医療ナビ 腸内環境とアトピー(後編)


腸内環境とアトピー(後編)

監修:辨野 義己
監修:辨野 義己(べんの よしみ)
理化学研究所
微生物系統保存施設・微生物機能解析室長
酪農学園大学卒、農学博士。
東京農工大学大学院を経て、現職。
日本ビフィズス菌センター理事、日本細菌学会理事など多くの役職を務める。
2003年日本微生物資源学会・学会賞受賞。
著書に『究極のヨーグルト健康法』(講談社+α新書)、『発酵乳の科学』(アイ・ケイ・コーポレーション)、『乳酸菌って何だ?』(マガジントップ)など多数。テレビなどでも活躍中。

腸内環境とアトピー(前編)はこちら

4.腸の中はどうなっているの?

腸年齢は何歳でしたか?
腸をより若く健康に保つために、腸のはたらきについて知っておきましょう。

腸のはたらき

小腸と大腸のはたらきの違い

小腸は消化と免疫を担う

上から順に、十二指腸・空腸・回腸を小腸といいます。胃で流動状にされた食物を消化・吸収するのが小腸ですが、同時に免疫反応を担当する最大の臓器でもあります。小腸の内壁には無数の絨毛組織があり、消化液を分泌し、栄養を吸収します。また体内の免疫細胞の60%が小腸にあるといわれ、重要な免疫反応を担っています。小腸は全長6〜7mで表面積はテニスコート1面分に匹敵するほど大きいもの。しかし、腸内微生物は大腸と比べると圧倒的に少なく、全体の99%が大腸内にいるといわれています。

大腸は腸内細菌が多く、腸年齢はここで決まる!

大腸は盲腸・結腸・直腸に大別され、全長1.5m程度。大腸では、小腸から送られてきた液状の腸内容物から水分を20%だけ吸収し、もっとも排泄しやすい形の便を作り、便をためておく器官でもあります。これができないとトイレのコントロールができません。また、1.5kgといわれる腸内細菌のほとんどが大腸に生息。この腸内細菌バランスが腸内環境を左右しています。腸内環境を整えることで病気を防ぐことができることからも、予防医学的に大変重要な臓器であるといえるでしょう。大腸はガン、ポリープ、カタール、潰瘍性大腸炎などもっとも病気が多く、病気の発信源でもある臓器。腸内環境さえ整っていれば、大腸は健康の発信源にもなりうるのです。

5.腸年齢の若返りとアレルギー対策の味方は乳酸菌!

腸を健康に保つために大切なのは腸内善玉菌を増やすことです。その善玉菌の代表が乳酸菌です。乳酸菌には、腸のためにもアレルギー対策にも効果があるのです。

乳酸菌とは?

乳酸を作る細菌を総称して乳酸菌と呼びます。乳酸菌が善玉菌とされるのは、乳酸菌が作る乳酸が腸内を酸性に保ち、腸内の腐敗を防いでくれるからです。現在わかっているだけでも約350種類の乳酸菌があります。

乳酸菌の形には、棒状の「かん菌」と球状の「球菌」があります。大きさは、たとえばかん菌の棒部分の幅が1マイクロメートル(1000分の1mm)、長さが3〜7マイクロメートルです。ビフィズス菌はかん菌で、VやYのように枝分かれしているので「枝分かれ」を意味する「ビフィド」から名付けられました。

最近、プロバイオティクスという言葉が使われますが、これは健康に有用な働きをする微生物のこと。乳酸菌はその代表格です。病原菌も有用な微生物も皆殺しにしてしまう抗生物質(アンチバイオティクス)とは違って、善玉菌の働きを利用しようというものです。

ビフィズス菌

腸内でもっとも優秀な善玉菌。腸内をきれいに保ち、腸の運動を活発にする。生きたまま腸内に到達できる。

乳酸菌

もっとも身近な乳酸菌。有害物質を減らし、免疫力を高める。チーズの独特の風味は乳酸かん菌がもたらしている。

乳酸菌の4つのはたらき

  1. 有機酸を作る
    有機酸とは、乳酸や酢酸などのこと。腐敗菌の汚染を防ぐことによって、漬物やチーズなど食品の保存性を高めてくれます。悪玉菌による腸内の腐敗も防ぎ、腸内環境を整えるはたらきがあります。また、発酵過程でできる微量産物が、食品の旨味をアップさせます。このはたらきによって、しょうゆやキムチなどに旨味が加わります。
  2. 腸管運動を活発化させる
    乳酸菌が作る有機酸が腸を刺激することで、腸の動きを活発にします。その結果、便通がスムーズになり、便秘や下痢を予防します。
  3. 病原菌を抑える
    血液やリンパ液の中には外部から侵入するウイルスや病原菌と闘う免疫細胞がたくさん含まれています。乳酸菌にはこれらの細胞を活性化させるはたらきがあることがわかってきました。このはたらきによって、風邪などの病気に対する抵抗力が強くなります。腸内環境が老化して、悪玉菌が優位な状態にあると、外部からの侵入者に対する防御力も弱まってしまいます。
  4. 免疫細胞を活発にしてアレルギーを軽減する
    体には外部から侵入する異物を認識し、攻撃する「免疫」というしくみが備わっています。血液中などに存在するリンパ球という白血球の一種が、異物を認識して攻撃する免疫反応に関係しています。小腸にはこの免疫細胞の60%が存在しているといわれています。

アトピーの発症を抑制し炎症を低減する乳酸菌

アトピー性皮膚炎の妊婦に乳酸菌を与えたら、生まれてきた子供のアトピー発症率が低いという結果がフィンランドで報告されました。それによると、ラクトバチルス・GG株という種類の乳酸菌を投与した妊婦の生んだ子供は、投与しなかった妊婦の場合の半分しか発症しなかったというものです。また、アトピー性皮膚炎の乳児に、普通の乳清を与えた場合とGG株を入れた乳清を与えた場合では、GG株を与えた乳児のアトピー性皮膚炎が大きく改善したという報告もあります。(ラクトバチルス・GG株の入ったヨーグルトは日本でも市販されています。)

乳酸菌を含む食品

乳酸菌はヨーグルトだけでなく、乳製品や発酵食品、発酵調味料にも含まれています。チーズ、乳酸飲料、発酵バター、味噌やしょうゆ、キムチや漬物などにも乳酸菌は含まれています。

また、オリゴ糖は胃や小腸では吸収されず、大腸まで届いてビフィズス菌のエサとなります。オリゴ糖を得たビフィズス菌は大腸で増えて腸の働きを活発にします。乳酸菌やオリゴ糖のサプリメントも多数売られています。

ひとくちに腸と言っても小腸、大腸では役割が異なります。小腸には免疫細胞の60%があると言われ免疫反応を担っています。

大腸は腸内細菌のほとんどが生息し、最近のバランスが腸内環境を左右します。腸内環境は病気にも影響するためバランスを整えることは病気の予防からも非常に大事です。

中でも大事な善玉菌のが乳酸菌です。350種類程度あり、腸内をきれいに保ち、免疫力を高めてくれます。

乳酸菌には病原菌を抑える、免疫機能を活発にしアレルギーを軽減する機能もあります。アトピー性皮膚炎の妊婦に乳酸菌を与えたら子供のアトピー性皮膚炎の発症率が低いという結果もあります。

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