制御性T細胞がかゆみを消す

監修:戸村道夫 先生

制御性T細胞って何?

免疫細胞が免疫力を下げる?

制御性T細胞は、免疫系の活動を抑制する働きを持っています。ここで「えっ? 免疫を抑えるの?」と不思議に思った人もいるでしょう。免疫は体を守るしくみだから、それを抑制してしまう細胞があるというのも妙な話ですね。でも、自己免疫疾患という病気を聞いたことがありませんか? 慢性関節リウマチや多発性硬化症、インスリン依存性糖尿病などの自己免疫疾患は、自分の免疫系が自分の身体組織を攻撃することが原因とされています。免疫系の様々な指令を出す細胞をヘルパーT細胞といいますが、この細胞が自分の体を敵とみなし、攻撃をしかけるよう命令してしまうことがあるのです

制御性T細胞は免疫系の調和を図る

実はどんな人の体にも、自己免疫疾患を引き起こす危険性のある免疫細胞が存在しています。そして免疫系には、この危険な免疫細胞から身を守るための様々な防御手段が備わっています。その手段の一つが、制御性T細胞による免疫抑制。制御性T細胞は、ヘルパーT細胞など他のT細胞と同様に胸腺で成熟し、その後リンパ系や、腸、皮膚などの末梢組織にも広がっていきます。さらに、免疫応答が起こったときにも制御性T細胞が誘導されることが、最近わかってきました。
制御性T細胞の研究が進んできたのは、ここ10年程度の話。不明点も多いのですが、腸内の善玉菌を守ったり、妊娠を維持するなど、免疫系全体の調和のための重要な役割を持つ細胞として注目されています。とりわけ自己免疫性疾患やがんの新たな治療法などに役立つのではないかと期待されています。

アトピー性皮膚炎に対する免疫機能の異常は、例えばIgEを作り過ぎること、つまり免疫機能の働きが高すぎることが問題と考える方も多いようです。

しかし、実際には、免疫機能を抑える力が、健常な人と比べて低いため、結果的にアトピー性皮膚炎の炎症につながる抗体が作られています。

アトピー性皮膚炎の方の「免疫の異常状態」とは、免疫機能が高いのではなく、低いことに問題があるということですね。

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制御性T細胞がかゆみを消す」への2件のフィードバック

  1. あとぴナビ編集部あとぴナビ編集部 投稿作成者

    はなさかおじさん、こんにちは。
    この前、京都大学が発見したアトピー改善の新しい化合物とは、フィラグリンに関するものだったと思いますが、今後、調べてみて、記事やコメントでいずれ紹介できればと思います。
    よろしくお願いいたします。

    返信
  2. はなさかおじさん

    この前、京都大学が発見したアトピー改善の新しい化合物と、この制御性T細胞の働きは、どのようにかかわり合っているのだろう。京大の発見は、バリア機能を補うというような内容だったと思うのだが。

    返信

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