要。アトピー性皮膚炎の皮膚はバリア機能が弱いので、黄色ブドウ球菌の毒素が入り込みやすく、定着が進めばやがてひどい炎症につながります。
黄色ブドウ球菌などの感染症を治療する際、消毒や抗菌薬などを使用します。また、完全に黄色ブドウ球菌を取り除くことはできませんが、日常的な心がけとして、皮膚を適度に洗って清潔にしておくことも大切です(ただし、洗いすぎないようにしましょう)。

アトピー性皮膚炎の方の90%の場合黄色ブドウ球菌が認められます。
 

最近の研究で黄色ブドウ球菌から出るデルタトキシンが肥満細胞を直接刺激して炎症を引き起こすことが分かってきました。

これまではIgE抗体を媒介としたアレルギー反応の考えられていたが別のルートが存在することが分かってきました。

皮膚のバリア機能が落ちていると黄色ブドウ球菌の毒素が皮膚に入りやすくなるために皮膚のケアが非常に大事になります。

主治医も知らない!?「IgE」とアトピーの関係

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主治医も知らない!?「IgE」とアトピーの関係

監修:木俣肇先生(きまたはじめ)
(医学博士)医療法人彩樹 守口敬任会病院アレルギー科
1953年生まれ。77年京都大学医学部卒業。85年からUCLAに留学し、アレルギーの研究に従事。アトピー性皮膚炎に関する研究を海外の雑誌に多数発表。アトピー性皮膚炎患者の毛髪分析にて、ミネラル異常を世界で初めて報告。アトピー性皮膚炎は適切な治療と、規則正しい生活、感情の豊かさ(愛情と笑い)によるストレス発散によって治療しうるとして、講演活動も積極的に行っている。

2009年3月発行のアメリカ病理学誌「TheAmericanJournalofPatbology,Vol.174,922-931」に、注目すべき論文「マウスにおけるアトピー性皮膚炎のアレルギー性炎症反応には、ガレクチンー3が非常に重要である」(原文は英語)が発表されました。そこには、「アトピー性皮膚炎はどうしてなかなか治らないのか?」という疑問に対する一つの答えが書かれていたのです。難しい内容ですが、この論文に書かれていたことも少し交えながら、私たちは何に注意してアトピー性皮膚炎(以下、「アトピー」と略します)治療に取り組むべきかを、IgEの専門家で長年研究されている木俣肇先生に分かりやすくお話をしていただきました。一緒に考えていきましょう。

抗原抗体反応とは

免疫システムとIgE

「花粉」に「小麦」に「牛乳」「大豆」など、体内に入ればアレルギーを引き起こしてしまう――。その人にとってのアレルゲン(抗原)が体内に侵入したとき、体の中では何が起きてアレルギー反応が出るのか、ご存じの方も多いでしょう。
イメージしやすく言えば、「アレルゲン(抗原)=敵」が体に入ってきた!」と察知した体は、「戦わねば!」と、アレルゲンを攻撃するために武器を作ります。その武器は、「抗原」に対し「抗体」と呼ばれるもので、実態は「免疫グロブリン(Ig)」というもの。アトピーに関わってくる免疫グロブリンは、「Ig」の中でも最後に紅斑(Erythema)を表す「E」の付く「IgE」となります。また、「E」は、アルファベットの5番目の文字なので、それまでに見つかったIgG、IgM、IgA、IgDに次ぐ”5番目の抗体”という意味も込められています。
免疫システムが正常に機能している体内では、本来なら、抗原を抗体で攻撃し、体外へと追い出します。たとえば、ハウスダストを吸い込んでしまい、「くしゃみ」をするのも、そのくしゃみでハウスダストを体外へと追い出すため。しかし、免疫システムに異常があると、本来、体に対して無害なものにまで抗体を過剰に生産してしまうことがあります。アトピーの人の場合がそれで、無害なものに対して過剰に生産された抗体が、炎症(炎症から生じるかゆみ)というアレルギー症状を起こしているのです。

IgE受容体には3種類ある

抗原を攻撃する抗体であるIgE。このIgEは、細胞に結合するための受容体をいくつか持っています。
そして、この受容体の中で、最近では3つの受容体がアレルギーに関与していることが分かってきました。左の図をご覧ください。図にあるように、3つの受容体のうちの一つ目は「FcεRI」と呼ばれるもので、これは肥満細胞などに存在します。「高親和性受容体」といわれるように、IgEとの結びつきがとても強い受容体です。
この、「FcεRI」とIgEの結合によって起こるのが、よく知られている「I型(即時型)アレルギー」で、つまり「食物アレルギー」や「じんましん」のことです。
アトピーをこのI型の反応だと考えている医師も未だ数多く存在します。しかし、IgEの受容体は「FcεRI」以外にも「FcεRII」と「Galectin-3」があり、アトピーの場合は、この3つ目の受容体「Galectin-3(Gal-3)」が特に関与しているのだと、前述の論文「TheAmericanJournalofPathology,Vol.174『マウスにおけるアトピー性皮膚炎のアレルギー性炎症反応には、ガレクチン3が非常に重要である』」は発表しています。
仮に食物アレルギーを原因とするアトピー性皮膚炎の方の場合、原因となる食品を摂取さえしなければアトピーは治ることになるでしょう。しかし、そうは簡単にいかないことから、この論文が発表される以前も、I型がアトピーの本体だとは考えられにくかったのです。
「アトピーには『Gal-3』が特に関与している」ということは、まだIgEの専門家しか知りえない話かもしれません。アトピーを治療する医師たちの間にも、この論文の内容が常識となればいいのですが。

IgEには3つの受容体

免疫システムと従来の考え方は アトピー治療=アルゲン除去 でも、それだけでは不十分

前述のように、アトピーの主な原因が「I型(即時型)アレルギー」であるとの考え方だと、その人にとってのアレルゲン除去が”アトピーの治し方”となってしまいます。
しかし、アレルゲンを遠ざけたからといってアトピーは簡単に治まってくれませんね。とは言うものの、卵黄、卵白、カニ、チョコレートetc.自分が何にアレルギーを持っているかを血液検査(RAST)などで調べたことがある方は多いでしょうし、アレルギーを起こすと知っているものは、なかなか口にはできない場合もあるでしょう。
いわゆる「アレルギー検査」では、自分の体内に(血液検査なら血液中に)卵白やスギなどのIgE抗体があるかないかを調べています。知っておきたいことは、IgEは、元々はヒトの組織(細胞)にくっついて存在しているものだということ。組織から溢れた分だけが血液に流出します。特に、小さいお子さんの場合は、血液に流れ込んでいるIgEがまだ少なく、血液検査をしてもアレルゲンの有無が判明しないことも多くあります。
つまり、通常の血液検査によるRAST検査では、正確にその人のアレルギーを判断できない場合もあることを知っておくべきでしょう。
よって、より正確にアレルギー検査を行うためには、皮膚にアレルゲン(抗原)溶液をたらし、皮膚を浅く検査針で引っ掻く「プリックテスト」が適しているのです。この検査だと15分で結果が判明しますし、検査料金も血液検査より安価なのですが、医師の勉強不足(必要性を知らない)から、実施している医療機関は非常に少ないのが実情です。
アトピーは食物アレルギーそのものではないので、アレルゲン除去そのものがアトピー治癒ではありません。しかし、後述するように、「アレルゲン―IgE―Gal-3」のような反応でアトピーは悪化しますので、『何かにアレルギーを持っているはずなのに、検査では特定できないと言われた』と、血液検査の結果に納得できない場合は、「隠れアレルゲン」を特定するためにも、前述の「プリックテスト」を受けることをお勧めします。

検査の種類と方法

抗原が体内に入った場合作られるのが抗体。特にIgEはアトピー性皮膚炎に関係した抗体です。

IgEが細胞と結びつく受容体には3つあって最近「Gal-3」(Galectin-3)という受容体がアトピー性皮膚炎に大きく影響しているという論文が出ています。

これまでは食物やじんましんなどのI型アレルギーが主因と言わた時期もありましたがアレルギー食を除去してもアトピー性皮膚炎が治らないことから他に原因があることは明らかです。

特にお子さんの場合血液中のIgEが少ないのでRASTテストでは正確にアレルギーの判断ができません。プリックテストで調べることをお勧めします。

IgA免疫複合体がアトピー・アレルギーを予防する

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IgA免疫複合体がアトピー・アレルギーを予防する

ママが卵を食べれば赤ちゃんは卵アレルギーになりにくい!?

母親が食べたタンパク質を赤ちゃんが母乳を通して摂取すると、そのタンパク質による食物アレルギーの免疫ができることが、京都女子大と滋賀県立大の共同研究チームの実験によってわかりました。
実験では2グループの母マウスを用意し、一方には卵、もう一方には牛乳のタンパク質ばかり与えました。次にそれぞれの子マウスに母乳を飲ませたのち、双方の子マウスに卵アレルギーの誘導を試みました。すると、卵アレルギーを起こしたのは牛乳タンパク質を食べた母の母乳を飲んだマウスで、卵タンパク質を食べた母の母乳を飲んだマウスは卵アレルギーを起こしませんでした。
この実験結果からは、卵を食べた母親の母乳を飲んだ赤ちゃんには、卵アレルギーの免疫ができるという予測が成り立ちます。

母乳はアレルギー予防の天然ワクチン

この話に「えっ?」と首をかしげた人も多いのではないでしょうか?普通、卵アレルギーを避けるためには、卵を与えないことを考えます。実際に、母乳を介して卵アレルギーを起こしたり、母親がアレルゲンとなる卵を避けることで、赤ちゃんのアレルギー症状が軽くなったという話も聞きます。
しかし、母乳中のアレルゲン(アレルギーの原因となる抗原)と乳児のアレルギーとの関連については、実ははっきりわかっていないのが現状。
詳細は次ページ以降で説明しますが、母乳中のアレルゲンは単独で存在するのではなく、免疫複合体として存在するという発見が研究の発端でした。赤ちゃんがアレルギーを起こす原因は、母乳中のアレルゲンとは言えず、むしろ母乳はアレルギー予防の天然ワクチンと考えられるのです。

注意:本研究はあくまでもアレルギーを予防する観点のもので、治療方法ではありません。人間の身体の基本的なしくみとして理解すれば、健康的な生活習慣を身につける一助となるでしょう。

卵タンパクを摂取した母親の母乳を飲んだ赤ちゃんにアレルギーの免疫ができるようです。

母乳がアレルギー予防の天然ワクチンと言われる理由ですね。
 

知っていますかアトピーとステロイドのこんな関係

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知っていますかアトピーとステロイドのこんな関係

監修:三好基晴(みよしもとはる)
1953年福井県鯖江市生まれ 医学博士 臨床環境医
ホスメッククリニック院長
スポーツ選手経験(走り高跳びで2m02cmの記録)をいかし、東海大学医学部でスポーツ医学、トレーニング方法などを研究していた。現在、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性疾患、化学物質過敏症、電磁波過敏症、がんや糖尿病などの生活習慣病などに対して、衣食住の生活環境を改善する診療をしている。全国で講演活動や小人数の健康セミナーや料理教室を行っている。著書は「買ってはいけない」共著(金曜日)「買ってはいけない2」共著(金曜日)「クラシックダイエット」(オークラ出版)「病気の迷信」(花書院)「健康のトリック」(花書院)「ウソが9割 健康TV」(リヨン社)「健康食はウソだらけ」(祥伝社)携帯小説「ドクターシェフ」http://ncode.syosetu.com/n6757e/などがある。

アレルギーがなくてもアトピーになるの? アトピーになるとかゆみ神経が伸びやすいのはなぜ? ストレスでアトピーが悪化しやすい理由は? これらの質問に答えるためには、共通したある一つのキーワードが必要になります。それは「ステロイド剤」。
本特集では、アトピーとステロイド剤の関係について、あまり知られていない部分に光を当てていきます。

アレルギーがなくてもアトピー性皮膚炎になるの?

アレルギーではなくても、アトピー性皮膚炎と診断されるケースは少なくありません

アトピー性皮膚炎はアレルギー性疾患と言われていますから、すべてアレルギーによって発症していると考えている人が多いと思います。
アトピー性皮膚炎は、原因と言われる食べ物、ダニ、ハウスダストなどの環境物質のアレルゲン物質と、白血球の一種である肥満細胞に付着したアレルギー抗体である血清IgEの結合により、肥満細胞からヒスタミンなどが放出されることによるアレルギー反応によって発症すると言われています。日本皮膚科学会では「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」の中で「アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義しています。しかし、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎の診断基準(下段図参照)には、アレルギーの指標となる「血清IgE値の上昇」は入っていません。診断の参考項目に入っているだけです。この診断基準から、アトピーは必ずしもアレルギーによるものではないことが分かります。
実際に、かゆみを伴う皮膚炎の症状などで初めて病院に行って検査をして血清IgE値が正常であっても、臨床症状などでアトピー性皮膚炎と診断されている人たちは少なくありません。このような人たちはアレルギーではないアトピー性皮膚炎なのです。

薬剤によってもアレルギーが増悪するケースもある

ただし、ステロイド剤やタクロリムス剤などの薬物を使用したことによって、血清IgE値が高くなっている人たちがいます。その後いろんな病院で検査をするたびに血清IgE値が高くなっているので、環境物質(アレルゲンや化学物質)によるアレルギーが原因であると思ってしまうのでしょう。
しかし実はステロイドの使用によって血清IgE値が高くなることがわかっています。つまり、ステロイドの継続使用で、アレルギーが増悪することもあるので注意が必要です。

アトピー性皮膚炎の診断基準

食物アレルギー除去食の考え方

アトピー性皮膚炎は大豆や卵や小麦などの食べ物が原因で発症することがあると言われ、そのため血液検査で陽性反応が出た食べ物は一切とらないように厳しい除去食を指導する医師は少なくありません。
しかし、厚生労働省が作成した食物アレルギーの「診療の手引き」によれば、不必要な食事制限はしないことを原則としています。その根拠として、全卵、卵黄、牛乳、小麦、大豆の血液検査においてはいずれも約80%の人が陽性を示しますが、実際にこれらの食べ物を食べて反応をみる食物負荷試験においての陽性率は全卵で約60%、牛乳で約45%、小麦で約35%、卵黄で約25%、大豆に至っては約15%しかありませんでした。
たとえ血液検査で陽性反応が出た食べ物でも、最初は少しだけ食べて反応がでなければ少しずつ増やしていき、普通に食べられれば食べてもよいのです。また、食べて症状が出ても軽くて我慢できるようであれば、食べ続けていると症状が出なくなることもあります。以前よりは除去食を厳しく指導する医師は少なくなってきました。しかし、血液検査で陽性反応が出れば、今は食べられても食べ続ければ反応が出やすくなる、と医学的には根拠の乏しいことを言って、除去食を厳守するように指導する医師もいます。
アトピー性皮膚炎で除去食による厳しい食事制限をすることで、家庭不和になってしまった10歳の男子の症例があります。薬物療法の効果が少なく、米、卵、牛乳、小麦などがまったく食べられず、これらを除去して、粟、ひえ等を中心にした食事療法を始めました。多少、病状は軽減しましたが、1カ月後、再び増悪しました。
この家庭は夫婦共働きで子供は3人。母親は、アトピー性皮膚炎のお子さんと、他の家族とで全く別々の食事を作っていました。しかしそのうち、母親に時間的余裕が無くなり、粟やひえ等を使った食事を、他の家族も食べることになりました。
夫や兄弟たちは不満を持ち、夫婦喧嘩が多くなり、家族の雰囲気が暗くなってきました。このような状態が患者さんの精神的ストレスになり、病状が悪化してきました。このままでは、家庭崩壊につながりかねないと、食事制限を緩めたところ、最初は軽い症状が出ていたものの短時間で症状は治まり、我慢できる状況になり、継続していくうちに症状は出なくなりました。家族みんながほとんど同じものを食べられるようになったため、家庭内も明るくなり、患者さんの精神的ストレスも軽減しました。

アトピー性皮膚炎はアレルギーだから起こるとは限らないんですね。IgEが正常値でもアトピー性皮膚炎と診断されることもあるのですね。

ステロイドやタクロリムス利用によりIgE値が高くなることもあります。アトピー性皮膚炎治療のために使ったステロイド剤がIgE値を上げることがあるので注意です。

無理な除去食も考えものですね。

むしろ少しずつ慣らしていって食べられるものを増やすこともできますから。