主治医も知らない?!「IgE」とアトピーの関係

監修:木俣肇 先生

免疫システムと従来の考え方は アトピー治療=アルゲン除去 でも、それだけでは不十分

前述のように、アトピーの主な原因が「I型(即時型)アレルギー」であるとの考え方だと、その人にとってのアレルゲン除去が”アトピーの治し方”となってしまいます。
しかし、アレルゲンを遠ざけたからといってアトピーは簡単に治まってくれませんね。とは言うものの、卵黄、卵白、カニ、チョコレートetc. 自分が何にアレルギーを持っているかを血液検査(RAST)などで調べたことがある方は多いでしょうし、アレルギーを起こすと知っているものは、なかなか口にはできない場合もあるでしょう。

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いわゆる「アレルギー検査」では、自分の体内に(血液検査なら血液中に)卵白やスギなどのIgE 抗体があるかないかを調べています。知っておきたいことは、IgEは、元々はヒトの組織(細胞)にくっついて存在しているものだということ。組織から溢れた分だけが血液に流出します。特に、小さいお子さんの場合は、血液に流れ込んでいるIgEがまだ少なく、血液検査をしてもアレルゲンの有無が判明しないことも多くあります。
つまり、通常の血液検査によるRAST検査では、正確にその人のアレルギーを判断できない場合もあることを知っておくべきでしょう。
よって、より正確にアレルギー検査を行うためには、皮膚にアレルゲン(抗原)溶液をたらし、皮膚を浅く検査針で引っ掻く「プリックテスト」が適しているのです。この検査だと15分で結果が判明しますし、検査料金も血液検査より安価なのですが、医師の勉強不足(必要性を知らない)から、実施している医療機関は非常に少ないのが実情です。
アトピーは食物アレルギーそのものではないので、アレルゲン除去そのものがアトピー治癒ではありません。しかし、後述するように、「アレルゲン―IgE―Gal-3」のような反応でアトピーは悪化しますので、『何かにアレルギーを持っているはずなのに、検査では特定できないと言われた』と、血液検査の結果に納得できない場合は、「隠れアレルゲン」を特定するためにも、前述の「プリックテスト」を受けることをお勧めします。

IgE産生の悪循環がアトピーを起こしている

アトピーと大きく関係しているIgE「Gal-3」に話を戻します。この「Gal-3」は、いろいろな細胞に存在しますが、「B細胞」にも存在しています。B細胞とは、誰もが血液中に持っている細胞で、この細胞にはIgEを含めた「抗体」を作る機能があります。アレルゲンがIgEの受容体の1つの「FcεRI」を介して、皮膚の組織に存在する肥満細胞とIgEが結びついた場合(食物アレルギーを起こした場合など)は、ヒスタミン(かゆみを起こす物質)が分泌されます。一方、アレルゲンが「Gal-3」を介してB細胞とIgEが結び付くと、B細胞がIgEを過剰に産生してしまうことが分かっています(木俣先生の研究)。
受容体を介して結合する細胞などによってこうした違いが生じるのですが、厄介なことにヒスタミンは、B細胞を刺激してさらにIgE産生を増加させます。つまり、食物アレルギーによるじんましんの場合は一過性で終わります(じんましんが反復して出る場合もあります)が、アトピーでは連鎖して刺激が続きます。アトピー=食物アレルギーではないと前述しましたが、アレルゲンとそのアレルゲンに対するIgE抗体がGal-3を刺激し、IgEが過剰に体内に作られ、そのIgEでまたアレルギー性の炎症反応が起き、結果的にアトピー症状が強まるという悪循環が起こるのです。

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ですから、自分は何によってアレルギーが起こるかというアレルゲンの特定は、やはり必要だということになります。
なかなか途絶えることのない悪循環が体内で起こる――、これがまさに「アトピー」の状態です。

肥満細胞が関与する1型アレルギーであればアレルゲンの除去は有効といえますが、アレルゲン除去をしただけで、アトピーが簡単に治るわけではありません。

「Gal-3」を介してB細胞とIgEが結び付くとB細胞がIgEを産生、これが連鎖的に生じることで、IgE産生の悪循環がアトピーを悪化させることがあるからです。

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