医療ナビ 経穴とアトピー


医療ナビ アトピーと心のコーピング

監修:工藤 孝太
監修:工藤 孝太(くどう こうた)
日本伝統鍼灸学会理事、東洋鍼灸専門学校教務課副主任、上真堂鍼灸治療所鍼灸部門部長
鍼灸治療の中でも特にアトピー性皮膚炎の治療に力を注ぎ、東洋鍼灸専門学校では数多くの伝統医療後継者を育成。
足底鍼療法の創始者でもあり、鍼灸と足裏刺激療法を組み合わせた独自の治療を行っている。

日本でも国家資格が認められている、鍼灸(しんきゅう)などのツボ療法は、東洋医学、中でも中国の伝統医学の治療法のひとつです。
これらのツボ療法はアトピー性皮膚炎に対する臨床効果も知られています。
私たちの体にある「ツボ」を知ってアトピー改善に役立ててみましょう。

1.中国伝統医学でのアトピーとは?

中国伝統医学には西洋医学のような診療科による区別はないため、皮膚科はありません。アトピー性皮膚炎を皮膚の病気と考えずに体のバランスの乱れとするのが中国伝統医学の考え方です。

体全体を整えることで患部を治療する考え方

東洋医学の中でも、中国医学は、古代中国の思想を基に発展してきた伝統医学のことで、生薬などの薬物療法である漢方、物理療法である鍼灸・按摩療法、食事療法などがあります。中国伝統医学では、環境やストレス、食事などの影響で、気の流れやエネルギーのバランスが乱れ、体の機能バランスが崩れている状態のことを「病気」と考えます。

鍼灸治療では、この乱れた体のバランスを整えることによって、人間が本来持っている自然治癒力や免疫力を高め、体の不調を改善していこうとするものです。西洋医学が患部を部分的に治癒していこうと考えるのに対して、中国伝統医学では体全体を整えることによって患部も治癒させようという違いがあります。

皮膚の治療は肺を整えることが基本

中国伝統医学の理論を支えている自然観の一つに、「五行」という考え方があります。自然界のすべての物や現象を、「木、火、土、金、水」という5種類の要素の特性や、相互関係、運動からとらえようとする考え方です。人間の体で五行に対応する考え方が、「五臓六腑」※1といわれるもの。五臓六腑はお互いに関連しあっていると考えます。そのつながりのひとつに「肺は皮毛を主(つかさど)る」という言葉があり、これは皮膚や毛髪は肺がコントロールしているということを意味しています。中国伝統医学の古い文献には、アトピーに似た皮膚症状の記述もあり、昔から皮膚の治療には肺を関連付けていたことがわかります。実際の鍼灸の臨床現場では、肺を強くするための治療をすることで、アトピー性皮膚炎が改善されたという例が多くあります。

※1 五臓とは、肝、心、脾、肺、腎のこと。六腑とは、胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦のことで、三焦は水分代謝全般を指す機能系を指します。

2.「ツボ」って何?

鍼灸治療では「ツボ」を刺激することで、体の不調を取り除いていきます。全身に存在するツボにはそれぞれ名前があり、それぞれが異なった性質を持ち、身体のあらゆる部分と関係しています。鍼灸の治療の基本的な考え方が「ツボ刺激」なのです。

「ツボ」は臓器に関わる12本の気の流れ上にあるもの

ツボ

中国伝統医学では、人間の体には「気」が流れていると考えます。この気の流れは「経脈」と呼ばれ、人間の体には12本の経脈が通っており、十二経脈といいます(イラスト参照)。

これらの経脈にそって、全身に360個以上※2もの経穴(ツボ)があります。たとえば、胃に関わるツボを結んだものが胃の経脈すなわち「胃経」です。そのほか、肝臓なら「肝経」、また肺なら「肺経」といったように、それぞれが臓器にかかわる気の流れとなっています。臓器の名をとった十二経脈はほかに「心経」「小腸経」「大腸経」「脾経」「腎経」「胆経」「膀胱経」があります。それ以外に「心包経」「三焦経」という2本の経脈があります。

足裏を指圧すると体調が整うのは、この経脈で連なったツボが足裏にもあるからなのです。ただし、経脈はあくまでもツボの連なりであって、血管のように実体が確認されているものではありません。

※2 WHO(世界保健機構)では、361個の経穴が認められています。

「ツボ」は刺激に反応し治療する点

ツボ
では、ツボとは何でしょう?

中国伝統医学では、体内の気と自然界の気の出入り口を「ツボ」(経穴)と考えます。そしてツボは体の中の異常反応を示す点でもあります。肺に異常があると、肺経にそれが現れます。そしてそのツボに適切な刺激を加えると、異常が緩和されることから、ツボは反応点であり、同時に治療点でもあるのです。

ツボの異常反応は、「虚実」という出っ張りやへこみとして現れます。出っ張っている時は気のエネルギーが多い状態、へこんでいる時は逆にマイナスの状態です。赤みがあったり、黒ずんでいることも。治療者はこれらを経験で見分けます。

「変化の表れたツボ」に刺激を与えて正常化する

季節や天気など自然環境が変わったり、ストレスによって情緒が乱れたり、食生活が乱れることで、気の流れが乱れたり、滞ることが病気の原因になります。気が滞ったときには、反応点であるツボには「虚実」という変化が現れます。この変化の現れたツボに刺激を与えて正常な状態に戻す、それがツボ療法です。

治療としては鍼、灸が基本ですが、養生法としての指圧もツボ刺激の仲間に入ります。ツボ刺激がなぜ体の不調に有効なのかは、ツボの刺激が神経を通じて脳・内臓に伝わって作用するという説(神経説)、ツボ刺激によって血液やリンパ液の流れがよくなるという説(リンパ説・血流説)などがあります。

鍼灸(しんきゅう)治療はどんな治療?

同じツボ治療ではあっても、鍼と灸ではその効果が違ってきます。たとえば、体の内側から起こってくる熱は、肺を悪くするとされています。この熱は「熱邪」と呼ばれ、肺熱を引き起こします。鍼には、人間の体に悪い作用を及ぼす熱邪をとるという作用があるといわれます。

使う鍼の種類は太さ、長さもさまざま。刺し方にもいろいろな手技があり、実際に皮膚に刺す鍼もあれば、刺さない鍼もあります。一般的には深刺と浅刺の間や鍼の太さで刺激の強さを調節します。

灸は鍼とは逆に、主に熱を入れる場合に用いられます。ヨモギの葉の裏にある柔毛からできている「もぐさ」をツボにおいて火をつけることで、ツボに刺激を与えます。冷えがある方には灸が向いています。足など下半身にお灸をすることで、血流が活発になります。

鍼灸には適応症があるので、まずは専門家に相談しましょう。また、薬物治療である漢方治療と併用する場合、治療方針が異なると、お互いの治療を打ち消しあってしまうことがあるので注意が必要です。(たとえば、鍼治療で熱を取る治療をし、漢方で体を温める治療をした場合など)。

中国の伝統医学で病気は体のバランスが崩れていることから起こると考えます。皮膚や毛髪は肺機能が司ると言われており、臨床現場でも肺を強くしてアトピー性皮膚炎が改善したという例もあります。

治療はツボへの刺激で行います。WTOでも361個のツボが認められています。変化の現れたツボに刺激を与えて治療を行います。

治療法は鍼、灸、指圧などがあります。これらの治療には適応症があるので専門家に相談しましょう。

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