主治医も知らない?!「IgE」とアトピーの関係

監修:木俣肇 先生

目指すは「sigE-B細胞」

アトピーの人の血液を調べてみると、細胞表面(s u r f a c e)にIgEを発現している細胞「表面IgE陽性B細胞」(sIgE+B細胞)が多く存在していることがエビデンスでも明らかになっています。
逆にアトピー症状がない人の血液には、sIgE+B細胞はほとんどなく、表面にIgE が結合していないB細胞「表面IgE陰性B細胞」(sIgE-B細胞)が圧倒的に多いことも判明しています。
「sIgE-B細胞」から「sIgE+B細胞」へと分化するには、さまざまな要因があるのですが、その中の一つに、「インターロイキン‐4(IL-4)」が関与していることが、これまでの色々な研究で判明しています。
さらに「IL-4」は、例の”3つ目の受容体”「Gal-3」の発現を増加させますし、逆に「Gal-3」は「IL-4」を増加させます。

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「インターロイキン」とは、免疫反応などを機能させるために、細胞間のコミュニケーション機能を果たすタンパク質因子。「4」が付く「インターロイキン‐4(IL-4)」は、アレルギー反応に関わるもので、B細胞や肥満細胞の分化に関わっています。

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この「IL-4」の増加と、他の刺激も原因となって「sIgE-B細胞」が「sIgE+B細胞」へと分化してしまうのです。
「IL-4」は、どういう理由で増加してしまうのでしょう?

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アトピー治療で気をつけること
ステロイド薬は使わない
・環境とライフスタイルを整える

 
「IL-4」を増加させる背景には、環境の変化が影響していると言われています。
清潔に整えられ、化学物質が蔓延してきた人工的な生活環境が「IL-4」を増加させる一因となっているのだと。

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そうした環境下で慢性的な運動不足の生活を送っていると、体内に蓄積された化学物質を代謝で排出させることが困難になり、「IL-4」をさらに増加させやすくしています。
またアトピーのかゆみを抑えるためにステロイド剤を用いてきた方も多いでしょう。残念なことにステロイド剤の使用もまた、「IL-4」を増加させる原因の一つです。結果、「Gal-3」が増え、IgE産生を上げてしまうのです。

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ステロイド使用がIgE産生を上げ、その結果出た炎症やかゆみを下げようとしてまたステロイド剤を使うことでさらにIgEを増やし、そしてまたステロイドが…と、ここでもまた悪循環が起きていたのです。ステロイド剤を使うことで、このように医源性のアレルギーの連鎖が起きるということを、私たちは知っておくべきでしょう。もちろん、ステロイドよりも強い免疫抑制剤であるプロトピックやシクロスポリンは論外。
アトピーの治療で、安易に使用してよい薬剤ではありません。 ところで、アトピーの人の場合、皮膚のバリアが壊れていると、感染症にかかることもよくあります。たとえば、黄色ブドウ球菌による感染症を経験したことはあるでしょうか?この黄色ブドウ球菌もIgE産生を上げるもの。
皮膚表面についた菌の毒素がアレルゲンとなって、それに対しIgE抗体が作られてしまうこともあるのです。
アトピーは、このように原因が複雑に絡み合って、悪循環を起こしている状態で悪化しているのです。

リバウンド時の悪化状態を、今の医師たちは、ステロイド剤中断による炎症の増悪、つまり、アトピー性皮膚炎そのものが悪化しているので、ステロイド剤の再使用を勧めるケースが多くあります。中には、ステロイド剤を中断したことを患者に対して責める医師もいます。
しかし、ステロイド剤中断によるリバウンド症状は、実は、感染症が悪化した状態を含んでおり、その段階でステロイド剤を再使用することは、ステロイド剤の免疫抑制作用により、炎症は一時的にでも抑えることができるでしょうが、感染症そのものは悪化させてしまいます。特に、黄色ブドウ球菌による感染症にかかっている場合、黄色ブドウ球菌が出す毒素がIgEを増強させ、さらにステロイド剤もIgEを増強させる傾向があり、その結果、体内のIgE値が上がり、アレルギー性の炎症反応を促進させることにもなりかねません。
これこそ、まさしく「アトピー性皮膚炎」が悪化した状態、といえるでしょう。リバウンド時のステロイド剤使用は、相応のリスクを伴うことを承知しておいたほうが良いでしょう。

アトピー治療にステロイド剤を使用すればするほど、IgE産生が増強されると、アレルギー性の炎症反応が促進され、アトピーを悪化させることにつながります。

また、ステロイド剤中断によるリバウンド症状は、元々のアトピーの炎症反応が増悪しただけでなく、実は、感染症が悪化した状態を含んいます。

リバウンド状態でステロイド剤を再使用することは、薬剤の免疫抑制作用で炎症は一時的にでも抑えることができても、感染症そのものは悪化させてしまいます。

炎症反応の度合いによっては、もちろん炎症を抑えることを優先しなければならないケースもありますが、相応のリスクも生じることを認識する必要があるでしょう。

 
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