遺伝子とアトピー

監修:白川太郎 先生

遺伝子研究の課題とアトピー性皮膚炎治療の将来

環境に対する適応力の個人差にも、遺伝子が関わっています。同じ環境にいながら、発症する人としない人がいるのはそのためです。
遺伝子研究が進歩すれば、このメカニズムが解明できると期待されています。

発症の予防が大切

たとえアトピー性皮膚炎の遺伝子を持っていても、生活環境やライフスタイルをコントロールすることによって、発症を防ぐことは可能です。
発症を防ぐことができさえすれば、たとえ遺伝的素因を持っていても、アトピー性皮膚炎の苦しみを味わなくてもすむのです。遺伝子研究の急速な進化によって、理論上では生活改善によるアトピー性皮膚炎の発症予防は可能になりました。
しかし、残念なことにまだ、遺伝子のどの部分がアトピーと関係しているかは未解明です。発症や悪化を予防するために、食生活や住環境などあらゆる点に注意を払わなくてはならないのは、そのためです。

遺伝子研究が進めば、こんな治療も可能になる

確かに、現時点ではまだ未解明なことが多いのですが、アトピー関連遺伝子解明の時はもうすぐそこまで来ています。
現在の研究課題は、SNPのパターンを分類しそれらが環境要因とどうかかわっているかを調査すること。
これは労力のかかる研究ですが、大きな成果が期待されています。この研究によって、データが整理されれば、無駄のない効果的な治療法が簡単に選択できるようになります。このパターンの人はこのような生活改善が効果的であり、このパターンならこの治療法が有効だということがわかるようになるからです。
また、このパターンならば発症要因はこれだと具体的に指摘できるので、発症を事前に防ぐことも、よりたやすくできるようになるでしょう。この研究はすでに動き始めており、未来のアトピー性皮膚炎の治療への応用が期待されています。

アトピー性皮膚炎の発症 Q & A

アトピー性皮膚炎を含め、すべての病気は遺伝が関係しているそうですが、そうだとすると何をしても無駄なのでしょうか?

確かに、すべての病気には遺伝が関係しています。しかし、何をしても無駄だということはありません。

病気の遺伝子を持っていても、環境やライフスタイル要因を上手にコントロールすることで病気にならないようにすることもできます。
将来的にはSNPを調べ、どんな環境やライフスタイル要因がその病気の症状を悪化させるのかをあぶり出してゆけば、その要因を遠ざけることで、今の症状を改善することも可能です。
ですから、絶望することはまったくありません。
 

付き合っている彼がアトピー性皮膚炎です。結婚を考えていますが、子供のことが不安です。子供にもアトピー性皮膚炎が出るのでしょうか?

不安に思われるのは仕方ないことかもしれません。
片親がアトピー性皮膚炎の場合、その体質は子の3割に遺伝するという数値が出ています。

つまり、10人子供を生んだら3人、5人で1人です。これを高率だと思うか低率だと思うかは、人それぞれでしょうが、決して高い数値ではないと思います。誰もが何らかの病気の遺伝子を持っているわけですから、もしかしたらあなたご自身も高血圧など、他の生活習慣病の遺伝子を持っているかもしれません。
アトピーに関する遺伝子を持っていても、生活環境をよくすることによって発症しないようにすることも可能ですし、発症したとしても、克服することは十分可能なのです。問題は誰でもがそのような病気の原因を持っていることを認めることで、気にしても仕方ないこととお考えになったほうがよいのではないでしょうか。
また、時代とともに新しい治療・予防法も出てきますので、決して難治ではないと考えるべきでしょう。

アトピー性皮膚炎という疾患は、「治癒」しない不治の疾患ということはありません。もちろん、「治癒」の状態と、症状が現れていない「寛解」の違いはあるかもしれません。

しかし、アトピー性皮膚炎が発症する「素因」は遺伝的に受け継がれても、アトピー性皮膚炎が発症する「要因」は、後天的な生活の中にあることを忘れてはならないでしょう。

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