遺伝子とアトピー

監修:白川太郎 先生

アトピー性皮膚炎の遺伝と発症

人間の遺伝子は変わらないのに、アトピー性皮膚炎の患者は激増しました。生活環境が大きく変化したことによって、それまで発症しなかったような人までアトピー性皮膚炎を発症したのです。

戦後に増えた、アトピー性皮膚炎

アトピー体質が遺伝することはすでにわかっています。統計的には、片親にアトピー体質があった場合、それが子供に出る確率は約3割。両親ともアトピー体質だと約7割の子供がアトピー体質になってしまいます。
これは、親の体質が子供にも遺伝してしまう垂直型の遺伝パターンにかなり近い数値です。
しかし、これだけでは説明できない面もあるのです。たとえば両親や祖父母にはアトピー性皮膚炎がないのに、子供にだけあらわれるというパターンがあるからです。
こうした遺伝の仕方を「劣性遺伝」といいます。アトピー体質の遺伝には、こうしたいくつものパターンが複雑に組み合わさっていると考えられています。

生活環境とライフスタイルの変化が、アトピー性皮膚炎の急増の原因

つまり、90%以上の人たちは、昔なら発症しなかった人たちです。環境やライフスタイルが変化したために発病したということですから、昔と今の環境やライフスタイルの違いを検証すれば、発症の原因をつきとめ、それを抑えることができるはずです。
50年前の生活を考えてみましょう。変わったことはたくさんありますが、まず住居が木造の家から鉄筋のマンションに変わりました。
食生活も大きく変わりました。味噌汁を飲み、ご飯を食べ、魚を食べていた生活から、肉中心の食生活に変わりました。なによりも、以前はのんびりと暮らしていたのに、現在はまさにストレス社会。
これは大きな変化です。また、50年前にはなかったステロイド剤による副作用によって、症状をさらに悪化させてしまった人も多いでしょう。こうした生活の変化が、この19%に現れている可能性は十分にあります。
この要因を特定できれば、患者の数を減らしていけるはずなのです。

アトピー性皮膚炎の症状がある方は、そうでない方と比べて、決して「不健康」ということではありません。

今の社会環境そのものが、生体機能に影響を与えている場合、一つの「警告信号」的な役割で、「過敏な症状」として現れることもあります。

「アレルギー」反応の多くは、過剰な反応、誤った反応として現れているにしろ、本来の目的は「体の防衛」にあることを忘れてはならないでしょう。

 

アトピー性皮膚炎を発病・悪化させないための How to

戦前の生活環境に戻すことはできないにしても、そこから何かを学び、現在の生活に活かすことで、アトピー性皮膚炎発症者の数をもっと少なくすることができるはずです。
当時と今の生活環境の変化をふりかえって、改善できることから始めてみましょう。

発病・悪化を防ぐためには

遺伝子が同じなのに、50年前には発症しなかったのはなぜでしょうか。
それは、環境やライフスタイルの変化が、ある特定のSNP※に影響を及ぼしたからだと考えられます。たとえば大気汚染という環境要因で発症してしまうSNPの並びを持っている人でも50年前、空気がきれいだった時代なら発症しなかったということです。
(海外旅行で環境のよい場所に行くと、調子がよいという人などは、そのようなSNPを持っているのかもしれません)。
ですから、発症や悪化を防ぐためには、そうした現代の環境やライフスタイルをコントロールすることが必要です。その方法を、具体的に考えてみましょう。

住環境のコントロール【建材・空気を改善する】

住環境は大きく変化しました。たとえば、木造の家から鉄筋のマンションへの移行が挙げられます。
畳の生活からカーペットの生活に変化。気密性が高くなったことによる、建材などから発せられる化学物質の影響も心配されます。屋外ですら、大気汚染が進行しています。家を替えるのは大変なことですから、換気などできることから始めて。
ダニやカビ対策を徹底することは、それに反応する体質の場合は有効です。また、空気汚染に関しては空気清浄機を使うなどして対応しましょう。

あとぴナビ「化学物質過敏症とアトピー」で詳く述べておりますので、ご参照ください。

食生活のコントロール【脂質、食品添加物に注意する】

食生活も西洋風に大きく変化しました。野菜・魚中心から肉中心へ変わり、脂肪の摂取が増え、炭水化物の摂取量が減少。食品添加物が多くの食品に含まれるようになり、昔よりお菓子・加工食品類も増えています。
野菜・魚を食べるように心がけ、体が酸化しやすい飽和脂肪酸の摂取を減らし、食品添加物を含まない食材を取るように注意しましょう。

※食品を買うときは、添加物にも注意しましょう。

ライフスタイルのコントロール【ストレス解消と運動・睡眠】

ストレス社会は、何も大人だけの問題ではありません。塾や習い事、受験の心配など、子供たちにも多くのストレスがあるのです。
また、安全な遊び場所が減ったことやテレビゲームの普及などで、子供たちの運動量は昔より減っています。さらに子供も夜型の生活になっています。適度な運動と十分な睡眠は、ストレス解消の大きな助けとなります。
ストレスをためない生活をさせるように心がけましょう。

その他【抗菌グッズや洗剤など】

子供の周りの環境を整えようとするあまり、過剰なまでに抗菌グッズを使うのは、免疫バランスの点でも、逆効果になる場合があります。昔は、抗菌グッズなどはありませんでしたが、発症したのは現在の20分の1でした。
過剰なまでの抗菌グッズの使用が、必ずしも環境改善に効果があるとはいえません。食器洗いの時に使用する洗剤にも十分注意する必要があります。

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