アトピーを長引かせないために、知っておきたい感染症の基礎知識

監修:木俣肇 先生

アトピー性皮膚炎(以下、アトピーと略します)を発症している皮膚は、表面のバリアが壊れている(防御機能が低下している)ことが多く、外部から細菌やウイルスを侵入させやすい状態にあります。そのため「感染症」にかかりやすく、この感染症が、アトピー治癒を遅らせてしまう原因の一つにもなっています。

みなさんの中にも、ヘルペスや黄色ブドウ球菌による感染症を繰り返し発症している方もいらっしゃることでしょう。今回の特集では、感染症のなかでも最近急増している「ヘルペス」「カポジ水痘様発疹症」(ヘルペスの重症型・全身型)を取り上げます。ヘルペスってどういうもの? 予防法は? かかってしまったらどうすればいい?など、知っておきたい基礎知識をご紹介しましょう。

アトピー性皮膚炎の方は、掻き壊しにより、肌のバリアが壊れている事が多く、皮膚の「防衛機能」自体が弱っているケースが多いといえます。

またステロイド剤などの免疫抑制剤を使用している事によっても、生体の免疫低下が起こりますから、ヘルペスなどの感染症にかかるリスクが高いとされています。

 

ヘルペスには2種類ある

「ヘルペス」には「単純ヘルペス」と「帯状疱疹」の2種類があります。同じヘルペスとはいえ、この2つは違うものです。 単純ヘルペスの中でもよく知られているものに「口唇ヘルペス」があり、これは、アトピーでなくても、疲れやストレスから、または風邪で発熱したときなどにもできやすい、唇付近の水ぶくれです。「単純ヘルペスウイルス」との接触により発病します。 「帯状疱疹」は、水痘(一般的な名称は「水ぼうそう」)にかかったことのある人にしか発症しないもので、かつて水痘になったときのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が神経に残り、それが体調悪化などの免疫力低下時に活性化して発病するものです。 口唇ヘルペスや帯状疱疹は、アトピーの方に限らず、誰にでも同じリスクでかかるものです。 そして、アトピーの方に起こりやすい「ヘルペス」は、前者の「単純ヘルペス」なのですが、「口唇ヘルペス」とはまた違い、顔、手、足、背中などのあらゆる部位に見られるものです。

カポジは、単純ヘルペスが悪化したもの

単純ヘルペスウイルスは、どこにでもあるウイルスで、傷や火傷といった皮膚の異常があるところに付着しやすい性質を持ちます。アトピーで皮膚のバリアが壊れていると単純ヘルペスウイルスを侵入させやすく、それにより単純ヘルペス(以下、ヘルペスと略します)が発症します。 ヘルペス感染症が広範囲に及んだり、局所的であっても重症化した症状は「カポジ水痘様発疹症」(以下、カポジと略します)との病名になります。つまり、ヘルペスの重いものがカポジなのです。 ヘルペスにかかると”痛がゆい”症状に襲われますが、アトピーの症状がある人にとっては、アトピーによる痛がゆさと区別がつけにくいものなので、感染してもすぐに気づきにくい場合もあるでしょう。

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