IgA免疫複合体がアトピー・アレルギーを予防する


お母さんが好き嫌いなく食べることが、子どものアトピー・アレルギーを起こしにくい体を作る

経口免疫寛容ではlgAを作り、lgEを作らない

私たちが食物アレルギーにならないのは、腸管免疫系のおかげです。この仕組みについて少し詳しく説明しましょう。
私たちの体には、食べ物を食べた際、そこに含まれる未消化のタンパク質が入ってこないようにする働きがあります。この働きを担っているのがIgAという抗体。腸管で作られ、腸の分泌液の中に含まれるIgAは、余分な抗原を排除して便や分泌液によって体外へ排出しようとします。
しかし、それでも処理しきれずに抗原が入ってきてしまうと、IgEという抗体が作られてしまいます。IgEは肥満細胞と結びつき、肥満細胞上のIgEが抗原に反応することによって、肥満細胞はヒスタミンやロイコトリエンといったアレルギー症状を引き起こす物質を出します。
つまり経口免疫寛容では、口から入ってきた抗原に対して免疫寛容へと導くIgAを作り、アレルギーを起こすIgEを作らないというメカニズムが働きます。

IgA免疫複合体がアレルギーを抑える

冒頭で紹介したマウスの実験を、経口免疫寛容の観点からもう一度まとめてみると、、次の表(表1)のようになります。

表1

この実験結果は、母乳中に作られたIgA免疫複合体が経口免疫寛容を誘導して、アレルギーを抑えていることを示しています。

母乳は理想的な離乳食

離乳食とは、まだ消化器官が未熟な赤ちゃんに少しずつ与えて、いろいろな食物に慣らしながら行うもの。そう考えると、母親が食べたタンパク質を、IgA免疫複合体の形で母乳を介して与えることは、すでに離乳食の始まりと言えるのではないでしょうか。
IgA免疫複合体のおかげで経口免疫寛容が誘導されるので、IgEを作らずにアレルギーを起こしにくくなるわけです。「離乳食を与える時期が早すぎて食物アレルギーを起こした」という話をよく聞きますが、一定期間母乳哺育を続ければ、離乳食への切り替えを緩やかに行うことができます。
以上のような理由から、「母乳はアレルギー予防の天然ワクチン」と言えるのです。だから母乳哺育中の方は、よい天然ワクチンを作るために、右記のこと(表2)を心がけましょう。

表2

IgAでアトピー・アレルギー予防Q&A

妊娠中にお母さんが食べたものも影響しますか?

妊娠中にお母さんが食べたものと、子どものアレルギーとの関連性はありません。お母さん自身が食物アレルギーでないかぎり、子どものアレルギー予防のために除去食を行うことは、栄養バランスの観点からも推奨できません。

経口免疫寛容は、消えることはないのですか?

長い時間がたつと消えてしまいます。だから離乳食に移行するときも、あまり間隔があいてしまうと、せっかく誘導された経口免疫寛容が消えてしまうことがあります。離乳食開始は時期とタイミングが大事です。最低でも5カ月は母乳をあげてほしいですね。

IgA免疫複合体は、母乳以外にも含まれているの?

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母乳以外にも含まれています。IgA は粘膜の表面に存在し、様々な外分泌液(唾液、涙、腸や気管支の粘液など)に多く含まれており、この研究班は、免疫複合体としてのIgA は、唾液や涙など他の外分泌液にも含まれていることを確認しています。

唾液でも経口免疫寛容が起こるの?

起こると考えています。むしろ唾液の中のほうがIgA の量が多いくらいなので、これは母乳哺育をしているお母さんだけの問題ではありません。普段からいろんな食品を好き嫌いなく食べ、偏ったタンパク質ばかりを食べないようにして、暴飲暴食しないように心がけておけば、アレルギーを起こしにくい体質になるでしょう。

治療に応用するとしたら、どんな感じになりますか?

様々なタンパク質のIgA免疫複合体を調製して、薬のような形にできれば、それを投与してアレルギーを抑制することができるかもしれません。これは食物だけではなく、花粉などの抗原にも応用できるはずです。

卵アレルギーがある人も、卵を食べたほうがいいのですか?

予防することと治療することは別に考えてください。今回の話は、健康な状態の人を前提とした予防の話です。現状では、これを治療に応用する段階にまではいたっていません。

体内に抗原を取り込み慣れさせる経口免疫寛容だとアレルギーを起こすIgEを作りにくくさせます。

IgA免疫複合体が余分な抗原を排除しきれず体内に抗原が入ってきたときにIgEという抗体ができてしまいます。

つまりIgA免疫複合体はアレルギーを抑える大切な役割を担っていることになります。

普段から好き嫌いなく多くの食品を取り、暴飲暴食、同じたんぱく質を取り過ぎないなど注意をして母乳を赤ちゃんに与えてあげることが大切です。

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