知っていますかアトピーとステロイドのこんな関係

監修:三好基晴 先生

食物アレルギー除去食の考え方

アトピー性皮膚炎は大豆や卵や小麦などの食べ物が原因で発症することがあると言われ、そのため血液検査で陽性反応が出た食べ物は一切とらないように厳しい除去食を指導する医師は少なくありません。
しかし、厚生労働省が作成した食物アレルギーの「診療の手引き」によれば、不必要な食事制限はしないことを原則としています。その根拠として、全卵、卵黄、牛乳、小麦、大豆の血液検査においてはいずれも約80%の人が陽性を示しますが、実際にこれらの食べ物を食べて反応をみる食物負荷試験においての陽性率は全卵で約60%、牛乳で約45%、小麦で約35%、卵黄で約25%、大豆に至っては約15%しかありませんでした。
たとえ血液検査で陽性反応が出た食べ物でも、最初は少しだけ食べて反応がでなければ少しずつ増やしていき、普通に食べられれば食べてもよいのです。また、食べて症状が出ても軽くて我慢できるようであれば、食べ続けていると症状が出なくなることもあります。以前よりは除去食を厳しく指導する医師は少なくなってきました。しかし、血液検査で陽性反応が出れば、今は食べられても食べ続ければ反応が出やすくなる、と医学的には根拠の乏しいことを言って、除去食を厳守するように指導する医師もいます。

アトピー性皮膚炎で除去食による厳しい食事制限をすることで、家庭不和になってしまった10歳の男子の症例があります。薬物療法の効果が少なく、米、卵、牛乳、小麦などがまったく食べられず、これらを除去して、粟、ひえ等を中心にした食事療法を始めました。多少、病状は軽減しましたが、1 カ月後、再び増悪しました。
この家庭は夫婦共働きで子供は3人。母親は、アトピー性皮膚炎のお子さんと、他の家族とで全く別々の食事を作っていました。しかしそのうち、母親に時間的余裕が無くなり、粟やひえ等を使った食事を、他の家族も食べることになりました。
夫や兄弟たちは不満を持ち、夫婦喧嘩が多くなり、家族の雰囲気が暗くなってきました。このような状態が患者さんの精神的ストレスになり、病状が悪化してきました。このままでは、家庭崩壊につながりかねないと、食事制限を緩めたところ、最初は軽い症状が出ていたものの短時間で症状は治まり、我慢できる状況になり、継続していくうちに症状は出なくなりました。家族みんながほとんど同じものを食べられるようになったため、家庭内も明るくなり、患者さんの精神的ストレスも軽減しました。
 

食事制限は米、卵、牛乳、小麦などを中心にさまざまな食材にわたり、期間も数ヶ月から数年間もの間、続くケースがあります。

このように習慣的に摂取しない期間が続くことで、制限の解除を模索する段階においても、摂取に対する不安があるため、かなりのエネルギーが必要になります。

 
 

薬を使い続けて効き目が悪くなると、かゆみがひどくなる気がします。なぜですか?

乾燥肌はかゆみ神経がのびやすく、薬によってそれが助長されることが考えられます

ホスメック・クリニック(三好先生のクリニック)を受診されるアトピー性皮膚炎の患者さんは、アトピーになって初めて診察に来られる人は少なく、それまでに複数の病院を受診しステロイド軟膏を使いそれでも治らない人がほとんどです。
しかし、第一子がアトピーになりステロイド軟膏を使っても症状が改善せずステロイド軟膏をやめ改善した経験があり、その後第二子がアトピーになってステロイド軟膏を使いたくないとの思いで当クリニックを初めて受診した患者さんは少数ですがおられます。このような患者さんは、見た目の皮膚の炎症症状は強くても、かゆみの症状は弱く睡眠障害も少ない場合がよくあります。ステロイド軟膏を使っていた患者さんは、見た目の皮膚の炎症症状は弱くても、赤く薄紙を張ったような感じで、皮膚が薄くなっていることが多く、かゆみの症状は強く睡眠障害も多い場合がよくあります。

この違いは医学的にどのように説明できるのか疑問に思っていました。順天堂大学医学部皮膚科教授の高森建二先生は「かゆみの刺激は主にC線維と呼ばれる細くて伝達速度の遅い神経を通って脊髄に伝わります。脊髄から大脳にその情報が伝わることで、人はかゆみを感じます。かゆみを感じるC線維の終末は健康な皮膚では、表皮と真皮の境界部分にあります。ところが、アトピー肌の多くはかゆみを伝える神経線維が境界線を超え、角層直下の部分まで伸びています。皮膚が乾燥すると、表皮にあるケラチノサイトという細胞から出る神経成長因子(NGF)が増え、神経線維が伸びるためです。乾燥肌は肌のバリアーが破壊され、外部刺激を受けやすい状態になっているので、伸びた神経が過敏になり、かゆみを感じやすくなってしまっているのです。」と述べています。

この記事を評価する
残念もう一息普通参考になったとても参考になった 評価 : 4.00 投票1人  
Loading ... Loading ...

コメントを残す







次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>