医療ナビ 衣類に残留する洗剤成分が悪化の原因になっている場合があります


残留洗剤が悪化の原因

純石鹸、合成洗剤ともに、含まれる界面活性剤や洗剤成分が衣類に残留します。
それらが汗と混じり合うことで、お肌に炎症や痒みを引き起こすことが指摘されています。
特に、汗をかく季節、また良く汗をかく皮膚の薄い乳幼児などは、注意が必要です。

自分の力で行うスキンケアは「皮脂膜」

アトピー性皮膚炎の方は、肌のバリア機能の低下が、お肌の状態に大きく関係してくることが分かっています。
肌のバリア機能は、複数の要因が関わっていますが、その一つが「皮脂膜」です。
ヒトは、汗腺から汗を放出しますが、汗が出る際に汗腺の脇にある皮脂腺から放出されるのが「皮脂」です。
汗と皮脂は乳化することで「皮脂膜」を形成、この皮脂膜がお肌を守るスキンケアの役割を果たしています。

「皮脂膜」の役割とは?

皮脂膜は、皮膚の表面で弱酸性の膜を貼ることで、角質層の水分蒸散を防ぐとともに雑菌の繁殖を抑える働きも行います。
角質層から水分蒸散を防げないと、お肌は乾燥して、キレイに積み上がったレンガ状の角質層が乱れることでバリア機能が低下します。同時に、角質層の水分低下は、痒みを知覚する神経線維を真皮層内から角質層へと侵入させることになり、外部からの刺激によりお肌が敏感に痒みを知覚しやすい状況を生みます。
さらに、弱酸性に保たれることで健全な皮膚の細菌叢を形成、雑菌などの繁殖を防いでいますが、皮脂膜を失うと、肌が日和見菌の「餌食」となり、健全な細菌叢が乱れることで、黄色ブドウ球菌などが定着、黄色ブドウ球菌が生みだすデルタ毒素が、IgEを増強することでアレルギー的な悪化因子を強めます。
このように、皮脂膜が健全な状態で保たれないと、皮膚は外部からの刺激を受け痒みを感じ、さらにアレルギー的な免疫反応が増強されることで、炎症、痒みも強くなることが分かっています。

「皮脂膜」を失う要素とは?

「皮脂膜」は、アトピー性皮膚炎の方にとって「守るべき」体の機能の一つと言えますが、掻き壊しや空気中の化学物質の影響を受けるなど、さまざま要因で失われやすい機能なのです。
そして、その要因の一つが「洗濯洗剤」にあります。
普段、使われているほとんどの洗剤は、「界面活性剤」が使われています。
石油系から作られた合成洗剤も、天然油脂から作られた純石鹸洗剤も、原料や毒性などの違いはあるのでしょうが、洗浄方式が「界面活性剤」であることに代わりはありません。
界面活性剤とは、簡単にいえば、マヨネーズを作る際の「卵黄」をイメージしてもらうと良いでしょう。
油と酢(水分)は、通常混じり合うことがありませんが、卵黄を媒介して乳化、混じり合ってマヨネーズが作られます。

汚れを落とす仕組み仕組みは、界面活性作用を持つ卵黄が
● 油とつながる親油基
● 酢(水分)とつながる親水基

の二つの手を持っていて、それぞれの手に油と酢を捕まえることで、混じり合った状態を作り出します。
衣類の汚れも、水性の汚れと油性の汚れに分けられます。日常生活内で出る洗濯ものの多くは、水性の汚れが70%と言われています。この水性の汚れは、洗剤を使わなくても洗濯機ですすぎを繰り返すだけでほとんどが落ちます。落ちづらいのは油性の汚れと言われており、この油性の汚れを落とすために使われるのが「洗剤」なのです。

◆  ◆  ◆

衣類に付着した油性の汚れを親油基が掴み、もう一方の親水基は洗濯水を掴むことで、汚れを水の中に取り込む、という仕組みです。
この「汚れを落とす仕組み(界面活性作用により)」は、合成洗剤も純石鹸洗剤も全く同じです。
一般的に、合成洗剤よりも純石鹸洗剤が「安全」というイメージがあるようですが、確かに、環境や毒性の面では、そうした側面があるかもしれません。しかし、ことアトピー性皮膚炎の方の肌状況を考えた場合、問題なのは毒性などではなく、「界面活性作用を持っているかどうか」なのです。

◆  ◆  ◆  

すすぎ回数と残留洗剤量1983年に発表された群馬大学の論文では、すすぎ回数を増やしても一定量の洗剤が残留することが確認されています(規定量、規定量の1/2、規定量の2倍の量の洗剤を使い10回のすすぎを行った結果、いずれの濃度においても、1mg(布1gに対して)が残留していた)。

移染率また、同論文において同時に興味深い実験として、移染率を調べたものがあります。
その実験においては、乾いた移染布よりも湿った移染布への移染量が多いことが確認されています。つまり、肌が汗をかいた状態だと、肌着などに残留した洗剤が肌に移りやすいことを示していると言えるでしょう。

※移染の実験は、脱洗剤した移染用布を、洗濯後の洗剤残留布でくるんで、さらにその上からアルミホイルで覆って1時間、全体に荷重をかけ、洗剤残留布から移染布への移染量を調べる方法です。

含水量と移染量衣類に残留した洗剤は、汗(水分)を親水基が掴むと、空いた方の親油基は皮脂(油)を掴みます。つまり、本来、汗と皮脂が乳化して、自らの機能で作り出すスキンケアだったはずが、汗も皮脂も残留した洗剤が取り込んでしまい、皮脂膜の形成を妨げることにつながります。皮脂膜が形成されない=自らのスキンケアの機能が低下した状態、ということになります。
自らのスキンケアの機能が弱まることは、同時にバリア機能の低下を意味します。
バリア機能の低下は、皮膚の健全な細菌叢を乱すことにつながり、結果的に、アトピー性皮膚炎の発症や症状悪化の引き金となります。

洗濯洗剤が及ぼす影響

結論

アトピー性皮膚炎の方には重曹洗剤が適しています
汗をかきやすくなる時期、特に、肌着が触れる部分のお肌の状態が悪い場合には、界面活性作用を持つ、合成洗剤や純石鹸洗剤は避けましょう。
また、界面活性作用を持たない再汚染もしない重曹洗剤を選ぶ際には、再汚染の問題をクリアしているタイプを選択するようにしましょう。

かぶれなどに悩まされている方は、日頃、使用している洗濯洗剤をチェックしてみましょう。

肌にとって問題となるのは、使っている洗剤が界面活性作用を持っているかどうかです。汗も皮脂も残留した洗剤が取り込んでしまい、皮脂膜の形成を妨げて、自らのスキンケアの機能が低下した状態になるからです。

バリア機能が低下し、皮膚の健全な細菌叢を乱すことにつながり、アトピー性皮膚炎の発症や症状悪化の引き金となります。

肌着が触れる部分の肌の状態が悪い場合には、界面活性作用を持つ合成洗剤や純石鹸洗剤は避けることが大事です。

界面活性作用を持たず再汚染の問題をクリアしている重曹洗剤が、肌にはいちばん安全な洗剤です。

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