最新・保存版 アトピーの治し方マニュアル 1


皮膚のバリア機能低下がアトピー肌の特徴

皮膚には本来、不要な物質が体内に侵入したり、必要な物質が体外に出ることを抑える働きがあり、この働きを「皮膚のバリア機能」と呼んでいます。水分保持や外部刺激から皮膚を守る役割を担っている角層は、角質細胞がレンガのように重なり合っていて、その間はセラミドを主成分とする「細胞間脂質」が満たしています。角層が健全な状態であれば、皮膚はしっとりきめ細やかに保たれます。

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しかし、アトピー性皮膚炎の方は、皮膚のバリア機能が低下している傾向があります。健康な肌と比較してセラミドの量が30%ほど少ないというデータもあります。これには、生まれつき肌が弱い人、化学物質にさらされる機会が多く肌が弱くなった人や、冷暖房の発達で肌を鍛える機会が減ったことなど、さまざまな原因が考えられます。

なぜかゆくなるの?

アトピー性皮膚炎のかゆみは、他の皮膚炎のかゆみよりも強いと言われています。かゆみの原因には、皮膚の炎症、バリア機能の低下、ストレスや体温の上昇も考えられます。また、最近の研究ではさらに新たな原因が指摘されています。

以前までは、人間は痛点(痛みを感じる点)でかゆみも知覚すると考えられてきましたが、痛点とは別にかゆみを知覚する神経があることが発見されました。かゆみを感じる神経繊維は、通常は表皮の下の真皮にあります。しかし、アトピー肌の場合、この神経繊維が真皮の境界線を越え、表皮の角層直下まで伸びてい る傾向があります。かゆみを感じる神経線維が皮膚の表面近くまで伸びているため、外部からの刺激を受けやすく、かくことが刺激となって、さらにかゆみにつながりやすくなります。

アトピー肌は乾燥と外部刺激に弱い

かゆみを感じる神経繊維はなぜ伸びてしまうのでしょう? これには、皮膚の乾燥が大きく関わっています。皮膚の水分量が低下して乾燥肌になると、表皮にあるケラチナサイトという細胞から出る神経成長因子(NGF)が増加し、神経繊維が角層直下まで伸びてしまいます。
アトピー肌は、皮膚のバリア機能の低下によって皮膚が乾燥し、それによってかゆみを感じる神経繊維が伸びてかゆみの感受性が高まり、外部刺激に過敏に反応してしまうという慢性的な悪循環を起こしています。かゆみを感じる神経繊維を元の位置に戻して外部刺激に対する過敏な反応を抑制するには、正しいスキンケアによって皮膚のバリア機能を回復させ、水分量を増やす必要があります。最後にもう一つ重要なことがあります。神経線維が伸びることによって起こるかゆみに薬物を使っても意味がないということです。ステロイド剤などの薬は、免疫を抑制することで炎症を抑えるので、神経線維によるかゆみを抑えることはできません。かゆみの原因を知ることで、なるべく不要な治療は避け、正しいケアを選択したいものです。
 

皮膚のバリア機能で大切な皮脂膜は、皮脂腺からの脂と汗の水分が混ざってできています。皮脂膜が少ない季節や赤ちゃんの時に、40度以上のお風呂やシャワーのお湯で皮脂膜を洗い流してしまい、乾燥肌になりやすいと言われています。

皮脂膜の少ない状態が続くと、皮膚の水分量が少なくなるばかりか、外部からの刺激やアレルゲンの侵入によりアレルギーを起こすことが増えてしまいます。

また、お肌の乾燥は、かゆみを感じる神経線維を角質層内に伸びることで外部からの刺激への感受性があがり、かゆみを感じやすくなりますので、お肌に合ったスキンケアを忘れずに行って、アトピーの改善につなげましょう。

 
 

生活の乱れが免疫機能を乱す

アトピー性皮膚炎のもうひとつの原因は、免疫機能の異常(=アレルギー)です。最近の研究では、自律神経系の異常が免疫系にも悪影響を与えることがわかってきました。

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自律神経は、スイッチの「ON」のように緊張したときに働く「交感神経」と、スイッチの「OFF」のようにリラックスしているときに働く「副交感神経」によって、身体のさまざまな機能を自動調節しています。このスイッチは、体内時計や生体リズムに従って、身体がもっとも好ましい環境に置かれるタイミングで切り替わっています。たとえば夜眠くなるのは、夜眠ることが身体にとって好ましいからで、リラックス状態を招く副交感神経が優位になります。しかし、過度のストレス、睡眠不足、運動不足、急激な環境変化など、生体本来のリズムと異なった生活が続くと自律神経は正常に機能できなくなり「体温調節がしにくい」「冷え・ほてり」「汗をかきにくい」「生理不順」「疲れやすい」といったさまざまな不調を招きます。

アトピー性皮膚炎に深く関わる免疫系

身体の不調と直結している自律神経系の乱れは、免疫系にどのように影響を及ぼすのでしょうか?免疫の働きをもつ白血球の仲間に「顆粒球」と「リンパ球」があります。体内に入ってきた細菌などの異物を消化分解するのが顆粒球、ウイルスなど小さすぎて顆粒球には処理できない異物(抗原)を、免疫機能によって処理するのがリンパ球です。顆粒球とリンパ球の適度な割合は約 60対35。顆粒球は交感神経が優位なとき、リンパ球は副交感神経が優位なときにそれぞれ増加します。そして、通常の割合を超えて顆粒球が増えすぎると粘膜に炎症を起こしやすくなり、リンパ球が増えすぎるとアレルギー反応を起こしやすくなることがわかっています。

アレルギー体質はリンパ球の多い副交感神経優位型ですが、アトピー性皮膚炎の場合は逆に交感神経が優位になっているケースが多く見受けられます。感染症などで一進一退を繰り返しやすい方がまさにそうなのですが、これはステロイドの長期使用などで、粘膜に炎症を起こしやすい顆粒球過多の状態を招いていることが原因のひとつと考えられます。

このように、自律神経系が乱れると、顆粒球とリンパ球の割合に変化が生じて免疫機能のバランスが崩れ、アトピー性皮膚炎の発症や悪化につながります。アトピー性皮膚炎には、免疫機能の異常という「体の問題」と、バリア機能の低下による「肌の問題」という二つの原因が複雑に絡んでいるのです。
 

アトピー性皮膚炎は子どもに限らず、大人が発症することも珍しくありません。また、小さい時にアトピーが治っていた方が受験や就職で再発することもあります。自律神経のバランスの崩れがアトピーの炎症に関係していることも考えられます。

仕事や勉強などで緊張時間が続くと交感神経が連続的優位になり、顆粒球が増えてリンパ球が減ります。この時、顆粒球が増えすぎると粘膜や皮膚に炎症を起こしやすくなることが免疫学ではわかってきました。

環境が変わった時に緊張することもありますが、午前、午後に深呼吸を数回することで緊張をほぐし、副交感神経を使って自律神経のバランスの乱れを防ぐことがお勧めです。

 
 

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最新・保存版 アトピーの治し方マニュアル 1」への1件のフィードバック

  1. 田中

    アトピーの原因は、ネットで見てもいろいろ言われていますが、書かれている内容はなるほどと思いました。

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