遺伝子とアトピー

監修:白川太郎 先生

アトピー性皮膚炎は遺伝的要因と環境的要因:その3

遺伝子と病気の関係

人間のDNAは約30億個の塩基から成り立っています。
近年のヒトゲノム研究によって、この30億個の配列が解明されました。これを個人個人で比べると、300〜1000塩基につき一つずつ同じ位置に個体差があると見られています。
この違いをSNP(スニップ)と呼びます。人間には30億個の塩基があるわけですから、計算すると300万〜1000万ヶ所ものSNPがあり、その違いの組み合わせは膨大な数に。この世に完に同じ遺伝子を持つ人がいないのはそのためです。
SNPは遺伝的な個人差を生み出しているため、ある病気にかかりやすいかどうか、また医薬品の効果や副作用の程度などの指標になると考えられています。

iden2

【参考】優性遺伝子と劣性遺伝子

体細胞の遺伝子は、原則として一対もしくは複数の対立遺伝子からできています。この対立する一対の遺伝子を、仮に「A(優性)」と「a(劣性)」とします。ある人が持つ一対の遺伝子にはAA、Aa(aA)、aaのパターンがあります。優性遺伝子が一つでもあれば、その人の外面に現れる性質は優性遺伝子が示すものとなりますが、劣性遺伝子は二つ揃って初めて外面に現れるのです。優性遺伝子とは、優秀な遺伝子ではなく、強い遺伝子なのです。そして、劣性というのは、弱い遺伝子であって、決して劣っている遺伝子のことではありません。

ヒトゲノム計画

ゲノムとは、生物が持つ遺伝子全体の総称です。この計画はヒトゲノムの約30億個ある塩基の配列をすべて解明しようというもので、1990年にアメリカの主導でスタート。当初、15カ年計画でしたが、技術が進化したために予定より早い成果が現れ、2001年に90%以上、今年になってすべての配列が解明されました。

理化学研究所の活動内容

理化学研究所遺伝子多型研究センターは、平成11年、政府のミレニアム・ゲノム・プロジェクトの中枢機関として設立。
このプロジェクトは、遺伝子の個人差と病気へのかかりやすさの関連を解明することと、生活習慣病などの予防や治療方法をオーダーメイド医療のレベルまで高めることを目的としてスタート。
遺伝子多型研究センターでは、特にSNPを体系的に解析し、病気と関連している遺伝子をつきとめる研究をしています。

アレルギー体質関連遺伝子チーム

白川太郎教授をリーダーとするこのチームは、気管支喘息やアトピー性皮膚炎を中心に、アレルギー疾患に関連している遺伝子を発見し、科学的根拠に基づいた効果的な治療方法を実現させることを目的にしています。
関連遺伝子が発見されれば、生活環境を改善することで発症を遅めたり、程度を軽くすることが可能に。現在は、喘息患者とアトピー性皮膚炎の患者のデータを解析中。

ヒトの個体差に関する遺伝子の違いは、それほど多くはないと言われています。実際、ヒトとチンバンジーのDNAの違いは1.3%に過ぎない、という研究報告もあります。

この記事を評価する
残念もう一息普通参考になったとても参考になった 評価 : 2.25 投票4人  
Loading ... Loading ...

コメントを残す







次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>