アトピー性皮膚炎の知識

あとぴナビ/スペシャルインタビュー やなせ たかし

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あとぴナビ/スペシャルインタビュー やなせ たかし

あとぴナビ2008年9月号より
取材・文/柿原恒介 、撮影/橋詰芳房

やなせ たかしさんPROFILE
やなせ たかし
1919 年 2 月 6 日生まれ。高知県出身。
東京高等工芸学校図案科(現千葉大学工学部)卒業。
三越百貨店宣伝部グラフィックデザイナーを経て、53 年に漫画家、絵本作家として活動を開始。
『やさしいライオン』『アンパンマン』が人気を集め、一躍有名に。
73 年以降、03 年まで長きに亘り月刊誌『詩とメルヘン』(サンリオ刊)の編集長を務める。
また作詞家として、『アンパンマン』シリーズをはじめ、ポピュラーソング『手のひらを太陽に』の作詞でも知られる。
アンパンマンミュージアム:http://www.anpanman-museum.net/

「ぼくはみんなと遊びたい。たとえこの世がつらいとしても、うなだれてるのは好きじゃない」。
高知県の『アンパンマンミュージアム』のHPには、そんなやなせさんのメッセージが書かれています。
アンパンマンの生みの親である、やなせたかしさんが、子どもだけでなく、大人にも伝えてくるメッセージとは?

漫画家・絵本作家:やなせ たかしさん

悩みや、絶望があっても、頑張って生きていれば、必ずいいことが起きますよ

「僕は子どもの頃からシャイで、人前に出るのが苦手でしたね。5歳の頃に父親が亡くなり、母親とも離れ、伯父の家に預けられたんですが、ちょっとしたことで傷つき、もう生きていけないと思うような、悲観的な少年でした。中学生の頃には、自殺を考えたこともあります。でも、絵を描くのが好きで、〝漫画家なら人に会わなくて済むだろう〞と思い、漫画家になったんですよ」。
やなせさんが独立したのは、34歳のとき。それまで企業でデザインの仕事をしていましたが、心に秘めていた夢を追うために、漫画家に転身したのです。
「独立したけど、漫画の依頼は少し。それよりもリサイタルの構成、舞台装置、シナリオライターなど、漫画以外の依頼がいっぱいきたんです。自分からやりたかったのではなく、なぜか〝未経験でもいいから、やって〞と、知らない人が突然やって来るんですよ。放送作家だった永六輔さんに舞台装置の依頼の理由を尋ねると、〝やなせさんの絵が好きだから〞と言う。テレビや民放ラジオの草創期は、未経験の人にもチャンスを与える人が多かったんですよ」。
未経験の仕事は、普通ならばリスキーな行為に思えますが、それらの仕事は、今もなお、大いに役立つ貴重な経験となったそうです。
「人前に出る機会が多くなったことで、服装にも気を使うようになりましたね。人の見た目って、一種の勝負のようところがある。服装がだらしないと不利なんですよ。それに人と会うこが多くなることで、人を観察する機会も増えた。これは漫画家にとって財産になるんです」。
シャイだった青年はいつしか、業界が一目置く、マルチクリエーターに。しかし、漫画家としての成功は、次第に遠のいていきます。

喜んでもらえるものを目指したら、結果的に人びとの心をつかんだ

やなせ たかしさん

漫画家としての本業よりも、テレビやラジオなどで忙殺されていたやなせさんの転機は、1973年。詩の雑誌『詩とメルヘン』を立ち上げます。創刊から編集長を務め、2003年までの長きに渡るまで、わかりやすい詩と絵で数多くの詩人、イラストレーターを輩出した雑誌でした。やなせさんは、〝これは道楽だから〞と、創刊当初は無報酬だったそうです。
「当時は、何を言いたいのかわからない現代詩が多かったので、とにかく読んでわかる叙情詩を発表したかったんです。利益が出ないことを前提にサンリオに話を持ちかけると、年に4回の季刊誌で出そうと言われた。3号続けば奇跡と言われたけど、なぜかめちゃめちゃ売れました」。
きっかけは、やなせさん曰く、道楽。しかし、その純粋な思いで創り上げられた雑誌だったからこそ、人びとの心に届いたのでしょう。やなせさんの純粋な創造性は、時を同じくして、後の国民的キャラクターを誕生させます。1973年、ボロボロのマントをまとった「あんぱんまん」(当時表記)が幼児用絵本として、出版されました。
「はっきり言って不評でしたね。パンが空を飛んで、顔を食べさせる話なんて、受けるわけがないと(笑)。批判ばかりだったので、以降5年くらいは描かないでいたんです。ところが、いつの間にか、子どもたちの間で人気が出てきちゃった。そのとき僕は、50代の後半。そろそろ仕事を辞めようかという頃に、人生が一転したんです。収入も10倍になったんですから」。
アンパンマンは絵本の大ヒットに続き、1988年にはテレビアニメもスタート。当時、月曜日の夕方5時は、何をやっても視聴率が取れない時間帯。実はアニメの企画が通るまでに3年もの月日がかかったそうですが、アンパンマンの視聴率は、7%超。常識を覆す出来事でした。
「最初に、〝無理だ〞と言われたもののほうが上手くいくことが多いのだと思います。〝これはダメだ〞というところに、意外性という光があるんですね」。

諦めず、頑張って生きていれば、悩みなんて、いつかはなくなる

人から仕事を依頼されたら、なんでもやる。そして、世の中にないものは、自分でつくる。漫画家として独立後、さまざまなジャンルに挑戦したのも、全ては〝仕事はスリルがあるほどおもしろい〞という冒険心を優先したからこその行為でした。落ち込みやすく、自殺を考えたこともある青年期のやなせさんには、とうてい想像できない将来の姿です。「若いときには些細なことも大きな障害に感じるんですね。アリにとっては、水たまりも大きな海のように見える。それを乗り越えて一生懸命生きていれば、必ずいいことはあるのに。頑張って生きていれば、悩みなんて、振り返って考えると、ばかばかしいことだったと思うものなんです」。
やなせさんは、これまで仕事を続けながら、心臓病をはじめ、さまざまな病気を患い、20回もの手術を経験してきました。それでもときには病院のベッドでさえ、仕事をしていたといいます。〝仕事があるから、早く元気にならないと〞。この思いこそが、やなせさんにエネルギーを与え続けているのでしょう。
「これまで僕は何度も死に直面しましたが、医学は1日1日進歩していく。去年は助からなかったのが今年は助かることがあるんですよ。だから、何事も決して諦めないでほしい。僕は今でも毎朝、病院に通っているけど、仕事をしている。人生はやっぱり気力ですよ。〝人を喜ばせる仕事がしたい〞という気力があるからこそ、今も元気でいられるんだと思いますね」。

『人生なんて夢だけど』

『人生なんて夢だけど』(やなせたかし著/フレーベル館刊)
1,575 円(税込)
やなせさんの生い立ちから、戦後、絵本作家のみならず、テレビ、ラジオ、雑誌などのマルチクリエーターとして活躍してきた、現在までの自伝。
さまざまなエピソードには、涙と笑いと勇気と感動が詰まっています。

かゆみのメカニズムとアトピー

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かゆみのメカニズムとアトピー

監修:高森 建二
監修:高森 建二(たかもり・けんじ)
順天堂大学医学部皮膚科教授
順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院院長
1941年、宮崎県生まれ。67年、順天堂大学医学部卒業。
同大学医学部生化学助手・講師を経て、77年より米国デューク大学医学部皮膚科留学。
80年、順天堂大学医学部皮膚科助手に。講師、助教授を経て、
93年より現職。医学博士。著書に「からだがかゆい!」など


アトピー性皮膚炎のかゆみは、他の皮膚炎のかゆみよりも強いといわれています。
実際にアトピーの方々がつらいと訴えるのもかゆみです。でもいったい、かゆみはどうしておこるのでしょう。
今月号では、アトピーのかゆみがどうして起きるのか、高森先生にお伺いしました。

1.制御できないかゆみはどこから来るのか?

かゆみとは一体、どこからくるのでしょうか。
アトピー肌と普通の肌の違いはあるのでしょうか。

過剰に働く防衛反応

アトピー性皮膚炎(以下「アトピー」と略す)の人はたくさんの悩みを抱えていますが、その中でも特に辛いのは「かゆみ」です。眠れないほどのかゆみが起こり、掻いてはいけないと知りつつもつい掻いてしまうと、余計にかゆくなって、血が出るまで掻いてしまったり……。「かゆみさえなければ」と願うのは、アトピーの人にとっては共通の思いでしょう。
かゆみに関しては、最近になりたくさんのことが医学的に明らかになりました。たとえば、かゆいという感覚が皮膚のどこで感じられているのかが、アメリカの皮膚科医シェリー医師によって解明されました。かゆみを起こす物質を含んだ熱帯植物のトゲを皮膚に刺してゆき、どの深さに達したときにかゆみが発生するかを調べたのです。すると、一番強くかゆみを感じる場所は、表皮と真皮の境界部分であることがわかったのです。
気温の変化や痛みを感じることは、生きていくために必要です。実は、かゆみを感じるのも人間が生きていくために必要な感覚で、肌に異物が付着した時にそれを払いのけようとする反応だと言われています。鼻に異物が入った時にくしゃみがしたくなるのと同じ反応です。アトピー肌はそれが過剰に反応している状態です。

「かゆみ」の感覚異常が掻破の原因

健康な肌は、かゆい場所を掻くと、それが痛みに変わることでかゆみが消えるのですが、アトピーの場合は掻けば掻くほどかゆくなるのはなぜでしょうか?
実は、アトピー肌は健康肌とは反対に、痛みの刺激がかゆみに変わってしまうのです。このことから、アトピー肌は刺激が伝わる仕組みに異常があることがわかってきました。
じんましんなどのかゆみは、抗ヒスタミン剤などのかゆみ止めによって止まりますが、アトピーの場合には、抗ヒスタミン剤でもかゆみが止まらないことがあります。これは、アトピー肌のかゆみにはかゆみを起こす物質であるヒスタミン以外の物質が関係しているためであることもわかってきています。
このように、アトピーの方々を悩ませてきた、かゆみに関する研究はどんどん進んでいます。

2.「かゆみ」のメカニズム

アトピー肌は普通の肌よりもかゆがりです。掻けば掻くほどかゆくなる、ちょっとした刺激でかゆみを感じる……それにはいくつかの理由があるのです。

アトピー肌のかゆみの原因

1. 免疫異常で炎症が起きやすい

かゆみの原因の一つはアレルギーによる炎症です。ハウスダスト、ダニ、花粉などが体内に侵入してくると、人間の体は免疫作用によって抗体を作ります。本来なら、これによって体内に入った異物は除去されるので、人間が生きていくためには必要な反応ですが、アレルギー体質の場合はこの作用に異常があり、真皮内に抗体が作られやすくなっているのです。このため、好酸球やリンパ球、肥満細胞などの炎症性細胞から、かゆみや炎症を起こす炎症性物質(炎症性サイトカイン)が発生しやすいのです。これらがアレルギー炎症を引き起こすため、アトピー肌ではアレルギー性のかゆみが起こりやすくなっているのです。

2. 乾燥しやすく外部刺激に弱い

いわゆるバリア異常もかゆみの原因です。アトピー肌はセラミドを主成分とする角質細胞間脂質が少なく、水が外に蒸発しやすくなっているため、肌が乾燥しやすくなっています。乾燥した肌ではバリア機能は十分に発揮されません。そのためアトピー肌は外部刺激に弱く、外部刺激はかゆみの発生部位である表皮と真皮の境界まで簡単に到達してしまうのです。同時に、アレルゲンや細菌、ウィルスなどが進入しやすくなり、かゆみの炎症も起きやすくなっています。


3. かゆみの神経線維が角層直下まで伸びている!

かゆみの刺激は主にC線維と呼ばれる細くて伝達速度の遅い神経を通って脊髄に伝わります。脊髄から大脳にその情報が伝わることで、人はかゆみを感じます。かゆみを感じるC線維の終末は健康な皮膚では、表皮と真皮の境界部分にあります(図A)。
ところが、アトピー肌の多くはかゆみを伝える神経線維が境界線を超え、角層直下の部分まで伸びています(図B)。皮膚が乾燥すると、表皮にあるケラチノサイトという細胞から出る神経成長因子(NGF)が増え、神経線維が伸びるためです。乾燥肌は肌のバリアーが破壊され、外部刺激を受けやすい状態になっているので、伸びた神経が過敏になり、かゆみを感じやすくなってしまっているのです。
正常な神経の状態にするためには、継続してスキンケアを行うことが必要です。


健康成人とドライスキンの皮膚の比較

4. その他のかゆみの因子

多因子性の疾患といわれるアトピーには、かゆみを引き起こす要因がたくさんあります。
ストレスは、かゆみの原因となるヒスタミンの血中量を増加させるため、かゆみの原因となります。
体温の上昇もかゆみの原因になります。これは、温度が高いほうが神経伝達の速度が速くなるためです。運動をしたり、お酒を飲んだり、熱いお風呂に入ったりするとかゆみが増すのはこのためです。寝る前にかゆくなるのは、体温が上がっているからです。
また、アトピー肌は、汗腺が詰まって汗が出にくくなっています。そのため汗による放熱作用が起きません。その結果体温が上がり、詰まった汗が皮下で刺激になってあせもやかゆみの原因になります。

心療内科で見る心・体・アトピーの関係

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心療内科で見る心・体・アトピーの関係

監修:中井吉英(なかい・よしひで)
監修:中井吉英(なかい・よしひで)
関西医科大学心療内科学講座教授
医学博士
1942年京都生まれ。69年関西医科大学卒業。同年、同大学院医学研究科入学(内科学専攻)。
72年九州大学医学部心療内科入局。
助手、講師を経て86年退職後、同年9月より関西医科大学第一内科講師、助教授を経て、93年12月より現職、現在に至る。
九州大学医学部および広島大学医学部非常勤講師。専門は心療内科学、消化器病学、疼痛学。
著書に『はじめての心療内科』(オフィスエム)などがある。

環境の変化やストレスがきっかけで、アトピー性皮膚炎(以下、アトピーと略します)が悪化したことはありませんか?
心と体、環境との「関係性」からアトピーを診る心療内科を取材しました。

1.心療内科ってどんなところ

誤解だらけの心療内科精神科とはまったく違います


心療内科という診療科は、平成8年に標榜科(病院や診療所が外部に広告できる診療科名)として認可されました。最近では心療内科を標榜する医師も増えてきたので、知っている方も多いのではないでしょうか。「心療」という文字から、「精神科に行くほどではない、その手前の病気を診てくれるところ」と連想する人も多いかもしれません。

後述しますが、実はこれは正しい認識ではないのです。さらに、心療内科医を標榜しているほぼ九十パーセントが精神科医であるといわれ、心療内科に対する誤解を生み出す原因となっています。

実際には、世間の偏見のために「精神科」を受診しづらい患者さんがより受診しやすいよう、「隠れ精神科」として「心療内科」を標榜している場合が多いと言われています。このために医師でさえ、「精神科」と「心療内科」の区別がつかない人が多いという実情があるのです。これでは一般の人が誤解してしまうのも無理がないですね。

体と心を切り離さず全人的医療を行うのが心療内科

医師には、体の病気を治す「身体科医」と、心の病気を治す「精神科医」がいます。身体科医には、内科医、婦人科医、外科医…など体の部分ごとに、さまざまな専門領域があります。
各科で体の病気を診ていくと、体だけを治そうとしても、治らないことがあります。たとえばアトピーのお子さんが、「お母さんに怒られるとかゆくなる」「好きなアニメ番組をみている間はかゆがらない」、といった話をよく聞きます。このように、症状に心のあり方が関わっている場合、心と体を切り離さず、両方の問題を解決していくことで、体の症状の治療を行う必要があります。
この考え方は「心身医学」といい、ドイツで生まれ米国で発展し、約50年前に日本の身体科医にも取り入れられました。「心療内科」は、「心身医学」を取り入れた全人的医療を行う内科なのです。全人的医療は本来、各科で行うのが理想です。心療内科医になるためには、まず内科全般と消化器や循環器など専門分野について学びます。内科医としてのトレーニングを行い、身体面の医学を基礎としていることが、精神科との大きな違いです。
その上で心と体をつなぐ自律神経系、内分泌系、免疫系の働きを基盤に、患者さんの「心と体」「患者さんと家族」「病気と社会環境」といったすべての「関係性」を診ていくことで治療を行うのです。

2.アトピーと心の関係

アトピーのかゆみの原因は、アレルゲンだけではありません。患者自身の心のありかたや患者をとりまく社会的な環境が、かゆみの原因となることがあります

アトピーの発症や経過に心のありかたが関わっていれば心身症


心療内科では「心身症と呼ばれる病態を持った患者さん」を診ています。日本心身医学会による定義では、「心身症とは身体疾患のなかで、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」となっています。
つまり、患者さんの心のありかたや、患者さんをとりまく社会的な環境が体の病気の発症や症状の経過に関わっている場合が「心身症」です。うつ病などの心の病気や、心の病気に伴う体の症状は心身症ではありません。
心の病気は、精神科で治療する必要があります。心身症には、定まった症状があるわけではなく、人によって違った形で現れます。患者さんにたまたまアレルギーという素因があれば、アトピー性皮膚炎や喘息という形で症状が出るし、潰瘍ができやすい素因を持った人であれば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの症状が出ます。人それぞれの体の弱い部分に症状が現れるのです。

掻破行動とアレルギー反応は心の動きと関わっている

病気に心の状態が深く関わっている場合、治療のポイントとなるのは、患者さん自身が心と体の相関関係に気づくことです。心療内科ではそのことに気づいてもらうため、患者さんに催眠を施すことがあります。
ある慢性じん麻疹の患者さんの例をあげてみましょう。厨房の仕事に就職した男性患者さんは、大量の魚を調理するときに、必ずじん麻疹が現れました。
皮膚科で魚エキスのアレルゲン検査をしたところいずれも陰性でした。そこでその患者さんを、深い催眠状態に導入し、厨房で調理しているところを暗示しました。すると調理している仕草を始め、数分で体にじん麻疹が現れ、皮膚を掻き始めたのです。その患者さんは、催眠から覚醒後に驚いて、転職した理由や心の葛藤などについて話し始めました。
近年の基礎医学の研究により、この患者さんのじん麻疹のように、かゆみの素となるヒスタミンや炎症性物質は、抗原がなくても、体内にできることがわかってきました。
脳の働きが自律神経を介して、体の神経末端からさまざまな伝達物質を放出するからです。つまりアレルゲンがなくても、心の動きがアレルギー反応を引き起こすのです。アトピーでは、掻破行動(かゆくてかく行為)が症状を悪化させます。治療に際しては、掻破行動をいかにコントロールするかがポイントで、この患者さんのように、かゆみを引き起こす心の動きに気づくことが治療の第一歩です。掻破行動がさらに習慣化すると、「掻くことの刺激」が嗜癖(しへき)※化することもあります。かゆいわけではないのに、なんとなく掻き始め、それが刺激となって止まらなくなる——、掻く刺激に耽溺することで、心が何かから逃避している場合もあるのです。心と体に相関関係があることに気づき、患者さん固有の「掻破行動の意味」を探ることが必要です。
※嗜癖…あるもの・行動を特に好き好む癖。

心療内科とは精神科ではなく体と心を切り離さず両方の問題を解決する「心身医学」です。心療内科医は内科、消化器、循環器を学んだ上で心身面の治療を行います。

心身症と呼ばれる患者さんを診るわけですが、アレルギーという素因を持った方はアトピー性皮膚炎や、喘息という形で症状が出ます。体の弱い部分に症状が現れます。

最近の研究でヒスタミンや抗炎症物質は抗原がなくても体内で産生されることが分かってきました。心の動きで痒みが起こることがあるのです。

つまり心の動きがアレルギー反応を引き起こしてしまうので。心と体の相関関係を知ることもアトピー性皮膚炎治療の第一歩となることもあります。

ステロイドってなんだろう?

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ステロイドってなんだろう?

木俣 肇(きまた・はじめ)
監修:木俣 肇(きまた・はじめ)
1953年生まれ。77年京都大学医学部卒業。
85年からUCLAに留学し、アレルギーの研究に従事。
アトピー性皮膚炎に関する研究を海外の雑誌に多数発表。
アトピー性皮膚炎患者の毛髪分析にて、ミネラル異常を世界で初めて報告。
アトピー性皮膚炎は適切な治療と、規則正しい生活、感情の豊かさ(愛情と笑い)によるストレス発散によって治療しうるとして、講演活動も積極的に行っている。

ステロイド剤が抱えるリスク

読者のみなさんのなかには、ステロイド剤を長年使ってきた、あるいは、いまも使い続けているという方もいらっしゃることでしょう。ステロイド剤は何に効き、何に効かないのか、どういうクスリで、どういうリスクがあるのかということを知っておきませんか。

ステロイド剤は何の薬か知っていますか?

アトピー性皮膚炎(以下、アトピーと略します)でツライ皮膚に、塗ればサッとかゆみが退いて、一瞬治った感じにまでしてくれる薬。でも、塗るのをやめればまたかゆくなって、前よりひどくもなる——。そういうイメージであれば、ステロイド剤は〝アトピーにとっていい薬”だと思われて当然かもしれません。途中でやめてしまうのにも抵抗があることでしょう。では、「ステロイド剤はアトピーを治すための薬だ」と医師から説明を受けたことはありますか?実は、ステロイド剤は、アトピーを治す薬ではなく、アトピーにより生じた炎症やかゆみという症状を一時的に抑えるための「免疫抑制剤」なのです。「免疫抑制剤」が持つ、炎症を抑える効果(抗炎症作用)が、一時的に炎症を抑え、そうすることでかゆみも抑えているだけ。〝炎症反応を抑制するような免疫抑制効果を薬で起こしているだけ”なのですから、効果は一過性。つまり、薬を使っている間だけといえます。

ステロイド剤は免疫抑制剤 アトピーを改善する役割はない

なぜアトピーにステロイド剤が処方されるのでしょう?

ステロイド剤にはアトピーによる炎症やかゆみを一時的に抑える効果はあります。しかし、根本的な炎症やかゆみの原因を断つものではありません。実は、ステロイド剤だけでアトピーが完治したという医学的なデータが発表されたことはありません。
しかし、「ステロイド剤でアトピーを治した」という人がみなさんの周りにもいるかもしれません。それは、ステロイド剤のダメージを受ける前に、その人の自然治癒力が勝ってアレルギー反応を改善したのだと考えられます。その人にとってはもともとステロイド剤は不要だったはずで、薬の使用歴も浅かったのではないでしょうか。日本だけでなく、欧米諸国でも、アトピーの対症療法としてステロイド剤を用いるケースが一般的で、それは、常識というより「習慣」になっています。ステロイド剤を使わない治療はまだ〝異端”で、特に日本では、先輩医師がしてきた通りのやりかたを受け継ぐのが、ごく普通のこととなっているのです。

アトピーをつくる3つの要因

アトピーは、原因が解明しづらい疾患です。しかし、アトピーを患っている人には3つの状態が共通して起こっていることが、免疫学者には周知の事実となってきました。

1. アレルギー
確かにそうです。ストレスの多い生活をして無理をすると、交感神経が緊張して血管が収縮し低体温になります。このときは、リンパ球は逆に少なくなって、交感神経優位で活発になる顆粒球が多い状態です。つまり、リンパ球は少なすぎても多すぎても低体温になるのです。自律神経のバランスが交感神経と副交感神経のどちら側に崩れても、血流が悪くなり体温は下がります。

木俣先生所有データより

2. 感染症
アトピーの方は、感染症の羅患率が高く、皮膚のバリア機能が低下しているために、健康な肌の方だと問題ない菌に対しても弱く、症状の一進一退や悪化の大きな原因になっています。

3. ストレス
人間関係や仕事、受験、別離などのストレスだけでなく、実は携帯電話、パソコン、ゲームなども、アトピーの方にとっては悪化を引き起こす原因となっています。

この3つが複雑に絡み合ってアトピーを発症させている——
アトピー性皮膚炎に対しては、上記三要素を包括的に捉えた治療がなされることがベストです。

ステロイド剤はアトピー性皮膚炎を、直接治すための薬ではありません。
 

免疫抑制剤でその中の抗消炎作用をアトピー性皮膚炎の患者さんに使っているにすぎません。

ステロイド剤を使ってアトピー性皮膚炎が治ったという論文がないことからも明白です。

ステロイド剤で治ったというのは、ステロイド剤のダメージを受ける前に自然治癒力でアトピー性皮膚炎が治癒したということです。

アレルギー症状が出ない生活術

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アレルギー症状が出ない生活術

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

1年間連載してきた「アレルギーを防ぐ生活術」も今月で最終回。生活環境・食生活なぢ様々な観点からアレルギーについて考えてきましたが、最後にもう一度、アレルギー予防・改善のために一番大切なことを確認してみたいと思います。

アレルギーを予防・改善するため、衣食住においてどんなことに気をつければよいか? これまでの1年間、様々な観点から考えてきました。今回は最後の締めくくりとして、アレルギー治療の基本的な考え方から振り返り、アレルギー対策に最低限必要な心構えをお伝えして、皆さんのこれからの生活に役立ててもらえればと思います。

アレルギーは体を守る防衛反応

イラスト
アレルギーは、まず体を守るための生体防衛反応と考えられます。例えば、卵アレルギーがある人の体は、体外へ卵を追い出そうとして、嘔吐したり湿疹を出したりします。これは「卵は自分の体に適した食品ではない」と判断し避けようとするためです。 
なぜそのようなアレルギー反応を起こすのか原因を調べてみると、様々なことがわかります。アレルギーを起こす食品は、「日本人の体質に合わない(日本人の腸の消化能力では処理が難しい)」食品であったり、「免疫・神経・内分泌の働きを阻害する有害化学物質に汚染されている」食品であったりと、何らかの有害性を持っています。 
だからアレルギー体質の人は、日本人の体に負担のかかりやすい食品や、体に有害な物質を敏感に見わけて体に取り入れないようにしていると考えることもできます。アレルギー症状が人間の間違ったライフスタイルに警告を発しているとしたら、アトピーなどアレルギー疾患の患者さんは、そのことを教えてくれているのです。

過剰なアレルギー反応でアレルギー疾患に

アレルギーが正常に生体防衛反応として働いてくれるなら、その反応に従った対処や治療でなんとかなりそうです。しかし、体はしばしば過剰に反応しすぎて激しいアレルギー症状を起こします。有害化学物質などが免疫機能に影響し、正常なアレルギー反応を混乱させるからです。 このような過剰なアレルギー反応は、自力で調整することができずにアレルギー疾患に発展してしまいます。アレルギー疾患の治療では、次の3つを把握することが大切です。

  1. アレルギーの原因
  2. アレルギーを起こしやすくしている誘因
    ・腸内の状態・環境中のアレルゲン・他のアレルギー症状など
  3. 過剰なアレルギー反応が起こらないための対策
    ③については本連載で様々な対策を伝えてきましたが、最低限実行してほしいことを、最後にまとめておきます(次ページ表A)

アレルギー体質でも健康に過ごす術を持とう

アレルギーには体質的な問題もあります。アレルギー体質の人は、ひどいアレルギーを起こさず健康を損なわずに過ごせるよう日常的に気をつけなければなりません。 
アトピー性皮膚炎でも、疲れがたまったり寝不足が続くと症状が悪化するでしょう。実際に、症状が悪化したらしっかり休み、睡眠をしっかりとるようにしている人も多いと思います。アレルギー体質があると、自分の症状から健康状態を把握しやすいので、他の病気にも常に気をつける傾向があるようです。 
またアレルギー体質の人は、環境の急激な変化などに弱いところがあります。季節の急激な変化、寒い場所から暑い場所へ急に移動、急に運動したときなど、環境の変化についていけず症状悪化につながりやすい傾向があり、心理的なストレスにも弱い面があります。 
環境や心理面の変化に「弱い」というよりも、「非常に敏感」でそのコントロールがうまくできないと言ったほうがいいかもしれません。なるべく自分の苦手な環境変化や傾向を把握し、そんな場合は無理をせず、生活環境や食生活の改善で乗り切れる術を身につけましょう。

アレルギーはなぜ起こるのか? 自分の体に合わない食事、住環境、ストレスなどにさらされた場合、自己を守ろうとして生体防御反応が起こります。この反応がアレルギーと考えられます。

アレルギーは自分のライフスタイルに適さないが起きているという警告と言えます。生体防御反応が正常であればなんとかなりますが、強い刺激や過剰な反応などがおこると自己調整ができなくなります。

アレルギー体質の方はこういった刺激に敏感です。自分の体をよく知り、対処方法を考えた生活を送る必要があります。

アレルギーの原因や誘因を知り、健康に過ごす術を身につけましょう。特に化学物質、食品、生活習慣などは常に見直したいものです。

活性酸素を減らしてアトピー改善

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活性酸素を減らしてアトピー改善

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。


活性酸素って何? 老化の原因だとか、病気を悪化させるとか、そんな話を聞いたことがある人も多いはず。活性酸素はアレルギー疾患とも深い関係があります。活性酸素について知ることは、アトピーの改善にも大いに役立つでしょう。

活性酸素の話の前に、生物の進化に関するちょっとスケールの大きな話からはじめましょう。まだ人間はおろか、生物がほとんど存在しなかった太古の昔、地球上にはほとんど酸素がない時期がありました。大気は二酸化炭素であふれており、生物が住める環境ではありませんでした。 そんな環境に、光合成によって二酸化炭素と水と太陽光線から酸素や有機物を作り出す植物が現れました。それから数十億という年月をかけて、植物の増加とともに大気に酸素は増えていきました。 
酸素はオゾン層を形成して地上を太陽の紫外線から守り、生物が生存できる環境を作り出しました。以来、地球上に生存するほとんどあらゆる生物は、大気中の酸素を体内に取り込むことによって生命を維持しています。

酸素は体に悪いもの?

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どんな生物にも必要な酸素ですが、実は酸素は、生物にとって良い面と悪い面を併せ持っています。良い面とはもちろん生命を維持する手助けをすること。ヒトの体に取り込まれた酸素は、ともに血液中に取り込まれた栄養素を分解し、エネルギーを作り出します。 
悪い面とは、物質と結びつくことによって酸化するという毒性も持ち合わせていることです。たとえば、リンゴの皮をむいて放置しておけば、茶色っぽく変色していきます。鉄なども、しだいに錆びついてきます。これらはすべて、物と酸素が結びついて酸化が進んだ結果です。そしてこの酸化を引き起こした物質が活性酸素と呼ばれるものです。 
酸素は生命を維持してくれる半面、生命体を酸化し細胞を傷つけてしまう毒性を持っています。だから、生物が体内に酸素を取り込んで生き延びるには、酸化を抑える働きが体に備わっている必要があります。現在生存している生物は、すべてこの仕組みを体内に持っているのです。

人体と活性酸素

では、人間の場合はどのような仕組みがあるのでしょう? 体に悪いことをするだけのように見える活性酸素ですが、人間の体にとって大切な役割も持っています。活性酸素には、外から侵入してくるウイルスや細菌から人体を守る働きがあるのです。 活性酸素は、まず体の防御のために利用されます。そして余ったものは、抗酸化酵素によって処理されます。この処理がうまくいけば、過剰な活性酸素によって細胞が傷つけられることはありません。 
活性酸素を処理する抗酸化酵素とは、SOD(活性酸素還元酵素)・ベルオキシダーゼ・カタラーゼなどの酵素の総称で、もともと人間の体に備わったもの。抗酸化酵素が活性酸素を処理する能力には個人差がありますが、野菜や果物などに含まれるビタミンC、βカロチン、カテキン、フラボノイドなどを摂取することによって補充することができます。

活性酸素はアトピーの悪化原因の一つ

体内の抗酸化酵素が十分に働いていれば、細胞は活性酸素に傷つけられることなく、健康な状態を維持できます。しかし問題なのは、活性酸素が多すぎて体で処理しきれない場合。体の処理能力を超えるほど活性酸素が増えると、細胞は傷つけられて正常に働かなくなります。さらに活性酸素がリノール酸などの不飽和脂肪酸と反応すると過酸化脂質を作り出します。過酸化脂質も細胞を傷つけ、肌の保湿機能まで奪います。 
過剰な活性酸素や過酸化脂質は、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患をはじめ、最悪の場合はがんなどの様々な成人病(生活習慣病)の原因の一つとされています。

地球にはそもそも酸素はありませんでした。それが長い時間をかけて酸素が増え、私たち人類が存在できるようになりました。

酸素はオゾン層から私たちを守ったり、ほとんどの生物は大気中の酸素を取り込んで生息できています。

しかし酸素もいい面だけではなく、酸化という悪い面もあります。参加を引き起こすのが活性酸素です。体内には抗酸化作用もあり、通常は体が傷つけられることはありません。

しかし体の処理能力を超えて活性酸素が増えてしまうと体は傷つき、肌の保湿機能なども奪ってしまいます。アトピー性皮膚炎やガンの原因の一つとも言われています。

花粉の季節を快適に過ごすポイント

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花粉の季節を快適に過ごすポイント

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

冬の寒さの合間に暖かな陽気が顔をのぞき始める時期になると、スギの花粉が飛び始めます。2月中旬から春に向けての時期は、、花粉症の人にとって一番つらい季節。
花粉をいかに遠ざけ、できるだけアレルギー症状を抑えるための方法をお伝えします。

去年の夏は記録的な猛暑でした。夏の気温が高く日差しが強かった年の翌春は花粉が多くなります。冬が暖かければ花粉が飛ぶ時期が早くなるし、冬が寒ければその時期は遅くなりがちです。今年はどうなるでしょうか。

いずれにしろ、そろそろ花粉が気になる季節。花粉アレルギーの人はもちろん、アレルギー体質の人は、花粉から様々な影響を受けやすいもの。アトピー性皮膚炎の場合は、花粉が皮膚に接触して湿疹がひどくなることがあります。

花粉アレルギーの症状は様々

花粉アレルギーによる症状は実に様々、体のいたるところに現れます。アレルギーを起こして体の抵抗力が低下すると、中耳炎・気管支炎・肺炎などの感染症も起こしやすくなります。花粉症が長引くにつれて症状が悪化し、最悪の場合はアナフィラキシー様の症状を起こす場合もあります。花粉症は長期化するほど疲労が悪化の引き金になりやすいので、疲れをためないことも大切です。
花粉症の症状を軽減するには、まず花粉を避けることが第一。外出したら花粉を浴びない、家には花粉を入れない工夫が必要です。家に入ってしまった花粉は掃除をして取り除きます。さらに、アレルギーを悪化させないための生活環境・生活習慣を整えることも大切です。

花粉症の主症状

鼻・のど・気管支
鼻水、鼻づまり、くしゃみ、アレルギー性鼻炎、のどの痛み・かゆみ、咳、痰、気管支喘息


かゆみ、充血、めやに、まぶたの腫れ、アレルギー性結膜炎

皮膚
じんましん、かゆみ、湿疹、アトピー性皮膚炎
※特に花粉がつきやすい部位(首・うなじなど)の湿疹がひどくなりやすい。

腹部
腹痛、下痢、吐き気、アレルギー性い挑炎

全身
関節痛、筋肉痛、だるさ、微熱、頭痛、胸痛、めまい、不快感、ボーッとする、集中できない、不眠、抵抗力の低下

花粉を避ける

POINT1 花粉の飛び方を知り、花粉を遠ざける

花粉が飛ぶ季節
スギやヒノキのほかにも、イネ科やキク科などの植物が花粉症のアレルゲンとなります。自分がアレルギー症状を起こす植物とその飛散時期を知り、できる限りその季節には近寄らないようにしましょう。 
樹木か草花かによって、花粉の飛び方や症状の出かたにも違いがあります。スギやヒノキの樹木花粉は数十キロに及ぶ範囲に飛散し、症状は慢性的に毎日続く傾向があります。イネ科やキク科などの草の花粉はあまり遠くまで飛ばず、晴天の日などをきっかけに突然症状が強く出ることがあります。 
空気が湿っていれば花粉は飛びにくく、乾燥するほど花粉は飛びやすくなります。次の4つの条件が揃うほど飛びやすくなり、天気のよい小春日和の昼頃から夕方にかけて、特に雨や雪の降った日の翌日などは要注意です。

花粉が飛びにくい、飛びやすい条件

雨が降れば花粉は飛びにくくなりますが、降り始めには注意します。降り始めの雨には、空気中に飛散していた花粉と大気中のチリ(車の排気ガス、粉塵などの大気汚染物質を含む)が多く含まれている可能性が高いからです。

特にアトピー性皮膚炎やじんましんなどの症状がある人は、花粉入りの雨で悪化することがあるので、雨を体に浴びないよう気をつけます。

アレルギー体質の方は花粉から様々な悪影響をうけてしまいます。花粉は目、鼻、皮膚と全身に症状がでてしまうので非常にやっかいです。

特に抵抗力が落ちている場合は要注意です。長期化して悪化した場合、アナフィラキシーショックのような症状になってしまうこともあります。

そのためにもまずは徹底して花粉を避けることです。花粉の種類、風、季節、天気、湿度などさまざまな条件により飛び方や量が異なります。

特に好天で乾燥、午後でしかも風の強い日などは要注意です。雨や雪の降った翌日で晴れて風の強い日は特に気をつけましょう。

アレルギーを起こさない授乳・離乳食

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アレルギーを起こさない授乳・離乳食

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

乳幼児期の授乳・離乳食は、アレルギーを起こさない食習慣の第一歩としても大切です。小さなお子さんが、アレルギーを起こさずに成長していくためのポイントを、食の観点から説明します。

第6回「アトピーを改善する食生活の基本」(あとぴナビ2010年10月号)では、毎日の食事がアトピー性皮膚炎に大きな影響を与えているという話をしました。古来からの日本人の食習慣を知り、その食習慣によって培われた消化能力・体質に合った食事をすることが、アトピーを改善する食生活のポイントでした。
ヒトの体質を形成する食習慣は、生まれて間もない授乳期、さらに胎盤を通して母体から栄養を吸収する胎児期から始まっています。この時期の栄養は母体を通したものなので、母親自身の食事、母親のこれまでの食習慣が関係してきます。まず母乳について考えてみましょう。

母乳は赤ちゃんの完全栄養食品

哺乳類は、まず母親の胎内で子どもを育て、出産後は自力で食事ができるまでの間に母乳を与えます。母乳は、母親が摂った栄養を子どもが摂取しやすいように母体内でつくられた食品と言えます。母乳中には、乳糖・ビタミン・ミネラル・たんぱく質・脂質などの栄養素が、乳児にとって必要・最適な状態で含まれています。 
アレルギーの視点から母乳をみると、次のような特徴があります。

  1. 外部からの病原体に対する抵抗力は、胎盤と母乳を通して母親から赤ちゃんに移行する。
    胎児の頃は胎盤を通して、生まれてからは母乳を通して、赤ちゃんは外部の病原体やウイルスに対する抵抗力を持ちます。赤ちゃんは、過剰なアレルギー反応を抑制する大切な働きを、母親から受け継いでいるわけです。
     
  2. 母乳中には、乳児の成長に必要な乳糖が多く含まれている。
    ヒトの母乳中には、ほかの動物に比べて多くの乳糖が含まれ、乳児の成長に必要なエネルギー源は、主に乳糖から得られます。
    乳糖は、乳糖を分解できる消化酵素を持った乳児期にしか利用できません。成長に伴って乳糖を分解する力は落ちてくるので、赤ちゃんはいつまでも母乳からエネルギーを摂ることができません。エネルギー源を、母乳中の乳糖から穀物やイモ類に含まれるでんぷんに変えていくことが離乳食の大きな目的です。
     
  3. 母乳中には、母親が体に蓄えてきた脂肪分が多く含まれている。
    母乳には、母親の体に蓄積された脂肪分も多く含まれます。そのため、母親の脂肪に汚染食品や化学物質が多く含まれていれば、多量の汚染物質が母乳中に含まれることになりアレルギーの悪化原因となります。出産の何年も前から(子どもの頃から)、汚染食品や化学物質を避けた食習慣を持つことが理想的です。母乳中にはお母さんが現在食べている食材の栄養が優先的に移行するので、母親がきちんとした食事をして授乳することが大切です。
     
  4. 授乳中は赤ちゃんの防衛機構が未熟。
    乳児期には赤ちゃんの消化機能は未発達です。母乳中に含まれる免疫グロブリン(IgAなど)は赤ちゃんの未熟な免疫を補ってくれます。しかし、消化機能は未熟で、母乳以外のアレルギーを起こしやすい食品を食べさせるとアレルギーを起こしてしまいます。アレルギーを起こしやすい食品については、次に紹介します。 
    授乳期は、母親が米と野菜を十分に摂って、汚染された油脂(牛乳・卵・獣肉)・トランス脂肪酸や汚染された魚介類を避けた食事が基本。人工ミルクを与える場合は、牛乳中の油脂を取り除きトランス脂肪酸が少なく、牛乳たんぱくを取り除いたアレルギー用ミルクが望ましいでしょう。

離乳食でアレルギーを起こさない体作り

赤ちゃんは、成長していく過程で体に合った食物を摂取できるように親から教えられていきます。同時に消化機能も、母乳中の乳糖を分解する消化酵素中心の消化機能から、様々な食物を消化できる消化機能へと発達していきます。 
離乳とは、母乳(あるいはその代用品の人工ミルク)から与えられていた栄養を、体に合った食物から自分で摂取できるようになること。だから離乳食は、これから成長する体と心を作る食習慣の大切な土台となります。 免疫・内分泌・神経系が正常に発達し、過剰なアレルギーを起こさない体と心を作り上げることを目標に、将来子どもたちにどのような食生活をしてほしいかを考えながら離乳食を進めることが大切です。 
日本に住む私たちにとっての理想的な食生活は、日本で古来より食べられてきた日本人の遺伝子に合った食品を摂ること。さらに環境汚染化学物質や農薬・添加物が残留した食品を多食しないことです。離乳食も同じ考えで進めていき、子どもたちに食べてほしい食品を伝えていけば、将来もアレルギーを遠ざけることができるでしょう。

離乳食の内容や時期などアレルギーを起こさないためには気になる点がいくつからりますが、その前にやはり母乳の大切さを再認識する必要があります。

母乳にはいくつかの働きがありますが中でも病原体への抵抗力は大切です。
 

他にも大切な栄養素や脂肪分などその後の成長に不可欠なものが多く含まれています。

それだけにお母さんは常日頃、食事に気を配りたいものです。なお、離乳食の基本は日本人が古来より摂り続けてきた食品を中心に組み立てるのがいいでしょう。

アレルギーを軽減する暖房・換気のコツ

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アレルギーを軽減する暖房・換気のコツ

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

いよいよ冬も本番。前回は家の中の化学物質汚染についてお話しましたが、今回は冬に気をつけたい室内空気の汚染というテーマで、室内の暖房と換気に絞って説明します。

冬は寒さで十分な換気がしにくい季節ですが、気温が低いぶん化学物質の揮発が抑えられるので、空気汚染は比較的落ち着いた季節といえます。とはいえ、室内で多量の化学物質が発生してしまえば話は別。この時期に特に気をつけたいのは、しまってあった冬物の衣類や寝具を出すときと、部屋の暖房です。衣類や寝具については、第5回「衣替えの季節を快適にするアレルギー対策」(あとぴナビ2010年9月号)で詳しく説明しているので、そちらを参照してください。

冬の室内は、室温20℃・湿度50%が目安

冬の時期の室内温度は、なるべく20℃を超えないように温度設定しましょう。室温が20℃を超えるとダニが発生しやすくなり、化学物質も揮発しやすくなります。湿度は60%以下、50%を目安にして、カビの原因となる結露をなるべく抑えるようにします。室温20℃以下、湿度50%程度を基本として、それぞれの暖房器具を使う際の注意点を説明します。。

【ストーブ・ファンヒーター】外排気式の暖房器具が理想的

イラスト
ガスや石油が燃焼すると、窒素酸化物(二酸化炭素や一酸化炭素など)が発生し、のどや気管支、目などを刺激します。だからストーブやファンヒーターは、排気が室外に排出される外排気式のものを選ぶのが理想的。排気が室内に出ないという意味では、電気ストーブもよいでしょう。
室内に排気されるタイプのストーブやファンヒーターを使う場合は、1時間に1回5〜10分以上の換気が必要です。寒い日の換気はつい億劫になってしまいがちですが、できるだけ換気を心がけてください。

加湿器よりも除湿機が必要

冬は空気が乾燥するので加湿器を使っている方も多いでしょう。しかしガスや石油を燃料としたストーブ・ファンヒーターを使っている場合、これらの燃料が燃えるときにかなり大量の水が作られるので、加湿器は必要ありません。
暖房中の部屋のとなりの寒い部屋は、燃料が燃えて発生した水分で湿度が上昇し結露してしまいます。結露とは、外気との温度差のために窓ガラスや壁に水滴がつくこと。結露によって湿度が高まり、カビやダニが発生しやすくなります。北側に面している部屋ほど、壁や窓が冷たくなるために結露が発生しやすくなります。結露が発生した部屋は、窓を開けて換気するか、除湿機が必要になります。
除湿機を使う場合は、除湿機のフィルターにホコリやカビが発生してしまうので、週1回以上は掃除するようにしましょう。

しまってあったファンヒーターを出すときは…

ファンヒーター【使い始めの注意点】

ホコリをとる

ファンの周辺などホコリをかぶっていれば掃除機で吸い取る。できれば、内部にたまっているホコリも吸い取る。業者に点検整備・掃除を頼んでもよい。

試運転

固定式のファンヒーター
窓を開けて十分な換気をしながら、数時間試運転する。

持ち運び可能なファンヒーター
屋外で数時間試運転する

冬は暖房器具を使うため室内の温度、換気、湿度など気をつかうべき点がいくつかあります。

戸建ての場合、石油ファンヒーターを使う場合もあると思いますが、できるだけ外部排気のものを使いたいものです。室内排気の場合はまめな換気を心掛けましょう。

石油、ガスファンヒーターの場合は燃焼時に水分が作られるので加湿器より除湿器が必要です。

しまってあったファンヒーターを使う場合はほこりをとったり試運転をしたりしましょう。

化学物質を避け、アレルギーを遠ざける

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化学物質を避け、アレルギーを遠ざける

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

地球環境に人間が作り出した化学物質があふれ、十分な換気を考えない、気密性の高い住宅が普及したことで、環境化学物質による汚染が私たちの生活に広がっています。これら汚染化学物質の害と、害を避ける方法を紹介します。

アレルギー反応とは、体内に侵入してきた異物から身を守るために発達してきた生体防御機構体が健康な状態であれば、アレルギー反応を起こすと同時にアレルギーを抑える力が働き、体に大きな障害が起きないように反応を抑えこみます。
しかし、環境ホルモンなどの環境汚染化学物質がアレルギーを抑える力を混乱させると、アレルギー反応が激しくなって歯止めがきかなくなり、アトピーやぜんそくなどのアレルギー性疾患を引き起こす可能性が考えられます。
様々なアレルギー症状を起こしている人は、環境汚染を避けることで身を守っているかのように見えます身の回りに蔓延する化学物質など、体に合わないものが体内に侵入してくると、鼻みず、くしゃみ、咳、下痢、湿疹などで体外に排出しようとしますこれらの症状をコントロールできない状態がアレルギー疾患なのだから、環境化学汚染物質を避けることは、アレルギー症状を緩和することにつながります。

身の周りの汚染化学物質と対処法

タバコ

タバコ

タバコの煙の中には、ダイオキシンやベンゾ(a)ピレンなど20種類以上の化学物質が含まれています。肺がんとの関係はもちろん、子どもの肺の正常な成長を妨げてしまいます。タバコを吸う人がいる家庭では、気管支ぜんそくを発症しやすいこともわかっています。特に妊婦や赤ちゃんのいる家では、家族全員がタバコをすわないように心がけましょう。
外で吸っても、髪や服に煙がついたまま微粒子を家に持ち込まないようにします。タバコのニオイがしたら不合格と考えてください。

石油・ガス燃焼物

石油・ガス燃焼物

石油やガスが燃えると、窒素の酸化物や炭素のチリなどができます。窒素酸化物は鼻や気管の粘膜を傷め、鼻や気管の病気を悪化させます。気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など排気ガスで悪化する可能性のある症状がある場合は、室内の石油・ガスの排気に注意してください。
室内排気型のストーブや給湯器をなるべく使わず、室外排気型のものに換える、または電気ストーブ・電気調理器を使うようにします。

ホルムアルデヒド

ホルムアルデヒド

ホルムアルデヒドは、家や家具、壁紙などの接着剤、合成樹脂、消毒剤、防腐剤、脱臭剤などから揮発して様々な症状を引き起こします。
ホルムアルデヒドは、目・鼻・喉などに様々な不快症状を引き起こします。皮膚に付着すると皮膚は乾燥し、傷があればそこから侵入してアトピー性皮膚炎の悪化要因となります。
家を新築する場合は、ホルムアルデヒドを含まない建材を選ぶことが重要です。家屋が汚染されている場合は、十分な換気を行うとともに、高性能の空気清浄機が必要です。

有機リン系殺虫剤

有機リン系殺虫剤

畳の多くには、防虫剤(有機リン系殺虫剤)が使われています。動物実験では、有機リン系殺虫剤がアレルギー症状を悪化させるという報告もあるので、室内に存在するのは好ましくありません。
有機リン系殺虫剤によって自律神経の働きも悪くなり、頭痛・めまい・吐き気などの神経系統の不調にもつながります。特に、畳に近い位置で呼吸し生活することの多い乳児は、大きな被害を受けやすいでしょう。
特に乳幼児やアレルギー疾患のある人は、畳のある部屋を避けるか、防虫剤を使用していない畳に換えましょう。

アトピー性皮膚炎の原因は様々なことが考えられますが環境汚染化学物質もその一つです。基本的な考え方はまずこれらの化学物質を遠ざけることです。

特に密閉された室内の環境汚染化学物質は避けなければなりません。まずタバコは絶対に避けたいものです。家族に喫煙習慣がある方がいる場合は外で吸うこと、臭いの元となるタバコの微粒子をもちこまないことです。

新築家屋の場合壁紙の接着剤に使われているホルムアルデヒドはやっかいです。化学物質過敏症の原因にもなります。徹底した換気が必要です。

畳に含まれる有機リン系殺虫剤も避けたいものです。特に乳幼児がいる場合は畳を有機リン系殺虫剤不使用のものに換えましょう。