医療ナビ アトピーのプロアクティブ治療を考える(後編)


アトピーのプロアクティブ治療を考える

皮膚科医が、プロアクティブ治療のリスクを低く捉えている根拠はどこにあるのか?

プロアクティブ治療には、「表に出ているメリット」と「裏に隠れたデメリット」が存在しています。
現在の皮膚科医においては、メリットのみを強調していますが、その根拠の一つが、日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」に掲載されている「第2章アトピー性皮膚炎のEBMs」内に書かれています。その内容を見てみましょう(下図)。

プロアクティブ療法は有用か

エビデンスレベルとはこの文章を読んで、これまでステロイド剤の長期連用による弊害に悩んだことのある方は、「見慣れた文章」であるのに気づかれたのではないでしょうか?
それは、末尾の「プロアクティブ療法を行う際は、アトピー性皮膚炎の皮膚症状の評価に精通した医師による治療、あるいは皮膚症状の評価に精通した医師と連携した治療が望ましい。」という部分です。
以前、ステロイド剤の治療をアトピー性皮膚炎の「標準治療」として日本皮膚科学会が定めた際も、「専門医の指導の元に治療を行えば、副作用の影響がみられることはない」と、専門医の治療の安全性を強調していました。
しかし、実際にはステロイド剤が抱える問題点は、ステロイド剤が持つ「薬物としての副作用の問題」よりも、皮膚の細菌叢を乱すことによる悪化要因の形成、そしてインターロイキン4の増加によるsIgE+B 細胞への分化から体内のIgE が増強されることでアレルギー的な要因を悪化させるなど、「薬物使用による間接的な悪化要因」を抱えることにあります。
そして、皮膚科医は、こうしたアトピー性皮膚炎の悪化要因になりうる、ステロイド剤の問題点を見落としていました。
最近の研究では、アトピー性皮膚炎の原因はアレルギーそのものにあるのではなく、皮膚機能の異常(細菌叢やバリア機能の問題)や、免疫機能の異常(IgEを増強させる要因の問題)にあることが分かってきています。
しかし、アレルギーが、アトピー性皮膚炎という「病気の原因」よりも、炎症や痒みを引き起こす「症状の原因」であることを理解して治療にあたる皮膚科医はまだ多くないように思います。

プロアクティブ治療は、基本的にステロイド剤を「長期連用させる」治療とも言えます。
例えば、リアクティブ治療により薬物の連用が短期で済んだ患者に対しても、間歇使用とは言え、年単位での使用を強いることになります。
もちろん、皮膚のバリア機能が健全な状態であれば、ステロイド剤も体にとって「異物」である以上、その「侵入を許さない」ように働きますから、影響が強く現れることはないでしょう。しかし、効果と副作用は表裏一体の関係にありますから、逆に考えれば、マイナス点がない=効果も得られていない、ということでもあるため、その使用する意味合いそのものに疑問が生じることも確かです。
効果が現れない治療法ならば副作用も現れにくい、ということは実際にあります。しかし、効果が現れた治療法は、影響の差はあれ、マイナスの影響(副作用)を受けることは忘れてはならないでしょう。

プロアクティブ治療には「表に出ているメリット」と「裏に隠れたデメリット」が存在しています。最近の研究では、アトピー性皮膚炎の原因はアレルギーそのものにあるのではなく、皮膚機能の異常や、免疫機能の異常にあることが分かってきています。

プロアクティブ治療は、基本的にステロイド剤を長期連用させる治療とも言えます。マイナス点がない=効果も得られていない、ということでもあるため、その使用する意味合いそのものに疑問が生じることも確かです。

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