ミトコンドリアはエネルギーの発電所
自律神経のバランスが崩れると、ほかにはどんな病気になりやすいのでしょうか。
例えば交感神経の緊張で顆粒球が増えすぎると、粘膜組織を破壊して潰瘍性の疾患に結びついたり、もっと厄介な問題が起こることもあります。
どんな問題ですか?
人間の活動を支えるエネルギーに関する問題です。食物を摂取した人間は、呼吸によって得た酸素でそれを燃焼させることによって、エネルギーを得ています。そして、酸素によってエネルギーを作り出しているのがミトコンドリアという細胞の小器官の一種です。ミトコンドリアがエネルギーを作り出すには酸素が必要ですが、交感神経優位の状態が続くと、血流が悪くなって細胞が酸欠状態になりエネルギーが作れなくなります。
それは大変な問題ですね。ミトコンドリアについて詳しく知りたいです。
人間のエネルギーを作るミトコンドリアは、まさに生命の要といえる存在です。その役割は、酸素を燃料にしたエネルギーの発電所という表現がぴったりです。人間が呼吸をして酸素を補給するのは、ミトコンドリアに酸素を与えるためなんです。
ミトコンドリアは酸素があればOKなのですか?
ミトコンドリアにとって理想的な環境は、十分な酸素があることと、一定の温度が保たれていること。ミトコンドリアに酸素が供給されなくなるとエネルギーが作り出せないから、細胞がどんどん死んでいきます。脳梗塞や心筋梗塞は、ミトコンドリアに酸素が行き渡らないために起こると考えられます。
体温が低すぎても高すぎてもミトコンドリアはうまく機能できません。体温が低いとミトコンドリアのエネルギー産生能力も衰えます。逆に体温が高すぎると、熱中症などの危険にさらされます。
ミトコンドリアとがんの関係
ミトコンドリアをとりまく環境が悪いと病気になるわけですね。
ストレスなどで交感神経の緊張が続くと、血流は悪化し低体温・低酸素の状態になります。この状態はミトコンドリアにとって最悪の環境です。
体が健康な状態ならば、ミトコンドリアは人間の細胞とうまく共存できるのですが、環境が悪くなると共存関係がうまくいかなくなります。
「共存関係」とはどういうことですか?
ミトコンドリアは20億年前に人間の祖先の単細胞生物と合体し、その共存状態が現在の人間の細胞においても続いているということです
共存関係がうまくいかないと何が起こるのですか?
細胞が分裂を起こします。つまりがん細胞化するわけです。
もともとは、人間の祖先の細胞(本体細胞)もミトコンドリアも分裂するのが仕事の原核細胞でした。それらが合体し、本体細胞が必要以上の細胞分裂をしなくなることで、共存が保たれるのだと思います。だから、本体細胞の分裂を抑えているミトコンドリアが衰弱するとこの共存関係が破綻します。
本体細胞は原核細胞だった時代に先祖がえりし、すごい勢いで細胞分裂を始めます。これが発がんのメカニズムと考えられます。
自律神経のバランスが崩れて、交感神経が優位の状態が続くと、血流が悪化し細胞が酸欠状態になり、生命の活動を支えるエネルギーが作れなくなります。
酸素によってエネルギーを作り出しているのは、ミトコンドリアという細胞の小器官の一種です。人間が呼吸をして酸素を補給するのは、ミトコンドリアに酸素を与えるためなのです。
ミトコンドリアにとって理想的な環境は、十分な酸素があることと一定の温度が保たれていること。ミトコンドリアに酸素が行きわたらないと細胞がどんどん死んでいき、脳梗塞や心筋梗塞につながることもあります。
交感神経の緊張が続くと、体内の血流は悪化し低体温・低酸素になり、ミトコンドリアにとって悪い環境になり、人間との細胞の共存関係が破綻します。そうして細胞のがん化が始まると考えられています。