あとぴナビ/スペシャルインタビュー 安保 徹


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あとぴナビ2014年4月号より
取材・文/末村成生

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PROFILE
安保 徹(あぼとおる)
1947年青森県生まれ。新潟大学名誉教授・医学博士。1972年東北大学医学部卒業。1980年「ヒトNK細胞抗原CD57に関するモノクローナル抗体」を作成し「Leu7」と命名。1989年「胸腺外分化T細胞」発見、1996年「白血球の自律神経支配のメカニズム」解明など、世界レベルの研究成果を次々と発表している。主著に「免疫革命」(講談社+α文庫)、「人が病気になるたった2つの原因」(講談社)などがある。

世界的免疫学者である安保徹先生は、あとぴナビの医療特集記事でもおなじみの顔。
自律神経バランスと免疫システム、解糖系とミトコンドリア系の細胞進化から生命を読み解く安保理論の核心に迫ります。

アトピー性皮膚炎の炎症は治癒反応。体自らの働きによって治そうとして炎症を起しているのだから、それを薬で抑えるのは本末転倒です」 
新潟大学名誉教授・安保徹先生は、あとぴナビ誌上で何度もそう訴えてきました。胸腺外分化T細胞の発見、白血球の自律神経支配メカニズムの解明など、世界的免疫学者として多くの業績を残してきた安保先生のメッセージは、複雑な生命の仕組みを解き明かしつつも、非常にシンプルなものです。 
「自然の摂理の中で人間は生かされている。人間の体はこの摂理に従っていろいろ反応する。この基本を忘れてはいけません」

体は失敗しない生き方が失敗を起こす

例えば、腰痛を起こしたとします。腰痛とは、体の一定部分に無理な負荷がかかり、そこを支えている筋肉の血流が相対的に少なくなっている状態。体は元の状態に戻ろうとして、その部分の血流を増やし筋疲労を取ろうという反応を起します。その反応のせいで、体には腫れや痛みといった症状が一時的に出てきます。ここでシップ薬で腫れを止めてしまったら、せっかく体が身を守ろうとしている反応を止めてしまうことになります。 
「現代人は、腰痛でもアトピーでも体に不快症状が出れば、自分の体が失敗を起こしたと思ってしまう。でもね、我々の体は、地球上に生命が誕生してから38億年もかけてたどり着いた生命体なんです。それだけ長い時間をかけて自然に適合してきた体が、そんなにいつも失敗を繰り返すわけ? 体は正常に反応しているだけ。失敗を起こすのは、人の生き方のほうなんです」

体は森羅万象とつながる

言われてみれば、とても簡単で納得がいくことです。でも残念ながら、現代の医療では、このような意識が希薄なように思えます。一体なぜなんでしょうか? 
「人間は頭で考えれば考えるほど、感性がおろそかになります。もちろん勉強は大切ですが、その世代、社会、環境で培われる感性の世界をしっかり持つことが大事。勉強しようと思えば、大量の文献を読んでいくらでも学ぶことができますが、学びすぎてしまえば、人間の力を過信し、感性の世界を押さえ込む危険性があります。学ぶ世界と感じる世界のバランスが必要です。昔からよく『頭を冷やせ』って言うでしょう。昔の人は、そのことがよくわかっていましたね」 
匂いをかいだり、味を感じたり、音を聞いたりする五感の世界も、自律神経の支配を受けているといいます。 
「雨の日は低気圧だから、空気中の酸素が薄くなる。酸素が少ないから、体は副交感神経が優位なリラックスした状態です。野生動物なら、雨が降ったら洞窟のなかでじっとしているでしょ。こんなときは、音は大きく聞こえるし、匂いにも敏感になる。逆に天気がよければ、酸素が多いので元気になります。今度は交感神経が優位になり、臭覚や聴覚は弱まる。でもこんな場合は、五感の活動が低下したほうが、何か目的を遂行するための集中力が増すわけです。我々の体は、森羅万象とつながっていることがわかるでしょう」

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