アトピー性皮膚炎の知識

アレルギー発症の本当の仕組み 免疫反応の“はじまり”を解き明かす

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免疫反応の“はじまり”を解き明かす

18世紀にエドワード・ジェンナーが天然痘ワクチンを考案して以来、免疫学には長い歴史があります。長い歴史を経ても、免疫反応の仕組みについては未だ不明な部分が多々あります。
今回紹介する研究成果は、「免疫反応はどのようにして起こるのか?」という問いへの最も先進的な回答となります。生体防御を担う免疫の仕組みがより高度に解明されることによって、アレルギー治療の可能性もさらに広がっていくでしょう。

取材・文/末村成生 イラスト/佐藤加奈子

アレルギーは免疫の過剰反応

アトピー性皮膚炎の悪化要因の一つに、アレルギー体質と免疫の問題があります。アレルギー症状としての皮膚炎やかゆみなどは、体の免疫反応が過剰に働くことによって起こります。本来の免疫反応は、細菌やウイルスなどの危険な異物を排除して体を守るためのもの。ところがアレルギー体質の場合は、ダニや花粉、食物など危険とはいえない異物にまで過剰反応してしまいます。
今回ご紹介する研究論文『免疫を活性化させるミクロシナプス構造を発見』は、これらの免疫反応の根本的な仕組みを解明する研究で、いかにして免疫反応が起こるのかという核心部分に迫るものです。主役となるのは、アレルギー疾患に大きな影響力を持つT細胞(免疫細胞)。本題に入る前に、T細胞の基礎知識やアトピーとの関係についてお話ししましょう。

まずは免疫反応の基本から

免疫とは、外部の侵入物から体を守るために備わった仕組みです。例えば、風邪をひくと鼻水やくしゃみ、発熱といった症状が現れます。これらの症状は、風邪ウイルスという侵入物を追い出したり殺したりするために起こる免疫反応によるものです。ダニや花粉などの異物に反応するアレルギー症状も、免疫系がそれらの異物を敵と認識することで起こる免疫反応です。
免疫が働く目的は、体を外部の敵から守ること。そのためには、敵を見分けてやっつけなければなりません。T細胞、B細胞、樹状細胞、マスト細胞、マクロファージなどの免疫細胞は、連携してそれぞれの役割を果たすことで外敵を撃退します。その流れを簡単に説明すると、上の〈免疫反応の流れ〉のようになります。

免疫反応の流れ

  1. 敵を発見する
    樹状細胞やマクロファージが細菌やウイルス、アレルゲンなどの異物を見つけて食べる。
  2. 敵の存在を報告する
    異物を食べた樹状細胞は、リンパ節に移動してナイーブT細胞に異物の情報を伝える。
  3. 活性化する
    情報を得たナイーブT細胞は活性化されて、ヘルパーT細胞やキラーT細胞に分化・増殖する。
  4. 撃退指令を出す
    ヘルパーT細胞は、攻撃担当細胞(キラーT細胞、B細胞など)に敵をやっつける指令を出す。
  5. 敵を撃退する
    指令を受けた攻撃担当細胞は、それぞれの方法で敵をやっつける。キラーT細胞は敵に接着しパーフォリンという分解酵素をふりかけて殺し、B細胞は抗体を作って敵に投げつけて捕まえる。

免疫反応の流れ

アトピーと切っても切れない関係にあるのが免疫反応です。
 

最近「免疫を活性化させるミクロシナプス構造を発見」という論文がでました。
 

免疫反応を活性化する流れが深く解明されれば、アトピー性皮膚炎改善にも新しい治療法などが発見されそうですね。

ステロイド剤でアトピーは治せない

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ステロイド剤でアトピーは治せない

木俣 肇先生(きまた・はじめ)
1953年生まれ。77年京都大学医学部卒業。85年からUCLAに留 学し、アレルギーの研究に従事。アトピー性皮膚炎に関する研究を海外の雑誌に多数発表。アトピー性皮膚炎患者の毛髪分析にて、ミネラル異常を世界で初めて報告。アトピー性皮膚炎は適切な治療と、規則正しい生活、感情の豊かさ(愛情と笑い)によるストレス発散によって治療しうるとして、講演活動も積極的に行っている。

知っておきたい「アトピーとステロイドの関係」

ステロイド剤はアトピーを治すための薬?答えは” NO!“

ステロイド剤は「免疫抑制剤」です。もともとアトピーを治すために作られた薬剤ではありません。アトピーの発症により、結果として現れた「かゆみ」や「炎症」を抑える力を、ステロイド剤という「免疫抑制剤」が持っているため、”アトピーの 対症療法に役立つ薬”として用いられ ているのです。
「免疫抑制剤」は、主に臓器移植を受けた際などに用いられる薬です。人間の体はとても精巧で繊細にできています。自分がもともと持っているもの以外の臓器が体内に入った時点で外敵だと察知し、これを排除しようと働くようになっています。しかし、せっかく移植した臓器を拒否してしまっては、なんのために受けた移植か、わからないことになってしまいます。
外敵と判断したもの(ここでは臓器)が体内に入ったときに起こる拒絶反応(正しい免疫反応)を抑えて臓器を定着させるためには「免疫抑制剤」が必要で、その一つがステロイド剤です。
アトピー治療薬として広く使われているステロイド剤は「免疫抑制剤」。自己の免疫力を抑制することで、アトピーにより生じたかゆみや炎症さえも抑えてしまうのです。

ステロイド剤の弊害1 「感染症と難治化」

アトピーとは、炎症反応があって、そこに細菌感染症も 起こしている状態です。さらにストレスが加わってくることで悪化します。こうした複合的な症状に対しても、ステロイド剤は「炎症反応」だけ を抑えるので、アトピーの原因の「根治」につながるものではありません。
厄介な問題は、ステロイド剤は免疫抑制剤なので、「使えば自分の免疫力を下げること」です。皮膚の免疫力も落としてしまいますから、二次感染など、感染症をさらに招きやすくする危険性があります。

ヘルペス発症とステロイド剤の関係は?

最近、アトピーの悪化、難治化の原因の一つであるヘルペスに感染する患者さんの数が顕著に増加しています。これまでアレルギーのなかった人でも突然発症する傾向も見られます。温暖化などの環境の変化や、ストレスを抱える不安な時代の到来でリスクファクターが高まっている――、こうした背景がヘルペス増加につながっているようです。
特にステロイド剤を使用してきた場合は問題が複雑で、使っていない人がヘルペスにかかっても”治りが早く、繰り返さない”のに対し、ステロイド剤使用者は、”何度もヘルペスを再発させ、治りが遅い”のです。極端な例では、10回ほども繰り返しかかる方もいます。このことから、ヘルペスにステロイド剤が何らかの影響を与えていると考えられています。

エビデンスで見るステロイド剤でアトピーが治せない訳

今更ですがステロイド剤はアトピー性皮膚炎を治す薬ではありません。
 

そもそも免疫抑制剤ですからね。臓器移植などをしたときに起こる体の免疫反応がを抑えるためものですからね。アトピー性皮膚炎の場合痒みや炎症を抑えるために使われているわけです。

アトピーの痒み、という症状は抑えることができても、アトピーと言う病気そのものを直接治すことはできない、ということですね。

それと免疫抑制の問題以外に体に蓄積されることですね。
 

Dr. が教えるアトピーケアの新常識 アトピー性皮膚炎のケアは、まずスキンケアから

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Dr. が教えるアトピーケアの新常識

POINT1「皮膚免疫」の問題

「皮膚免疫」の問題によるアトピー悪化プロセス

この問題を解決するには?

アトピー改善に必要なケア

ネイチャー誌に掲載された記事

本論文では、黄色ブドウ球菌から出るデルタトキシンという毒素が、肥満細胞の脱顆粒の誘因因子であることが同定された。
肥満細胞には、かゆみの原因となるヒスタミンなどの炎症性メディエーター(橋渡し役)が貯蔵されており、これらが血中に放出されることを脱顆粒という。これまで、肥満細胞の脱顆粒は、IgE抗体を介したアレルギー反応によるものと考えられてきた。しかし、本論文において、黄色ブドウ球菌が放出する毒素によって直接肥満細胞の脱顆粒が起こることがわかった。
さらに、本論文では、次のような事実を示すデータも紹介されている。

● IgE抗体が関与することで脱顆粒は数倍増える。
● アレルゲン(抗原)がなくてもIgE抗体が存在するだけで脱顆粒が増える。
● 黄色ブドウ球菌がIL4(インターロイキン4=IgE抗体を増やす働きがある情報伝達物質)
を増やす。

黄色ブドウ球菌の感染がアトピー悪化に関係していた

アトピー性皮膚炎を発症、悪化させる要因として、アトピー性皮膚炎の9割以上の方に見られる黄色ブドウ球菌から出るデルタ毒素が関係していることが、昨年、英国ネイチャー誌の論文で発表されました(上記要約参照)。この論文についての詳細は、あとぴナビ2014年10月号「アトピーと感染症の最新研究」をごらんください。

ステロイドなどの薬剤がアトピー症状を悪化させている

アトピー性皮膚炎の症状が一度は改善した場合でも、季節的な要因や体調的な要因で、バリア機能が低下したときは要注意です。皮膚に常在している黄色ブドウ球菌から出るデルタ毒素がIgE抗体を作り出すことで、免疫機能が過剰反応を示すからです。IgE抗体が増えることによって、アレルギー的因子が増大すると、アトピー性皮膚炎を再度発症させることがあります。
ステロイドの外用剤やプロトピック軟膏など、免疫を抑制する薬剤を使用している場合も、黄色ブドウ球菌などの感染症が起こりやすくなり、アトピーの症状を悪化させることがあります。
このときやっかいなのは、使用している薬剤により炎症そのものは抑えられた状態にあることです。皮膚の状態は一見すると悪くないのですが、黄色ブドウ球菌がもたらす悪化の影響を受け続けている状態です。
こんな状態で、炎症を抑える働きをしていた薬剤の使用を中断すると、体内ではアレルギー的な因子が増えた状況にあるので、一気に症状が悪化してしまいます。この状態が、いわゆる離脱症状(リバウンド)です。

離脱症状を薬で抑えるのは危険

ステロイドなどの薬剤中断による症状の悪化(リバウンド)は、薬で抑えていたアトピー性皮膚炎の症状が悪化したことが原因であると、多くの皮膚科医師は考えています。したがって、離脱症状による症状悪化に対しても薬剤の再使用が必要ということになります。
もちろん、一時的に薬が必要となるケースがないわけではありませんが、薬剤を使用すると、どうしても長期にわたり症状悪化が続き、薬剤の強さのランクも上がっていくケースが多くなります。このようなケースにおいても、離脱症状を「単なるアトピー性皮膚炎の悪化」と捉えて薬剤治療を続けることには、大きな危険が伴います。
免疫を抑制する薬剤の副作用により、感染症が誘発されやすくなることは、周知の事実です。感染症がアトピー性皮膚炎を悪化させることは、科学的に証明されています。したがって、まずは感染症治療を主軸とする治療法が必要になると考えてよいでしょう。
皮膚のバリア機能が低下した状態の場合、病院で処方されるワセリンやクリーム、あるいは一般的なスキンケアアイテムでは不十分なことがあります。バリア機能を高める成分を配合したアイテムを上手に使用することも、考えていきましょう。

アトピー性皮膚炎のスキンケアで重要なポイントのひとつが皮膚免疫なんですね。そもそも皮膚免疫とはなんですか?

皮膚に常在している黄色ブドウ球菌が皮膚免疫機能を悪化させることが昨年発表されました。菌からでるデルタ毒素という物質がIgE抗体を作り過剰反応からアトピー性皮膚炎が悪化するということです。

なぜそうなるのですか? 季節や体調などが原因でしょうか。
 

それも発生原因のひとつですが、その時に薬剤を使っていると免疫機能が低下しており菌による感染症にかかりやすくなります。やはり正しいスキンケアをすることが何より大切です。

紫外線からアトピー肌を守ろう!

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紫外線からアトピー肌を守ろう!

日本の紫外線対策

日本ではこれまで日光浴が体にいいと思われていました。夏休みに真っ黒に日焼けした子どもたちは、まさに健康的だとされ、学校では日光浴が推奨されていました。
さらに、黄色人種は紫外線に強いといわれていたことから、日本では欧米諸国よりも紫外線から体を守る意識や対策が遅れていました。黄色人種は肌にメラニンという色素を作りやすいのですが、メラニン色素は直接紫外線の害がDNAに及ばないよう、つまり遺伝子に傷がつかないように守るはたらきがあるからです。
しかし最近、皮膚がん発症の危険性など、紫外線の害に関する研究が進み、日本でも日光浴が安全ではないことが知られるようになってきたのです。環境省が紫外線保健指導マニュアルを出したのも最近のことです。医学書からは、日光浴のススメが削除されました。アトピー肌と紫外線について正しい情報を知り、健康とアトピー悪化防止に役立てましょう。

※メラニンとは、日焼けしたときに肌を黒くする色素のこと。

紫外線って何?

紫外線は目に見えない太陽の光です。
日光があたる場所にいれば、必す紫外線にも当たっています。
肌に悪影響を与える紫外線の仕組みを知り、大切な肌を守りましょう。

紫外線は目に見えない太陽の光

太陽からは波長の違ういろいろな光が発せられていて、その中の一部が地表に届きます。地球に届く太陽光線には、紫外線や赤外線なども含まれています(図①)。このうち実際に目に見える光は可視光線だけです。可視光線は波長が長いものから、赤、オレンジ、黄、青、青紫、紫の色に分けられます。この可視光線より波長が長いものが赤外線で、波長が短いものが紫外線です。紫外線は波長が長いものから順に、UV-A、UV-B、UV-Cに分けられています。
太陽光線は波長が長いものほど障害物を透過しやすい性質を持っています。最も波長が短いUV-Cはオゾン層など大気層で吸収され、地表にはほとんど到達しません。UV-Bはほとんど大気層に吸収されますが、オゾン層の破壊により、現在地表に届く量が増加しています。紫外線は、波長が短いものほど強力なエネルギーを持っているのでUV-Bの増加は大きな問題になっています。

図① 表皮の構造太陽光線の分類

紫外線の強さ

時刻や季節、さらに天候によって、紫外線の強さは大きく変わります。太陽が頭上にくるほど強い紫外線が届くので、一日のうちでは正午ごろ、季節では6月から8月が、最も紫外線の強い時期になります。
また、場所によっても差があります。標高が高くなればなるほど、紫外線も強力になります。雪は紫外線をよく反射するので、冬でもスキーなどの時は大量の紫外線を浴び、日焼けをしやすくなります。

月別紫外線(UV-B)照射量

場所別紫外線(UV-B)の反射と透過

紫外線のアトピー肌への影響

紫外線は、肌のやけどにあたる日焼けを起こしたり、遺伝子を傷つけたり、免疫に影響を与えます。
肌のバリア機能力I弱いアトピ一肌には、さ5に強い影響を与えます。

免疫を抑制

表皮有線層(図②参照)にはランゲルハンス細胞と呼ばれる免疫を司る細胞があります。ランゲルハンス細胞は皮膚の外から侵入してきた異物(細菌・ウイルス、化学物質など)をリンパ球に渡し、免疫反応を起こさせる役目を担っている重要な細胞です。
強い紫外線を浴びて日焼けをすると、ランゲルハンス細胞は10~14日くらい働かなくなり、リンパ球(T細胞)の働きも抑えられるので、一時的に体が異物を認識できなくなります。その結果、細菌やウイルスなどの感染症にかかりやすくなる危険があります。
アトピーなどのアレルギー反応は免疫が克進している状態なので、短時間の日光浴でも、免疫が抑制され、50%くらいの人はアトピーが一時的に改善されます。ただし、日焼けして赤くなると、炎症物質が分泌されることでアトピーが悪化する場合もあります。いずれにしても長時間強い紫外線に当たることは禁物です。

図② 表皮の構造

アトピー肌への影響

(1)バリア機能を破壊し、乾燥させる
紫外線に当たると、表皮細胞のターンオーバー(生まれ変わり)が早まり、角層の水分が失われやすい状態になります。肌が乾燥しやすくなってポロポロむけたりします。

(2)炎症などが悪化
紫外線に当たると皮膚が赤くなって日焼けします。日焼けは太陽によるヤケドです。紫外線は免疫を抑制する作用があり、アトピー性皮膚炎患者の約半数の方は一時的に症状がよくなります。しかし、赤くヒリヒリするようなら、皮膚にさまざまな炎症物質が発生し、その刺激でアトピー症状などが悪化しやすくなる場合もあります。

(3)細胞の遺伝子に傷をつける
紫外線は皮膚細胞の遺伝子であるDNAに傷をつけます。皮膚にはこのDNAの傷を修復する働きもありますが、傷が多くなりすぎると修復しきれなくなります。すると、DNAが傷ついたまま複製されたり、不適切に処理されたりして、突然変異(皮膚がん)の原因になります。

(4)色素沈着を起こす
メラノサイトという皮膚の色素細胞が、紫外線から細胞を守るためにメラニン色素を分泌すると、肌が黒っぽくなります(色素沈着)。通常は皮膚の新陳代謝によって、次第にはがれ落ちて元の肌色に戻りますが、紫外線が当たってその部分の細胞遺伝子に変異が起こると、色素を大量に作るようになります。これがシミです。アトピー性皮膚炎の方の場合、肌の摩擦や炎症の後に発疹性色素沈着を起こすことがありますが、これも紫外線に当たることで濃くなります。

(5)肌を老化させる
アトピー肌は、角層のバリア機能が弱く、炎症などで掻き壊しがあると表皮の奥の真皮にも紫外線が届きやすくなります。真皮にあるコラ1ゲンやエラスチンといった弾力線維が紫外線の影響で切断されたり、かたくなったりして、肌の弾力が失われ、シワの原因になります。また、皮膚に炎症が起きると、老化の主原因である活性酸素も増加します。

(6)その他(白内障)
紫外線は、角膜を透過して水晶体で吸収されます。このとき水晶体のタンパク質に変化を起こさせ、水晶体を濁らせて白内障のリスクを高めます。

紫外線はアトピー性皮膚炎に良くありませんよね。
 

そうです。昔は日焼けは健康の様に言われてましたが研究が進むにつれて肌への悪影響が注目されています。

オゾン層の破壊で地上に届く紫外線が強くなっていると言われてます。
 

特に地上に届くUV-Bの量が増えています。エネルギーが強いだけに肌への悪影響が懸念されます。

アトピー肌にどんな悪影響があるのですか?
 

日焼けにより皮膚に炎症物質が出ることでアトピー性皮膚炎が悪化することがあります。他に白内障のリスクが高くなったり、遺伝子が傷つくことで皮膚がんの可能性も出てきます。

体内時計の調整で痒みを軽減する

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体内時計の調整で痒みを軽減する
アトピー性皮膚炎による痒み、気管支ぜんそくによる咳、花粉症によるくしゃみなど、アレルギー疾患の症状は、患部の炎症によって生じます。皮膚の炎症がかゆみになり、気管支の炎症により咳が出るといった具合ですが、炎症が起こる仕

アレルギー症状が起こる仕組み

組みには共通点があります。今回の研究を理解するために、まずは炎症のメカニズムから説明していくことにします。
「痒くなるのはヒスタミンが出るからだ」と聞いたことがないでしょうか。ヒスタミンは主に肥満細胞の中に貯蔵されていて、何らかの刺激を受けると細胞から放出されます。つまり、肥満細胞からヒスタミンがばら撒かれると炎症を起こし痒みが生じます。
では、どんな刺激を受けるとヒスタミンがばら撒かれるのでしょう?
刺激を与えるのは、アレルゲンと呼ばれる体外部の異物です。花粉症だったらスギやヒノキの花粉、食物アレルギーだったら様々な食品、ダニやほこりも代表的なアレルゲンです。
これらのアレルゲンが体内に侵入すると、Ig Eという抗体が作られます。抗体とは侵入してきた異物を追い出そうとする物質で、IgE 抗体にはアレルギーを起こす物質を追い出す役割があります。

肥満細胞をコントロールして炎症を軽減する

アレルゲンが体内に侵入すると、Ig E 抗体はアレルゲンを追い出すために肥満細胞にくっつきます。肥満細胞がIg E 抗体を介してアレルゲンを認識すると、細胞膜が破れてヒスタミンなどの炎症物質がばら撒かれ、患部が炎症を起こすのです。
話を非常に簡略化しましたが、アレルギー疾患による炎症(痒み、咳、くしゃみなどの病態)は、すべて同じメカニズムにより起こります。このメカニズムの主役は、IgE 抗体を介してヒスタミンを放出する肥満細胞です。アレルゲンの情報をIgE 抗体からキャッチして、炎症物質であるヒスタミンを放出する肥満細胞。この細胞をコントロールすることで炎症を軽減することはできないものか?
この発想が本研究のベースとなるものです。
肥満細胞をコントロールするということは、かゆみの原因となる肥満細胞の活動を抑えることです。活発な肥満細胞に「もう少しおとなしくしてもらえないものか」というわけです。そして研究チームは、肥満細胞が比較的おとなしい(不活発な)時間帯が存在することに着眼しました。
アトピーが夜に悪化しやすかったり、朝方になると花粉症が激しくなったり、アレルギー疾患には悪化しやすい時間帯があります。大きな傾向として、活動的な時間(昼間)は症状が軽めで、休息の時間(夜間〜明け方)に悪化しがちです。

時刻によって肥満細胞は変化する

体内時計のしくみ

体内時計のしくみ

脳、臓器、血管、筋肉など、体中のあらゆる細胞に備わった時計遺伝子は、それぞれが固有のスケジュールを持ち、時を刻んでいます。しかし、約30兆個に及ぶ細胞がそれぞれの部位に見合ったタイミングで正確な時を刻むのは至難の業。それぞれの時計のタイミングを合わせる(同調)ためには、中枢となる体内時計が必要です。
その役割を担っているのが、脳の視床下部にある視交叉上核。視交叉上核は中枢時計として、約24 時間周期という地球のリズムに合わせるために日の出の光を利用しています。
朝日の光で寝室が明るくなると、網膜から入った光を中枢時計である視交叉上核が感知します。すると夜間の睡眠を促していたメラトニンの分泌が止まり、目が覚めて新たな1 日が始まります。このように、中枢時計が光によって毎朝体内時計をリセットし、末梢時計が同調してタイミングを合わせているのです。

かゆみが起きる時間が大体決まってるような気がしますが。
 

そうですね。実は体内時計といって体が覚えている時計によってアレルギー反応が強かったり弱かったりします。

IgEやヒスタミン、抗原だけの問題ではなかったのですね。
 

基本的には抗原が侵入すると肥満細胞がヒスタミンを出して炎症が起こるののですが、その肥満細胞の活動を抑えられないかというのが今回の研究テーマです。

アトピー発症のメカニズムと予防法がわかった

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アトピー発症のメカニズムと予防法がわかった

今年の4月に理化学研究所が発表した研究論文「アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明」によると、アトピー性皮膚炎発症のメカニズムを解明し、発症の予防法が発見されたとあります。この論文を読み解きながら、アトピー性皮膚炎の真の原因を探ります。

アトピーの原因は皮膚にある? それとも免疫異常?

あとぴナビでは、アトピー性皮膚炎には大きく二つの問題があると考えてきました。一つ目は皮膚の問題。皮膚の乾燥や炎症への直接的な対策として、保湿を中心としたスキンケアが大切です。
もう一つは免疫の問題。アトピー性皮膚炎は、免疫反応が関係した過敏症であるアレルギー体質が原因の一つとされています。アレルギー体質改善のためには、睡眠、食、運動、入浴といった生活習慣を見直し、アレルゲンを避け、皮膚の乾燥を防ぐなど生活環境を整えることが大切です。
アトピー性皮膚炎改善のためには「皮膚」と「免疫」といった二つの側面へのアプローチが考えられますが、そもそもアトピー性皮膚炎の原因とは何でしょう?
あとぴナビレター8月号の予告編でもお伝えしましたが、これがなかなか難しい問題です。
これまで、アトピー性皮膚炎といえばIg E値が高くなり炎症物質に働きかける免疫の問題ととらえた研究が主流でした。しかし最近では「アトピー性皮膚炎は免疫反応とは関係ない」とする研究論文も増えてきました。疾患の原因がはっきりしないのでは、その対策も立てにくくなります。
例えば、ステロイド剤は免疫を抑制することで皮膚の炎症を抑えます。そこで「免疫は関係ないですよ」と言われたら、「薬を塗っても意味ないの?」と思ってしまう方もいるでしょう。あとぴナビ編集部でもさまざまな研究者のお話を聞いてきましたが、取材を重ねるほどアトピー性皮膚炎の原因については混迷していくように感じられました。

アトピーの原因遺伝子と発症過程が解明された

ところが、今回の取材ではアトピー性皮膚炎の原因がすっきりと整理されてきた感触を持つことができました。理化学研究所統合生命医科学研究センター疾患遺伝研究チームが2016年4月26日に発表した「アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明」という論文について説明しながら、アトピー性皮膚炎の原因に迫っていきたいと思います。
本研究にあたって理化学研究所の研究チームは、人のアトピー性皮膚炎と同じ症状が出るモデルマウスをつくるために、遺伝子変異を誘導した3000匹ものマウスを調べました。遺伝子変異は、マウスの遺伝情報に変化を引き起こす物質を投与することで起こります。その結果、免疫に問題が起きてアトピー性皮膚炎を発症するマウスを開発し、Spade(StepwiseProgressive AtopicDermatitis= 多段階進行性アトピー性皮膚炎)マウスと命名しました。この研究は、Spadeマウスを使って免疫に問題を起こす(アレルギーを起こす)原因遺伝子とその発症過程を調べたものです。

アトピー発症の原因は皮膚組織にあった

マウスがアトピー性皮膚炎を発症する過程

まず、マウスがアトピー性皮膚炎を発症する過程からみていきましょう。Spadeマウスがアトピー性皮膚炎を発症するまでには2カ月(8〜10週間)くらいかかります。出生直後のマウスに皮膚炎はありませんが、この頃から皮膚のバリア機能に異常があることが分かりました。バリア機能に異常があってもすぐに皮膚炎は起こりませんが、表皮の下にある真皮に炎症細胞が集まってきました。この状態で皮膚が刺激を受け続けると、約2カ月後に皮膚炎が起こります。皮膚炎発症の段階では、免疫反応は関与していません。つまり、アトピー性皮膚炎が発症する原因は皮膚組織にあり、免疫系にはないということです。
では、アトピー性皮膚炎と免疫は無関係かといえば、そうではありません。皮膚炎が起こった次の段階で、免疫反応が関与してきます。皮膚炎によるかゆみで皮膚を掻くなどの刺激により角質層の破壊が進み、2型ヘルパーT細胞(Th2)が活性化することでアレルギー反応が起こり炎症を増強させていきます。
以上、アトピー性皮膚炎の発症過程をまとめると左図のようになります。
このように、アトピー性皮膚炎はいくつかの段階を経て進行していきます。8年ほど前、ニューイングランドジャーナルという医学雑誌に、「皮膚炎は先天的バリア機能の異常から発症し、その後Th2が活性化することでアレルギー反応が起こり慢性化していく」という趣旨の研究発表がありました。今回のマウスによる実験は、まさにその通りの結果を示したことになります。

今更ですがアトピー性皮膚炎の原因て何なんでしょうね。免疫の問題だと思っていましたが。

そうですね。IgEの値が高くなる免疫の問題だと長く捉えられてきましたからね。

最近は免疫反応とアトピー性皮膚炎は関係ないという論文すら出ています。
 

じゃ免疫反応は無関係かと言うとそんなに単純な話でもありません。
 

理化学研究所がマウスを使ってアトピー性皮膚炎発症のメカニズムを明らかにしました。

まずは皮膚のバリア機能の異常があるようですね。
 

垢でアトピーが悪化するって本当ですか?

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垢でアトピーが悪化するって本当ですか?

死細胞は免疫を刺激し様々な疾患を悪化させる

今回のお話の主役は皮膚の垢です。垢は皮膚から排出された死細胞で、表皮細胞の大部分を占めるケラチノサイト(角化細胞)がその役割を終えたもの。
ケラチノサイトは皮膚の水分保持やバリア機能維持、免疫応答などの役割を担う細胞で、皮膚の潤いを保つセラミドやNMF(天然保湿因子)は、ケラチノサイトが表皮の基底層で生まれてから死ぬまでの過程において作られます。この過程がターンオーバー(角化)と呼ばれていることは、本特集記事の予告編(あとぴナビレター5月号)でお伝えしました。 
垢のような死細胞は、体全体に存在します。腸であれば腸管の粘膜組織、気道であれば気管の粘膜組織などの死細胞がそれに当たります。腸管や気管などの粘膜は上皮細胞(皮膚でいえば表皮細胞)で覆われており、外界からの異物や病原体の侵入を防いでいます。これらの上皮細胞が死ぬと、皮膚では垢、腸では便、気管では痰として排出されるわけです。 これらの死細胞は体の排泄物であり人体には特に何の影響も及ぼさない、というのがこれまでの定説でした。しかし、これから紹介する渋谷彰教授ら(筑波大学医学医療系・生命領域学際研究センター)の研究がこの定説を覆しました。体中の粘膜の死細胞は無害なものではなく、免疫細胞を直接刺激することでアトピー性皮膚炎、腸炎、ぜんそくなどの発症を促進することが、世界で初めて明らかにされたのです。

2型ヘルパーT細胞が 多いと アレルギー体質になる

あらかじめ二つのキーワードを押さえておくと、この研究が理解しやすくなります。まずは「制御性T細胞」の話から始めましょう。 
アレルギー体質の人は、アレルギー反応を引き起こす免疫グロブリンE(IgE)という抗体が多いことがわかっています。IgEは、ダニのフンや花粉などのありふれた異物(抗原=アレルゲン)に免疫反応を示す抗体です。 
このIgE を作っているのがB細胞と呼ばれる免疫細胞。B細胞はヘルパーT細胞からの情報によって様々な抗体を作るのですが、2型ヘルパー細胞(Th2)がB細胞に情報を伝えるとIg E が作られます。だから、2型ヘルパーT細胞が多い人ほどIgEが増えてアレルギー体質になりやすいということになります。 
ちなみに、B細胞は1型ヘルパーT細胞(Th1)や炎症性ヘルパーT細胞(Th 17)などからも情報を受け取ります。1型ヘルパーT 細胞は微生物やウイルス感染の情報、炎症性ヘルパーT細胞は主に細菌の情報をB細胞に伝えます。 
このようにヘルパーT細胞には何種類かあるのですが、アレルギー体質はTh 1とTh 2のバランスによって決まるといわれています。というのは、この二つのヘルパーT 細胞は互いに抑制し合う関係にあるからです。Th 1かTh 2のどちらかに偏りがちとなるので、Th2に傾くとIg Eが増えてアレルギー体質となります。

垢などの排せつ物が実は人体に悪影響を及ぼすことが分かってきました。
 

皮膚の垢、つまり死細胞が免疫細胞の一つである制御性T細胞を刺激してアトピー性皮膚炎の発症を促すみたいですね。

この話のキーワードの一つが制御性T細胞です。制御性T細胞の一つである2型ヘルパーT細胞が多いとアトピー性皮膚炎にかかりやすくなります。

ただし制御性T細胞には制御作用もあり免疫が働き過ぎて自分自身を攻撃するのを抑える役割もありますよね。

毛細血管がアトピーを改善する理由

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毛細血管がアトピーを改善する理由

肌の健康は 毛細血管から

「美肌の秘訣は血管力にあり」。化粧品・美容業界で、最近こんな声が大きくなっていることをご存知ですか?
ここ数年、大手化粧品メーカーが商品開発のために、競って血管の研究に取り組んでいるそうです。正確に言えば毛細血管の研究ですが、なぜ皮膚ではなく血管なのでしょうか?
体に張り巡らされた血管は、血液中の酸素や栄養素を体中の細胞に送り届け、老廃物を受取って循環しています。そんな血管の総延長は10万キロ。なんと地球2周半分もの長さになりますが、37兆個にもおよぶ人体の全細胞に酸素と栄養を送り届けるためには、これだけの長さが必要なのです。
もちろん皮膚細胞の栄養も、血管を通して送り届けられます。例えば皮膚の中にはコラーゲンを作る線維芽細胞がありますが、線維芽細胞に栄養が届かなければコラーゲンを作る能力が衰えていきます。コラーゲンが足りなくなれば、皮膚は弾力を失い劣化してしまいます。つまり皮膚の健康を左右しているのは、皮膚細胞に栄養を届ける血管ということになるわけです。

血管の安定化が美肌を保つカギ

すべての血管のうち、その9 9%を占めるの は毛細血管です。血管というと、私たちは人 体解剖図でおなじみの動脈や静脈を思い浮 かべがちですが、実は毛細血管が圧倒的に 多いのです。
皮膚に通じる体の末端や様々な臓器のま わりなどには、無数の毛細血管が張り巡ら されています。毛細血管の太さは5μ〜2 0μ。1μ(ミクロン)は1000分の1ミリ なので、最も細い毛細血管は200分の1 ミリにすぎません。動脈は体を巡る幹線道 路(表通り)のようなもので、そこに大量の 血液が流れます。動脈から枝分かれした毛 細血管は、いわば路地のような細い道。動脈 によって運ばれた血液中の酸素や栄養素は、 毛細血管を通ることではじめて細胞にたど り着きます。
毛細血管の構造を少し詳しくみてみま しょう。毛細血管の外側は壁細胞と呼ばれ る壁で覆われており、内側は内皮細胞に覆 われています。毛細血管は物質の透過性に 優れているのですが、酸素や栄養がむやみに 漏れてしまうと末端の皮膚にたどり着かな くなります。そこで、皮膚外側の壁細胞と内 側の内皮細胞がしっかり接着することで、毛 細血管の構造が安定化します。つまり、中身 が漏れにくくなり体の隅々まで酸素や栄養 が行き渡るようになります。このような健 康な毛細血管がバランスよく張り巡らされ ていることが、美肌を保つ条件となります。

肌の老化を招く 血管のゴースト化

ところが、老化や疾患などが原因で壁細胞ははがれやすくなります。壁細胞がはがれてしまうと内皮細胞もダメージを受けて、血管がつぶれて正常に機能しなくなります。高倉先生は、この状態を「血管のゴースト化」と呼んでいます。血管のゴースト化は加齢と共に進みます。皮膚の場合は、30代からゴースト化が進み始めて毛細血管がだんだん減ってきて、80歳と40歳を比べると30〜40%も減ってしまうという研究データがあります。毛細血管が減ってしまえば、皮膚に栄養が行き渡らなくなって最終的にはシワやシミになります。いくらスキンケアをしても、内部から栄養が届かないのでは効果が半減してしまいます。
皮膚以外でも、血管のゴースト化は進みます。例えば肝臓内の毛細血管がゴースト化すれば肝機能障害が起りやすくなります。脳の場合は、血管が減るというよりも栄養素などが漏れやすくなり、漏れた物質が脳内に溜まることで神経細胞が障害を受けてアルツハイマーなどの原因となります。

皮膚の健康と血管には深い関係があるんですね。
 

血管の研究が進むことで血管の健康状態が悪化すると皮膚の状態も悪化するとが分かってきました。

血管に健康状態があるとは思ってもみませんでした。悪化というのはどういう状態なのですか?

老化や疾患で血管の壁細胞が壊れて血液成分が漏れてしまい、栄養素が皮膚や臓器に行き渡らなくなる状態です。脳だと栄養素が漏れてアルツハイマーなどの病気の原因となります。

アトピーの痒みはなぜ慢性化するの?

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アトピーの痒みはなぜ慢性化するの?

痒みの研究が進化している

痒みを直接抑えることができる薬は今のところ存在しません。現在、アトピー性皮膚炎の治療に使われている薬は、皮膚の炎症を抑えるためのものだからです。薬で炎症を抑えた結果、痒みも治まってくるわけです。
痒みに直接アプローチする薬が存在しないのは、今までのアトピー研究において、皮膚を対象としたものが主流だったためと考えられます。痒みそのものに関する研究は少なく、痒みを感じる仕組みもほとんどわからなかったのです。
ところが近年では、痒みを伝える神経に着眼した研究が増えてきて、様々なことがわかってきました。「痒み」はこれまで「弱い痛み」と考えられていたのですが、ここ6〜7年で、痒みだけを起こす物質や、痒みだけを伝達する神経回路などが次々と発見されました。

痒みを感じる メカニズム

痒みを感じる メカニズム
痒みを伝える物質でよく知られているのは、GRP(ガストリン放出ペプチド)と呼ばれるタンパク質。脊髄の中にGRPがたくさん出ると痒くなることがわかってきました。
その仕組みを簡単に説明しましょう。皮膚からの痒みシグナルが神経に伝わるとGRPが出て、他の神経に発現しているGRPR(GRPの受容体)にくっつきます。それが次の神経細胞(ニューロン)に情報を伝え、さらに複雑な回路を経て脳に達することで痒みを感じます。
GRPとGRPRの発見によって痒みの研究は一気に進み、痒みを感じる仕組みの一端が見えてきました。ただし これは急性の痒み(様々な要因で日常的に感じる一過性の痒み)のメカニズムで、アトピー性皮膚炎などで痒みが慢性化した場合はどうなるのでしょう?
痒みは本来、皮膚に侵入しようとする異物を知らせ、掻くことで除去するという自己防衛反応と考えられます。このような正常な痒みは短期的に治まってしまいます。
しかし、アトピー性皮膚炎などの 慢性的な痒みにおいては、過度に 掻くことで皮膚炎が悪化し、さら に強い痒みを感じてしまうという 悪循環に陥ります。慢性化した病 的な痒みには、急性の痒みとは違っ た仕組みがあるのでしょうか?  これから紹介する研究は、どのよ うなメカニズムで痒みが慢性化す るのかを明らかにしようとするも のです。

慢性の痒みには 別のメカニズムがある

グラフA、グラフB
九州大学・津田教授らの研究チームは、アトピー性皮膚炎のモデルマウス(以下、アトピーマウス)を使って実験を行いました。
グラフAをみてください。アトピーマウスの痒み行動(引っ掻く回数)は週齢を重ねるごとに増えていき、15週間も経つとほぼピークに達します。生後15週のアトピーマウスの毛をそって皮膚を観察すると、引っ掻き傷だらけで人のアトピー性皮膚炎とそっくりな状態です。
通常の痒みでは、脊髄の中にGRP(ガストリン放出ペプチド)が出て神経活動が高まります。アトピーマウスでも同じことが起こっていて、脊髄後角の神経細胞(ニューロン)が活性化します。
次に、人為的にGRPを投与するとどのような変化が起こるかを調べました。すると、アトピーマウスも正常なマウスも痒みが増し、激しく掻くようになりました。このときのマウスの状態を30分間観察したものがグラフBです。正常なマウスは100回弱ぐらい掻いていましたが、アトピーマウスはその2倍以上掻いていることがわかります。これは、アトピーマウスでGRPの感受性が高まっていることを示します。
ここで予測できるのは、アトピーマウスのGRPもしくはGRPR量が増えているのではないかということ。そこでGRPとGRPRの発現量を調べましたが、変化はみられませんでした。つまり、何か他のメカニズムが働いてアトピーマウスの痒みが増しているのではないかと考えられるのです。

アトピー性皮膚炎と言えば痒み。痒みさえ抑えられれば皮膚の炎症も改善するんですが。

実は痒みそのものの研究はされてなく仕組みも分かってなかったみだいですね。
 

ここにきて痒みのメカニズムが明らかになりつつあり、アトピー性皮膚炎治療の切り札ができるといいですね。

痒みにはGRP(ガストリン放出ペプチド)と呼ばれるタンパク質が関係していると点までは分かっているようです。

皮膚と細菌叢の関係からアトピーの新たな治療法を探る

未評価です。

皮膚と細菌叢の関係からアトピーの新たな治療法を探る

論文「アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌叢が引き起こす」を読み解く

細菌の多様性が皮膚の健康を保つ

皮膚や腸をはじめとする人間の体には、数多くの細菌が共生しています。その種類は数千、数は数千兆におよぶといわれ、様々な働きを持つ多様な細菌のバランスが人間の健康に影響を及ぼしています。
腸内細菌の話はご存知の方も多いでしょう。人体の70%もの免疫細胞が集まる腸という器官には、様々な働きを持つ細菌の多様性とバランスにより腸内環境が形成されます。腸内環境は体の様々な器官に影響力を持ち、腸内の細菌叢に偏りが生まれて悪玉菌がはびこれば、免疫力が低下したり健康を損ねてしまいます。
皮膚の細菌叢でも同じことがいえます。皮膚表面の菌の多様性は腸内をしのぐことがわかってきましたが、皮膚表面の細菌叢の多様性が失われ、バランスが崩れることによって様々な弊害が生じます。

黄色ブドウ球菌が増えるとアトピーが悪化する!?

本研究「アトピー性皮膚炎は皮膚の異常細菌叢が引き起こす」は、アトピー性皮膚炎が悪化した際には、皮膚表面の細菌の種類が著しく減り、その過半数が黄色ブドウ球菌によって占められるという現象の因果関係を明らかにするものです。
アトピー性皮膚炎患者の皮膚から細菌を取り出して培養すると黄色ブドウ球菌が多数発育することは、40年以上も前から知られていました。しかしながら、なぜこのような現象が起こるのかははっきりしないままでした。
アトピー性皮膚炎の悪化により黄色ブドウ球菌が増えるメカニズムがわかれば、まだわからないことが多いアトピー性皮膚炎の正確な理解につながり、新たな治療法の開発にもつながります。本研究は、このような成果を目指して行われたものです。

アトピーのモデルマウスを作る

アトピー性皮膚炎と黄色ブドウ球菌の関係の解明がなかなか進まなかったのは、これまでに適切な動物モデルが存在しなかったためです。つまり、人間のアトピー性皮膚炎と同じ症状の動物を用意することが難しかったのです。
本研究グループは、実験用マウスの皮膚からアダム(ADAM) 17という酵素を取り除くことでアトピー性皮膚炎のマウスを作り出すことに成功しました。アダム17は、細胞膜表面の表皮発育因子(EGF)を調整して細胞の分化・増殖や免疫応答などを調整する酵素。稀な疾患ですが、アダム17の遺伝子変異を持つ患者でアトピー性皮膚炎様の症状を示すことが報告されています。このアダム17を人為的に欠損させることで、アトピー性皮膚炎の湿疹モデルを作ったのです。

アトピーマウスでも皮膚炎悪化で黄色ブドウ球菌が増えた

グラフA、グラフB
アトピー性皮膚炎のモデルマウス(以下、アトピーマウス)の皮膚は、3週間ほどでカサカサし始めて8週目頃になると明らかな皮膚炎が認められています。この頃のマウスが、人間のように湿疹部分を掻いている動画も論文では示されています。
実際のデータも検証してみましょう。グラフA は皮膚からの水分蒸散量(TEWL)を計測したものです。水分蒸散量が多いほど皮膚は乾燥するのですが、3週め以降から健康なマウス(黄)に比べてアトピーマウス(赤)は皮膚から数倍の蒸散量があることがわかります。
グラフBはIg E(多くのアトピー患者で高い抗体)の値ですが、アトピー性皮膚炎のマウスの方が圧倒的に高い数値を示しています。マウスのリンパ節を採取して免疫応答の状態を解析しても、インターロイキン4(IL4)や17(IL 17)などアトピー性皮膚炎に関係したサイトカインが多く検出され、人間のアトピー性皮膚炎とそっくりな状態です。
さらに皮膚の細菌の状態をマイクロバイオームという解析方法で調べると、予想通りの結果が出ました。グラフCは、健康なマウスとアトピーマウスの皮膚に存在する細菌の種類を色分けし、生後14週までの変化を示したものです。健康なマウスもアトピーマウスも、2週間目あたりまでの細菌叢(各グラフ左)はほぼ同じです。
健康なマウスの細菌叢をみると、大半を青色の細菌が占めています。これはFirumicutes(フィルミクテス門)と呼ばれる、非常に多様性を持った細菌の系統です。 アトピーマウスの細菌叢をみると、4 週目あたりからC.mastitidis(コリネバクテリウム マスティタイデス:黄緑色)が多くなり、8週目あたりからほとんどC.bovis(コリネバクテリウム ボービス:緑色)と黄色ブドウ球菌(紫色)の2種類だけの異常細菌叢に変貌していることがわかります。

抗生物質による皮膚炎の予防効果

アトピーマウスに抗生物質を与える実験も行われました。離乳直後のアトピーマウスに異常細菌叢に効く抗生物質で持続的な抗菌治療を行うと、皮膚の細菌叢は正常なままで皮膚炎も発症しませんでした。これはつまり、抗生物質による抗菌治療には皮膚炎の予防効果が認められたということです。ただし、この治療は身体への他の影響も強く、、人間に対して行うことはできないレベルのものです。
グラフC

アトピー性皮膚炎になると黄色ブドウ球菌が増えることは昔から知られていました。そのメカニズムの解明が待たれていました。

アダム17という酵素を取り除いたマウスを作り出せたことで解明が進んできました。

アトピーマウスは皮膚の水分蒸散量が多く、IgEの値が高くなり実際に掻いている様子が確認されています。

健康マウスの皮膚には細菌の多様性が認められるのにアトピーマウスだと黄色ブドウ球菌ほか2種類の異常細菌叢に変異しています。