アトピー発症のメカニズムと予防法がわかった


アトピーの原因は4つある

Spadeマウスにおけるアトピー性皮膚炎発症のメカニズムを解明し、予防法を発見した研究論文「アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明」について一通り説明したところで、この研究から読み取れることをまとめていくことにします。
まず、最初に触れたアトピー性皮膚炎の原因についてはどう考えたらよいでしょう。この研究で使われたSpadeマウスの場合、皮膚炎の発症段階では免疫・アレルギーは関係ありませんでした。まず、バリア機能の異常という皮膚の遺伝的要因があり、真皮に集まってきた炎症細胞によって皮膚炎が発症しました。原因は遺伝的要因をもった皮膚組織にあったといえます。そして、皮膚炎発症後しばらくしてから、免疫・アレルギーの問題が絡んできました。
ここで重要なことは、Spadeマウスのケースはアトピー性皮膚炎発症の一例に過ぎないことです。つまり、すべての人が同じパターンで発症するわけではありません。
研究チームリーダーの吉田先生によれば、アトピー性皮膚炎の原因は「皮膚」「免疫」「遺伝」「環境」の4つに分けられます。そしてこれらの原因が単独で存在しても発症に至らず、3つ以上重なると発症しやすいという感触があるそうです。
「原因は皮膚にある」とか「原因は免疫にある」とそれぞれの研究者は自分の研究テーマから持論を展開していきますが、原因を一つと考えるから混乱が起こるわけです。4つの原因の組み合わせで考えれば、人によって原因が少しずつ異なるのは当然で、それぞれの原因がわかれば個別の対策を立てることができます。

アトピーの原因は4つある

皮膚の保湿がアトピーケアの基本

Spadeマウスの実験では、JAK阻害剤とワセリンに皮膚炎予防の効果があることが分かりました。JAK阻害剤についてはアトピー性皮膚炎をターゲットとした薬剤開発に期待するしかありませんが、ワセリンに皮膚炎予防の効果があるということは、日常的なスキンケアがいかに大切であるかを物語っています。
この実験ではたまたまワセリンが使われましたが、要は保湿によってバリア機能を回復させることが重要なわけです。生まれつきバリア機能に障害がある赤ちゃんがいたとします。出生時にバリア機能異常に関係する遺伝子を持っているか調べて(今回の研究により技術的には可能)異常がある場合は、出生直後から適切なスキンケアを行うことでアトピー性皮膚炎を予防することが可能になるはずです。

界面活性剤が皮膚バリアを破壊する

保湿することと同時に、バリア機能を低下させる生活習慣を改めるこ とも大切です。次の写真をご覧くだ さい。

野生型マウス(皮膚炎のないマウス)とSpadeマウスの皮膚の状態を比べたものです

この写真は、野生型マウス(皮膚炎のないマウス)とSpadeマウスの皮膚の状態を比べたものです。下の青い部分は真皮、上の赤い部分は角質層です。角質層部分の赤い色は、皮膚に塗ったビオチン(ビタミンB群)がどれだけ浸透しているかを示すものです。野生型のマウスでは、ビオチンが角質層表面にとどまっているのに対し、Spadeマウスでは角質層内にビオチンがしみ込んでいます。ビオチンが浸透するほど皮膚バリアは破壊されていることになります。
今回は写真を掲載できないのですが、野生型マウスでも石けんで皮膚を洗った後は、角質層の皮膚バリアが上のSpadeマウスと同じくらい破壊されることが分かっています。石けんで皮膚を洗うと界面活性作用により皮膚表面の皮脂まで洗い落とされてしまい、皮膚バリアまでもが破壊されてしまうのです。体の汚れや細菌を洗い落とすという意味で石けんは効果的ですが、皮脂まで洗い落とし皮膚バリアを破壊するのは考えものです。皮膚のバリア機能が低下している人は、なるべく石けんなどの界面活性剤が含まれた洗浄剤を使わずに、肌にやさしい洗浄剤を選び軽めに洗うか、お湯で洗い落とす程度が理想的です。

***

今回ご紹介した研究論文は、詳細まで説明するととても専門的で難しい話になるのですが、大枠は理解していただけたと思います。Spadeマウスを使った研究がさらに進めば、アトピー性皮膚炎の発症にかかわる様々な要因が分子レベル、細胞レベルで明らかにされて新たな治療法へと進展していくことでしょう。まさに日進月歩の勢いといえるアトピー性皮膚炎研究の今後に期待したいところです。

アトピー性皮膚炎発症の原因は人それぞれのようですね。
 

環境、遺伝、免疫、皮膚の要因が人それぞれに影響し合って発症するようです。

予防方法や治療方法も人による異なるんですね。
 

基本として皮膚の保湿だけはどういう場合にも共通して大事なポイントです。
 

皮膚の防御機能を落としてしまうような洗浄は避け、常にスキンケアをすることですね。

界面活性剤で大切な皮脂を落としたりはしないようにすべきですね。
 

この記事を評価する
残念もう一息普通参考になったとても参考になった まだ評価されていません
Loading ... Loading ...

コメントを残す







次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>