ステロイド剤、プロトピック軟膏が身体にもたらす深刻な問題


11歳の男児がプロトピック常用で悪性リンパ腫に

イラスト

プロトピックは、ステロイドに代わるアトピー性皮膚炎治療の新薬として99年に日本にも登場しました。 
副作用がほとんどないという説明でアトピー治療にこの「新薬」を勧められた方も多いのではないでしょうか。 
プロトピック軟膏をはじめとするタクロリムス含有剤は、前述したように「免疫抑制剤」です。 
臓器移植後の免疫抑制剤投与は、危険を伴っても必要なことですが、アトピーの治療に免疫力を抑え込むというこの危険は果たして必要なものかは大いに疑問です。
さて、その「新薬」も発売から年月が経過し、もう10年以上常用している患者さんも出てくるようになりました。そして、恐れていた通りのことが現実として起こったのです。 
【論文4】「アトピー性皮膚炎患児に発症したバーキットリンパ腫と局所タクロリムス軟膏の7年の常用歴」では、アメリカの11歳の男の子が、アトピー治療にプロトピック軟膏を7年間使い、バーキットリンパ腫(悪性リンパ腫の一種)を発症したとの事実が発表されています。 
毎日ではなく週に3、4日程度。しかも1日に塗るのは2回。この頻度での使用ですから、そう大量に塗り続けたものではないと思われます。それでもがんを発症させてしまったのです。

論文4

アトピー性皮膚炎患児に発症したバーキットリンパ腫と局所タクロリムス軟膏の7年の常用歴

論文より抜粋

2006年、米国FDAは局所カルシニューリン阻害薬投与の長期安全性に関する黒枠警告を発布し、炎症性皮膚疾患患者にはこれらの薬剤を短期間、症状コントロールのために必要な最小用量で使用することを推奨した。また2歳未満の小児または既存の免疫不全を有する患者の使用に対し注意を促した。
複数のレトロスペクティブ臨床試験は、局所タクロリムス治療はほとんどの小児において安全で悪性腫瘍のリスクを上昇させないことを示している。しかし、小児の体表面に繰り返し高用量の薬剤を投与することが全身性の免疫抑制、その後に発症する感染や悪性腫瘍に関連するかどうか注意深く検討した大規模な無作為化試験は行われていない。
論文4
われわれは小児バーキットリンパ腫の多くの症例が散発型でランダムであることを明らかにした。しかし、7年間、腹痛を訴える直前まで、タクロリムス軟膏0.1%をかなり広範囲の炎症皮膚に常用していたこの症例では、タクロリムス使用が少なくとも部分的には悪性腫瘍発症の可能性を高めている。
十分に検証するには多くの症例が必要になるが、小児における局所カルシニューリン阻害薬常用の安全性を確認するためには、年齢、体表面積の範囲、フォーメーション(クリームvs.軟膏)、投与パターンなどの検討を含む無作為化対照比較試験が有益となるだろう。

Burkitt lymphoma in a child with atopic dermatitis
and a 7-year history of regular topical tacrolimus use.
2012年

プロトピックの長期常用には慎重な判断が必要

イラスト

因果関係は明らかではないとしつつも、プロトピックによる発症の可能性はかなり高いはず。プロトピックも発売当初はせいぜい1~2年の臨床実験で「がんにはならない」と言っていたことでしょう。しかし、使われ始めて年数が長くなった現在、7年の常用によりバーキットリンパ腫の発症例が出てしまったことになります。 
日本でも長年常用している患者さんが増えてきていることでしょう。これからこうした例が次々に出てきてしまうことが危惧されます。現在使用している場合、継続使用においては慎重な判断が必要と言えるでしょう。 
この男の子はバーキットリンパ腫の切除手術を受け、化学療法を行い、その後20カ月経過した時点で再発は見られないとのことですが、体にとって大きなダメージを受けたことは否めません。 
また、もともとこの男児はアトピーで、同論文によれば、術後のアトピー治療は「適正に局所ステロイドを使用し管理している」となっています。「管理」であって「治癒」ではなく、よく日本でも言われる「アトピーと上手に付き合っていく」という方法を今は選んでいるようです。 
 
ステロイド剤もプロトピック軟膏をはじめとするタクロリムスも、その副作用を正しく理解している医師が今や増えてきています。喜ばしいことです。 
ランゲルハンス細胞と薬使用の関係も、多くの医師が認識していくことになるでしょう。 
患者側も正しい知識を持って、もし医師が誤った勧めをしてくるなら、自分の体を守るために慎重に判断できるようになりたいですね。

プロトピックを7年使用したアメリカの11歳の男児が悪性リンパ腫(がんの一種)を発症したという恐れていた事態がおきてしまいました。

長期連用が増えてきた日本でも同様の事態が起きる可能性もあります。自らの身を守るためにも正しい知識を持っていたいものです。

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