医療ナビ 医学的見地から見た温泉の効用


医学的見地から見た温泉の効用

古来より温泉は、人々の健康増進や疾患の改善に活用されてきました。特に日常的な入浴習慣が根づいている日本では、全国各地に温泉地が栄え、観光やリラクゼーションなど余暇を楽しむ場所としても、人々に親しまれてきました。
動物が湯につかって傷を癒しているところを見て温泉が発見された、という言い伝えが各地に残っているように、 温泉に体を癒す効果があることを昔の人々は知っていました。実際に温泉に入って、何らかの治癒効果を感じたことがある人も多いことでしょう。しかし「温泉は体にいい」ということは何となくわかっても、実際にどれほどの効果があるのかとなると、漠然とした印象があるのではないでしょうか? 今回からのシリーズ「お医者さんに聞く 温泉と入浴の効用」では、温泉と入浴の科学的な効果を現代医学の研究成果などを交えながら紹介していきます。

転地効果

温泉の基本的な効果について考えてみましょう。まず考えられるのが「転地効果」です。これは温泉入浴ということよりも、温泉地を訪れることによって得られる効果です。
ほとんどの場合、温泉は自然に囲まれた土地や観光地にあります。それがたとえ街中にあったとしても、日常的な自宅のバスルームとは違った場所で入浴を行います。
「いつもとは違った非現実的な世界に行く」。そう考えただけでも人間の脳は刺激を受け、脳内ホルモンのバランスを整えて、良い影響がもたらされます。さらに、現実から少しでも離れるという感覚を得ることで、ストレスも半減されるでしょう。

湯あたりって何?

次に、温泉入浴による医学的・生物学的効果について考えます。皆さんは、温泉にどれだけ入れば医学的効果を得られると思いますか?
1日だけではあまり効果がなさそうなことは予測できるでしょう。では3日ほど? いいえ、1週間から10日、できれば2週間以上入り続けた方がいいでしょう。もちろんこれは、健康な人が健康維持・増進のために入る場合には現実的ではありません。何らかの治療としての湯治を目的とする場合は、これくらい必要ということです。
温泉で「湯あたり」をしたことはありますか? 「ある」と答える人は意外と多そうですが、それは本当の湯あたりではないかも知れません。
例えば温泉宿に1泊したとします。2日間でなるべく温泉に入ろうと思って何度も長時間入浴し、その後だるくなったり疲労を感じてしまう。そんな経験を「湯あたり」と思っている人は多いのではないでしょうか? 実はこれは単なる「湯疲れ」。短時間のうちに高温浴を繰り返すことによって体力が消耗し、体温調節など身体のバランスを崩してしまった状態です。
では湯あたりとは何かというと、長期間におよび温泉地で療養を行った場合にみられる生体反応のことです。

温泉刺激と療養反応
温泉に入ると、温熱、水圧、浮力、含有成分、酸性度など様々な刺激を受けますが、それぞれの刺激には個別の作用があります。しかしそれとは別に、各刺激が総合的に働いて人体の調子を変えるという作用もあります。湯あたりとは、この作用(非特異的変調作用)のこと。温泉療法とは、湯あたりを利用した治療法というわけです。
例えば、薬による治療は、ウイルスをやっつける場合には直接ウイルスに働きかけます。一方、温泉治療では、疾患を持つ体全体に刺激を与え働きかけます。刺激に対して体は防衛反応を起こし順応しようとしますが、これを療養反応と呼んでいます。だから温泉の刺激に対する体の反応を呼び起こすには、一定の期間が必要。短期間の温泉入浴では医学的効果が得にくいのはこのためです。

古来から温泉は体に良いといわれています。現代では医学分野での研究も進み、温泉や入浴の効果を科学的に解明する時代となりました。

温泉の効果のひとつに転地効果があります。非日常的な「温泉地」に行くことで脳が刺激を受け、脳内ホルモンのバランスを整え、良い影響をもたらす効果のことです。

温泉で医学的効果を得るためには、2週間以上入り続けると良いといわれていますが、湯疲れと湯あたりは異なります。湯疲れは短時間内で高温浴を繰り返すことによって体力消耗などを起こした状態です。

一方、湯あたりは温泉による非特異的変調作用のこと。つまり、温熱、水圧、浮力、含有成分、酸性度などの刺激が総合的に働いて人体の調子を整える作用のことです。温泉療法は湯あたりを利用した治療法です。

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