医療ナビ 子供のアトピー性皮膚炎、発症・悪化研究最前線(前編)


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監修/河野 陽一(こうの・よういち)
千葉大学大学院医学研究院
小児病態学教授
1973 年、千葉大学医学部卒業。専門は小児科学、小児アレルギー学、小児免疫学など。
アトピー性皮膚炎の障害臓器決定に関わる細胞接着分子CLAの存在を解明するなど、多くの業績がある。
現在は厚生労働省、免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業において、
「アトピー性皮膚炎の有症率調査法の確立および有症率(発症率)低下・症状悪化防止対策における生活環境整備に関する研究」の主任研究者を務めている。

厚生労働省では、免疫アレルギー予防・治療研究事業として、アトピー性皮膚炎の発症・悪化について全国レベルで調査が行われ、予防対策について検討されています。
厚生労働省の研究事業でもあるこの調査・研究がどこまで進んでいるか、アトピー性皮膚炎の研究最前線をお伝えします。

1.アトピー性皮膚炎有症率に世代間で差がある理由

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東京大学の研究チームが昨年、東京大学職員2123名を対象に成人のアトピー性皮膚炎(以下アトピーと略す)の有症率を調査しました。
この調査によると年代別の有症率は、
20代で9.8%(うち軽症者は76.9%)、
30代で8.7%(軽症者は72.2%)、
40代で4.4%(軽症者は82.4%)、
50〜60代では2.6%(軽症度100%)
という結果になりました。
.年齢が高くなるほどアトピーの有症率が減っているという結果から、「やっぱりアトピーは子どもの病気。大人になれば治るんだ」と考えた方がいるかもしれません。
本当にそうなのでしょうか?

確かに以前は子どもでアトピーを発症しても、成長するに連れて症状が寛解する場合がほとんどでした。
しかし、今の子どもたちが高齢化したとき、アトピー有症率は激減するでしょうか。
おそらくこの割合は大きく変わらない可能性があります。
と言いますのは世代間の有症率の違いは、年齢による差ではなく、それぞれの世代が乳幼児期を過ごした環境の差で、戦後大きく変わった生活環境や食習慣が、世代間のアトピー有症率に大きく影響していると考えられるからです。

この仮説を裏付けるために、発育とともに子どものアトピーがどのように変わっていくのかという研究も進んでいて、長期間同じ子どもたちを調査対象にしてアトピー症状の変化を調べる追跡調査も行われています。

2.アトピー性皮膚炎発症の実態とメカニズム【1】

アトピー性皮膚炎有症率の調査によって、アトピー発症のメカニズムがだんだん明らかになってきています。
アトピー発症に大きく関係するのは乳幼児期を過ごした環境と大きく関係があることがわかってきました。

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子どもの10人に1人がアトピー性皮膚炎

平成14年度に厚生労働科学研究の一環として、アトピー性皮膚炎の全国調査が行われました。アンケート調査でなく、実際に医師が診断を行った調査で、乳幼児〜学童までのアトピー有症率には大きな差がありませんでした。
全国平均でみると、生後4カ月では12.8%、1歳6カ月では9.8%、3歳で13.2%、小学1年生で11.8%、6年生で10.6%でした。年代によって多少違いはありますが、乳幼児〜学童期ではおよそ10人に1人がアトピーを発症していることがわかりました。
.平成4年度に行われた同様の調査では、1歳6カ月で5.3%、3歳で8.0%でした(表1)。1歳6カ月では約1.8倍、3歳では約1.6倍に増加していることがわかります。
ところが、3歳児を対象に行った別のアンケート調査によると平成8年から13年の間でアトピーの有症率はわずかに減少していることがわかります(表2)。
実際にアトピー患者が増えているのか、減っているのかは、これからの研究が必要ですが、およそ10人に1人がアトピーという数字は決して少なくありません。
生活の質を低下させるこの疾患の性質からも、今後の対策を考えていく必要があります。

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アトピー性皮膚炎は遺伝因子と乳幼児期の環境因子が複雑に絡み合って発症する

この全国調査によると、子どもではアトピー有症率に男女差はほとんどありませんでした。
また、かつては農村部と都市部で有症率に差がありましたが、最近は差がなくなっています。
これは全国的に環境のミニ都市化が進行したことが原因ではないかと予想されています。
これらの有症率に関するデータから考えられることは、乳幼児期に育った環境の影響は、アトピー有症率に大きく反映するということです。

もちろん似たような条件で育ってもアトピーを発症する子どもとしない子どもがいます。
環境因子と遺伝因子が複雑に絡み合って、アトピーは発症するからです。
こうした発症のメカニズムについても、さまざまな研究が進められています。

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子供は大人になればアトピー性皮膚は治るのでしょうか。生活環境が昔とは大きく変わり必ずしも良くなるわけではないようです。

調査によると乳幼児期の環境とアトピー性皮膚の発症が関係あるようです。ただしアトピー性皮膚の乳幼児の有症率はわずかに減少しています。

男女差はほとんどなく、地域差も減っていることから全国的に環境がミニ都市化していることが考えられます。

妊娠中の母親の風邪や黄色ブドウ球菌が乳幼児のアトピー性皮膚の発症に関係するというデータもあります。さらなる調査が待たれます。

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