ステロイド剤でアトピーは治せない

監修:木俣肇 先生

ステロイドは本来自分の体で作るもの

みなさんの中には、すでにステロイド剤使用を止めて、リバウンドを経験された方も多いことでしょう。薬を断った体は、炎症を抑えるものが外部から入ってこなくなり、強い炎症反応を起こします。薬の影響で免疫力も落ち、感染症も起こしやすくなってしまいます。リバウンドは、「強い炎症反応」と「感染症」の現われで、体にとってはとてもつらい状態のもの※1です。
人間は本来、体内(副腎)で天然のステロイド(副腎皮質ホルモン)をつくり出す能力を持っています。しかし、外部からステロイド剤を与えられていると、自分でつくる必要がないため、ステロイドの産生能力が低下してしまいます。ステロイド剤の外部からの供給を断っても、産生がスムーズに再開されるかといえば、そうそう都合よくはいかないようです。リバウンドが現れている期間は、自分で自分に必要なステロイドをつくることができていない時期であることも示しています。
逆に、自身のステロイド産生能力が高まればリバウンドを脱することができ、アトピー治癒にもつながっていくのです。
このように副腎機能を抑制してしまうことや、また、アトピーの治癒に不可欠な「睡眠」のためのホルモンを狂わせてしまうことからも、「ステロイド剤はホルモン剤だからアトピーに使ってはだめだ」とも言われてきました。

ただ、「ホルモン剤だから」というよりもさらに問題なのは、前述してきたように「免疫抑制剤だから」の部分。確かにホルモン系統の崩れも問題ですが、免疫力を下げることのほうが治癒に関わる重大な問題です。免疫力が落ちると、アトピーの人の皮膚の機能はさらに損なわれてしまいます。

もしステロイド剤を使ってしまっていても悔やむ必要はなし

ステロイド剤は、使っている限りアトピーの根治を遠ざけてしまいます。塗り薬から内服、注射を併用して、結局さらなる悪化を招き、感染症を発症させ、皮膚科だけでは手に負えず、他科や他の病院に患者を送りこむ無責任な医師も実在します。こうしたステロイド剤の使われ方は、すでに薬害の域に入っているといえるのではないでしょうか。
ただ、これまでに長くステロイド剤を使ってしまったとしても、必要以上の恐怖や罪悪感を抱く必要はありません。むしろ不安によりストレスを増幅させてしまうほうがアトピーにとって悪影響になるのです。

使ってきたステロイド剤は、皮膚のターンオーバー(生まれ変わり)が繰り返しなされていくなかで排出されていきます。皮が何度かむけていくことで治っていくのです。「新陳代謝」が治癒へのキーワードとなります。
ステロイド剤を断つことでアトピーが改善に向かうのですから、過去のステロイド剤使用に悔やみ落ち込むよりも、気持ちを前向きにかまえることが大切です!

ステロイド剤が及ぼすアトピーへの悪影響、感染症への関与について、さらに詳しくは、「感染症の克服がアトピーのカギ 感染症ってなに?どうしてかかるの?」をぜひご参照ください。

※1 リバウンドで感染症の症状が明らかな場合は、感染症治療ができる専門の医師の診察を受けることをお勧めします。ただ、ここでステロイドを用いる医師を選ばないことは言うまでもありません。

ステロイド剤でかゆみを抑える、ということは「炎症抑止効果」と引き替えに、自分を守る免疫力も下げてしまうリスクが生じます。

また、そのステロイド剤を長期的に連用を続けていくことで、だんだん効かなくなるケースも生じる恐れがあります。

しかし、過去のステロイド剤使用を悔やむよりも、これからどのように、皮膚機能の改善を行っていくのかが大切といえるでしょう。

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ステロイド剤でアトピーは治せない」への6件のフィードバック

  1. でぶでぶごんすけ

    20年程ステロイドを使っていました。
    ステロイドをやめて3年以上経ちます。
    副作用なのか皮膚がうすく爪も割れやすいし、
    成長期にステロイドを服用もしていたので
    ホルモンバランスも悪いようです。
    薬で治ると思っていた昔の自分が怖いです。
    もし酷い症状がでても私は二度とステロイドは使いません。

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    1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部

      でぶでぶごんすけさん、こんにちは。
      ステロイド剤が体に与える影響は個人差はありますが、傾向として、使用期間が長くなればリスクの出現頻度も高くなる傾向は見られます。
      しかし、そのリスクは、決して解消できない、ということはありません。
      リスクの度合いによって、「時間」の問題はありますが、ヒトの体は「回復」させようとする力を誰しも持っています。
      薬も使い方によっては、役立つわけですが、症状を治すことと病気を治すことが一致しなくなると、ベネフィット(効果、利益)よりも、リスクの方が高くなりやすいものです。
      辛い時期もあるかもしれませんが、頑張ってくださいね。

      返信
  2. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部 投稿作成者

    なぁちゃんさん、こんにちは。
    今の病院での標準治療が「薬物治療」であること、また患者の方の希望が「かゆみをなくすこと」にあるため、どうしても症状を抑える治療である「ステロイド剤」「プロトピック軟膏」が選択されることが多いようです。
    アトピー性皮膚炎は自分の体が「作り出している」側面があり、同時に自分の体で「作らないようにする」ことは可能です。
    これからも、さまざまな分野の記事を掲載したいと思いますので、ぜひ、時々、のぞきにきてください。

    返信
  3. なぁちゃん

    ステロイドは怖いですね。でも、皮膚科にアトピーでかかると、ステロイドとプロトピックしか出してくれない病院も多いですよね。
    自分の体のことなので、色々学ぶことが必要だとおもいます。
    あとぴナビは、いつもわかりやすく為になる記事を載せてくれているので、大変参考になっています。

    返信
  4. Cotton100%

    あとぴナビ初心者です★
    ステロイドは万能薬じゃないんですね。いずれ効かなくなるなんて知りませんでした!しかも免疫を抑えて症状を見えなくしているだけなんて…。リスクを冒して使っても、一生ごまかしきれないなら、あんまりです。

    返信
    1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部 投稿作成者

      Cotton100%さん、こんにちは。
      ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎という病気により生じた「かゆみ」という「症状」を治療することができますが、アトピー性皮膚炎という「病気」そのものを直接、治療するものではありません。
      間接的に役立つことはありますが、ベネフィットと同時にリスクも生じますので、使用する場合には、リスクを最大限に軽減できるように注意することは、大切でしょう。

      返信

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