アトピー性皮膚炎の知識

化学物質を避け、アレルギーを遠ざける

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化学物質を避け、アレルギーを遠ざける

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

地球環境に人間が作り出した化学物質があふれ、十分な換気を考えない、気密性の高い住宅が普及したことで、環境化学物質による汚染が私たちの生活に広がっています。これら汚染化学物質の害と、害を避ける方法を紹介します。

アレルギー反応とは、体内に侵入してきた異物から身を守るために発達してきた生体防御機構体が健康な状態であれば、アレルギー反応を起こすと同時にアレルギーを抑える力が働き、体に大きな障害が起きないように反応を抑えこみます。
しかし、環境ホルモンなどの環境汚染化学物質がアレルギーを抑える力を混乱させると、アレルギー反応が激しくなって歯止めがきかなくなり、アトピーやぜんそくなどのアレルギー性疾患を引き起こす可能性が考えられます。
様々なアレルギー症状を起こしている人は、環境汚染を避けることで身を守っているかのように見えます身の回りに蔓延する化学物質など、体に合わないものが体内に侵入してくると、鼻みず、くしゃみ、咳、下痢、湿疹などで体外に排出しようとしますこれらの症状をコントロールできない状態がアレルギー疾患なのだから、環境化学汚染物質を避けることは、アレルギー症状を緩和することにつながります。

身の周りの汚染化学物質と対処法

タバコ

タバコ

タバコの煙の中には、ダイオキシンやベンゾ(a)ピレンなど20種類以上の化学物質が含まれています。肺がんとの関係はもちろん、子どもの肺の正常な成長を妨げてしまいます。タバコを吸う人がいる家庭では、気管支ぜんそくを発症しやすいこともわかっています。特に妊婦や赤ちゃんのいる家では、家族全員がタバコをすわないように心がけましょう。
外で吸っても、髪や服に煙がついたまま微粒子を家に持ち込まないようにします。タバコのニオイがしたら不合格と考えてください。

石油・ガス燃焼物

石油・ガス燃焼物

石油やガスが燃えると、窒素の酸化物や炭素のチリなどができます。窒素酸化物は鼻や気管の粘膜を傷め、鼻や気管の病気を悪化させます。気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など排気ガスで悪化する可能性のある症状がある場合は、室内の石油・ガスの排気に注意してください。
室内排気型のストーブや給湯器をなるべく使わず、室外排気型のものに換える、または電気ストーブ・電気調理器を使うようにします。

ホルムアルデヒド

ホルムアルデヒド

ホルムアルデヒドは、家や家具、壁紙などの接着剤、合成樹脂、消毒剤、防腐剤、脱臭剤などから揮発して様々な症状を引き起こします。
ホルムアルデヒドは、目・鼻・喉などに様々な不快症状を引き起こします。皮膚に付着すると皮膚は乾燥し、傷があればそこから侵入してアトピー性皮膚炎の悪化要因となります。
家を新築する場合は、ホルムアルデヒドを含まない建材を選ぶことが重要です。家屋が汚染されている場合は、十分な換気を行うとともに、高性能の空気清浄機が必要です。

有機リン系殺虫剤

有機リン系殺虫剤

畳の多くには、防虫剤(有機リン系殺虫剤)が使われています。動物実験では、有機リン系殺虫剤がアレルギー症状を悪化させるという報告もあるので、室内に存在するのは好ましくありません。
有機リン系殺虫剤によって自律神経の働きも悪くなり、頭痛・めまい・吐き気などの神経系統の不調にもつながります。特に、畳に近い位置で呼吸し生活することの多い乳児は、大きな被害を受けやすいでしょう。
特に乳幼児やアレルギー疾患のある人は、畳のある部屋を避けるか、防虫剤を使用していない畳に換えましょう。

アトピー性皮膚炎の原因は様々なことが考えられますが環境汚染化学物質もその一つです。基本的な考え方はまずこれらの化学物質を遠ざけることです。

特に密閉された室内の環境汚染化学物質は避けなければなりません。まずタバコは絶対に避けたいものです。家族に喫煙習慣がある方がいる場合は外で吸うこと、臭いの元となるタバコの微粒子をもちこまないことです。

新築家屋の場合壁紙の接着剤に使われているホルムアルデヒドはやっかいです。化学物質過敏症の原因にもなります。徹底した換気が必要です。

畳に含まれる有機リン系殺虫剤も避けたいものです。特に乳幼児がいる場合は畳を有機リン系殺虫剤不使用のものに換えましょう。

アトピーを改善する食生活の基本

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アトピーを改善する食生活の基本

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

毎日の食事は、私たちの健康をつくる土台となっています。毎日どんな食事を摂るかで、アトピーなどのアレルギー疾患も大きな影響を受けています。アトピーを改善するにはどんな食事がよいのか?
その考え方と食事づくりのポイントをお話しします。

アトピーを改善する食べ方のキホン

【食べ方のキホン1】体に合った食物を食べる

人間に適した食物は、哺乳動物としての生物的な消化能力によって決まります。この消化能力からあまりにはずれた食べ方をすると、食物を消化・処理するために大きなエネルギーを使い、体は疲労してしまいます。
古来より人間は、穀物や木の実からエネルギーを得て生存・発展してきました。歯の構造をみると、臼歯と呼ばれる平らな歯が大半を占め、穀物やイモ類、野菜などの食物を食べるように進化しています。消化能力も、穀物やイモに含まれるでんぷんを処理する能力が高く、これらの食物を中心に摂ることが、人間の体に合った食べ方と言えるでしょう。
歯の構造

【食べ方のキホン2】住んでいる土地の食物を食べる


現代では、科学の力でどんな地域でも様々な作物が栽培されるようになり、離れた土地で生産・加工された食品を簡単に入手できるようになりましたしかし人類の歴史を振り返ると、私たちの祖先は非常に長い間自分たちが住む土地でとれた食物を食べ続けてきました
例えば日本では、お米などの穀類、野菜や豆、海草や魚介類などの和食が中心日本人にとって和食は、日本人の消化能力に合った体にあまり負担をかけない食物なのです日本人の消化能力や腸の長さは、長い歴史の積み重ねで定着したものだから、他の土地・他の自然環境から持ってきた食物は体の負担となりやすく、注意が必要です例えば、パン食や乳製品、卵や肉類などは、もともと日本人が食べて来なかった食物一般的な日本人の体質には合いにくい食物なのです。

【食べ方のキホン3】情報や知識、嗜好などに左右されない食習慣を


戦後に日本の食習慣がどんどん欧米化していったのは、先進的な欧米文化への憧れや経済的な競争、戦後の食糧難で持ち込まれたパン食や脱脂粉乳、肉食の奨励など、様々な要因によるものです
人類史から見れば、この変化は非常に短期間に起こったものに過ぎませんこれまでの日本人の食習慣を無視して、単に「栄養がある」「健康にいい」という情報や知識だけで自分の体に合わない食生活に変えてしまえば、体への負担も大きいでしょうさらに現代の子どもたちは、加工食品の強い味付けで味覚が麻痺し、ほんとうに美味しいものを見分ける力を失いつつあります極端に甘いもの、しょっぱいもの、油脂の多い食品を好み、化学調味料が入っていない味つけに物足りなさを感じるようになっていますじっくりと煮込んだ大根や新鮮な野菜のほのかな甘さがわかる、するどい味覚や嗅覚を取り戻せるような食習慣に変える必要があるでしょう。

人間に適した食べ物とは消化能力で決まりますが歯の構造から考えて穀類、野菜、イモ類などが適しています。

日本人の場合住んでいるところから考えて穀類、野菜、魚介類であれば身体に負担のない食物と言えます。

肉類、乳製品などは最近になって摂り出した食べ物なので体質に合っているとは言えません。

特に食品添加物、化学調味料などは味覚に大きな影響を与えます。嗅覚や味覚を取り戻せる食生活は大事です。

衣替えの季節を快適にするアレルギー対策

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衣替えの季節を快適にするアレルギー対策

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

まだ暑い日が続きますが、9月になれば、少しずつ夏服を片付けて衣替えの準備も考え始めませんか?
春夏に押入れやタンスにしまいこんだ服やふとんを不用意に使うと、アトピーなどのアレルギー症状悪化につながります。そうならないための対策を予習しておきましょう。

秋や春は衣替えのシーズン。特に秋は、春夏の暑い時期に押入れやタンスにしまい込んであった衣類や、冬用の布団を使い始める時期です。
まだ残暑が厳しい9月も、半ばを過ぎると次第に朝夕は冷え込んでくるもの。特に、台風が通り過ぎたあとは、北からの冷たい乾燥した空気が入り込むようになります。暑い時期に湿っていた寝具や衣類、室内の様々な場所にたまっていたほこりは、乾燥によって空気中に舞い上がりやすくなります。

衣替えは慎重に

ほこりがたちやすくなった時期に、押入れやタンスにしまい込んであった衣類や布団を出すのですから、アレルギー体質の人は特に慎重になりましょう。肌寒くなってきたからといって、タンスで眠っていた冬服を出してすぐに着たり、しまってあった毛布や掛け布団をそのまま使うと、思わぬ症状悪化を招くことがあります。

しまってあった衣類・寝具 には危険がいっぱい!

ダニ・カビ
高温多湿の夏の間に増えたダニの糞や死骸、カビの胞子が衣類、寝具に吸着。しまう前に洗濯・クリーニングに出していても、時間がたてばダニやカビはついてしまいます。

花粉や犬・猫の毛
押入れやタンスに紛れ込んだ花粉や犬や猫などの動物の毛が、残っている場合があります。

化学物質による汚染
タンスや押し入れに防虫剤を使っていれば、衣類などは防虫剤に汚染されています。合板や合成樹脂などで作られた収納家具に入れていれば、ホルムアルデヒドなどの化学物質汚染が心配です。

部屋に放置いた衣類にも注意
部屋の中でそのまま放置された衣類にも、揮発した微量の化学物質(フタル酸エステル、有機リン系殺虫剤、トルエン、キシレン、アセトアルデヒドなど)が吸着・蓄積されています。

こんなアレルギー症状に注意

ダニの糞や死骸、カビ、花粉や動物の毛、様々な化学物質などをそのまま不用意に吸ってしまうと、次のようなアレルギー症状が起こりやすくなります。

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特に2~3歳の幼児にとって、秋は生まれてはじめての気管支ぜんそくの発作を起こしやすい季節です。十分に注意してあげてください。

安易な衣替えは要注意です。すでに秋冬物に替えた方、これからの方、もう一度注意点などを確認しましょう。

しまってあるから安全、安心ということはありません。押し入れにもダニ、カビ、花粉、犬・猫の毛、化学物質などが付着しています。しまう前にクリーニングにだしていても同様です。

安易に取り出して着用し化学物質などを吸い込むとアレルギー症状が起こりやすくなります。

特に秋は乳幼児がぜんそく発作を起こしやすい時期なので要注意です。
 

よい睡眠が、アトピーを改善する

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よい睡眠が、アトピーを改善する

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

日の出と共に起き、暗くなったら眠る。そんな生活リズムが、心身の成長とアレルギー症状の改善に大きな影響を与えています。睡眠とアレルギー疾患の関係についてお話しましょう。

アトピー性皮膚炎の症状が悪化すると、かゆみで夜眠れなくなり、睡眠不足が続いてしまいがちです。しかし、過剰なアレルギー反応を抑えて症状を回復させるためには、十分な睡眠が必要。逆に言うと、しっかり眠ることができれば、皮膚のかゆみを軽減することができます。
とは言っても、眠れなくて困っている人に「眠りましょう」と言うだけでは解決になりません。そこでまず、睡眠が人間の成長にとってどれだけ大切かを知ってください。そして、睡眠を含めた規則正しい生活リズムが、体にどのような影響を及ぼしているのかを理解しましょう。そうすれば、毎日の生活をどのように改善すればよいのかが、具体的にわかってきます。
特に小さいお子さんのいるお母さん、これから赤ちゃんを産む予定のプレママさんは、子どもの睡眠についてしっかり勉強しておいてください。乳幼児期の睡眠は、体全体の発達に大きく関係しているのですから。

副腎皮質ホルモンは睡眠中に分泌される

「副腎皮質ホルモン」と聞いて、アトピー治療などに使われるステロイド剤を思い出す人も多いと思います。ステロイド剤には人工的に作られた副腎皮質ホルモンが含まれていますが、副腎皮質ホルモンは、もともと人体の副腎で少しずつ作られるホルモンです。
副腎皮質ホルモンには、アレルギー反応が起きたときに放出されるロイコトリエンなどの働きを抑えて、かゆみや炎症などの過剰なアレルギー反応を調整する働きがあります。人体には、アレルギー反応を抑える機能がもともと備わっているのですが、これを有効に機能させる(適量の副腎皮質ホルモンが分泌される)ためには、睡眠がとても大切なファクターとなります。
なぜ睡眠が大切かといえば、副腎皮質ホルモンは、脳の視床下部の命令によって睡眠中に分泌されるホルモンだからです。睡眠中に分泌されるといっても、それには様々な条件があります。まず睡眠のリズムが大事で、それが整うと一定の時間帯に分泌されるようになるのです。その説明をする前に、まずは睡眠のリズムについてお話します。

睡眠リズムが大切なホルモン分泌を促す

睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠は、眼球の動きを伴い 眠りが浅い状態。逆にノンレム睡眠は、眠りが深くなると体も脳もぐっすり眠っている状態。 睡眠中は二つの睡眠が繰り返されますが、二つの睡眠リズムが、睡眠中に分泌される 副腎皮質ホルモンと成長ホルモンの分泌に大きく関係しています。
人間は、太陽が昇って明るくなると活動が活発になる昼行性動物です。 だから、昼間は活発に行動し、日が暮れて夜になると疲れて眠くなる、 というのが自然な生活リズムなのです。特にこれから成長を続けていく子どもたちは、 昼間はたくさん遊んで夜はくたくたになってバタっと眠るのが理想。睡眠直後に深い眠りに入ると、 この時間帯に成長ホルモンが分泌され、成長が促されます。
入眠直後に深い眠り(ノンレム睡眠)に入るのが理想的な睡眠。眠ってすぐに深い眠りに入ると、 朝方に浅い眠りになる睡眠リズムがつきやすくなります。そして副腎皮質ホルモンは、 朝方の浅い眠り(レム睡眠)のときに分泌されるのです。正確に言えば、この時間帯になると 脳の視床下部の命令で副腎皮質刺・激・ホルモンが分泌され、この伝達によって副腎から 副腎皮質ホルモンが分泌されます。

理想的な睡眠リズム

アトピー性皮膚炎の回復に睡眠は非常に大切です。しっかり眠れればかゆみも軽減します。

アレルギー症状が出た時に抑制してくれる副腎皮質ホルモンは睡眠中に分泌されるホルモンですので睡眠は特に重要になります。

深い眠りで成長ホルモン、明け方の浅い眠りで副腎皮質ホルモンが分泌されます。

上記のことからも、特にお子さんの睡眠のリズムは非常に大切になります。
 

夏休みを満喫するための アレルギー対策

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夏休みを満喫するための アレルギー対策

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

旅行、キャンプ、プールに海水浴など、夏は外泊や屋外でのレジャーが増える季節。
そんな季節を楽しく快適に過ごすためのアレルギー対策を紹介します。

これからの季節は、帰省や旅行で外泊したり、海やプールで泳いだり、キャンプに出かけて野外で過ごしたりと、夏ならではのイベントも多くなります。ダニやカビなど、自宅でのアレルギー対策は万全でも、外泊先の寝具など、環境が変わって症状が悪化したという話は多いもの。症状の悪化が心配で、旅行やレジャーには消極的になってしまいがちな人も多いでしょう。
でも、宿泊先などで悪化につながる原因を知り、その対策をしっかり準備していけば大丈夫。ちょっとした工夫で、夏休みを快適に楽しめるポイントを紹介していきましょう。

外泊を快適に

帰省先など、他の家に泊まる場合

食事 ここに注意

食物アレルギーがある場合、宿泊先での食事にも注意が必要。実家など宿泊先の方に、食物アレルギーについて理解してもらうことが一番のポイントです。

対策

●宿泊先の方に説明し、食材・調味料を持参して自分で料理する。
●症状が強い場合は、鍋やフライパンなど調理器具も持参する。
●症状が強い場合、食物に接触して悪化する場合があるので、宿泊先でその食品を避けてもらう。

アレルギーを理解してもらおう

父方の実家へ行く場合はお父さんが、母方の実家へ行く場合はお母さんが、実家の方たちに食物アレルギーについてしっかり説明してください。理解が得られれば、対策はより簡単になるものです。

寝具 ここに注意

実家や知人の家など他の家に泊めてもらうときは、特に寝具に注意します。お客さん用の布団は、長い間押入れにしまわれています。そこから出したばかりの寝具には、ダニの糞や死骸のかけら、カビなどが多く付着しているため、湿疹や鼻炎、喘息発作の引き金になることも。特に梅雨をこえたばかりの時期や秋口は、高温多湿でダニ・カビが増えやすいので要注意です。

対策1 実家などで可能であれば、事前に以下のお願いをしましょう

●寝具を何回か外に干して、掃除機をかけておいてもらう。
●毛布や枕カバーなど、洗えるものは洗濯しておいてもらう。

対策2 対策1ができない場合、自分でできることもたくさんあります。
対策
●宿泊先の寝具に掃除機を自分でかける。
●防ダニ用のシーツや布団カバー(高密度に編まれた製品)を持参し、宿泊先の布団をおおってしまう。
●封筒型の寝袋(シェラフ)を持参する。

ソバがら枕に注意!

ソバアレルギーがある場合、ソバがら枕は避けましょう。ソバがら枕はポリ袋などに入れてしまってもらうようにお願いし、ソバがらの粉が落ちていそうなところには掃除機をかけておきます。

旅館やホテルに泊まる場合

寝具 ここに注意

旅館やホテルでは、空調がコントロールされ寝具のシーツやカバー類もクリーニングされています。かといってトラブルが少ないとは言い切れず、自分でコントロールしにくい分、特に寝具対策を準備していったほうが安心です。

対策

●旅館の寝具の上で飛び跳ねたりホコリを立てるようなことをしない。シーツは清潔でも、布団やベッドには、ダニやカビが多い場合があります。
●封筒型の寝袋(シェラフ)を持参し、布団の上に広げて使う。

寝袋を活用しよう

最近は、質のいい寝袋が安価で手 対策に入るようになりました。寝袋を1週間以上かけて何度か干し、掃除機をかけてダニやカビが少ない状態に保ち、旅行に持ち歩けば安心です。
寝袋を選ぶ際は、封筒型のものが使いやすく便利です。表面の素材は木綿のものを選びます(中面は化学繊維でもしかたないでしょう)。

合宿や修学旅行での食事 ここに注意

家族や知人との旅行の場合、食事に関しては食べられるものを持参するなど自由度が高いので、融通が利きやすいもの。でも、学校の合宿や修学旅行などでは、制約も多くなります。事前に引率の先生と相談することが大切です。

対策

●先生と相談し、事前に献立メニューを教えてもらう。食べられないものが多い場合は、食べられるものを持参する。
●無理にみんなと同じものを食べて具合が悪くなれば旅行が台無しになってしまうと、本人が自分で気をつけるように促す。

旅行はお子さんが自己管理を学ぶよい機会

合宿や修学旅行は、お子さんが親元を離れて、自己判断でアレルギー対策して自分に合った食を選択できるようになるための良い機会と捉えましょう。楽しい旅行にするにはどうしたらよいか、しっかり事前準備をして学べるようにフォローしてあげてください。

楽しい夏休みを過ごすためにも万全のアレルギー対策をしておきたいものです。特に外泊時の食事や寝具対策は必要です。

親戚の場合、事前にアレルギー食や寝具について伝えておき、あらかじめ対策をお願いするか自分でできることは自分で対処しましょう。そばアレルギーの場合そば殻枕は要注意です。

旅館やホテルはクリーニングされていて安心かというとそうでもありません。寝袋を持参するのも一つの方法です。

食事も食べられるものを持参する、修学旅行の場合などは事前に先生に相談するといった対策が必要です。

カビを減らして アトピー症状を改善しよう

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カビを減らして アトピー症状を改善しよう

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

ダニや化学物質同様、カビはアトピーなどのアレルギー症状を悪化させる大きな要因です。
カビが繁殖しやすいこの季節、生活環境、腸内環境でのカビ対策をお伝えします。

アトピー性皮膚炎とカビ

アトピー性皮膚炎の炎症が起きれば、炎症部分の抵抗力は落ち、様々なカビ、細菌、ウイルスなどが感染しやすくなります。感染を繰り返せば、こんどはカビや細菌が作る毒素にアレルギーを起しやすくなります。
私のクリニックで、半年間にわたりアトピー患者さんのカビの状態を調べたところ、約3割の人から病原性のカビ(白癬菌、カンジダ、黒色真菌など)が検出されました。特に黒色真菌がみつかった患者さんは治りが悪く、同じ場所が繰り返し悪化する傾向がありました。
カビの菌が皮膚に付着し感染症を引き起こしたり、あるいはたまたま付着しただけでもアレルギー症状を悪化させる大きな要因となります。また、腸内のカビも症状に影響をもたらします。生活環境から、これらのカビを取り除く努力をすることで、症状を改善することができます。

 
皮膚のカビ対策 <カビ対策のキホン>

キホン1 空気の流れを作る

カビが増える条件は、適度な栄養(人・動物の毛、フケ、排泄物など)・湿度・温度が揃うこと。さらにカビは、空気の流れが悪い場所を好みます。
例えば、押入れにものを収納する場合は、床面にスノコをひいたり、壁面と収納物の間には空間をつくる。
たんすなどの家具類は、壁から10cm ほど隙間をあけて置く。こんな工夫をして、常に空気の流れを作るように心がければ、カビは生えにくくなります。

キホン2 乾燥した状態を保つ

カビは増えやすい条件が揃えば、菌糸を伸ばして増えていきます。この状態のカビは、触れるとアレルギーを起こしやすいので要注意です。
また、増え続けて栄養がなくなったり、乾燥して弱ったカビは、子孫を作るために胞子を遠くに飛ばします。この胞子を吸うと、鼻や気管支の病気を起こすことがあります。
乾燥と高湿度の状態を繰り返せば、カビは菌糸も胞子も多量に作ってしまいます。乾燥状態を保ってカビを増やさないこと、さらに胞子を飛ばす前の段階でカビを減らすことが大切です。

 
浴室でのカビ対策

浴槽は毎日洗い、湯は毎回換える

浴槽内側の湯面付近は、アカや皮膚から落ちたカビ、細菌などがこびりつき、放置すると増えていきます。
風呂の湯の交換や、浴室・浴槽の掃除が少ないほど、皮膚にカビや細菌の感染を起こす確率が高くなります。お湯は毎回換え、特に浴槽内はそのつど掃除しましょう。

入浴最後は、冷たい水を散布

浴室の壁や天井、石けん置き場やシャンプーの容器などは、こまめに洗ってカビの繁殖を防ぎたいもの。
でも天井や壁を毎日掃除するのは大変なので、最後にお風呂に入った人は、冷たい水を壁や天井にかけておきましょう。壁や天井に付着したアカなどを洗い流し、浴室を冷やすことで、カビの増加を多少減らすことができます。
普段から、浴室の換気もしっかり行いましょう。

湯上りには洗いたてのタオルを

湯上り時は、上がり湯やシャワーで体から汚れを洗い流します。お風呂から出たら、洗濯したてのタオル(バスタオル)で体をふきます。一度使ったタオルは、十分な栄養(アカなど)・湿度・温度が保たれて、カビや細菌の温床となります。そのタオルを翌日も使えば、カビや細菌を直接体につけることになるので注意しましょう。

湯上りタオルは個別に用意

湯上りに家族全員で同じタオルを使うと、家族同士でカビ・細菌を交換し合うことになりかねません。タオルは一人ずつ個別に、洗いたてのものを用意します。

寝具・衣類でのカビ対策

寝具は「乾燥」+「掃除機」で

寝具にもカビはつきやすいもの。できれば日光に干して、干した後は必ず掃除機をかけてカビの胞子を吸い取ります。菌によっては、掃除機だけでは取り除けないので、洗濯できるものは水で洗い流すことが大切です。

食べこぼしには要注意

食べこぼしで衣類に付着した食物は、カビの温床となるばかりか食物アレルギーの引き金にもなりかねません。特に小さいお子さんのパジャマなど、食べこぼしがついていないかチェックしてあげてください。

洗濯物はすぐに干す

洗濯物を干さずに放置すると、衣類などに残ったカビが増え、その状態で干してもカビが残ってしまいます。洗濯物はすぐに干し、カビの増殖をできるだけ抑えましょう。
室内で洗濯物を干す場合は、扇風機をかけると早く乾きます。洗濯物がどうしても乾かない場合は、アイロンをかけると効果的。

洗濯槽もしっかり掃除

洗濯機の中は、洗濯物の汚れでカビが生えます。洗濯槽もときどき点検し、カビを取り除いてください。自分で掃除できる部分は、消毒用のアルコール(エタノール)と使い古しの歯ブラシなどを使って洗います。

アトピー性皮膚炎の患者30%から病原性のカビが見つかったそうです。
 

カビは感染症を引きこしたりアレルギー症状を悪化させるので本当に要注意です。

常に室内のカビ対策に気を配りたいものです。乾燥を保つ、空気の流れを作るなど基本的なことは励行したいものです。

湿気のこもりやすいお風呂、タオル、寝室、洗濯機、衣類などカビの温床になります。日々の基本的な対策が必要です。

アレルギーの原因物質を見つけよう

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アレルギーの原因物質を見つけよう

監修:角田 和彦
監修:角田 和彦(かくた かずひこ)
かくたこども&アレルギークリニック 小児科・アレルギー科 院長
1953年生まれ。1979年、東北大学医学部卒業。専門は小児循環器・アレルギー疾患。自分自身を含め、5人の子供と妻にアレルギー体質があることから、常に患者の視点ももちながら、具体的なアドバイスときめ細かい診療を続けている。著書に『アレルギーっ子の生活百科』(近代出版)、『食物アレルギーとアナフィラキシー』(芽ばえ社)、『アレルギーと食・環境』(食べもの通信社)などがある。

アレルギー疾患を治療するための第一歩は、アレルギーの原因物質を見つけること。 生活環境のあらゆるところに、アレルギーの原因物質はあふれています。 注意深く身の回りをみわたして、自分自身の原因物質を見つけましょう。

アレルギーの原因物質を知る

枕にタオルをまいて寝ていたら、頬に湿疹が出るようになった。オムレツを食べたお父さんが赤ちゃんにキスをしたら、卵アレルギーの症状が出た。寝室と寝具の掃除をしっかりするようになったら、肌のかゆみが軽くなりぐっすり眠れるようになった…。クリニックに来る患者さんから、こんな話をよく聞きます。
私たちをとりまく生活環境には、アレルギーの原因となる物質や悪化要因がたくさんあります。今回は、症状を起こす原因物質にはどんなものがあるか、そして自分にとっての原因物質をみつけるにはどうしたらよいかお話します。まずは、アレルギーを誘発しやすい物質について知ることです。次の表をみて、自分の周りに原因物質が多くないか確認してみましょう。

アレルギーを誘発しやすい物質

アレルギーを誘発しやすい物質

※1
ラテックス:木の樹液から作られるゴム成分のこと。バナナやキウイなど様々な植物にも含まれているため、ゴムアレルギーを起こすとこれらの食品でもアレルギーを起こしやすくなる。
※2
アニサキス:アジ、ニシン、イワシ、サバなどの魚の内臓に寄生していることが多い。これらの魚を食べて、寄生虫のアレルギーを起こす場合がある。

参考:『アレルギーっ子の生活百科 第三版』角田和彦著 近代出版

原因物質をつきとめるには

アレルギーの原因物質は、きりがないほどたくさんあります。この中から原因を見つけ出すのは、医者でもなかなか難しいもの。しかし、自分の症状の経過をよく振り返ることで、原因が判明することがほとんどです。できれば発症や悪化の2〜3日前までさかのぼり、食べたものや、どんな行動をしていたかをできるだけ詳しく日記につけてみましょう。症状を繰り返している場合は、毎回起こる症状に共通するものを探します。日記をつけるときのポイントを紹介します。

①食べたものは何か
(アレルギーを起こしやすいもの、農薬・食品添加物など)
②触ったものは何か
(そばにいた人が食べたものでも症状が出ることがあります)
③吸い込んだものはないか
(ダニ、花粉、動物の毛、カビ、小麦など粉状食品など)
④何かに刺されなかったか
(ハチ、蚊、アブ、ブヨ、クモ、ヘビなど)
⑤どこで発症・悪化したか
⑥何をしているとき発症・悪化したか
⑦他のアレルギーを起こしていないか
⑧他の病気を起こしていないか
(特に、腸の病気や肝臓の病気)
⑨疲労・寝不足がたまっていないか
⑩合成洗剤を多用していないか
⑪一緒に飲んだ薬はないか
(特に解熱鎮痛剤)
⑫アレルギー対策の程度
(各アレルギーの原因対策がうまく行われているかどうか)

参考:『アレルギーっ子の生活百科 第三版』角田和彦著 近代出版

アレルギーを防ぐ手段はまずは身の回りのアレルギー物質を見つけることです。
 

その為にはどんなアレルギー物質があるのか、どのように接触しているのかをしることが重要です

食べ物、空気中の持緒、手に触れるものなど様々な物質が様々な形で存在しています。

自分のアレルゲンは何かを見つけるにはそれを日記をつけることです。ここにいくつかのポイント紹介します。アレルゲン探しに役立てて下さい。

アトピーにおけるステロイド外用依存と離脱を考える

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アトピーにおけるステロイド外用依存と離脱を考える

DrugHealthcPatientSaf.2014Oct18;6:131-138.にTopicalsteroidaddictioninatopicdermatitis(アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用剤依存)という表題で、8名の医師の共著論文が掲載されました。
現在の皮膚科医の多くは、ステロイド外用剤によるベネフィットを強調しますが、以前から言われているように、相応のリスクは存在します。今回の論文では、そのリスクについて、どのような問題点を抱えているのかが、分かりやすく書かれており、ポイントとなる部分を抜粋して一部を紹介したいと思います。

要 旨

共著者の先生方

アメリカ皮膚科学会(AAD)は2014年5月にアトピー性皮膚炎の外用療法に関する新しいガイドラインを発表しました。2006年にAAD会誌に掲載された総説において、ステロイド外用剤依存(TSA)やレッドバーニングスキン症候群(RBSS)は、ステロイド外用剤によって生じうる副作用として指摘されたにもかかわらず、新しいガイドラインではこの病態に関する言及がありません。このことは、この病態に関してまだ議論の余地があるということを示唆しています。そこで私たちはこの病態を実際に多く治療してきた経験に基づいて、TSAまたはRBSSの臨床像を記述しようと考えました。この病態に関する医学文献は乏しいので、本稿における記述はTSAまたはRBSSに関する理解を深め議論を進める上で役立つでしょう。

はじめに

アトピー性皮膚炎患者におけるステロイド忌避の問題は皮膚科領域でときどき議論となりますが、ほとんどの皮膚科医はこれを患者の無知による単純な恐怖心の結果ととらえており、TSAやRBSSと関連付けることは少ないです。
しかしながら、TSAやRBSSを治療した経験のある医者の中には、患者たちの少なくとも一部は、過去にTSAやRBSSを経験したかもしれず、そのためにステロイド忌避の態度を示すという考える者もいます。アメリカ皮膚科学会は2014年5月にアトピー性皮膚炎の外用療法に関する新しいガイドラインを発表しました。2006年にAAD誌に掲載された総説において、ステロイド外用剤依存(TSA)やレッドバーニングスキン症候群(RBSS)は、ステロイド外用剤によって生じうる副作用として指摘されたにもかかわらず、新しいガイドラインではこの病態に関する言及がありません。
患者たちの要望の高まりに応じて、全国湿疹協会(NEA)はこの病態の実情を明らかにすべく調査を開始しました。NEAの調査の課題はホームページ上にいくつかの疑問文の形で明示されているので、本稿の著者もまたこれらの疑問への回答という形でこの病態の記述を試みました。
TSAやRBSSを問題視し防止しようとする観点からは、AADの新ガイドラインには3つの問題があります。本稿の後半ではこの問題を取り上げます。(中略)。

アメリカ皮膚科学会(AAD)が2014年5月にアトピー性皮膚炎の治療におけるステロイド外用剤の使用にかんするガイドラインが出されました。

これに対して日本の皮膚科の先生方が共同で意見を出したものが今回の記事です。

ステロイド忌避は患者の知識不足や恐怖心だと捉えていますが、かならずしもそうではありません。

新しいガイドラインではステロイド外用剤依存症(TSA)やレッドバーニングスキン症候群(RBSS)に関すする言及がなされていません。

ステロイド剤、プロトピック軟膏が身体にもたらす深刻な問題

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ステロイド剤、プロトピック軟膏が身体にもたらす深刻な問題

監修・資料提供:木俣 肇
協和会病院リハビリテーション科/内科(アレルギー部門)
京都大学医学部卒業後、米国のUCLAに3年間留学しアレルギーの研究に従事。帰国後、ステロイドが、アレルギーを媒介する蛋白であるIgE産生を増加させることを海外の研究者と違う実験系で見出し、海外の免疫学雑誌に発表。IgE産生調節機構に関与している多数の海外の専門の研究者からの一連の発表で、ステロイドによるIgE産生増加は免疫学者の常識となった。


医学は様々な領域でめまぐるしい進歩をとげていますが、アトピーやアレルギーに関する研究も例外ではありません。あとぴナビでは常にアトピーに関する最新情報を集めており、今回はその中でも特に重要と思われる4つの医学論文を紹介します。アトピー性皮膚炎に関する最新の知見を得ることが、今後の治療の参考となることを願っています。

ランゲルハンス細胞とアトピー

「あとぴナビ」6&7月号の特集『夏に向けてアトピーを悪化させないために知っておきたい心得』で「ランゲルハンス細胞」の話に少し触れました。読んでくださった方も多いと思いますが、「ランゲルハンス細胞」という名前は聞き慣れないものであったことでしょう。
すい臓にある「ランゲルハンス島」とよく似た名前をしていますが、それとは全く別の細胞です。どちらもドイツの医学者・パウル・ランゲルハンスに発見されたため、似たような名称になっています。
さて、この細胞、アトピー性皮膚炎と深く関わっていることがここ最近の研究でわかってきました。「ランゲルハンス細胞」と「アトピー」との関わり、また、「ランゲルハンス細胞」と「ステロイド剤」との関わり、そして「プロトピック」との関わりなど、今わかってきつつあることのいろいろを、今回みなさんに医学論文を交えながらご紹介していきます。
まずは、「ランゲルハンス細胞」とはどういう細胞か、ここからお話ししていきましょう。

異物から体を守るランゲルハンス細胞

イラスト

「ランゲルハンス細胞」は、私たちの体の表皮に存在しています。表皮に存在する全細胞数の2~5%の割合になります。
ランゲルハンス細胞は、「樹状細胞」と呼ばれる、樹枝のように突起を伸ばした形状をしていて、この「突起」で、外部から肌に侵入してくる異物(ウイルス・細菌・化学物質など)を見張り、認識します。
体にとって有害な異物が体内に入り込もうとする情報をこうしてキャッチし、それを脳へ伝達。皮膚を正常に保つべく免疫システムを働かせます。
このように、異物の混入から私たちの体を守る細胞ですが、アトピー性皮膚炎を発症している場合、その治療の過程でランゲルハンス細胞を減らしてきてしまった人が多いかもしれません。なぜならランゲルハンス細胞の減少は、ステロイド剤使用と大きく関係しているからです。

ステロイド剤を使うとランゲルハンス細胞が減る

ステロイド剤を使用することで、残念ながらランゲルハンス細胞は減少してしまうということが分かってきています。実験ではベトネベート(ストロングランクのステロイド)を健康な成人男性に1日2回塗布。これをわずか5日間続けただけで、ランゲルハンス細胞の半分が死滅してしまったという結果が得られました。
同じ実験をアトピー性皮膚炎患者でも行うと、はじめの1週間では細胞数にあまり変化が見られず、2週間で顕著に減少し、3週間目ではなんと73%が死滅してしまいました。
ステロイド剤を使用するとランゲルハンス細胞が減るだけでなく、実はT細胞(免疫細胞)も減らしてしまうため、皮膚の免疫力はますます下がります。抗炎症効果も落ち、刺激を受けやすくなり、感染症も起こしやすくなってしまうのです。
ちなみに、このランゲルハンス細胞の減少の仕方は、「アポトーシス」といって、個体を良い状態に保とうとして、悪くなった細胞が自ら死滅していく「細胞の自殺」であったとも判明しています。

一度減ったランゲルハンス細胞はなかなか再生しない

イラスト

健常な肌のランゲルハンス細胞までたったの5日間で半減させるステロイド剤。アトピー性皮膚炎患者の場合は、このことからだけでも使用が不適切であるとわかります。
もし使うのであれば、よほど慎重に期間も塗布範囲も考える必要があるでしょう。慎重になれと言われても、どう使えばいいか、とても難しい判断になることでしょう。
さて、わずか5日で半減してしまったランゲルハンス細胞ですが、この再生にはどれくらいの日数がかかるのかも気になるところです。こちらはヒトではなくマウスでの実験になりますが、再生には50日を要したというデータがあります。回復には実に10倍もの期間がかかっているのですね。減らすのは簡単、でも戻すのは容易ではないということです。

肌にはランゲルハンス細胞という樹状細胞があります。有害物質が体内に入らないよう見張り皮膚を正常に保つための免疫システムを働かせる細胞です。

それがステロイド剤によって減少することが明らかになっています。無くなるのはあっという間ですが、マウスの実験ですが回復するのには50日以上の日数がかかってしまいます。

アトピーと感染症の最新研究

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アトピーと感染症の最新研究

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2013年11月、イギリスの有名な学術雑誌「ネイチャー」に、感染症に関する新たな発見といえる研究論文が掲載されました。本誌でおなじみのアレルギー専門医・木俣肇先生は、この論文を「画期的」と評価しています。
感染症は、アトピーの大きな悪化要因。特にステロイド剤の離脱症状を乗り越える際には、感染症対策が大切です。最先端の研究成果を踏まえながら、感染症の対策と予防について考えましょう。

 

nature ネイチャー誌に掲載された記事 (2013/11/21)

Staphylococcus δ-toxin promotes mouse allergic skin disease by inducing mast cell degranulation

「ブドウ球菌が産生するデルタトキシン(毒素)は、肥満細胞を活性化しアレルギー皮膚炎を誘発する」

本論文では、黄色ブドウ球菌から出るデルタトキシンという毒素が、肥満細胞の脱だつ顆か粒りゅうの誘因因子であることが同定された。
肥満細胞には、かゆみの原因となるヒスタミンなどの炎症性メディエーター(橋渡し役)が貯蔵されており、これらが血中に放出されることを脱顆粒という。これまで、肥満細胞の脱顆粒は、IgE抗体を介したアレルギー反応によるものと考えられてきた。しかし、本論文において、黄色ブドウ球菌が放出する毒素によって直接肥満細胞の脱顆粒が起こることがわかった。
さらに、本論文では、次のような事実を示すデータも紹介されている。


   ● IgE抗体が関与することで脱顆粒は数倍増える。
   ● アレルゲン(抗原)がなくてもIgE抗体が存在するだけで脱顆粒が増える。
   ● 黄色ブドウ球菌がIL4(インターロイキン4=IgE抗体を増やす働きがある情報伝達物質)を増やす。



グラフ
β-ヘキソサミニダーゼは肥満細胞が脱顆粒を起こすときに放出される酵素。
この酵素が増えることにより、脱顆粒が増えていることがわかる。

アトピー肌に多い黄色ブドウ球菌

人間の皮膚には、表皮ブドウ球菌や真菌類などの様々な菌が存在しています。これらの菌のほとんどは通常は無害ですが、やっかいな問題を起こす菌もいます。
その代表といえるのが黄色ブドウ球菌。皮膚における感染症の原因となる菌ですが、すべての人の皮膚に存在するわけではありません。
しかし、アトピー性皮膚炎の場合は、90%以上の人に黄色ブドウ球菌が認められます。特に炎症部分に定着していることが多く、症状がひどくなるほど量が増える傾向があります。

黄色ブドウ球菌の毒素が炎症反応の原因だった

2013年11月、イギリスの学術雑誌「ネイチャー」に、黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎に関する非常に興味深い論文(下記コラム参照)が掲載されました。
論文では、黄色ブドウ球菌から出る毒素(デルタトキシン)が、直接的に肥満細胞を刺激することで炎症が起こるという事実が、様々なデータにより示されています。この論文の画期的なところは、IgE抗体(アレルギー反応を起こす免疫細胞)を介する免疫反応がなくても、黄色ブドウ球菌から出る毒素が直接肥満細胞を刺激し、皮膚の炎症が起こることが分かったことです。つまり、アレルギー反応を起こさなくてもアレルギー的症状(炎症など)が起こってしまうのです。
もちろん、アレルギー反応によっても炎症は起こります。これは以前からわかっていたことですが、黄色ブドウ球菌がIgE抗体を刺激すると肥満細胞が反応し、かゆみの原因となるヒスタミンなどが出るからです。

アトピーの炎症は二つのルートから生じていた

ネイチャー誌の論文から読み取れることは、皮膚に黄色ブドウ球菌が多いと、二つのルートにより皮膚に炎症が起こる可能性があることです。

二つのルート

このことから「アトピー性皮膚炎は、ルート1とルート2の炎症が重なった状態である」といえます。したがって、アトピー性皮膚炎の治療(特に感染症の併発とその予防)でまず大事なことは、黄色ブドウ球菌が皮膚に定着することを防ぐことです。
感染症というと、ヘルペスやカポジのように皮膚がジュクジュクした状態を思い浮かべます。しかし、感染症にはみえない状態でも、黄色ブドウ球菌が定着していることが多いので注意が必要。アトピー性皮膚炎の皮膚はバリア機能が弱いので、黄色ブドウ球菌の毒素が入り込みやすく、定着が進めばやがてひどい炎症につながります。
黄色ブドウ球菌などの感染症を治療する際、消毒や抗菌薬などを使用します。また、完全に黄色ブドウ球菌を取り除くことはできませんが、日常的な心がけとして、皮膚を適度に洗って清潔にしておくことも大切です(ただし、洗いすぎないようにしましょう)。

アトピー性皮膚炎の方の90%の場合黄色ブドウ球菌が認められます。
 

最近の研究で黄色ブドウ球菌から出るデルタトキシンが肥満細胞を直接刺激して炎症を引き起こすことが分かってきました。

これまではIgE抗体を媒介としたアレルギー反応の考えられていたが別のルートが存在することが分かってきました。

皮膚のバリア機能が落ちていると黄色ブドウ球菌の毒素が皮膚に入りやすくなるために皮膚のケアが非常に大事になります。