アトピーを長引かせないために、知っておきたい感染症の基礎知識

監修:木俣肇 先生

ヘルペス・カポジが急増している

2年前くらいまでは、ヘルペスやカポジといえば、もともと基礎疾患がある人しかかからないものとの概念がありました。 しかし、現在では、基礎疾患がなくてもかかりうる感染症になったと、その概念が変わってきています。基礎疾患がないだけでなく、皮膚表面に異常(火傷や傷)がなくても感染してしまうケースも増えているのです。つまり、一見元気そうな人でも急にかかる、それが最近のヘルペスです。 ストレスや不安を抱え、現代人の免疫力が落ちてきていることが起因しているのかもしれません。心が弱ると体は弱ります。皮膚は体の一部。見た目に異常がなくても実は弱まっている人が多いのではないでしょうか。 このように、基礎疾患や皮膚に異常のない人にさえヘルペスが広がってきているのですから、アトピーの人たちにとっては、よりかかりやすい感染症になってしまっています。アトピーの方にヘルペスあるいはカポジが急増しているのはこうした理由からなのです。

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「免疫」とは、外敵から体を守る防衛システムです。「健康な状態を維持しよう」と、皮膚や内臓などいたるところで常にいろいろな敵と闘っています。

この免疫力は、過労や寝不足、心理的なストレスや不摂生、ステロイド剤など免疫抑制剤の使用などで低下することが知られています。

 

カポジの症状を知っておこう

カポジといえば、ブツブツと出る水疱(水ぶくれ)のかたまりが特徴的・典型的な症状だとされていました。でも最近のカポジは、この水ぶくれを出さない場合もあります。  一般的な見た目の特徴としては、

  • 水疱(水ぶくれ)
  • びらん(水ぶくれを掻き壊した跡)
  • 隆起性病変(丘疹)

これら3つが混在しています。 ただ、水ぶくれは掻き壊してしまうと「びらん」と呼ばれる”ただれ”になりますので、必ずしもカポジに水ぶくれが伴うものとはいえないのです。

カポジは診断が難しい

カポジの症状が水ぶくれのみというケースは、典型的というより今では古典的なケースになりつつあります。このようなことから、「水ぶくれがないからカポジではない」「全身に出ていないからカポジではない」「ステロイドの副作用でただれている」など、正しく診断できない医師も数多くいるのが現状のようです。 厄介なことに「アトピーの悪化」だとして、ステロイド剤を出されるケースもあるのです。 免疫力が低下して感染症にかかったのに、さらに免疫抑制剤を使ってしまうと悪化するばかり。 ステロイド剤が持つ抗炎症作用で一時的にかゆみが退くため、効いているように思ってしまうこともあるようですが、ヘルペスはじめ感染症にステロイドは禁忌です。

受診の際の注意点

感染症の疑いがある場合は、とにかく病院へ。感染症の見極めは難しいので、経験豊富な医師に診てもらうのがベストです。 信頼できる医師を知らない場合は、大きな病院の皮膚科、アレルギー科がいいでしょう。患者数の多い病院のほうが、より多くの症例を経験していると考えられるからです。

お話ししてきたように、医師たちの間にもカポジに対する誤解がまだまだあって、正しい診断をつけられる医師が少ないのが現状です。 アトピーを診察する医師たちは、いつもとは違う肌の異常を患者さんが訴えてきたときに、ヘルペスやカポジを疑うというステップを判断基準に持つべきではないでしょうか。 実はカポジと診断するための検査に「Tzanck試験」といって水疱液をギムザ染色という方法で染め、ウイルス性巨細胞を検出する検査があります。保険適用ですが、100%陽性に出ないときもありますし、カポジを疑わないと検査に行き当たりません。より正確なのはPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)ですが、これは保険適用外で、この検査を施行できない医院・病院もあります。 このようにPCR法による検査を行わないまでも、抗ヘルペス薬などを用いるカポジに対する治療を行ってみて、状態がよくなるか、経過を診ることでカポジかどうかの判断はつきます。 患者側であるみなさんがヘルペスやカポジについての基本的なことを知って、自分の症状がもしかして「ヘルペス(カポジ)かも?」と思ったら、放置せず、適切な治療を受けてください。放置しているとアトピー治癒を長引かせてしまうことになるので、十分に注意してください。

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