ステロイド剤でアトピーは治せない

監修:木俣肇 先生

塗れば塗るほど体内に蓄積されていく

これまで述べてきたように、ステロイド剤は、アトピー自体を治すものではありません。ステロイド剤は、身体の免疫力を低下させることで、皮膚のかゆみや炎症を抑えているだけなのです。
しかも、その効果は一過性のもの。「塗る」→「炎症やかゆみが抑えられる」→「塗らなくなる」→ 「再び炎症やかゆみが起こる」→ 「塗る」の繰り返しになります。ですから、使い続けるとかえってやめにくいという側面も持っています。
「はじめに強いステロイド剤で一気にアトピーを抑えて、どんどん弱い薬にしていきましょう」「3日塗って、4日休みましょう」「1週間に1度だけ塗ってください」など、塗り方(治療法)を具体的に説明されてきた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、3日塗って、その後の4日間はステロイド剤なしでかゆみに耐えられるのであれば、その4日間は蓄積されたステロイド剤が効いているだけの話です。1週間に1度で済んでいる場合も同じ。ステロイド剤は、使えば体内に残留、蓄積されていきます。

「はじめに強いステロイド剤で一気にアトピーを抑えて、どんどん弱い薬にしていきましょう」「3日塗って、4日休みましょう」「1週間に1度だけ塗ってください」など、塗り方(治療法)を具体的に説明されてきた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、3日塗って、その後の4日間はステロイド剤なしでかゆみに耐えられるのであれば、その4日間は蓄積されたステロイド剤が効いているだけの話です。1週間に1度で済んでいる場合も同じ。ステロイド剤は、使えば体内に残留、蓄積されていきます。

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1972年に行われた実験例。1度塗布し密封すると、2週間後にもステロイドの薬理作用による効果が確認できたとの報告です。おそらく脂肪層などに蓄積されるのでしょうが、たった1日で長期残留が認められるその蓄積効果の大きさは脅威。何年もの長期にわたって塗り続けてきた場合には大きく皮膚に影響を与えていると思われます。

実際に薬の強さはコントロールできるの?

では、「ステロイド剤をどんどん弱いものにしていこう」という使い方は、現実的に可能なのでしょうか? はじめに使った強い薬の影響で症状がある期間抑えられたとしても、その効果が切れると症状は再び現れます。
弱いステロイド剤で炎症やかゆみを抑えられないのであれば、逆行して強いものに戻ってしまうでしょうし、患者さん側も、強い薬を使ってもだめだったのに、今度は弱い薬にしてみる気になれるのかは疑問です。「はじめに強いもので抑えて徐々に弱いものに」、この治療に成功例はあるのでしょうか?世界的に見ても、「ステロイド投薬だけでアトピーが治癒した」という大規模研究の論文は1件として発表されてはいません。
弱いものであれ、強いものであれ、外部からステロイド剤を供給し続けている限りは、所詮、対症療法を繰り返しているだけですから、根治にとっては意味がないものです。使用年数が長くなると副作用のリスクも高まります。

ステロイド剤が効かなくなる理由

さらに問題なことに、ステロイド剤を長期にわたり使用していると「ステロイドの受容体が消えてしまう」ことも証明されているのです。「受容体(=レセプター)が消える」ということは、かゆみや炎症を退かせようとしてステロイド剤を塗っても、それを受けるレセプターが消失しているのですから、薬がまったく効かないということです。せっかくアトピーを治そう(かゆみを抑えよう、炎症を退かそう)としてステロイド剤を塗っていたのに、その行為が結局レセプターを壊すことにつながっていたのですから皮肉な話です。
何年もステロイド剤を使い続けていて、薬がだんだん効かなくなってくるというのは、ステロイド剤の長期使用により受容体が消えたためだったのです。 そうと知っていて、ステロイド剤を処方している医師は、アトピーを治せる自信をもって治療に臨んでいるのでしょうか?とても疑問に思われます。塗り薬だけでなく、ステロイド剤には内服、点滴、注射と、いろいろなタイプがあり、アトピー治療に用いられています。
塗り薬のランクを強いものに上げていっても結局は治らない。これを疑問に思い医師に尋ねると「塗り方が悪い」などと言われる、そういう場合もよくあるようです。そして、「次は内服にしてみましょうか」「次は点滴を試してみましょうか」と、次なる手として内服、注射に移行していくのです。結局「軟膏では治らないから」というのが理由です。
なお、一度打てば1カ月効くというような強いステロイド注射はとても危険だと知っておいてください。1回塗って1日かゆみが抑えられるレベルの薬があるとして、それを1カ月分まとめて体内に入れることを想像すれば、その危険性がイメージできるでしょう。
強いステロイド注射は、静脈炎、脳炎、肝炎といった重篤な疾病に結び付く危険性があります。耳鼻科学会では禁止されている治療です。

使用されたステロイド剤が皮膚細胞内に長期に残留することや、長期連用で受容体が消失してしまうことがエビデンスで確認されています。

何年もステロイド剤を使い続けてきて、薬がだんだん効かなくなる理由ここにあると考えられます。

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ステロイド剤でアトピーは治せない」への6件のフィードバック

  1. でぶでぶごんすけ

    20年程ステロイドを使っていました。
    ステロイドをやめて3年以上経ちます。
    副作用なのか皮膚がうすく爪も割れやすいし、
    成長期にステロイドを服用もしていたので
    ホルモンバランスも悪いようです。
    薬で治ると思っていた昔の自分が怖いです。
    もし酷い症状がでても私は二度とステロイドは使いません。

    返信
    1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部

      でぶでぶごんすけさん、こんにちは。
      ステロイド剤が体に与える影響は個人差はありますが、傾向として、使用期間が長くなればリスクの出現頻度も高くなる傾向は見られます。
      しかし、そのリスクは、決して解消できない、ということはありません。
      リスクの度合いによって、「時間」の問題はありますが、ヒトの体は「回復」させようとする力を誰しも持っています。
      薬も使い方によっては、役立つわけですが、症状を治すことと病気を治すことが一致しなくなると、ベネフィット(効果、利益)よりも、リスクの方が高くなりやすいものです。
      辛い時期もあるかもしれませんが、頑張ってくださいね。

      返信
  2. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部 投稿作成者

    なぁちゃんさん、こんにちは。
    今の病院での標準治療が「薬物治療」であること、また患者の方の希望が「かゆみをなくすこと」にあるため、どうしても症状を抑える治療である「ステロイド剤」「プロトピック軟膏」が選択されることが多いようです。
    アトピー性皮膚炎は自分の体が「作り出している」側面があり、同時に自分の体で「作らないようにする」ことは可能です。
    これからも、さまざまな分野の記事を掲載したいと思いますので、ぜひ、時々、のぞきにきてください。

    返信
  3. なぁちゃん

    ステロイドは怖いですね。でも、皮膚科にアトピーでかかると、ステロイドとプロトピックしか出してくれない病院も多いですよね。
    自分の体のことなので、色々学ぶことが必要だとおもいます。
    あとぴナビは、いつもわかりやすく為になる記事を載せてくれているので、大変参考になっています。

    返信
  4. Cotton100%

    あとぴナビ初心者です★
    ステロイドは万能薬じゃないんですね。いずれ効かなくなるなんて知りませんでした!しかも免疫を抑えて症状を見えなくしているだけなんて…。リスクを冒して使っても、一生ごまかしきれないなら、あんまりです。

    返信
    1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部 投稿作成者

      Cotton100%さん、こんにちは。
      ステロイド剤は、アトピー性皮膚炎という病気により生じた「かゆみ」という「症状」を治療することができますが、アトピー性皮膚炎という「病気」そのものを直接、治療するものではありません。
      間接的に役立つことはありますが、ベネフィットと同時にリスクも生じますので、使用する場合には、リスクを最大限に軽減できるように注意することは、大切でしょう。

      返信

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