垢でアトピーが悪化するって本当ですか?


制御性T細胞は免疫系の調整役

制御性T細胞には、これらヘルパーT細胞の働きを抑える働きがあります。Th 1、Th 2などのヘルパーT細胞と制御性T細胞のバランスがとれることにより体の免疫システムは正常に働きます。 
ここでこんな疑問を持った方がいるかもしれません。「免疫は体を守る仕組みなのに、制御性T細胞はなぜ免疫系の働きをわざわざ抑制してしまうの?」と。 確かに制御性T細胞が増えすぎると免疫力が低下してしまいます。がん細胞を調べると制御性T細胞が異常増殖しており、がん細胞を攻撃するTh 1などのヘルパーT細胞がとても少なくなっていることがわかります。これは制御性T細胞が体にとってマイナス効果となっている例です。 
一方、制御性T細胞は体にプラス効果も与えます。リウマチや膠原病などの自己免疫疾患は、免疫系が自らの身体組織を攻撃することによって発病します。制御性T細胞による免疫抑制は、自己免疫疾患を食い止める働きがあります。 アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患においても、制御性T細胞がTh2の働きを抑えることで症状が和らぎます。もし制御性T細胞が存在しなかったら、自己免疫疾患やアレルギー疾患に苦しむ人が増えるはずです。 
制御性T細胞は、体にとって良い働きもすれば悪さもする諸刃の剣のような存在です。結局はバランスの問題で、制御性T細胞には免疫系全体を調整する重要な役割があると考えられます。

「アポトーシス」 という 細胞の死に方

もう一つ押さえておきたいキーワードは「アポトーシス」です。 人間の体は成人で約60兆個もの細胞から構成されています。これらの細胞のうち約3千億ぐらいが毎日死んで、新しい細胞と入れ替わっているといわれています。 
では、細胞はどんなときに死ぬのでしょうか? まず考えられるのは火傷などの外傷を負ったとき。突然の事故や病気で死ぬような、何らかの要因で細胞が破壊される死に方です。これをネクロ―シスといいます。ネクロ―シスの場合は、破裂した死細胞から細胞の中身がばらまかれ、周辺組織に炎症反応が引き起こされます。 
もう一つの死に方は、簡単にいうと寿命が来て死ぬというかたちです。これをアポトーシスといいます。アポトーシスの説明では、よく「細胞の自殺」「プログラムされた細胞死」という表現が使われます。生物の個体維持のためにあらかじめ体に備わった機能で、オタマジャクシがカエルに成長する際に尻尾がなくなるのもアポトーシスによるものです。 
アポトーシスにより死んだ細胞は、核やDNAの断片化、アポトーシス小体の形成といった過程を経てマクロファージ(免疫細胞)に処理されるので、炎症反応などは起こりません。いわば、きちんと身辺整理された死に方といえるでしょう。 これからお話する皮膚の垢などの死細胞は、アポトーシスによる死細胞であり、アポトーシスという死に方をしていることが大事なポイントとなります。

CD300a が 免疫細胞を抑制する

図1 CD300a がフォスファチジルセリンに結合する

皮膚、腸管、気管など体全体におよぶ粘膜は上皮細胞に覆われて、外界からの異物や病原体の侵入から体を守っています。これらの粘膜では、なんと毎秒100万個もの上皮細胞が常に死を迎え、次々と新しい上皮細胞に置き換わっていきます。皮膚においては、この過程をターンオーバーと呼んでいます。 粘膜の上皮細胞はアポトーシスによって死を迎えますが、この過程で細胞膜を構成するフォスファチジルセリン(以下、PS)というリン脂質が細胞表面に出てきます。PSが細胞表面に露出されるとマクロ―ファージがそれを見つけて処理(貪食)するという仕組みは、これまでの研究ですでに明らかにされていました。 
渋谷教授らの研究グループは、免疫細胞の細胞膜上に現れるCD300aというタンパク分子を世界に先駆けて発見し(2003年)、CD300aがPS に結合すると免疫細胞の活性化を抑制することを明らかにしていました(2012年)。 この研究の延長線上に、「上皮細胞がアポトーシスする際には、CD300aが関与して何らかの作用があるのではないか?」という推測が生まれます。

粘膜死細胞が炎症性腸炎、アトピー性皮膚炎、喘息の発症を促進するメカニズム(概念図)

そこでこの研究へと発展したわけですが、粘膜細胞でCD300aを発現する免疫細胞を探してみると、皮膚においてはランゲルハンス細胞と呼ばれる免疫細胞(マクロファージの仲間)がCD300aを発現していることが分かりました。さらに、これらの免疫細胞がアポトーシスで死んだ上皮細胞に接着していることも明らかになりました(図1)。このことから、CD300aが粘膜の死細胞に何らかの形で関与している可能性が濃厚になったわけです。

制御性T細胞が働かないとアレルギー疾患に苦しむ人が増えてしまいますね。

制御性T細胞はバランスを調整する役割があるのですね。
 

もう一つのキーワードがアポトーシスです。これは寿命が来て役割を終えた細胞が死ぬということです。毎日たくさんの細胞が自然死を迎えているわけです。

皮膚の垢などはアポトーシスという訳ですね。
 

そうです。皮膚の上皮細胞が死を迎えた場合、免疫細胞の細胞膜にCD300αというタンパク質が出現します。

そのタンパク質がアトピー性皮膚炎に関与しているということですね。
 

CD300αがあるリン脂質とくっついて制御性T細胞を減少させることが分かっています。

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